小さな日記

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路上のソロイスト

2010年03月31日 | 映画
路上のソロイスト 日本版予告編 The Soloist Trailer Japanese


ロサンゼルス・タイムズのコラムニスト、スティーヴ・ロペスが書いた本『The Soloist: A Lost Dream, an Unlikely Friendship, and the Redemptive Power of Music.』に基づく
2009年アメリカ映画。

これは、、、心に重くのしかかる映画だ。実話だからなおのこと。
統合失調と思われるホームレス、ナサニエルに、新聞記者ロペスは、「助ける」つもりで、アパートや生活保護、治療を提供しようとする。ひとがあるがままに生きていくことの難しさ。ナサニエルは、路上で好きに暮らしているぶんには、他人に迷惑をかけているわけではない。わたしは、「いいねぇ、楽しそうで」と思ったくらいだ。

興味深かったのは、ロペスが自分に不幸を感じているからこそ、ナサニエルにロペスの思うところの立ち直り、社会的成功を具現させて、ロペスが幸福になりたいのではないかということ。ナサニエルの幸福はナサニエルが感じることで、他人がわかるものではない。

他人の幸福の手助けをして、自分が幸福になろうとするのは傲慢だ。

ナサニエルはチェロを1人で弾くソロイストであると同時に 1人で独り言を続けるソロイストでもある。わたしが19歳で東京に来てとても驚いたのが、独り言をずっと言い続けて街中を歩くひと、電車で横に座るひとだった。そして、突然、わたしの方を見て、「そう思わない?」などと話しかけてくる。だんだんそういうことに慣れてきて話をつなごうとわたしも話してみるけれど、なかなかかみ合わない。けれど、そのひとの言うことはわかるしそのひとのほんの少しは情報として入ってくる。わたしも一緒になって、言いたいことを次から次へと話してみたこともある。二人で紡ぎだす言葉の色は、意味はからまないけれど、織物ができてくるように、声、音、内容が、その時間二人の生きた証のようだと思った。