モラルハラスメント・ブログ

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脱出、その後15~最高の精神科医~

2006年04月14日 14時24分06秒 | 脱出後




数軒の精神科医に電話し、
私は歩いて行けるほど近所の井上精神科(仮)に決めた。
受付の対応が、最も好ましかったからだ。
そこは以前から前を通りがかるたびに、
さながら休日の夕方の廻る寿司屋のように、
あふれんばかりの患者さんが居ることを知っていたから、
何がいいのかという好奇心もあった。

待合に通され、30分待った。
先生に名前を呼ばれて、少々緊張しながら入室した。
先生は、50過ぎの男性で、優しいというよりも、
よく仕事のできる銀行マンというような雰囲気を持っていた。

「どうしました?」

先生に尋ねられて初めて、
リアルで、知らない他人に対して、
自分の今の状況をつぶさに説明するのが
初めてだということに気がついた。

「あの、話せば長いのですが、いいですか?」

先生は椅子をくるりとくちらに回して、
ペンを置いて、微笑んだ。

「いいですよ、上手に話せなくてもいいから、どおぞ。」

私は、どこまで話しを巻き戻せばいいかわからなかったが、
とりあえずたどたどしくも、過去から現在までの状況について話した。
夫にうつ病だと言われ続けており、知人からもそのように疑われ、
自分としては病気という認識がないが、
先生から見たらどのような状況を鬱と言いますか、
私は鬱でしょうか?と尋ねた。
話すうちに、色々なことがフラッシュバックして、
抑えられない感情が溢れて、
私はしゃくりあげて泣きながら、先生に話した。

「・・・大丈夫ですか?まっち~さん。大変でしたね。
一度にそんなにいろんなことがあると、参ってしまいますね。
心や体の不調はありますか?
たとえば、胃が痛いとか、物事が考えられないとか、
涙が出てとまらないとか。」

「胃については、夫と暮らしているときは胃炎を患い、
薬なしでは過ごせませんでしたが、今は症状はないです。
心については、以前寝たきりになって、泣いてばかりいて、
朝起きることもできなかったり、
何も家事ができないときがありましたが、
現在はそれどころではないという感じです。
夜、悩み事を整理していると、眠れないときはあるので、
あえて言うなら、不眠かもしれません。」

「ふむ、何時から何時まで寝ていますか。」

「2時ぐらいまで寝付けなくて、朝は8時に起床しています。」

「・・・うーん、途中で目は覚めますか?」

「いえいえ、疲れきっているので、
寝ることができたらバタンキューで、爆睡です。
運動も毎日してますし。」

「うーん・・・それはね、不眠とはいわないよ。
6時間も寝れたら十分だよ。」

「そうですか。よかった。」

「それに、私の診断だけども、あなたは精神的に病気ではないね。
聞いてね?
今うつ病って病気の人口がすごく急増してるんだけどね、
医者が患者を繋ぎとめるためにそう診断して、
薬漬けにしてしまうことが多いんよね。
結果、自分はうつ病ってことで、その病気から抜け出せなくなってしまう。
私は、あなたは病気ではないと思うのね。
人生の、岐路に立っていることと、今まで色々なことが重なって、
夫の暴力とか精神的虐待とかあって、
精神的に随分ストレスを感じている状態にあるのは確か。
けれど、ここは病院だからね、薬によって治療するかどうかが問題となる。
あなたの人生の、乗り越えなければならない問題や、
解決しなければならない問題は、薬を飲むことでは解決しないし、
薬を飲むと、解決できることもできなくなる場合があるんよ。
考える力を奪ってしまうということ。
あなたには、考える力もあるし、乗り越える力もある。
ちゃんと自分に降りかかった問題が何か客観的に見えているから。
それを乗り越える手助けは、申し訳ないけど私の専門外だから、
もし迷うことがあるなら、
公的機関かカウンセリングにかかればいいけれど、
できることなら、どんなに大きな問題でも、自分で解決したほうがいいと
私は思いますよ。
自分の人生だからね。」

泣きモードに入っていた私は、
丸くしていた背筋をビシッと伸ばした。
先生を正面から見た。
先生は、にっこりと微笑んで、

「あなたは、病気じゃない。あなたは、自分の問題を乗り越える力がある。
だから、私の患者じゃない。了解?」

なんだか、嬉しかった。
精神科医の先生に、このように励まされるとは、思わなかった。

「はいっ、わかりました。」

「むしろ、私に診てもらったほうがいいのは、ご主人の方だけど、
自分がおかしい人はおかしいと気付くまで時間がかかるからね。
いずれにしてもそれはあなたの仕事じゃないから。」

「そうですか、主人はおかしいですか。」

「うーん。うつ病は薬で治るけど、性格は薬で治らないからね。
人を傷つけていいという価値観を矯正するのは大変だけど、
生き辛さから治療してくれと、自分から訴えてくる人は中には居るよ。」

「それって、治ると思いますか?先生のお考えで言うと。」

「うん、治るというよりね、誤魔化すのが上手になって、
いつしか、人に迷惑かけないで生きられるようになるかどうかって程度かな。
そもそも人を殴っていいと思っているひとが、殴ってはいけないのだと、
思うようになるまでには相当時間がかかるしね。
今の彼にそれは期待できないと思うけど。
・・・いずれにしても、彼の人生の問題と、あなたの人生の問題は違うから。
お子さん抱えて、あなたの方が大変なんだから、
自分の人生のことじっくり考えなさい。」

「・・・ありがとうございます。」

「もし、以前のように、朝起きられなくなったり、
寝たきりになったりしたら、必ず私のところに来て受診して下さいよ。
その頃は鬱に近い状況だったと思うからね。」

「はい、先生、本当にありがとうございます。
なんだか、嬉しかったです。」

「うん、あなたなら、乗り越えられるよ。大変だろうけど、頑張ってね。」

先生は私と同時に立ち上がり、
受付に歩いて行き、カルテをポンと会計の女性の前に置くと、

「この人病気じゃないから、薬もなし。診察もなし。
病気じゃないからって説明して、帰ってもらうから。」

にっこり笑って、また先生は診察室に戻った。

会計と受付の人は戸惑ってぼそぼそと話していたが、

「あの、初診料だけ頂きますね。」

と言い、私は初診料の500円だけ支払って、その精神科医を後にした。
病気かも知れないという気持ちが吹き飛んだと同時に、
不思議なことだが、先生に力を貰った気がした。
「キミにならできる」と言われたからなのかも知れないが、
そんな言葉にすぐ調子に乗ってしまったのかもしれないが、
私は、やっぱり前を向いて頑張らなくちゃと言う気持ちがとても強くなった。
門をくぐるときの、不安な気持ちが全部吹き飛んで、
やたらせいせいした気分で帰路に就いた。

うつ病ではないと夫に言おう。
そして、きっぱり離婚して下さいと話そう。
私にやり直す気持ちがない以上、
彼にいつまでもありえない夢を抱かせ、期待させる方が、残酷ってもんだ。
あなたの支配の時代は終わったのだと、
私はもうあなたに所属していないのだと、
ちゃんと認識してもらって、離婚しよう。

決意新たに、そう思った。
どう話すかも、考えた。
あとは、夫に離婚届をつきつけて、
条件面を書いた「離婚協議書」をつきつけて、
署名捺印を貰えばいい。
旧姓にもどって、新しい人生に、踏み出そう。
子供達と3人で、幸せになろう。

川崎社長のことが一瞬頭をよぎったが、
間に人を入れるとなかなかややこしくなると思い始めていたから、
次の週末の子供達の面会のときに、夫に話すと決めた。

梅雨にさしかかった、その日に、
私は子供達にバイバイをして帰ろうとする夫を呼び止めた。

「ちょっと話あんねん。残ってくれへんかな。」



↓BGMはドリカムの、「決戦は金曜日」





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8 コメント

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決戦!! (あずき)
2006-04-14 15:52:35
…o(;-_-;)oドキドキ

決戦ですかっ!!



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おお! (にゃりんた)
2006-04-14 16:50:41
そのお医者様に私まで勇気をもらった気がしました。

そうですよね、悪いのはモラ夫なのですから。

私の元・旦那は鬱病でした。

それはそれは薬漬けにされて、そのせいもあってモラ度が増したと思っています。

良いお医者様に恵まれていたとしても、モラは治らないとは思いますが、離婚の際、心療内科の先生なのに、私のことを攻撃してきましたからね、その主治医は。

返信する
いい先生でしたね (のんすけ)
2006-04-14 17:05:38
初コメントです。

ずっと読ませてもらってます。

モラの経験はないのですが、臨場感あふれる

文章に引き込まれてしまっています。



いいダンナ様やお医者様に出会えたり、

今まで大変だった分、これからはこんな

良い出来事が山盛りな様な気がしますよ!



毎日続きが気になって

しょうがないです・・・。
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おもしろい (saki)
2006-04-14 17:33:33
すみません。面白いなんて言ったら失礼ですが、面白いです。というのは、まっち~さんが厄病神だったご主人と別れを決意してから、運命の歯車はまっち~さんが幸せになるように動き始めたのだと感じられる事がです。たぶんまっち~さんが、ず~っと背負ってきた人に支配される人生から、勇気をもって抜け出そうとしたことで、運命の歯車が大きく変わったのだと思います。人はどこかで幸せになるための決意をしなくてはならないときがあります。まっち~さんにはそのときがまさに来たのだなというところですね。

無事離婚したのだという結末を知らなかったら、どきどきして心配で夜も眠れそうにありません(笑)。

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良かった。 (かなちゃん@夫の浮気にサクッと対応)
2006-04-14 20:04:22
本当にすばらしい先生に出会われましたね。

文中にもありましたが、中には薬を出すことしか

能が無い先生もいっぱいいるのに。



そういえば、

「鬱は1ヶ月。一ヶ月つらかったら・・・」

なんていうCMも以前やっていましたね。



中には本当に苦しむ人がいて、

あのCMをきっかけに受診されるといった

事例もあるのでしょうが、



基本的には、あれも結局、

製薬会社がもうけるための戦略ですものね。



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そうですねぇ。 (hanako【ココロ内離婚】)
2006-04-15 13:16:01
お医者様に「あなたは病気じゃない!!あなたなら乗り越えられる!!」と言ってもらえたことはかなり自信に繋がったと思います。

モラハラでまっち~さんは人間性もご主人に否定され続けて、本当にひとりの人間としての存在価値までが傷つけられてきていたと思うんです。

うちのモラ旦那も今までずっとそうでした。

程度の差こそあれ、何かにつけて、私の過去も全部否定されました。どうしようもない女で、どうしようもない母親だと・・・。

でも、第三者でしかもいろんな患者さんを診ていらっしゃる人気の先生にそこまで太鼓判を押されたんですもの!!

私には、その精神科の先生にあたる存在が、娘の保育園の園長先生です。

そして、弁護士さんもまぁ、ビジネスですけど、私の言い分を理解してくださっています。

今私は、自分自信を肯定して、よくやってきた!!私は頑張ってきた!!と言えます。
返信する
うつ病・・・ (ボレロ)
2006-04-15 15:49:28
夫も、ある日突然、「ボレロはうつ病だ。よくなればうまくいく」

と、言い出し、妙に優しく、頭をなでたりしておりました。有り難かったのは、別の部屋で寝てもOkだったこと。でも、1ヶ月もしないうちに、「うつ病」の話は立ち消えました。









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Unknown (スイカズラ)
2006-04-19 22:45:21
良い先生に当たりましたね!ブラボ~!

なんか凄く嬉しい気分です♪

ああ、頭軽くなってきた←連続して読んでます
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