当店では、補聴器は両耳装用が基本と考えいます。
各メーカーも左右の補聴器が無線で連携し、
両耳使うことで性能が発揮される器種も増えてきてます。
両耳装用が基本と考える最大の理由は
私自身が片耳だけの聴力低下で不便を感じているからです。
そこには、論文や数字での理屈は通用しません。
不便なものは不便なのです。
しかし、時には片耳装用を進めざる負えないこともあります。
今日は、そんな症例がありました。
80歳代 脳梗塞後遺症のある方です。
聴力に顕著な左右差はありませんでした。
骨導聴力を測定していないのは、病院での検査で感音性難聴の診断を受けているためと
ご本人の体力を考慮してです。
語音弁別測定をすると、右の弁別が出来ませんでした。
このような場合。右装用で音の方向感や気配は効果が期待できるかもしれませんが
音を入れることにより、かえって左の聞き取りを邪魔することがあります。
ならば、クロス補聴器を利用し右からの会話を左に送信する方法もありますが
麻痺の残っている右手では装着も困難です。
ご本人の行動範囲も考慮し、今回は左耳だけの装用をお勧めいたしました。
今回のお客さまに、もし「弁別測定をせず聴力測定の結果のみで両耳を進めていたら」と
考えるだけでもぞっとしました。
測定の重要性を再確認した症例でした。