@幕張日記

@幕張が日々を想いのままに綴る日記

アメリカ人の意識 ~ 戦後60年特別番組を見て ~

2005-08-05 23:46:40 | @幕張の主張
 TBSの特別番組『ヒロシマ』を見た。NHK以外では久し振りに良い番組を見た気がする。

原爆開発の一員として原爆を作り、広島に投下した際の記録フィルムを回し続けた男。戦後一貫して来日を拒み、自らの行為を正当化し続けた男の言葉は衝撃的だった。

自らが落とした原爆被害に対して「bad business」と他人事のようにしか反応を示さないくせに、自分の過去に関係した質問が及ぶや、「被爆して亡くなった市民や今もなお被爆症で苦しむ市民に対して何と言いますか?」との問いに、「Remenber Pearl Harber」とにべもなく答える男。挙句の果てに「毎日、爆弾を落とすより原爆1つを落とした方が簡単」と言い放ち、当時13歳だった被爆者に対して「戦争を起こしたのだから謝罪しろ」と迫る態度。頑迷でエゴイスティックな最も醜い顔をしたアメリカ人。呆れて物も言えない。こんな男こそ吊るし首にすべきなのに。

ああ、まだ日本とアメリカの戦争は終わっていないのだな…と感じた一瞬だった。
確かに戦争は60年前に終わっている。しかし当事者の中に相手に対するわだかまりが消えない限り恨みは恨みを呼び、復讐は復讐をもたらす。
あの男の言葉によって、ハーバード大学やコロンビア大学など多くの大学や個々の研究者達が議論してきた「ヒロシマ論争」はすべて無に帰したように思う。戦後、原爆使用の是非についてあれだけいろいろ論争されてきたものが、実は原爆を自らの手で放った当事者は今でもなお原爆を作り原爆を落とした事を後悔していない、それどころか必要があればいつでもまた核兵器を使うといった意識が根底にある事がはっきりした事で、核兵器の是非についての論争が実は仮面論争であり、アメリカに何か起きた場合、すぐに次の核兵器使用へと世論が流れてしまう、その表面上の平和主義の脆弱さをさらけ出した番組でもあったように思う。

実はアメリカは第二次大戦以降は戦争に敗れたことはあっても勝利したことはない。朝鮮戦争を始め、ベトナム戦争と続いたアジアでの戦争では、虫けら以下にバカにしていた“服を着た黄色いサル”“第二次大戦で同じ黄色の肌をした日本サルを徹底的にやっつけたのに、ちっとも懲りないサル”と見下していた“サル”達に逆に徹底的に痛めつけられた。これらの戦争がトラウマとなり、パパブッシュの時代やレーガンの時代に『強いアメリカ』を標榜し、パパブッシュが引き起こした湾岸戦争ではイラクに対して牛刀で鶏を裂くような物量を投下している。しかし、パパブッシュの湾岸戦争では国際世論に押されて中途半端な状態での撤退を余儀なくされ、さらにブッシュJr.の起こしたイラク戦争では国家を標的にした戦争から、世界各地に散らばったテロ細胞を標的にした戦争へと様変わりをさせて、完全な勝利どころか世界中をテロリズムの危険に晒してしまっている。

ここではっきり言いたい。アメリカはパパブッシュの湾岸戦争から戦略を完璧に失敗していると。

@幕張が思うに、キリスト教徒は自らが「絶対正義の下」で、言い換えれば「キリストの御名の下」で事を運ばないと気が済まないらしい。特に第二次大戦やベトナム戦争を経験した世代の一部の人々は、自身のすべてを正当化し正義を名乗って絶対に後を振り返らない…と書くと聞こえは良いのだが、要はやりっぱなし、検証も反省もなしで「俺は正しい」と主張して自らの欲望の赴くままにただひたすらに好き勝手に動き回っているだけの話。少なくとも検証したり反省したりする場合はベトナム戦争の時のように戦死者が増え、完膚なきまでに叩きのめされた時か、事が起きてから何年も経って、当事者ではない人たちが当時を振り返る時位しかない。幸いにして最近は過去の歴史を検証しようという風潮が起き、1995年のスミソニアン博物館におけるエノラゲイ号展示の可否論争に端を発した「ヒロシマ論争」など、やっと理知的、論理的な動きが出てきたと感じていたばかりだったのに。

もっとも、「キリストの御名の下」で事を運ばないと気が済まない、という事は、自分の姿から「正義」の看板を取ってしまえば自己のアイデンティティが崩壊するという意味で、嫌でも正義を名乗らなければまともに生きていけない、日々の生活が成り立たないという意識と表裏一体であるということだ。

そしてそもそものアメリカの成り立ちが、迫害を逃れてイギリスから逃げてきた清教徒を中心とした世界各国からの移民で形成された国家であるにも係わらず、実は第二次大戦時には日系人だけを強制収容所に隔離し、土地や財産を没収した人種差別の国だという事実をアメリカは認めたがらない。いや、アメリカは国家としては戦後に日系人が起こした訴訟に負け、日系人隔離が誤りであったと認め謝罪をしているので一部のアメリカ人、と言い換えた方が正しいのかもしれない。そんなアメリカ人にとっては、日本人は今でも“黄色いサル”なのである。

そしてそれが軍隊内部などではなく、政治や科学研究といったいわゆるホワイトカラーの人達の間に根強く残っている意識、ということが恐ろしい。

@幕張は10年間、沖縄のアメリカ空軍基地でボランティアを行ない、空軍や海兵隊の友人達と一緒によく飲んだり遊んだりしたが、彼等は人種のことなど気にも留めないし、場合によっては日本人や韓国人を夫や妻に迎えて日本や韓国が第2の故郷になる人間も多い。だが、カータン政権時にホワイトハウスで仕事をしていた生粋の日本人であるS嬢によると、ワシントンでは未だに日本人は差別されるとの話であった。

まだまだ書き足りないが、取り留めもなくなりそうで、未読の資料も膨大なので、また気が向いたら続きを書くことにする。番組を見て、この科学者のあまりの認識の違いにショックが隠せないから。

番組の最後に、ヒロシマ平和祈念公園の平和の灯火を指して、「核兵器が無くなるよりも先にこの灯がガス欠で消えるさ」と罵ったこの科学者の名前は、

       Harold Agnew
(Los Alamos Historical Society Director
               /Los Alamos Nuclear Laboratory)

世界に色々な意見があって良いと思うし、また色々な意見がなければ民主主義ではないとは思うのだが、@幕張、この男だけは許せない。

この男が一日も早く天に召され、天の裁きによって地獄の業火に焼かれんと祈念する。
       

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