母は、あゆが生まれた年に藍蘭島に流されてしまった。
父は、メイドロボ事業に失敗して借金を作って蒸発。
そして、あゆは取り残された……
1辺1メートル、風呂トイレ無しの古いダンボール箱。これがあゆの住む家。
でも、冬になると……(一面の銀景色)
「うぐぅ。ボク、そんな悲惨な家庭環境じゃないもん!」
第3話「記憶のない組曲~partita~」
【ストーリー雑感】
冒頭の夢のシーン。これ、毎回あゆの声かと思ってたけど、今回は真琴の声だな。しかも早口でさっさと終わってしまって、祐一が水瀬家に真琴を連れ帰るシーンに続いてるんだけど……
「大きなおでんダネ」
この母娘は人食い人種なのか? いや、真琴が人間に見えてるのは祐一だけで、実は他の人間にはそう見えていないって可能性もあるんだけどね。しかし、それでもキツネをおでんの具にして食ったりはしないだろ。
とりあえず布団を出して寝かせるのはいいけど、その直後に「起こさないと」って……布団敷いた意味が無いじゃないかい。叩いてもつねっても起きない真琴。飯だという声を聴いたとたんに起きるって……お約束なヤツだな。
水瀬家の夕食はおでん。遠慮なくお代わりしながら自分は記憶喪失だという真琴。で、持ち物の財布をチェックしてる祐一たちだけど……
「あ、写真……」
プリクラって言葉使えないのか? 東映版ではどうだったっけ?
いずれにせよ身元がわかるものは無し。記憶が戻るまでここに居座るという真琴に、警察を呼べと名雪に言う祐一。ま、行方不明の捜索が出てるかもしれないから警察に伝えるのは基本中の基本だな。
「了承」
何の詮索も無く真琴を預かることを了承してる秋子さん。太っ腹と言うか、何も考えてないというか……ま、警察で行方不明の届けが出てないか調べるくらいのことは考えてるみたいだけど。
名前すら思い出せない真琴に「殺村凶子」と名付けようとしてる祐一。嫌がらせにしても物騒な名前だね。
「見てなさいよ! がんばって、とぉ~ってもかわいい名前を、思い出して見せるから!」
いくらがんばろうとかわいい名前かどうかとは関係ないと思うけど。
夜中、祐一の部屋に忍び込もうとして、祐一が起きてるのを見たからか引き返してる真琴。それを追いかけ、台所で冷蔵庫を漁ってる真琴の背中にこんにゃくを放り込む祐一。真琴の驚く様子が凄いけど、いくら真琴が冷蔵庫を漁ってる状態だとは言え、こんにゃくがむき出して放り出してあるのか? しかし、真琴の反応が人間じゃなくてコギツネそのまんまだな。
この騒ぎに起き出して来た秋子さんと名雪。真琴のために夜食を作って、一家揃って食うかいっ!
前の学校より授業が進んでるからって焦ってる祐一だけど、その割には授業に専念してなくて後ろの席の北川と私語をしてるみたいだけど……。で、雪の降る窓の外の校庭にストールを羽織った栞。
ま、一応は生徒だから部外者じゃないんだけど、病気で学校休んでるヤツが私服でそんなとこ居てていいのか?
昼休みになるや否や校庭に飛び出してる祐一。その前に現れた栞。学校を長く休んでるという栞に病名を訊く祐一だけど……
「実は……風邪です」
いったいどれだけ長引いてる風邪なんだ? イタリア風邪だったら雪国の冬には発症しないだろうし……。もうちょっと難しい病名が出てくるのかと思ったという祐一に、それなら流行性感冒でも良いという栞。「同じだろ」と祐一は言ってるけど、流行性感冒はインフルエンザのことで、ふつうただ単に風邪と言った場合はインフルエンザは含まないだろ。
誰かに会いに来たとか言ってる栞だけど、時間が来たからとそのまま帰る様子。自分の名前を名乗る祐一に、下の名前だけ答える栞。苗字を名乗らないのは祐一を警戒してるのか、それとも香里との関係を詮索されることを恐れてるのか……。ま、現状だと祐一は自分が警戒されてるのかと思ったんだろうねぇ。
栞に夢中で名雪との約束をすっぽかした祐一。かんかんな名雪を何とか宥めようとしてるけど……こりゃ、百花屋のイチゴサンデーで決まりだな。そこを通り過ぎる舞と佐祐理。今回も出番はこれだけか。名雪は2人のこと知ってるみたいね。(いや、個人的に知ってるとかじゃなくて、校内でも話題の人たちってことなんだろうけど)
学校帰りの商店街。飛びついてくるあゆ。「うぐぅ」をまねする祐一に怒ってるけど……。今日はちゃんと鯛焼きを買って食ってるのね。いや、金を出して買ったのは祐一みたいだけど……
大切な落し物を探してるとかいうあゆだけど、何を落としたのかわからないって……ま、ここがあゆシナリオの根幹で、祐一の記憶に関わる部分なんだけど、これを最終回近くまで延々と引っ張るというのも気が遠くなるね。ま、ゲームではヒロイン1人に絞る部分をアニメでは順番にやっていくから、どうしても一番最後になるあゆシナリオ関係の展開は間が開いてしまうんだけど……
あゆに付き合って探し回る祐一。いきなしあゆが何かを見つけたかのように走り出してるから何かと思ったら、クレープ屋の新メニュー……。おや、あゆってクレープにも興味があったのか? でも、いきなし新メニューがいっぱい増えてるって、まさか7年前との比較じゃないだろうな。最後に角を曲がった先にケーキ屋が無くて本屋になってるのも驚いてるけど、これも7年前の記憶なのか?
「携帯って何?」
おいおい、時代設定はいつだ? 2006年から7年前だともう携帯なんか社会では当たり前になってたから、これは原作ゲームの時間なんだろうけど……
祐一が帰宅したらいきなし飛びついてきた真琴。真琴が「沢渡真琴」って名前を思い出したって話なんだけど……おいこら、他人の名前を勝手に詐称するなよ。いや、本気で自分の名前だと思い込んでるんだろうけど……これ、ずっと後で衝撃の本物が出てくるからねぇ。
ところで、放課後すぐに学校を出たはずの祐一が部活をやってた名雪より遅く帰宅してることに何とも思わないのか、この家は。
夜の学校。何かを一刀両断に剣を振り下ろす舞……。ここで次に引っ張るかい。
【サブタイトル解題】
「組曲」は特に形式の決まりは無く、複数の楽曲をまとめたもの。どちらかと言うと本来は純音楽作品ではない戯曲や舞踊曲、映画音楽などを演奏会用に何曲かまとめたものを称することが多いようです。有名なところではビゼーの『アルルの女』や『カルメン』が戯曲用の音楽から抜粋されて組曲が作られています。映画音楽からだと『スター・ウォーズ』とか『宇宙戦艦ヤマト』がありますね。
「記憶のない」は今回のラスト近くで祐一が語ってるように、記憶喪失の真琴、何を探してるのか思い出せないあゆ、7年前の記憶が無い祐一の3人のことを指していて、その3つをひとくくりにして「組曲」と称してるわけです。
【使用BGM】
01.「約束」
真琴の声による夢の光景。
02.「木々の声と日々のざわめき」(末尾)
飛び起きる真琴
03.「Last Regrets」
OP
04.「彼女たちの見解」
水瀬家の夕食
05.「2 step toward」
了承 ~ 殺村凶子
06.「the fox and the grapes」
こんにゃくに驚く真琴。
07.「pure snows」
栞との再会
08.「日溜まりの街」アレンジ版
あゆ登場
09.「約束」ピアノアレンジ版
あゆの探し物
10.「the fox and the grapes」アレンジ版
名前を思い出した真琴
11.「風の辿り着く場所」
ED
12.「Last Regrets」(イントロ)
予告
「日溜まりの街」と「the fox and the grapes」のアレンジ版は『KANON アレンジベストアルバム "recollections"』から。「約束」のピアノアレンジ版は前回と同じ。
ま、現時点で「少女の檻」(舞のテーマ)が未使用なのはある意味当然なんですが、「雪の少女」(名雪のテーマ)が第1話で使われたきりってのは、何か先を暗示してそうな感じがしますね。名雪は家族として空気のような存在で、ラストにならないと特別なイベントとかも起こらないからテーマ曲の使いようが無いといえば無いんですね。そうすると、結局一番使用頻度の少ない曲になってしまいがちです。
【あゆの記憶と商店街】
あゆが何を探してるかってことは、あゆシナリオのクライマックスに関わってくることだからここでは置いておくとして、ここではそれ以外のあゆの記憶の欠如について考えてみましょう。
現実問題として、第1話で祐一と遭遇する以前の記憶(もちろん7年前以前の記憶は除きます)が果たしてあるのかどうかというのが大いに疑問のあるところです。舞台は雪国の地方都市という感じですが、こと商店街に関しては7年前とあまり様子が変わってないというのは、祐一が時々思い出す回想シーンからもよくわかります。
現実の社会では地方では郊外に大規模なショッピングセンターが出来て、都心部の商店街はシャッター街化してるというのが大勢ですが、そんな雰囲気は見掛けないってところはこの町が幸せなところですね。
そんな町でも少しは変化があります。クレープ屋のメニューが変わったり、ケーキ屋さんが本屋さんになってたり。問題はその変化がいつ起こったかということですね。
あゆの話をそのまま聞いた感じだと、いずれの変化もそんなに遠くない過去のようです。クレープ屋はけっこう目にしてるはずだから、せいぜいここ数日から数週間ってところだろうし、ケーキ屋さんは滅多に行かない方角だとしても、いつも商店街を走り回ってるあゆのことだからせいぜい数ヶ月レベルの話のように思います。
さて、クレープ屋のメニューに関してですが、あゆの反応ではいきなりずいぶんとメニューが増えたって感じです。しかしながら、大規模なチェーン店商売で工場で作った商品を売ってるとかだとそういうこともあるでしょうが、店頭で焼きながら売ってるような店だと一度にメニューを増やしたりするのは大変そうです。
一方、ケーキ屋さんから本屋さんの変化ですが、異業種の店がすぐに入れ替わったりすることはショッピングセンターの中のテナントとかならともかく、一般の店舗テナントでは現実的にはあまりありません。ケーキ屋さんなら店舗スペースは小さめで構わないけど、奥にケーキを焼く調理スペースが必要です。本屋さんは逆に商品を並べるためにも出来るだけ大きな店舗スペースが必要です。当然ながら内装や外装だけの付け替えで店を変えられるわけはなく、店舗構造を変える大規模な工事が必要になるでしょう。
そういう手間を考えると、ケーキ屋さんが潰れたときにたとえ本屋さんが店舗を探していても、出来るだけ工事の手間の掛からない物件を探すはずですし、ビルの持ち主も手間の掛からない業種の借り手を望むはずです。その手間をかけてまで本屋さんが入ってるってことは、ケーキ屋さんが潰れてから借り手がないまま空家になってた期間がかなりあったと考えた方が良いでしょう。それに今の本屋も、昨日今日新規に開店したって感じはしませんから、ある程度は商売を続けてると見て良いでしょう。ケーキ屋さんが潰れたのは遅くても1~2年前ではないでしょうか。
そう考えると、クレープ屋のメニューや、ケーキ屋が本屋に変わっていた事に対するあゆの反応は不自然ってことになります。あゆにとっては突然の変化のように思えているのですが、現実世界ではそれなりの時間を掛けた変化だったということです。
この感覚の齟齬というのはやはりあゆにその期間の記憶の断絶があるからだとしか思えません。あゆには最低でも数年レベルの記憶の断絶があると考えた方が良いでしょう。
【その他】
秋子さんの「了承」。東映版だったか、PS2版だったかの以前のと比べても全然イメージが変わりなく、まさに秋子さんって感じです。
それに比べると、あゆの「うぐぅ」を真似してる祐一。キョンの声だとやはり違和感があります。東映版の祐一だとあゆと同じ精神レベルって感じで、ごく自然な悪ふざけって感じだったのですが、キョンの声は落ち着きすぎてますからね。なんか大人が子供の相手をするのに疲れて適当にふざけながら相手をしてるって感じで祐一らしくないような気がしますね。
それにしても、背中にコンニャクを入れられた時の真琴の反応は絶品です。真琴というキャラを理解してないとこういう反応を自然に描くことは出来ませんね。京アニの本領発揮というところですか。
父は、メイドロボ事業に失敗して借金を作って蒸発。
そして、あゆは取り残された……
1辺1メートル、風呂トイレ無しの古いダンボール箱。これがあゆの住む家。
でも、冬になると……(一面の銀景色)
「うぐぅ。ボク、そんな悲惨な家庭環境じゃないもん!」
第3話「記憶のない組曲~partita~」
【ストーリー雑感】
冒頭の夢のシーン。これ、毎回あゆの声かと思ってたけど、今回は真琴の声だな。しかも早口でさっさと終わってしまって、祐一が水瀬家に真琴を連れ帰るシーンに続いてるんだけど……
「大きなおでんダネ」
この母娘は人食い人種なのか? いや、真琴が人間に見えてるのは祐一だけで、実は他の人間にはそう見えていないって可能性もあるんだけどね。しかし、それでもキツネをおでんの具にして食ったりはしないだろ。
とりあえず布団を出して寝かせるのはいいけど、その直後に「起こさないと」って……布団敷いた意味が無いじゃないかい。叩いてもつねっても起きない真琴。飯だという声を聴いたとたんに起きるって……お約束なヤツだな。
水瀬家の夕食はおでん。遠慮なくお代わりしながら自分は記憶喪失だという真琴。で、持ち物の財布をチェックしてる祐一たちだけど……
「あ、写真……」
プリクラって言葉使えないのか? 東映版ではどうだったっけ?
いずれにせよ身元がわかるものは無し。記憶が戻るまでここに居座るという真琴に、警察を呼べと名雪に言う祐一。ま、行方不明の捜索が出てるかもしれないから警察に伝えるのは基本中の基本だな。
「了承」
何の詮索も無く真琴を預かることを了承してる秋子さん。太っ腹と言うか、何も考えてないというか……ま、警察で行方不明の届けが出てないか調べるくらいのことは考えてるみたいだけど。
名前すら思い出せない真琴に「殺村凶子」と名付けようとしてる祐一。嫌がらせにしても物騒な名前だね。
「見てなさいよ! がんばって、とぉ~ってもかわいい名前を、思い出して見せるから!」
いくらがんばろうとかわいい名前かどうかとは関係ないと思うけど。
夜中、祐一の部屋に忍び込もうとして、祐一が起きてるのを見たからか引き返してる真琴。それを追いかけ、台所で冷蔵庫を漁ってる真琴の背中にこんにゃくを放り込む祐一。真琴の驚く様子が凄いけど、いくら真琴が冷蔵庫を漁ってる状態だとは言え、こんにゃくがむき出して放り出してあるのか? しかし、真琴の反応が人間じゃなくてコギツネそのまんまだな。
この騒ぎに起き出して来た秋子さんと名雪。真琴のために夜食を作って、一家揃って食うかいっ!
前の学校より授業が進んでるからって焦ってる祐一だけど、その割には授業に専念してなくて後ろの席の北川と私語をしてるみたいだけど……。で、雪の降る窓の外の校庭にストールを羽織った栞。
ま、一応は生徒だから部外者じゃないんだけど、病気で学校休んでるヤツが私服でそんなとこ居てていいのか?
昼休みになるや否や校庭に飛び出してる祐一。その前に現れた栞。学校を長く休んでるという栞に病名を訊く祐一だけど……
「実は……風邪です」
いったいどれだけ長引いてる風邪なんだ? イタリア風邪だったら雪国の冬には発症しないだろうし……。もうちょっと難しい病名が出てくるのかと思ったという祐一に、それなら流行性感冒でも良いという栞。「同じだろ」と祐一は言ってるけど、流行性感冒はインフルエンザのことで、ふつうただ単に風邪と言った場合はインフルエンザは含まないだろ。
誰かに会いに来たとか言ってる栞だけど、時間が来たからとそのまま帰る様子。自分の名前を名乗る祐一に、下の名前だけ答える栞。苗字を名乗らないのは祐一を警戒してるのか、それとも香里との関係を詮索されることを恐れてるのか……。ま、現状だと祐一は自分が警戒されてるのかと思ったんだろうねぇ。
栞に夢中で名雪との約束をすっぽかした祐一。かんかんな名雪を何とか宥めようとしてるけど……こりゃ、百花屋のイチゴサンデーで決まりだな。そこを通り過ぎる舞と佐祐理。今回も出番はこれだけか。名雪は2人のこと知ってるみたいね。(いや、個人的に知ってるとかじゃなくて、校内でも話題の人たちってことなんだろうけど)
学校帰りの商店街。飛びついてくるあゆ。「うぐぅ」をまねする祐一に怒ってるけど……。今日はちゃんと鯛焼きを買って食ってるのね。いや、金を出して買ったのは祐一みたいだけど……
大切な落し物を探してるとかいうあゆだけど、何を落としたのかわからないって……ま、ここがあゆシナリオの根幹で、祐一の記憶に関わる部分なんだけど、これを最終回近くまで延々と引っ張るというのも気が遠くなるね。ま、ゲームではヒロイン1人に絞る部分をアニメでは順番にやっていくから、どうしても一番最後になるあゆシナリオ関係の展開は間が開いてしまうんだけど……
あゆに付き合って探し回る祐一。いきなしあゆが何かを見つけたかのように走り出してるから何かと思ったら、クレープ屋の新メニュー……。おや、あゆってクレープにも興味があったのか? でも、いきなし新メニューがいっぱい増えてるって、まさか7年前との比較じゃないだろうな。最後に角を曲がった先にケーキ屋が無くて本屋になってるのも驚いてるけど、これも7年前の記憶なのか?
「携帯って何?」
おいおい、時代設定はいつだ? 2006年から7年前だともう携帯なんか社会では当たり前になってたから、これは原作ゲームの時間なんだろうけど……
祐一が帰宅したらいきなし飛びついてきた真琴。真琴が「沢渡真琴」って名前を思い出したって話なんだけど……おいこら、他人の名前を勝手に詐称するなよ。いや、本気で自分の名前だと思い込んでるんだろうけど……これ、ずっと後で衝撃の本物が出てくるからねぇ。
ところで、放課後すぐに学校を出たはずの祐一が部活をやってた名雪より遅く帰宅してることに何とも思わないのか、この家は。
夜の学校。何かを一刀両断に剣を振り下ろす舞……。ここで次に引っ張るかい。
【サブタイトル解題】
「組曲」は特に形式の決まりは無く、複数の楽曲をまとめたもの。どちらかと言うと本来は純音楽作品ではない戯曲や舞踊曲、映画音楽などを演奏会用に何曲かまとめたものを称することが多いようです。有名なところではビゼーの『アルルの女』や『カルメン』が戯曲用の音楽から抜粋されて組曲が作られています。映画音楽からだと『スター・ウォーズ』とか『宇宙戦艦ヤマト』がありますね。
「記憶のない」は今回のラスト近くで祐一が語ってるように、記憶喪失の真琴、何を探してるのか思い出せないあゆ、7年前の記憶が無い祐一の3人のことを指していて、その3つをひとくくりにして「組曲」と称してるわけです。
【使用BGM】
01.「約束」
真琴の声による夢の光景。
02.「木々の声と日々のざわめき」(末尾)
飛び起きる真琴
03.「Last Regrets」
OP
04.「彼女たちの見解」
水瀬家の夕食
05.「2 step toward」
了承 ~ 殺村凶子
06.「the fox and the grapes」
こんにゃくに驚く真琴。
07.「pure snows」
栞との再会
08.「日溜まりの街」アレンジ版
あゆ登場
09.「約束」ピアノアレンジ版
あゆの探し物
10.「the fox and the grapes」アレンジ版
名前を思い出した真琴
11.「風の辿り着く場所」
ED
12.「Last Regrets」(イントロ)
予告
「日溜まりの街」と「the fox and the grapes」のアレンジ版は『KANON アレンジベストアルバム "recollections"』から。「約束」のピアノアレンジ版は前回と同じ。
ま、現時点で「少女の檻」(舞のテーマ)が未使用なのはある意味当然なんですが、「雪の少女」(名雪のテーマ)が第1話で使われたきりってのは、何か先を暗示してそうな感じがしますね。名雪は家族として空気のような存在で、ラストにならないと特別なイベントとかも起こらないからテーマ曲の使いようが無いといえば無いんですね。そうすると、結局一番使用頻度の少ない曲になってしまいがちです。
【あゆの記憶と商店街】
あゆが何を探してるかってことは、あゆシナリオのクライマックスに関わってくることだからここでは置いておくとして、ここではそれ以外のあゆの記憶の欠如について考えてみましょう。
現実問題として、第1話で祐一と遭遇する以前の記憶(もちろん7年前以前の記憶は除きます)が果たしてあるのかどうかというのが大いに疑問のあるところです。舞台は雪国の地方都市という感じですが、こと商店街に関しては7年前とあまり様子が変わってないというのは、祐一が時々思い出す回想シーンからもよくわかります。
現実の社会では地方では郊外に大規模なショッピングセンターが出来て、都心部の商店街はシャッター街化してるというのが大勢ですが、そんな雰囲気は見掛けないってところはこの町が幸せなところですね。
そんな町でも少しは変化があります。クレープ屋のメニューが変わったり、ケーキ屋さんが本屋さんになってたり。問題はその変化がいつ起こったかということですね。
あゆの話をそのまま聞いた感じだと、いずれの変化もそんなに遠くない過去のようです。クレープ屋はけっこう目にしてるはずだから、せいぜいここ数日から数週間ってところだろうし、ケーキ屋さんは滅多に行かない方角だとしても、いつも商店街を走り回ってるあゆのことだからせいぜい数ヶ月レベルの話のように思います。
さて、クレープ屋のメニューに関してですが、あゆの反応ではいきなりずいぶんとメニューが増えたって感じです。しかしながら、大規模なチェーン店商売で工場で作った商品を売ってるとかだとそういうこともあるでしょうが、店頭で焼きながら売ってるような店だと一度にメニューを増やしたりするのは大変そうです。
一方、ケーキ屋さんから本屋さんの変化ですが、異業種の店がすぐに入れ替わったりすることはショッピングセンターの中のテナントとかならともかく、一般の店舗テナントでは現実的にはあまりありません。ケーキ屋さんなら店舗スペースは小さめで構わないけど、奥にケーキを焼く調理スペースが必要です。本屋さんは逆に商品を並べるためにも出来るだけ大きな店舗スペースが必要です。当然ながら内装や外装だけの付け替えで店を変えられるわけはなく、店舗構造を変える大規模な工事が必要になるでしょう。
そういう手間を考えると、ケーキ屋さんが潰れたときにたとえ本屋さんが店舗を探していても、出来るだけ工事の手間の掛からない物件を探すはずですし、ビルの持ち主も手間の掛からない業種の借り手を望むはずです。その手間をかけてまで本屋さんが入ってるってことは、ケーキ屋さんが潰れてから借り手がないまま空家になってた期間がかなりあったと考えた方が良いでしょう。それに今の本屋も、昨日今日新規に開店したって感じはしませんから、ある程度は商売を続けてると見て良いでしょう。ケーキ屋さんが潰れたのは遅くても1~2年前ではないでしょうか。
そう考えると、クレープ屋のメニューや、ケーキ屋が本屋に変わっていた事に対するあゆの反応は不自然ってことになります。あゆにとっては突然の変化のように思えているのですが、現実世界ではそれなりの時間を掛けた変化だったということです。
この感覚の齟齬というのはやはりあゆにその期間の記憶の断絶があるからだとしか思えません。あゆには最低でも数年レベルの記憶の断絶があると考えた方が良いでしょう。
【その他】
秋子さんの「了承」。東映版だったか、PS2版だったかの以前のと比べても全然イメージが変わりなく、まさに秋子さんって感じです。
それに比べると、あゆの「うぐぅ」を真似してる祐一。キョンの声だとやはり違和感があります。東映版の祐一だとあゆと同じ精神レベルって感じで、ごく自然な悪ふざけって感じだったのですが、キョンの声は落ち着きすぎてますからね。なんか大人が子供の相手をするのに疲れて適当にふざけながら相手をしてるって感じで祐一らしくないような気がしますね。
それにしても、背中にコンニャクを入れられた時の真琴の反応は絶品です。真琴というキャラを理解してないとこういう反応を自然に描くことは出来ませんね。京アニの本領発揮というところですか。