原題:THE FLY
製作年度:1986年
上映時間:97分
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ジェフ・ゴールドブラム 、ジーナ・デイヴィス 、ジョン・ゲッツ 、ジョイ・ブーシェル 、レス・カールソン 、ジョージ・チュヴァロ
オススメ度:★★★★★
ストーリー:
テレポーテーション(物質転送)の研究をしている科学者セス・ブランドルは、無機物による転送実験に成功した。有機物の転送には問題があったが、実験に使った肉を食べた恋人ヴェロニカの感想をヒントに研究を進めて成功する。ある晩、セスはヴェロニカと喧嘩をし、酔った勢いで自らの体を実験台に転送を行ってしまう。とりあえずは成功を収めたものの、その後徐々にセスの身体や行動に異変が出てくる。何と人体実験を行った際、転送ポッドの中に1匹のハエがまぎれ込んでおり、転送を制御しているコンピュータが遺伝子レベルでセスとハエとを融合させてしまっていたのだ。
コメント:
本作が20年以上前に製作された映画だということに驚きだ。僕がまだ幼いときに初めて鑑賞したのだが、あまりに完成度が高いせいで、とてつもない衝撃を受けたことを未だ覚えている。今観てもその衝撃は健在だった。
なんといってもすごいのがストーリーだ。科学者(ブランドル)自ら行った物質転送実験の際、一匹の蝿が紛れ込んだため、主人公と蝿が遺伝子レベルで融合してしまうという、恐怖と悲劇を描いた物語である。この融合が『スパイダーマン』のようにただ超人化するだけであれば、全く持っておめでたい話だと言えるだろう。だがこの映画はそんな甘っちょろい終わり方はしない。遺伝子レベルで融合したという結論から、人間でも蝿でもない、全く新しい生物へと進化する流れがとてもリアルに表現されているのだ。
この進化の過程は、現代でも十分通用するほど完成度の高いVFXで、本作の一番の注目するべき点であるといえる。次第に変化していくブランドル博士の身体…爪が剥げ、髪が抜け、皮膚が荒れ汁が出る……最初のうちはまだ序の口。変化が進むに連れ、耳が取れるは、歯が全て抜けて蝿の特性でもある胃液を放出するなど、見ていて無残なシーンの連続である。とっておきは天井を歩き回るという特質まで…。これらの映像は見ていてとてもおぞましく次第に恐怖へと変化していくのだ。
この変化を見守るのが、本作のヒロインでブランドルを愛してしまった女性記者ベロニカである。例え彼が異質へ変化しようと、最後まで愛し続ける一途な姿に心を打たれてしまう。彼女には何も成す術がない…ただ変化を見守るだけ…。更に追い討ちをかけるように、自分の体内にブランドルの子供を妊娠したことも発覚。不安と悲しみの絶望に立たされた心情がとても切なくリアルに描かれているのだ。
本作で主演を演じたジェフ・ゴールドブラム。近年では『ジュラシック・パーク』や『インデペンデンス・デイ』など、どちらかと言うと研究者タイプの役がダントツに多い。やはりこの流れも本作があってのことだろう。得意げに話すあの口調と仕草が研究者の役にピッタリである。意外と筋肉質であることにも驚いた(あの鉄棒で回転するシーンは自分で演じたのか気になるところ)。
SF/ホラーとして未だ引けをとらない本作。かなりグロテスクではあるが、脚本、映像は秀逸された一本である。まだ未見の人にはぜひ鑑賞して頂きたい作品だ。
製作年度:1986年
上映時間:97分
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ジェフ・ゴールドブラム 、ジーナ・デイヴィス 、ジョン・ゲッツ 、ジョイ・ブーシェル 、レス・カールソン 、ジョージ・チュヴァロ
オススメ度:★★★★★
ストーリー:
テレポーテーション(物質転送)の研究をしている科学者セス・ブランドルは、無機物による転送実験に成功した。有機物の転送には問題があったが、実験に使った肉を食べた恋人ヴェロニカの感想をヒントに研究を進めて成功する。ある晩、セスはヴェロニカと喧嘩をし、酔った勢いで自らの体を実験台に転送を行ってしまう。とりあえずは成功を収めたものの、その後徐々にセスの身体や行動に異変が出てくる。何と人体実験を行った際、転送ポッドの中に1匹のハエがまぎれ込んでおり、転送を制御しているコンピュータが遺伝子レベルでセスとハエとを融合させてしまっていたのだ。
コメント:
本作が20年以上前に製作された映画だということに驚きだ。僕がまだ幼いときに初めて鑑賞したのだが、あまりに完成度が高いせいで、とてつもない衝撃を受けたことを未だ覚えている。今観てもその衝撃は健在だった。
なんといってもすごいのがストーリーだ。科学者(ブランドル)自ら行った物質転送実験の際、一匹の蝿が紛れ込んだため、主人公と蝿が遺伝子レベルで融合してしまうという、恐怖と悲劇を描いた物語である。この融合が『スパイダーマン』のようにただ超人化するだけであれば、全く持っておめでたい話だと言えるだろう。だがこの映画はそんな甘っちょろい終わり方はしない。遺伝子レベルで融合したという結論から、人間でも蝿でもない、全く新しい生物へと進化する流れがとてもリアルに表現されているのだ。
この進化の過程は、現代でも十分通用するほど完成度の高いVFXで、本作の一番の注目するべき点であるといえる。次第に変化していくブランドル博士の身体…爪が剥げ、髪が抜け、皮膚が荒れ汁が出る……最初のうちはまだ序の口。変化が進むに連れ、耳が取れるは、歯が全て抜けて蝿の特性でもある胃液を放出するなど、見ていて無残なシーンの連続である。とっておきは天井を歩き回るという特質まで…。これらの映像は見ていてとてもおぞましく次第に恐怖へと変化していくのだ。
この変化を見守るのが、本作のヒロインでブランドルを愛してしまった女性記者ベロニカである。例え彼が異質へ変化しようと、最後まで愛し続ける一途な姿に心を打たれてしまう。彼女には何も成す術がない…ただ変化を見守るだけ…。更に追い討ちをかけるように、自分の体内にブランドルの子供を妊娠したことも発覚。不安と悲しみの絶望に立たされた心情がとても切なくリアルに描かれているのだ。
本作で主演を演じたジェフ・ゴールドブラム。近年では『ジュラシック・パーク』や『インデペンデンス・デイ』など、どちらかと言うと研究者タイプの役がダントツに多い。やはりこの流れも本作があってのことだろう。得意げに話すあの口調と仕草が研究者の役にピッタリである。意外と筋肉質であることにも驚いた(あの鉄棒で回転するシーンは自分で演じたのか気になるところ)。
SF/ホラーとして未だ引けをとらない本作。かなりグロテスクではあるが、脚本、映像は秀逸された一本である。まだ未見の人にはぜひ鑑賞して頂きたい作品だ。