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(つづき)何にも気づかないでしょう。すべては私たち次第です。いいですね、いいですね。(その時、音楽がもう聞こえなくなったことに驚いたフェルナンドが、ドアを少し開ける。アリアーヌ、フェルナンドに向かって。) 私たち、動きが完全には合っていなかったんです。もう一度始めてくださいますか?マドモワゼル。
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第二幕
ルプリユール家。午後二時。インテリアは、そのすべての細部が配慮と、洗練さえ印象づけずにはいないものである。
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第一場
アリアーヌ、 フィリップ
フィリップ、煙草を吹かし、時折、中断してリキュール酒を一口一口飲む。アリアーヌは長椅子に横たわっていて、目を閉じている。
(フィリップ) あいかわらず、出発日は決まらないのかい?
(アリアーヌ) いいえ、まだよ。
(フィリップ) 去年よりも、パリに我慢しているように思えるけど?
(アリアーヌ) 幻想を持っちゃだめよ。私は意志力だけで生きているのよ。
(フィリップ) それで?
(アリアーヌ) 私がロニーに戻る時は、これまでの時とおなじよ。完全な健康崩壊になった時。
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(フィリップ、穏やかに。) その場合、なぜ戻るの?
(アリアーヌ) 真面目に言ってるの?
(フィリップ) まったくもって真面目だよ。ぼくは確信しているけど、それは、きみが繰ることを決めなければならない一つの頁だよ。
(アリアーヌ) 言おうとしていることが解らないわ。
(フィリップ) じゃあ、こう仮定しよう、ジャンシアーヌが貸し出され、売られ、焼けたとする。そのほかいろいろあるとする。そしてきみはあそこにもう住めないとする…
(アリアーヌ) ほかのところへ行くわ…
(フィリップ) ほかへ行くこともできないとするんだ。どうなるだろうか?
(アリアーヌ) あなたの質問は全く無意味だわ。
(フィリップ) そう思うかい?
(アリアーヌ) 私は、すぐさま病気がぶり返すでしょう。再び何年もの間、山腹に居ることになるわ。何もすることができないままね。
(フィリップ) あの高地のきみの医者が、それをきみに断言しているのかい?
(アリアーヌ) 私はもう医者にはかからないわ…
(フィリップ) そうすると?