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アニメ及び周辺文化に関する雑感

【DCSS】初音島桜前線注意報(15) 音夢観察日記

2005年11月05日 | アニメ
 第17話で純一に喜んで貰おうと、いろいろと尽くしてみるアイシアですが、そのことごとくが音夢に上手を取られてしまい、余計にむきになってしまってる感じです。そこで、どうして音夢が純一のことを何でもわかるのかということを調べるためにアイシアが付け出したのがこの『音夢観察日記』なのですが……

(1)夏休みの自由課題?

 ノートの表紙に日本語で『音夢観察日記』とのタイトル。なんか露骨に人様に見てくれと言ってるようなものなのですが、これは天然なのでしょうか?
 普通こういうのは観察されてる本人が嫌がるものですから、それとわからないようにしておくものですけど、アイシアと来たらこれをもったまま勉強中の音夢の部屋にまで居付いてるくらいですからねぇ。ま、小さなメモ帳にこそこそ書かれるよりは堂々としてた方が気付かれにくいのかもしれませんけど。
 ま、対象物が音夢ということを除いたら、一見、小学生の夏休みの自由課題でヒマワリやら朝顔やらの観察日記を付けてるようなものですが……おいおい、いったいアイシアっていくつなんだ? という疑問が再燃しかねません。
 いや、日本語でものを書く練習みたいなものなのかもしれませんけどね。

(2)観察の中身

 で、いったい何を書いてるのかと思えば、音夢について気付いたことを書き殴ってるだけ……そりゃ観察日記というよりは、単なる観察メモだろ。そんなんじゃ、後から整理するのが大変だろうに……って、別に形として整理する必要なんか無いのかも知れないですけどね。
 挙句の果てにことりを含めた三角関係を図式化……アイシアも拘りますね。いや、それは良いんだけど、その図式の脇に自分とうたまる……蝶々らしきものやチューリップらしきものは少女趣味の装飾としても、うたまるって何なんでしょう?

(3)純一の気持ち

 しかし、この絵、よく見たら純一と音夢の間が音夢からの一方通行なのに、純一とことりの間が双方向に矢印が描かれてるんですけど……なんか物凄く誤解してないですか?
 ま、最後に純一の鈍感ぶりに怒ってるとこ見てたら、アイシアには純一が音夢のことを好きだということを理解してないのかも知れません。その一方で、祭りの夜に純一がことりに(名目は別として)プレゼントしてるとこを見てますから、純一はことりのことが好きだと思ってるとか。
 アイシアがそんな誤解をずっと持ってたとすると、そりゃ、ことりが告白を諦めて引っ込もうとするのを見たら怒りますよね。だって、アイシアにとってそれは純一の気持ちが蔑ろにされてるって受け取ってるんですから。

(4)図式の中のアイシア

 で、三角関係の脇に書かれたアイシア自身の絵ですけど、これは何を意味してるんでしょうか?
 まず、アイシアの絵には矢印は描かれていません。三角関係に割り込んでるという意図も自覚も無いと言うことなのか、単にただ横に描かれた落書きなのかよくわかりません。いや、普通わざわざ描かれているものに意味が無いとは考えにくいのですけど、並んで描かれているうたまるの絵がその意味合いをはぐらかせてしまってるのです。
 ただ、このうたまるの絵が故意にはぐらかしのために入れられたとするなら、アイシアの絵には意味があることになります。

(5)アイシアの気持ち

 アイシア自身の絵に意味があるなら、その意味していることは一つです。アイシアも純一のことを意識しているということ。そしてそれをアイシア自身が自覚しているということです。
 矢印は描かれていませんけど、描かれてなくても自明なことだし、自分のことだから恥ずかしくて描けないということもあるでしょう。でも、見えないけど1本の矢印がアイシアから純一に向かって伸びているはずです。
 ま、美咲以下、他のヒロインたちがこの図式には出ていませんから、アイシアの気持ちがどの程度のものかは比べられませんが、純一に喜んでもらおうと尽くすことで音夢と張り合ったり、逆に音夢に頼りっきりの純一に怒ってたりしてるところをみると、他のヒロインたち(美咲を除く)はとっくに通り過ぎてしまってる初心な段階でしょうけどね。

(6)音夢観察日記の最後

 音夢の好意に鈍感な純一(とアイシアは思ってる)に怒ったアイシアは、せっかく付けていた『音夢観察日記』を床に投げ捨ててしまいます。そこにやってきてアイシアを宥める音夢の目にその存在が映ってたかどうかはよくわかりません。
 しかし、アイシアは純一と音夢の関係が長年の習慣から培われたものだと知って、それじゃ、それほど純一との時間が長くない自分を含めた他のヒロインたちの気持ちは報われないとショックを受けてしまっています。
 そもそも『音夢観察日記』の始まりは音夢の純一に対する理解の秘密を知って、自分も音夢に対抗できるようになろうという目的だったと思われますから、自分にはどうにもならない時間がすべてだということになったら、もう『音夢観察日記』の意味はなくなります。とてもじゃないけど、もう続ける気力は無くなったと見て良いでしょうね。

(7)末路

 ま、贅沢に育った日本の若者なら、用済みになったノートは即刻、廃棄処分ですけど、アイシアは北欧出身。しかも、ずっとおばあちゃんと一緒に旅をして過ごしてきたとかいう話ですから、物は大事にするはず……だけど、そんなふうに見えないのは気のせいでしょうか?
 ノートも表紙のタイトルを張り替えて再利用ならそれらしいところですけど、もし、そこらに捨て置いて誰かに見付かったりしたらまた火種のタネに……
 ま、見付かったのが純一なら黙って処分してくれそうですけど、音夢にでも拾われたらそれこそ血の雨が降り注ぐことに。いや、降り注ぐのはアイシアの頭上ではなくて、純一の頭上で、原因はことりとの三角関係の図式でしょうけどね。
 これもこれで見てみたい展開ではありますけど、さて……