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今から30年以上も前だが、調理師学校を卒業して最初に入社したのが南米のべネズエラの小さな日本料理店だった。
その当時、ベネズエラの首都のカラカスには、日本料理店はこの小さな店1軒しかなく、価格は高いもののベネズエラのお金持ちやTVのスーパースターがこの店の常連客だった。
ベネズエラは産油国で、お金持ちは豪邸を構えメイドを何人も使っていたし、出張パーティー(仕出し)に行ったベネズエラ人の富豪の豪邸では200人も300人ものお客を招待した豪勢なパーティーが毎日のように行われていた。
しかし、日本の真裏に位置するベネズエラではほとんど日本の食材が手に入らず、味噌、醤油、豆腐などはすべて手造りしていた。
もちろん「うどん」も小麦粉で打っていたし、ソーメンはイタリアの「カッペリー二」という極細のパスタで代用したりしていた。
漬物はパン粉にビールと塩を加えて「ぬか漬け風」の漬物を造っていたが、これはなかなかいけるのでちょっと紹介してみたいと思う。
◆パン粉とビールと塩の「ぬか漬け風」の作り方。
<材料>
季節の野菜(キューり、かぶ、大根、ニンジンなど・・・)
パン粉 カップ5
ビール 300CC
塩 大さじ2
<作り方>
①タッパー等を用意してパン粉とビールを混ぜ合わせ、ぬか漬け位の固さになったら塩を加えて、さらによく混ぜ合わせる。
②野菜を食べやすい大きさに切り、①に加える。(小さく切った方が早く漬かる。)
③タッパーの蓋をして、冷蔵庫に入れる。(2日位目から美味しく食べられる。)
さて、このように日本の食材が手に入らず、いろいろな食材を手造りしなければなら毎日だったが、べネズエラの生活にも慣れ3年近くになった頃、自分が卒業した調理師学校の副校長がベネズエラに視察に来ることになって、その時にあるお土産を持ってきてくれた。
それは当時発売されたばかりの鰻の蒲焼をパックして、お湯で温めれば食べられる「紀文のうなぎや」だった。
それを、お店の同僚と食べた時の「旨さ」は30年以上経った今でも忘れない。
やはり「うなぎの蒲焼き」の味というのは日本人のDNAの中にしっかり刻まれているのではないかと思う。
さて、そのうなぎだがここ2年程の「シラス」の不漁で高騰して、とても庶民が手軽に食べられることができなくなってきている。
うちの店も開店時は日本の築地から「活き〆」したうなぎを仕入れて捌いていたが、これでは1匹の原価が700バーツ~1000バーツにもなってしまい、とても採算が合わなくなり今は中国産の冷凍ウナギを使用しているが、それでも原価は1匹400バーツにもなってしまう。
そのうなぎを使った「うな重定食」を「みそ汁」「香の物」「茶碗蒸し」「小鉢」に食後の「デザート」と「コーヒー」まで付けて480バーツで販売していて、更にお昼の12時前にご来店のお客様には「ずわい蟹サラダ」もサービスで付けている。
どうして採算度外視で無茶な価格を付けるのか、うちの調理スタッフも疑問を感じているようだが、それは、今から30年以上も前のベネズエラで食べたあのうなぎの旨さが忘れられないからだ。
だから、手が届く価格でお腹いっぱい「うなぎ」を食べてもらいたい。
現在、うちの店では「中国産の冷凍うなぎ」を使用しているが、実際には「うなぎ専門店のうなぎ」と比べても遜色がない。
では、なぜ、スーパーで買う「うなぎの蒲焼」が旨くないのか?
それは、表面に絡めてある「タレ」が不味いからで、あのテカテカしているタレは商品を綺麗に見せる為のコーティングのようなもので、ひどい味だ。
それでは、スーパーの「うなぎの蒲焼」を美味しく食べる方法について話をしよう。
まずは、冷凍の場合にはあらかじめ冷蔵庫の中などで解凍しておこう。
◆パック入りの「ウナギの蒲焼き」の美味しい食べ方。
①ウナギの表面についているタレを水で綺麗に洗い流す。
②アルミホイルを広げ、表面にサラダ油を薄く塗る。
③ウナギの皮の方を下にして、②のアルミホイルに置く。
④日本酒を少量(小さじ1~2程)振りかける。
⑤アルミホイルで包むように巻き、オーブントースターで10分程蒸し焼きにする。
⑥パックに付いている「ウナギのタレ」を掛けて召し上がる。
これで、スーパー等で売っている市販の「うなぎの蒲焼」も驚く程美味しくなるはずだ。
タレについてはうちの店は以前日本から大量にうなぎを仕入れた時の「頭」や「骨」を冷凍保存しておいて、これをこんがり焼いて醤油、みりんに加えて独自のタレを作っているが、もし、タレの小袋が付いていない場合には市販のタレでもいいだろう。(甘過ぎる場合には醤油で味を整えよう。)
ここ2年程、「うなぎ」が高騰しているが、きっと来年も同じような状況になるのではないかと思う。
それは、以前、中国で9店舗の日本料理店を構えていたが、中国人が「うなぎの美味しさ」に目覚めてしまったからではないかと思う。(需要と供給の関係で価格は上がるものだ。)
また、「うなぎ」で儲けようとする中国人の顔もチラついてくる。
でも、どうしても日本産の「うなぎ」を食べたいという方は、ぜひ、連絡をいただきたいと思う。
現在、うちの店には一週間に3回、日本の築地からフレッシュの魚が届くので、2~3日前に予約していただければ、お店で捌いて原価で提供したいと思う。
このタイという暑い国で「うなぎ」を食べて、共に頑張ろう!
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