勝間さんの本を読んで、
私が、ドキッとした言葉があります。
「能力は誰も大差ない。意志はみんな弱い。
違うのは、気持ちの持ち方とどれだけいい手法や技術を知ってるかだ」
という言葉。
勝間さんは、
英語の
TOEICの試験の成績を正直に告白しています。
「新卒時は420点だったが3年間で900点に向上」とありました。
これにはショックを受けました。
私は彼女の外資系でのキャリアから、
帰国子女だと思っていたのです。
そうではなく、「英語は入社後」に身に着けていた・・・。
おそらく1社目の監査法人の時代だと思われます。
日本企業で子どもを持ちながら働くことの難しさを感じた
勝間さんは、
そのTOEIC900点と、学生時代に取得した公認会計士
などをひっさげて、
子育てと両立できる仕事を求めて転職されたのです。
(この資格ならばいくら子育て中でも仕事はすぐに決まったことでしょう)
では、ここで、
恥をしのんで私のエピソードを披露します。
私は、外交官の娘でありながら、
赴任地や学校の関係でぜーんぜん英語が出来ない為、
子どもの頃から、英会話がトラウマ。
外人さんがうじゃうじゃ出入りして、
パーティの多い我が家の生活が子供心に冷や汗ものでした。
だから社会人になり自由になる金ができたときに
真っ先に英会話学校に駆け込みました。
1年間で点数が525点から680点になりました。
パーティくらいは楽しくこなせるようにはなりました。
ここまではよし。
しかし、ヒアリングは伸び、リーディングが伸び悩み、
700点に手が届かない苛立ちが私を足止めしました。
そして、
やめてしまいました。
ビジネスに生かすにはあと200点は伸ばす必要があったのに。
仕事が忙しすぎること、
パニック障害で英会話学校そのものが怖いこと、
我が家はパーティなんか
二度と開かないであろうといういじけ心、
夫の関係のおつきあいが急増していたこと、
(それらの相手は日本人で英語はもう必要なく、
そして十分に華やかで魅力的でした)
そのほかいろいろなことが起こりましたから、
「言い訳」には不足しませんでした。
そのまま放置して、5年経ち、英語は私の脳から消えました。
更に、こんなことも思い出しました。
中学生の頃非行少女だった私は
父の仕事の関係で転校したバンコク日本人学校で、
初めてうけた模試では、
英語、数学、国語の偏差値は中学2年50以下。
進学校だったのでビリでした。
そのとき学校でたまたまIQのテストがあり、
その成績が悪くなかったことから、
先生方は私を鍛えなおす決心をしたようです。
そして1年半。
最期に受けた模試の結果は、一番苦手な数学68、英語75、国語78
しかも最期の2週間で、偏差値は各5程度上がっています。
この記録は最期の2週間に通った富士学院の宣伝材料になりました。
この模試の結果が出た頃、私の高校受験は終わり、
すべての学校に受かり、第一志望の成城学院高等学校の試験は、
自己採点では10年分の試験問題をやった中での最高点でした。
学校の手続きのときに
「え、うちの来るんですか?慶応には行かないのですか?」
と言われた母は、ながらくそれを自慢話にしていました。
(慶応なんて受けられる成績じゃありませでしたから受けてません)
このとき私は、バンコク日本人学校と富士学院によって、
「グーグルされた」のだといまはわかります。
しかし、英会話と同じように、
私の知的成長はここで終わり、高校時代の成績は惨憺たるものです。
勝間お姉さまが様々な知的成果をあげてきた間、
私は「効率」とは無縁の、
知的生産とはほど遠い生活をしていたと思います。
「何かが決定的に違う」と思いました。
ではどこが違うのか?
私は、周囲(先生など)が自分をグーグル化してくれたときだけ
知的に成長し、成果を残したのです。
自分でそれを工夫する知恵はありませんでした。
そして、いつも目先のことを一生懸命こなすこと、
目先のトラブルを処理すること、
怖いものから逃げること、
そんな生き方しかできていなかったのです。
私の人生を知っている人の何人かは、
「それでも仕事を辞めなかったのは偉かった」
「病気と子育てとその他さまざまなことがある中、精一杯頑張った」
「働いているだけでも偉い」
などと「お優しいこと」を言ってくれます。
でも本当にそうでしょうか?
確かに頑張ったことは頑張ったのかもしれません。
でも何かが決定的に違っていました。
ここには、「能力」(IQとか体力)を超えた
「考え方そのもの」「とりくみ方そのもの」
の違いがあります。
これを勝間さんは、
「効率良く、知的生産物を創りあげる技術を知っている」、
すなわち、時間あがりの情報入手量が多く、
それを利用したアウトプットの成果が大きいのだと思います。
と言っています。
こうした技術は、普通の働く女性(男性)、
子育てしながら時短で働く私のような女性にこそ、
有効なのではないでしょうか?
また、体力にハンデがある、持病がある、
家族の面倒をみなければならない、
その他さまざまな理由で時間のない人にとっても、
大きな武器となる「知の技術」がここにあります。
そして勝間さんはその技術を、
具体的かつわかりやすく説明しています。
そしてそれらを読んだとき、
「私は勝間さんや秋山さんにはなれない」
と自ら白旗を下げた自分を恥じました。
そして私ならずとも、
「これからでいいんから、自分に言い訳をしないで、上手なやり方で、
自分のやりたいことを実現していこう」
と思える良書であると思います。
最期に、
勝間さんは、苦労話や悲しい話を書きませんので、
みなさんは彼女がそういう
「恵まれた人」だと思っているかもしれませんが、
私は書いていないだけだと、この本を読んで確信しました。
勝間さんだって、泣いたことがある筈です。
でも泣いた後に、立ち上がって、考えて、それらを解決する方法を
考えて、ハードルをクリアしていったのだと思います。