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『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』

2009年02月09日 20時41分16秒 | 映画レビュー
原題: THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON
製作年度: 2008年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 167分
監督:デヴィッド・フィンチャー
製作:
キャスリーン・ケネディ
フランク・マーシャル
セアン・チャフィン
原作:F・スコット・フィッツジェラルド
原案:
エリック・ロス
ロビン・スウィコード
脚本:エリック・ロス
撮影:クラウディオ・ミランダ
プロダクションデザイン:ドナルド・グレアム・バート
衣装デザイン:ジャクリーン・ウェスト
編集:
カーク・バクスター
アンガス・ウォール
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:
ブラッド・ピット ベンジャミン・バトン
ケイト・ブランシェット デイジー
ティルダ・スウィントン エリザベス・アボット
ジェイソン・フレミング トーマス・バトン
イライアス・コティーズ ガトー
ジュリア・オーモンド キャロライン
エル・ファニング デイジー(7歳)
タラジ・P・ヘンソン クイニー
フォーン・A・チェンバーズ ドロシー・ベイカー
ジョーアンナ・セイラー キャロライン・ボタン
マハーシャラルハズバズ・アリ
ジャレッド・ハリス
デヴィッド・ジェンセン
テッド・マンソン
トム・エヴェレット
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
1918年、ニューオーリンズ。ある一組のカップルの間に男の子が産まれる。しかし、その赤ん坊は80歳の老人と見まがうほど奇異な容貌をしていた。ショックを受けた男は困り果てた末、赤ん坊を老人養護施設に置き去りにしてしまう。そして、施設を営む黒人女性クイニーに拾われた赤ん坊はベンジャミンと名付けられ、献身的に育てられるのだった。成長するにつれ髪が増え、皺が減り、車椅子から立って歩けるようになるなど、普通の人間とは逆に若返っていくベンジャミン。やがて少年期を迎えた彼はある日、施設入居者の孫娘で6歳の少女デイジーと出会う。それは、これから様々な経験を積み壮大な人生を歩んでいくベンジャミンにとって、今後かけがえのない存在となる女性との運命の出逢いだった…。

コメント:
時を逆に刻む時計。

それは戦争で失った息子を取り戻したいと願うある男の希望。
だが一度失ったものは二度と元に戻らないという現実がそこにある。

人生とはそういうものだ。

ベンジャミンは80歳の老人として生まれ、
そして年をとるごとに若返っていく人生を歩む。

果たしてそれは奇異なことだったのか?

いや、年をとるも若返っていくも、人生を歩むことに変わりはない。
赤ん坊であれ老人であれ、人の世話をなしにして生きていけない歳だ。
そんな時期は人生の最初と最後に必ず訪れる。

「自分のことは自分が一番わからない」と、ベンジャミンが言うように、
彼にとってみれば自分も人の子として生まれ、話すこと、食べること、
歩くこと、そして人を愛することができる普通の人間。

だがベンジャミンはたったひとり時が逆戻りすることにより、
数奇な人生を送ることになるのだ。

それはデイジーとの出会いから始まる。
その出会いが彼の人生を大きく動かし、愛することの素晴らしさを胸に刻み込む。
運命によって幾度も導かれあう二人は、同じ時を過ごすことの大切さを感じ、
やがて共に暮らし、ついには子供を作るのだ。

しかしお互いの歳が重なる時期を境に、
ベンジャミンは自分の抱えている運命に向き合い苦渋の決断をだすことになる。

歳をとることが恐いデイジーと若返ることが恐いベンジャミン。
確かにこの違いはとても大きな意味を持つことだ。

愛があればそれでいいのかもしれない。
だけどこれから歩む人生は誰も見たことがなく想像もつかない世界。
それが頭でわかっていたからベンジャミンはデイジーの前から姿を消したのだろう。
人生は前に進むしかない。
だがベンジャミンは自分の運命に従って人生を逆方向に進んでしまう。

数奇=運命のめぐりあわせが悪いこと

二人の運命は最初から決まっていたのかもしれない。
たとえ人生を前に進みたくても、二人の関係ではそれは難しい。
そんな二人の人生を数奇というのは全く別の話なのかもしれない。

だけどどんな些細なことでも、時を共有することの有り難味を本作は教えてくれた。

ベンジャミンが初めて愛した女性エリザベス。
数十年後に彼女がテレビで話した言葉、

「人生は前へ進み続ければ必ずやり遂げることができる」

これを見ていたベンジャミンは一体何を思ったのだろう?
いろんな人生論が詰め込まれた映画に出会えた気がする。


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