マグロチャンピオンの料理道場

人気バラエティー番組、TVチャンピオンの「マグロ料理人選手権」優勝者が、本格料理を分かりやすく教えるブログ。

渡り蟹でプーパッポンカレーを作ってみよう

2008年02月19日 | 中華料理
タイのバンコクに行く日本人が必ず一度は食べに行くのが、ソンブーン(建興酒家)のプーパッポンカレー(蟹のカレー炒め)だろう。

もともとは、蟹とカレーを炒めただけの料理だったようだが、ここの店の社長が卵やココナッツミルクを入れ工夫し、今ではバンコク市内に5店舗を展開している。

実は4年ほど前に、著者はソンブーンのスリウォン店の道路を挟んで右側のPLAZA HOTELに1か月以上滞在していたことがある。(バンコクのお店を手伝う前の頃)

水産加工の仕事で、バンコクから車で1時間程の工場に毎日通っていたのだが、このホテルが1泊1000バーツ(約3000円)と安い割にはセキュリティーもしっかりしていたので常宿としていた。
タニア通リという日本料理店やカラオケ(クラブ)が集まっているところからも近く、お客さんと食事をしたりするのにとても便利な場所ということもある。

最初は10日程の滞在の予定だったのだが、生協向けに作っていた商品の菌数の基準が厳し過ぎ、なかなかクリアーできずに、結局、1か月以上の滞在になってしまった。
この話はまた別の機会に話をするが、加熱をして食べる商品に生食用に近い基準を要求するのはおかしいと思う。
今、中国の餃子の問題で日本はたいへんなようだが、中国の工場側も日本の生協の基準に合わせるのはたいへんな苦労だと思う。今回、その工場の生産品の中では生協向けの商品だけに問題が起こっているが、その辺に問題があるような気がする。

そういう訳で、朝一番で工場に向かい、夕方にはバンコク市内に戻ってくる生活をしていたのだが、夕方からはよく、ソンブーンに食事に行った。
夕方の早い時間から、日本人のおじさん達がカラオケ(クラブ)の女の子を連れて同伴で店に来ていたので恥ずかしい思いもしたが、この店のプーパッポンカレーは本当にうまかった。しかし、何度も食べに行ったのでこの料理は飽きてしまい、バンコクを去る頃にはこの店の「大シャコの唐揚げ」ばかりを食べていた。ニンニクを細かくして揚げた物とたっぷりの味の素と塩を大きなシャコの唐揚げに振りかけた料理だが、これがビールにとても良く合う。ビールはシンハービールに氷を入れて飲むとまた格別にうまい。

さて、前置きが長くなってしまったので、料理に取り掛かろう。

材料:
渡り蟹の足の部分      300g
セロリ 筋を取り5㎝に切る 1本
玉ねぎ くし切り      1/4個
万能ねぎ 4㎝~5㎝に切る  4~5本
赤ピーマン ひし形に切る  1/2個


調味料:
カレー粉(S&B)       小匙1
ニンニク みじん切り    大匙1
生姜   千切り      大匙1
オイスターソース      小匙2
シューカオ又は(醤油)   大匙1
酒             大匙1
豆板醤           小匙1
中華スープ         150cc
砂糖            小匙1
塩              少々
サラダ油          大匙2

シーズニングオイル     大匙5
ココナッツミルク      150cc
卵(全卵)         2個


まずは渡り蟹の仕込みだが、ボールに熱湯を入れ、そこにブツ切りにした渡り蟹の足を5分程入れておく。蟹の殻が赤くなり、中心まで温まったら取り出しザルに上げる。渡り蟹をあらかじめ茹でておくことによって、食べた時の食感がとても柔らかくなる。

卵は冷蔵庫から取り出したら必ず常温に戻してからよく溶いて、ココナッツミルクとシーズニングオイルと一緒に混ぜておく。

さて、調理料と合わせて行く。

①鍋を熱しサラダ油大匙2を入れ、豆板醤、ニンニク、生姜の千切りを入れ、香りが出たら強火にして、途中で酒を加えながら玉ねぎ、長ネギを炒める。

②鍋肌から中華スープ(顆粒の素とお湯で十分)をそそぎ、カレー粉、オイスターソース、シューカオ(醤油)、砂糖を加え塩で味を整え、渡り蟹、ピーマン、セロリも加えて汁気がなくなるまで炒める。

③卵、ココナッツミルク、チリインオイルの混合を少しずつ加え、卵が硬くならないうちに火から下ろし皿に盛る。

この料理(プーパッポンカレー)のプーとは、タイ語で蟹の意味だ。
ソンブーンはマッドクラブ(泥蟹)を使っているが、殻がとても固くて活きている時はとても凶暴な蟹だ。

うちの店では、渡り蟹の他に、タバラ蟹を使ったメニューも出しているが、日本で手軽に入手できる蟹なら何でも良いだろう。できれば、ボイルしていない物の方が蟹の旨みが出て旨い。

さて、シーズニングオイルだが、ピーナッツオイル等に、いろいろな香辛料を加えたものだ。タイ語では「ナンマン・ナンプリック・パオ」と言い、あらかじめ蟹の香りのするものや、にんにくの入った物など種類もさまざまだ。

日本では入手が難しかったらチリインオイルの上澄みの透明な部分を使っても良いだろう。

うちの店では豆板醤も使っているが、かなり辛くなるので、辛いのが好きでなければ入れなければ良い。

難しい料理に思えるだろうが、あっという間にできてしまうので挑戦してみて欲しい。

尚、jjkenさんに質問なのだが、今回の中国の餃子事件に付いての意見を聞かせて欲しい。

生協の衛生基準に付いて先にも書いたが、水産加工品で加熱して食べる物でも刺身で食べられる基準を要求される。ましてや、刺身商品となると無菌に近い基準となる。
今回の中国の工場も同じように厳しい衛生基準を要求されていると思うが、菌数の検査に最低は2日~3日は掛かるが、1つの検体に少しでも多くの菌数が出ると、そのロットはすべて日本には出荷できないということになってしまう。

日本側は、原料原価から従業員の給料まで分かっていて、値決めをしてくるから薄利多売ということになることは想像が付く。
しかし、中国のことなので工場は政府関係のいろいろな連中に袖の下も払わなければならないだろう。

筆者の場合には「あん肝の酒蒸し」や「上海蟹」等、利益が多く取れて工場側にメリットのある物しか作らなかったというか、量の問題もあり作れなかった。

今、日本では中国商品の不買運動など起こっているようだが、日本にとってプラスになるのだろうか?

別に中国の肩を持つつもりではないが、これからは食料の奪い合いの時代になるだろう。いつまでも安定的に食料を供給してくれる相手先はとても大切だと思う。

日本の将来が心配に思えてしかたがない。。。










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1 コメント

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やはりこの料理おいしいですね (jjken)
2008-02-20 16:11:43
プー パッポンカリーは、ほんとおいししいですね。
でも、結構 店で味が違うので、場所によってはイマイチだったりして(どうしても美味しい所と比べてしまいますからねー)、がっかりする事もありますねー。
また、この料理は蟹を使っているから、価格が少々高い部類に入るので普段はあんまり食べないですけどもね(たまにの贅沢の時に食べますねー)
ただ、市場のおかず屋さんで売っているのを見つけた時は、安いので思わず買ってしまいます(レストランのそれとは違いますが)
また、知っている菜食レストランで豆腐入りのベジタリアンパッポンカリーがメニューにあるのですが、これがとてもおいしくて安い!別に蟹は入って無くても大満足という一品です。

さて、中国の餃子事件についてですが....
事件の真相は、おそらくはっきり解明されずに終わることが予想(中国政府が相手ですから)されますし、ここにきて生協側の殺虫剤使用の管理体制の問題点なども浮上してきてます。
はっきりしてるのは、消費者から中毒症状が出たとうことで、とにかく食品として安全性に欠ける製品だったいうことです。
製造会社の天洋食品の製造ラインの写真などを見ましたが、多分問題ある生産管理していたと察せれます。
原料洗浄や製造工程ではゴム手袋してないみたですが、製品包装後の金検かける時に手袋していたりしてます。
また、私は映像は見てないですが、下記のようなコメントも拝見しました


”それにしても、先日 公開された工場の内部の映像  おかしいですよね。

入場前に、作業服、帽子、マスク、手袋をして、 手洗いをしていましたが、まず、
事件前の作業者は、「素手で ギョーザの肉を詰めてました。」「どこで 手袋をとるでしょうか。」
「手袋の上から 爪ブラシで洗ってました、何の意味があるのでしょうか。」
もともと 事件前の作業者は「消毒液に手を漬ける。」と言ってましたが、それも違ってましたね。
「金属探知」のラインもおかしいです。
機械は日本のメーカーのものですが、金属反応のあったものを、よけておくスペースがあるものですが、それが消えてスッキリしていました、このラインも見せるために作ったものと思われます。

工場に案内された報道人、政府関係者は、食品衛生については素人ですから、気が付かないでしょうけど、映像を見ただけでも 「急場しのぎ」のデタラメ案内だとわかります ”


まあ、別にこれは中国の工場だからという問題では無く、日本の食品会社だって以前の雪印や不二家などの問題から分かるように、安全性の管理としてはデタラメをやってたりするものです。
いくら、HACCP手法など導入しても、どうしても運用するのが人間ですから、現場の意識レベルが低ければどうしても問題発生は防げないでしょう。
また日本側の衛生管理基準要求も時として、現実的ではなかったりして現場を混乱させることもあるでしょう(私もコンビ二向けの製品を生産してる時に、似たような経験しました)

いずれにせよ、日本の現状では中国からの食料、食品にたよらざるを得ないので、今回の事件を教訓にして単純な中国製品不買運動などで終わらず、現実的な対応をしていかねばなりません。



”別に中国の肩を持つつもりではないが、これからは食料の奪い合いの時代になるだろう。いつまでも安定的に食料を供給してくれる相手先はとても大切だと思う”
という、マグロチャンピオンさんのコメントですが、これはもちろんそうだと思います。
一方、食料問題を考える時に、我々はどこまで日常食べている食事の事を真剣に考えているかという問題にぶちあたります。
我々の体を作っているのは何か?それは日常の食事だという基本の大切さを忘れているという...
グルメ、美食、体にとっては一利もない多くの加工食品に何の問題意識も持たずに、謳歌しているという..
食に真剣になればなる程、周りに溢れている色々なものを否定しなければなりません。
人間の体にとって本質的に意味のないフードビジネス、産業が肥大化し、それで糧を得ている人も多くいるという部分もあったりしますし...
日本政府の食糧政策を含めて、日本人は考えるべき時期はとっくに来てるとは思うのですが。


乱文になり申し訳ありません。また色々とこういう点についてご意見お聞かせ下さい

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