万葉集ブログ・2 まんえふしふ 巻九~巻十

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2092 作者未詳

2011-09-24 | 巻十 秋雑歌
天地跡 別之時従 久方乃 天驗常 定大王 天之河原尓 璞 月累而 妹尓相 時候跡 立待尓 吾衣手尓 秋風之 吹反者 立座 多土伎乎不知 村肝 心不欲 解衣 思乱而 何時跡 吾待今夜 此川 行長 有得鴨

天地(あめつち)と 別れし時ゆ 久方の 天つしるしと 定めてし 天の川原に あらたまの 月重なりて 妹に逢ふ 時さもらふと 立ち待つに 我が衣手に 秋風の 吹きかへらへば 立ちて居て たどきを知らに むらきもの 心いさよひ 解き衣(きぬ)の 思ひ乱れて いつしかと 我が待つ今夜(こよひ) この川の 流れの長く ありこせぬかも


「天と地が、分かれた時から、“久方の” 越えられない境界線として、定められた、天の川の河原に、“あらたまの” 月(日)をかさねて、妻に会う、チャンスを伺い、時がくるのを待つ。私の衣服の袖に、“秋風の” 吹き返すので、立ったり座ったり、それを知る手がかりもなく。“むらきもの” 心は揺れて、“解き衣の” 思いは乱れ、いつのまにか、私が(あなたを)待つ今夜、この川の、流れが長いように、(二人の逢瀬もそう)あってほしい」

●天つしるし:天上界にある越えてはならない境界線 天の川