中国の四川大地震に関連しての「水爆を搭載する大陸間弾道弾だとか作る金があるなら災害対策をやったらいい」発言で、またまた注目を浴びた石原東京都知事の5月16日の定例会見。
一方で環境に関して、一歩も譲らない姿勢を明確にしています。
温暖化に関する発言の要旨は以下の通り
地球の温暖化については足躊躇している暇はほとんどない。多くの専門家が、相当のことをしないと、あと5年のうちにポイント・オブ・ノーリターンが来ると言っている。こういう状況の中で、具体的な対策を速やかにその実行することが必要
そのために都は、都市レベルでは世界初となる大規模事業所へのCO2排出総量削減の義務化、排出量の取引制度などを盛り込んだ『環境確保条例』の改正案を第2回の都議会定例会に提出することとした。国でも総量削減義務という、排出量取引について検討しているが、一向に導入に向けての具体的な動きが出ていない。
これは20年後の自分たちの子孫に対する責任の履行だと思う。そういう考え方を持たないと、この問題に対する的確な効果的な対処はできない。
また日常の生活や、業務活動、温暖化阻止の視点から見直すことも必要だ。不必要なネオンサインや、自動販売機の消灯、あるいはデパートなどの営業時間の短縮など、省エネ・節電の実施に向けた協議を、関係団体などと行うように、環境局に指示をした。さらに、北海道洞爺湖サミットを控えた6月30日には、都内の経済団体や企業とともに、『環境都市作りシンポジウム』を開催。このシンポジウムでは、東京の先駆的な環境対策を内外にアピールすると共に、志のある、同じくする事業団体などに共同の行動を呼びかけていきたいと思っている。
(このシンポジウムについて詳しくは
こうした温暖化対策を積み重ねると共に、EUや北米の有力州が参加している排出量取引制度などを議論する、ICAP、国際炭素行動パートナーシップに日本、そしてアジアでも初めて東京都が参加して、取り組みを世界にアピールしていきたい。これらを通じて、オリンピックの理念に合致した、環境先進都市の創出を目指していきたい。
質問
■環境確保条例の改正案の中に、大規模事業所に対する二酸化炭素の排出削減義務の数値を示すのか
知事
■当然、その数値を示さないと、条例の効果もないと思うし、つくった意味がない。2000年を基準にしての25%の削減ってことを言ってきたが、それを実現するために個々の対象にどういうノルマを背負っていただくかというのは具体的にはこれから。精査して発表していく。
質問
■数値は条例ができてから、検討していくのか
知事
■やっぱり条例に沿えてあるベーシックな数字というのは提示しなきゃダメだと思う
質問
■東京商工会議所から考えを示された評価と、現在も反発している企業があることについてどう思うか
知事
■経団連も含めて、大きな企業ほど反発するでしょう。
その反発の理由はわかりますけれども。
結局、かつて四日市や、私が担当して苦労した水俣の問題なども、トレードオフが効くと思っていた。
要するに取引のバランスが取れるものだと思っていたんですが、それが取れなかった。
それで通産省なんかはね、報告を隠したりして結局、どんどん被害を拡大して、ああいう形になってしまった。
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ちなみに、トレードオフ(trade-off)とは、一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという二律背反の状態・関係のこと。
若干使い方が違うと思うけど、知事が言いたいことは、
「環境を犠牲にしても、経済的効果が補ってあまりあるものであり、それにより環境面での犠牲をカバーすることができると考えた」
という意味ではないかと推測されます。
そして当時の日本は通産省の力が強く、そこへモノが言えない状況でした。通常、トレードオフのある状況では具体的な選択肢の長所と短所をすべて考慮したうえで決定を行うことが求められますが、当時はむしろ無理やりその方向へもっていかれたといっても過言ではないと思います。
そして結果として、水俣で、四日市で、地元の方々がうしなったものはお金では決してとりもどせない、人命であり、人の健康であり、人生であり、生物が生きる環境でした。立ち直りつつあるこれらの地方の方々ですが、失われた命はもどりません。環境をとりもどすのにかかった時間は膨大です。
私たちはそこから学んだ筈です。
お金では決してとりもどせないものがあることを。
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