震える手で、夫からのメールを開封した。
「眠れません。眠れるはずもない。寒い・・・」
「あれから俺は何も食べてません。水も飲めません。」
「子供たちは元気ですか。子供たちに会いたい。お前たちに会いたい・・・」
矢継ぎ早に次々来るので、着信拒否をすればいいのに、
私はちゃんと受け答えしてしまった。
「もう2時なので、寝て下さい。私も寝ます。」
すると、電話がかかってきた。
私は、子供たちが起きな . . . 本文を読む
そのふとんは、私が自分のために、
自分ひとりが眠るために用意したふとんだった。
無印ですべてそろえたかったが、お金がかかるので、
ニトリにして、シーツだけ無印にした。
無印のシーツが心地よいのはずっと聞いていたので、
ぜひそれに包まれて眠ってみたい、と思っていたからだった。
真っ白いふとんの中は、心地よいという感覚を越えていた。
あたたかく、やわらかく私を包んだだけではなかった。
引越しで疲れて . . . 本文を読む
脱出したのは、2年前のこの季節だった。
きっと毎年これからもずっと、この季節になれば、
あの日のことを思い出すのだろう。
前日、夫の帰宅がいつものように遅ければいいなと思っていたが、
思いのほか早かった。
いつものリビングで、
巨大なテレビの前にあぐらをかいて座っていた夫の、
私はその後ろにあるソファにペタリと座り込んでいた。
心は、
「何も感じるな」
「何も思うな」
と私に訴え続けていた。
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