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『サマーウォーズ』

2009年08月01日 13時36分03秒 | 映画レビュー
原題:-
製作年度: 2009年
別題:-
製作国・地域: 日本 上映時間: 114分
監督:細田守
脚本:奥寺佐渡子
キャラクターデザイン:
貞本義行
岡崎能士(OZキャラクターデザイン)
岡崎みな(OZキャラクターデザイン)
浜田勝(OZキャラクターデザイン)
作画監督:
青山浩行
藤田しげる
濱田邦彦
尾崎和孝
撮影:増元由紀大
美術監督:武重洋二
デザイン:上條安里(OZ美術デザイン)
編集:西山茂
音楽:松本晃彦
主題歌:山下達郎 『僕らの夏の夢』
CGディレクター:堀部亮
音響効果:今野康之
色彩設計:鎌田千賀子
録音:小原吉男
アクション作画監督:西田達三
声の出演:
神木隆之介 小磯健二
桜庭ななみ 篠原夏希
谷村美月 池沢佳主馬
斎藤歩 陣内侘助
横川貴大 佐久間敬
信澤三恵子 陣内万理子
谷川清美 篠原雪子/陣内典子
桐本琢也 陣内理一
佐々木睦 篠原和雄
玉川紗己子 陣内理香
永井一郎 陣内万助
山像かおり 三輪直美
小林隆 陣内太助
田村たがめ 池沢聖美
清水優 陣内翔太
中村正 陣内万作
田中要次 陣内頼彦
中村橋弥 陣内邦彦
入山法子 陣内奈々
板倉光隆 陣内克彦
仲里依紗 陣内由美
安達直人 陣内了平
諸星すみれ 陣内真緒
太田力斗 陣内祐平
皆川陽菜乃 陣内加奈
富司純子 陣内栄
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
仮想都市OZ(オズ)が人々の日常生活に深く浸透している近未来。小磯健二は天才的な数学の能力を持ちながらも内気で人付き合いが苦手な高校2年生。彼は憧れの先輩、夏希から夏休みのアルバイトを頼まれ、彼女の田舎、長野県の上田市を訪れる。そこに待っていたのは、夏希の親戚家族“陣内(じんのうち)家” の個性溢れる面々。この日は、夏希の曾祖母で一族を束ねる肝っ玉おばあちゃん、栄の90歳の誕生日を祝う集会が盛大に行われていた。その席で健二は夏希のフィアンセのフリをする、というバイトの中身を知ることに。そんな大役に困惑し振り回される傍ら、その夜健二は謎の数字が書かれたケータイ・メールを受信する。理系魂を刺激され、その解読に夢中になる健二だったが…。

コメント:
「時をかける少女」では、“タイムリープ”という能力を身につけた
ヒロインの淡い恋の行方と心の成長が丁寧に描かれていた。

あの感動から3年。
細田守監督の新作がいよいよ登場した。

この「サマーウォーズ」は、仮想都市OZ(オズ)と
現実の世界を舞台にして、家族の絆と命の大切さを
爽快なアクションと共に描いたSF青春アドベンチャーだ。

パソコンや携帯電話は現代には欠かせないものとなっている。
普段からそれらを使用している人なら、一度くらいゲームやmixiなどの
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを
やったことがあるのではなかろうか。

もちろんそれらは全てネットワークで繋がっており、
何かしらを通じて世界中が繋がっていると言っても過言ではない。
最近ではDSやPSPなど全ての通信機器と接続することも可能だ。
全くやったことがない人にはよくわからない世界なのかもしれない。
本作で描かれる仮想都市OZ(オズ)とは、一言で言えば、
mixiやハンゲームと言ったネットの世界である。

そんな仮想都市OZと戦争を繰り広げるのが、
本作の主人公ともいえる“陣内(じんのうち)家”の人々。
OZではアバターなど自らのアカウントで管理されている世界なのだが、
この陣内家の皆をアバター化した姿が個性豊か。
各キャラが各々の才能と性格を生かし、世界の危機と対面する。

話の元となるのが、陣内家の当主である曾祖母の90歳の誕生日を
祝うという名目で、一族の早々たるメンバーが集結する。
長野の上田という長閑な田舎で、甲子園の地元高を応援する姿や
子供たちがゲームなどで遊ぶ姿。
親戚の集まりではよく見られる光景で、見ているだけで心が落ち着かされる。

しかしそんな田舎とは縁のなさそうなネットの世界が
次第に陣内家そして世界へと影を落としていく。

OZという独創性豊かな世界を舞台にして、
アバター同士が協力して、ある敵と対峙する過程は見ていて楽しい。
その中でも、花札を使ってバトルをする発想は最高だと思った。

まあ結局本作で何が言いたかったのかを僕なりの言葉で書くとすると、
家族の絆と命の大切さ、そして何よりもコミュニケーションの重大さを
描きたかった作品なのだと思うのだ。

ネットで繋がる現代の世界。
一昔に比べると、人と人とが向き合って
コミュニケーションをとる機会が減ってきているように思う。
なぜならパソコンでチャットも出来るし、
携帯で会話もできる世界が広がっているから。

しかし、そんな現代でももちろん家族が集まれば普通に会話はできる。
なのにそれをしようとしない人が多いのも事実。
要は普段からもっと身近な人とのコミュニケーションを
大切にしろってことを言いたいのだろう。

映画の中盤で陣内家にある大事件が起こり、
家族は人の命の大切さに気付かされる。
命の大切さは、ただ近くにいても遠く離れていても
なかなか気付かされるものではない。
たまたま事件が起こり、そしてみんなが納得いくまで話し合って、
その中でひとつの目標を見つけ動かされていく。

そういう過程が不足している現代への警鐘を、
本作で一番伝えたかったのではないだろうか。

いまや人と人との繋がりはあらゆるところに存在している。
それはリアルなものもあれば、バーチャルな世界でも存在する。
いつ何時どの繋がりで事件が起こるかわからない世界。
現代人は常にその危険と向き合って生活しなければならない。

そんなとき自分は頼れる家族・友達がいるだろうか。
今の自分と重ね合わせて現代の生き方を見つめなおすための作品
それが「サマーウォーズ」である。

笑いあり涙ありのこの作品、
僕の中では間違いなく今年一番の作品だといえるだろう。