2088 作者未詳 2011-09-20 | 巻十 秋雑歌 吾隠有 楫棹無而 渡守 舟将借八方 須臾者有待 我が隠せる 楫棹(かぢさを)なくて 渡り守 舟貸さめやも しましはあり待て 「私が隠した、櫂がなくては、船頭さんは、(彦星に)舟を貸せないね。しばらく(ここで)待っていてよ(七夕の宵を楽しみたいんだ)」
2087 作者未詳 2011-09-19 | 巻十 秋雑歌 渡守 舟出為将出 今夜耳 相見而後者 不相物可毛 渡り守(もり) 舟出し出でむ 今夜(こよひ)のみ 相見て後は 逢はじものかも 「渡し船の船頭さんが、舟を漕ぎ出しました。今夜のみの、二人のデートの後は、(一年もの間)会えないものなのでしょうか」
2086 作者未詳 2011-09-18 | 巻十 秋雑歌 牽牛之 嬬喚舟之 引綱乃 将絶跡君乎 吾之念勿國 彦星の 妻呼ぶ舟の 引き綱の 絶えむと君を 我が思はなくに 「彦星の、妻を呼ぶ舟の、引き綱のように。(夫婦の仲が)絶えようなんて、ぼくは思っていない」
2085 作者未詳 2011-09-17 | 巻十 秋雑歌 天漢 湍瀬尓白浪 雖高 直渡来沼 時者苦三 天の川 瀬々に白波 高けども 直渡(ただわた)り来(き)ぬ 待たば苦しみ 「天の川の、瀬々の白波は、高かったが、ただ(きみを思って)渡ってきたよ。待つのは(これ以上に)苦しいからね」
2084 作者未詳 2011-09-16 | 巻十 秋雑歌 天漢 去年之渡湍 有二家里 君之将来 道乃不知久 天の川 去年(こぞ)の渡り瀬 荒れにけり 君が来まさむ 道の知らなく 「天の川は、去年(には渡れた)浅瀬が、(今年は)荒れています。(そのため)あなたがおいでになる、道が分かりません」