マグロチャンピオンの料理道場

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天使の都バンコクのお好み焼き「ホイトート」にはビンロウを入れるの?

2013年02月16日 | 魚やす UO-YASU のまかない料理
今年も早くも2月の中旬になったが、「魚やす」2号店を出店する話があり、物件の下見や実際にお店を作る場合の厨房のレイアウトの作成などに追われて、ここのところブログの更新がなかなかできなかったが、このブログにちょくちょく立ち寄ってくれている方々には大変申し訳ないと思う。
さて、昨日は「エラワンの祠」に行ってきたのだが、セントラルデパートの前のクリスマスツリーはさすがに撤去されて、春の訪れを感じさせるような景色になっていた。



東京では3月の後半には桜が満開になると思うが、やはり日本の桜は世界で一番美しいと思う。

さて、タイの国のことを「微笑みの国」と言うことが多いが、バンコクの正式名称は下記のようにとても長い。

“กรุงเทพมหานคร บวรรัตนโกสินทร์ มหินทรายุธยามหาดิลก ภพนพรัตน์ ราชธานีบุรีรมย์ อุดมราชนิเวศน์ มหาสถาน อมรพิมาน อวตารสถิต สักกะทัตติยวิษณุกรรมประสิทธิ์

(クルンテープ・プラマハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロックポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット)と言い、世界中で一番長い都市名だそうだ。

この長い都市名の意味は、“天使の都、偉大なる都城、帝釈天の不壊(ふえ)の宝玉(エメラルド)、帝釈天の戦争なき平和な、偉大にして最高の土地、九種の宝玉の如き、心楽しき王都、数々の大王宮に富み、神が権化して(国王のこと)住みたまう、帝釈天が建築天ヴィシュヌカルマをして作らせたまいし”ということだが、どうやらラマ一世の詩がそのまま都市名になってしまったようだ。
 
今回の料理は「ホイトート」というタイの庶民が好んで食べる「貝のお好み焼」を作ってみるが、「天使の都」バンコクのお好み焼きと日本のお好み焼きはどう違うのかを比べてみるのも面白いと思う。

このお好み焼きには具材として、牡蠣や「ムラサキイガイ」(カラス貝)などを使うが、今回はタイの屋台等でもおなじみの「ムラサキイガイ」を使ってみることにしよう。

ヨーロッパのムール貝よりも小ぶりだが、価格も安いのでもし実際に作ってみて気に入ったら「おやつ」代わりにいつでも気軽に作れるだろう。

◆タイのお好み焼き「ホイトート」の作り方。

<用意する物>


写真手前の左から「もやし」一握り分、「万能ネギ」2束、「パクチー」2束、タイの「お好み焼きの粉」200g。「キンマーク」(キンマ)とも言う、大さじ1/2、「ベーキングパウダー」小さじ1。写真中央の左から「ムラサキイガイの剥き実」300g、「コショー」少々、「シーズ二ングソース」小さじ1、「梅ソース」大さじ1。写真奥の左から「酢」大さじ1/2、「ナンプラー」大さじ1、「スイートチリソース」大さじ2、「ホットチリソース」大さじ4。写真には無いが卵黄1個分。

<作り方>ソースを作る。

①ボウル等に「ホットチリソース」を大さじ4入れる。


②「スイートチリソース」を大さじ2加える。


③「梅ソース」を大さじ1加える。


④よくかき混ぜる。


<作り方>生地を作る。

①水200mlに「キンマーク」を大さじ1/2加える。


②ホイッパー等を使ってよく溶かす。


③ボウルに「お好み焼きの粉」を1カップ入れる。


④「ベーキングパウダー」を小さじ1加える。


⑤キンマークを溶かした水(200ml)を少しずつ加えて混ぜる。


⑥卵黄1個分を加える。


⑦よく混ぜる。


⑧シーズ二ングソースを小さじ1加える。


⑨「ムラサキイガイ」150gを加える。


⑩全体をよく混ぜ合わせる。


<作り方>パクチーと万能ネギを切る。

①万能ネギを小口切りする。


②パクチーを1㎝幅に切る。


<作り方>本調理

①フライパンを中火に掛けサラダ油を大さじ1敷く。


②生地を流し入れそのまま両面をじっくり焼く。


③別のフライパンを中火に掛けサラダ油を大さじ1敷く。


④「もやし」を加える。


⑤「酢」を大さじ1/2加える。


⑥「シーズ二ングソース」を小さじ1加える


⑦「塩」を少し振る。


⑧「コショー」を少し振る。


⑨炒めた「もやし」を皿に盛る。


⑩焼いた生地を乗せる。


⑪パクチーと万能ネギをを上から散らす。


⑫ソースを添えて出来上がり。


さて、この料理は生地の中に「キンマーク」(キンマとも呼ぶ)を少量加えるが、「キンマーク」とは「ビンロウ」(檳榔)という常緑樹の植物で、この樹の実に石灰をまぜたものを台湾ではビンランと発音し、ガムのように噛んで使用するのだが、今では台湾全土で煙草と並ぶ嗜好品として普及している。

この「ビンロウ」という植物には覚醒作用があり、興奮状態になったり精力増強強剤的な効能もあると言われており、長距離トラックやタクシーなどのドライバーの眠気さましとしても使われているようだ。

ただし、この「ビンロウ」を噛んでいると唾液が赤く変化し、それを口から吐き出すとまるで血を吐き捨てているようで異様な感じを受ける。

タイではこの「ビンロウ」は「キンマーク」(キンマ)と呼ばれ、キンマを噛む風習は、現在でもタイの農村部、山岳民族の間で残っていて、特にお年寄り(おばばちゃん)が好んでキンマを噛むようだが、昔のタイでは「歯が黒いほど美人」と考えられていたようで、その影響もあるのかも知れない。

さて、そのキンマだが、なぜ、「お好み焼きの生地」に入れるのかがどうしても分からないので、いろいろなタイ人に聞いてみたところ、どうやら生地をパリッと焼く為に入れるらしいが化学的な根拠はなく、昔からそのように伝えられているようだ。

「ビンロウ」=「キンマ」に付いては、発ガン性物質が含まれていて「口内がん」との関連性も指摘されているので、なるべくなら使用しない方が良いかも知れない。

さて、今回、タイのお好み焼きを作ったが、次回は「ムラサキイガイ」を使って日本のお好み焼きを作ってみたいと思う。

日本の岡山県は広島、宮城に続く牡蠣の水揚げが全国で3位だが、その岡山県の日生の名物に「牡蠣」をたっぷり使った「かきおこ」(牡蠣のお好み焼き)がある。

お好み焼きの生地には、これでもかと思う程の牡蠣と太目に切ったキャベツを加えて焼くというシンプルな料理だが、牡蠣の旨みを存分に味わえる大阪風とも広島風とも違うお好み焼きだ。

次回は「ムラサキイガイ」を使って、この日生の「かきおこ」風のお好み焼きを作ってみよう。



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