シネブログ

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『地球が静止する日』

2008年12月19日 00時51分35秒 | 映画レビュー
原題: THE DAY THE EARTH STOOD STILL
製作年度: 2008年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間:121分
監督:スコット・デリクソン
製作:
ポール・ハリス・ボードマン
グレゴリー・グッドマン
アーウィン・ストフ
脚本:デヴィッド・スカルパ
撮影:デヴィッド・タッターサル
視覚効果スーパーバイザー:ジェフリー・A・オークン
プロダクションデザイン:デヴィッド・ブリスビン
衣装デザイン:ティッシュ・モナハン
編集:ウェイン・ワーマン
音楽:タイラー・ベイツ
出演:
キアヌ・リーヴス クラトゥ
ジェニファー・コネリー ヘレン
ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス ジェイコブ
キャシー・ベイツ 国防長官
ジョン・ハム
ジョン・クリーズ
カイル・チャンドラー
ロバート・ネッパー
ジェームズ・ホン
ジョン・ロスマン
オススメ度:★★☆☆☆

ストーリー:
ある日、猛スピードで地球に向かって飛んでくる謎の巨大な球体が発見される。アメリカ政府は厳戒態勢を敷き、あらゆる分野の専門家を集めて対策チームを組織する。亡き夫の連れ子ジェイコブと2人暮らしの生物学者ヘレンも強制的に招集される。やがて、球体はセントラルパーク上空で静止し、中からは人間の姿をした宇宙からの使者クラトゥが現われる。すぐさま軍の施設でクラトゥに対する尋問が試みられるが、クラトゥは特殊な能力で拘束を解くと平然と施設から姿を消してしまう。クラトゥの目的も判らぬまま世界中がパニックとなる中、クラトゥは協力者にヘレンを選び接触を図る。そしてついに、ヘレンはクラトゥから衝撃の事実を告げられるのだったが…。

コメント:
あまりの期待感が仇となって返ってきた感じだ。
予告編を見た時点でおそらくほとんどの人が大よその展開が予測できているだろう。
その予測は最後まで覆されることもなく坦々と終わってしまう。

本作の何が一番問題かといえば、真新しさが全く感じられないことだ。
この手の映画の醍醐味といえば、映像でいかにして度肝を抜かしてくれるかに掛かっている。
予告編でも嫌というほど、未知の物体の破壊シーンを見せられ、そして話題を呼んでいた。
だが実際見てみるとどうだろう?
正直言って、予告編が最高の見せ場として終わってしまっている映画なのだ。
これでは観客は驚かない。

それならストーリーで引きつけられればまだ成功と言えるだろうが、これも全くひねりが感じられない。
むしろ全てのセリフが説教くさくてだんだんイライラしてくるくらいだ。

「人間がいなければ地球は救われる」

ってセリフも現代に生きる人間が一番熟知していることで、
それをどうやって解決していくのか?という問題に
親子愛とか出されても今更って感じであまり現実味が持てない。

また本作の悪役として米軍が登場するが、
彼らのあまりに無知な行動が完全に映画の品質を落としている。
なぜ軍事国家としての存在をここまで押し出さないといけないのか、
全く持って理解することができないのだ。

もしかして見せ場を作るために、
むやみやたらにミサイルや銃を乱射しまくったのではなかろうか?
もしそうなら本当に残念で仕方がない。

「窮地に立たされた人間は変われる」

このセリフも口先だけと捉えるほかないだろう。

そしてこの映画のもうひとつの欠点として
キャラクタへの感情移入ができないところにある。

キアヌ演じる宇宙人はただ地球を救うために派遣されたいわば偵察機のようなもの。
感情なんて持っているわけもなく、全てのセリフが客観的な発言ばかりに聞こえるのだ。
そして、その宇宙人と共に行動するヘレン(ジェニファー・コネリー)と
ジェイコブ(ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス)。
この親子も何だかいろいろと過去を持つ関係だが、ジェイコブの生意気な態度と
自己中心的な行動に同情なんてひとつもできるはずがない。
ウィル・スミスの息子もとんだとばっちりを受けたものだ。
彼はただ監督に言われるがままに演技をしただけだろうに…。

とにかく本作はテーマだけが一人歩きをしてしまった映画に過ぎない。
心に刻まれる映画には程遠い出来に、期待を裏切られた人は少なくはないだろう。




【余談】
本作開始前の予告編にあの『ドラゴンボール』がついにラインナップ。
その予告編が終わった瞬間、映画館の中は失笑に包まれていた。
この映画、公開するととんでもないことになるぞ(失笑)

『ゴーストシップ』

2008年12月09日 00時11分40秒 | 映画レビュー
原題: GHOST SHIP
製作年度: 2002年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 91分
監督:スティーヴ・ベック
製作:
ギルバート・アドラー
ジョエル・シルヴァー
ロバート・ゼメキス
製作総指揮:
ブルース・バーマン
スティーヴ・リチャーズ
原案:マーク・ハンロン
脚本:
マーク・ハンロン
ジョン・ポーグ
撮影:ゲイル・タッターサル
編集:ロジャー・バートン
音楽:ジョン・フリッゼル
出演:
ジュリアナ・マーグリーズ
ガブリエル・バーン
ロン・エルダード
イザイア・ワシントン
デズモンド・ハリントン
アレックス・ディミトリアデス
カール・アーバン
エミリー・ブラウニング
フランチェスカ・レットンディーニ
オススメ度:★★★☆☆

ストーリー:
1962年春、イタリアが誇る豪華客船アントニア・グレーザー号は、アメリカに向けて大西洋を航行中に突如消息を絶った。それからおよそ40年、ベーリング海を漂う謎の船が発見される。さっそく調査に向かったサルベージ会社“アークティック・ウォリアー”のクルーたちは、この船が40年間消息不明となっていたアントニア・グレーザー号であることを知る。さらに、無人の船内で大量の金塊を発見する。海洋法では公海上でこうした船が発見された場合、所有権は全て発見者に属することになっている。クルーたちは大喜びするのだったが…。

コメント:
過去に観た映画の中で一番の戦慄シーンを聞かれたとすると、本作を一番に答えるだろう。

冒頭で、船上でダンスを楽しむ多くの乗客が映し出される。
とても和やかな雰囲気だが、そこに軋む音を立てながら近づく不穏な影。
そのとき一本のケーブルがダンス会場に一本の赤い線を残す。
次の瞬間静止した体がひとつまたひとつと倒れていく。
そう、一瞬にして50もの体が見るも無残な姿に切断されてしまうのだった。

ここまで戦慄きを覚えるシーンは体験したことがない。
この映像を見た瞬間、観客は戦慄の船上へと招待されることになるのである。

生理的に受け付けることができるかどうかはこの最初のシーンで決まるかもしれない。あまりのグロさに不快感を覚えるか、それともあまりの衝撃度にスリルを感じるか。本作のハイライトといえばこの冒頭のシーンしかないが、ここで無理だと思った人はきっぱりと諦めるのが無難だと言えるだろう。

だけど、正直言うと…

タイトルにゴーストがついてるものの、そんなに怖いお化けが出続けるわけでもない。序盤のほとんどは人間同士が脅かしあってるし、一言で言えば”お化け屋敷の豪華版”でしかなく、完全にゴーストよりも人間の方が目立っているのだ。どちらかというとこの船を強奪しようとした人間の本心の方が恐いし、欲望に負けてその歴史を繰り返す人間が悲しい。

そして、在り来たりな脚本に最後まで盛り上がれないことにがっかり。

結局、最初のシーンで意気消沈してしまう作品なのだった。
まあこれだけのグロシーンを惜しげもなく見せた監督のこだわりに☆3つが限界だろう。

恐がりだけど、恐いもの見たさに多少興味を持って見てみるくらいの作品に最適だ。

『ウォーリー』

2008年12月06日 12時08分48秒 | 映画レビュー
原題: WALL・E
製作年度: 2008年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 103分
監督:アンドリュー・スタントン
製作:ジム・モリス
製作総指揮:
ジョン・ラセター
ピーター・ドクター
原案:
アンドリュー・スタントン
ピート・ドクター
脚本:
アンドリュー・スタントン
ジム・リアドン
プロダクションデザイン:ラルフ・エグルストン
音楽:トーマス・ニューマン
サウンドデザイン: ベン・バート
声の出演:
ベン・バート ウォーリー
エリサ・ナイト イヴ
ジェフ・ガーリン
フレッド・ウィラード
ジョン・ラッツェンバーガー
キャシー・ナジミー
シガーニー・ウィーヴァー
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
人類が新たな入植地を求め宇宙へと去ってから長い年月が経つ29世紀の地球。そこでは700年間、一体のゴミ処理ロボットが人間たちの残したゴミを独り黙々と片付けている。そのロボットの名はウォーリー。長い年月の中で、次第に感情が芽生えていった彼は、ゴミの中から宝物を見つけてはコレクションすることをささやかな楽しみにしていた。そんなウォーリーの前にある日、ピカピカのロボット“イヴ”が現われる。彼女の気を惹こうとコレクションの1つ“ヒョロっとした植物”を見せるウォーリー。だがその瞬間、イヴは動かなくなり、宇宙船にさらわれてしまう。実は、彼女には地球の運命を左右する重大な秘密が隠されていた。ウォーリーはイヴを救うため、未知なる宇宙へ旅立つのだが…。

コメント:
『夢』いつか誰かと”手をつなぐ”こと…

ミュージカル映画『ハロー・ドーリー』のVHSを観ることが日課のウォーリーは、映画の主人公のように”手をつなぐ”ことを夢見ているお掃除ロボット。700年もの間、ただそれだけを夢見て地球の掃除をしているという設定だけでも切ない。そこに突如現れるクール・ビューティロボット”イヴ”の存在がウォーリーの心を更に切なくさせ、そしてやがてその感情は”恋”に変わっていく…。

ロボットという”鉄の塊”に、完璧なまでの感情と息吹を吹き込んだディズニー/ピクサー製作の感動ファンタジー・アニメ。”手をつなぎたい”というウォーリーの純粋な気持ちが、イヴの心の壁を越えると共に二人揃って地球の生命を守るビッグ・プロジェクトへと展開する内容には感動せずにはいられなかった。そして最後には、大切なものを守らないといけないという貴重なメッセージが、人間の心にもひしひしと語りかける。なんとも不思議な恋の1ページを見せられた気分で一杯だ。

『モンスターズ・インク』では子どもが大のニガ手のモンスター
『ファインディング・ニモ』ではサンゴ礁の海を舞台に描く魚の親子
『カーズ』ではクルマの世界でNo.1を目指す人気スポーツカー

特異なキャラを使って感動の作品を世に送り出しているディズニー/ピクサー。技術・アイディア・ストーリーが作品を増す毎に品質を上げ、もうこれ以上の感動は臨めないのではないかと思わせるほどの感動を毎回味わわせてくれる。

そして今回ディズニー/ピクサーが選んだ設定が700年後の地球というものだ。人間がいない地球でたった一人暮らすウォーリーはもちろん言葉を話すことのできないロボット。映画開始20分間はセリフのないままウォーリーの日課とイヴとの交流が坦々と描かれる。正直、この地点で「失敗したな」という気持ちに苛まれそうになっていた。言葉なしで感動なんてできるはずがないのだと…。

ところがここで本作初の第一声が飛び交う

「ウォ~リィィ~」

「イヴ」

「イヴァ?」

「イヴ」

「イヴァ~!!」

この瞬間僕の体に”ビビビ”と電撃が走ったようだった。
会話ができないと思っていたキャラが、ドギマギとした口調で名前を交換するシーン。
そうだ!生き物は言葉ではない、心で会話するものなのだと気付かせてくれる瞬間だ。

”手をつなぎたい”と言えなくても、心があればいつか相手に気持ちが届く。
たとえ小さな”夢”でもそこには大きな障害が立ちはだかる。
だけど”夢”が叶ったとき、それは”希望”へと変わる第一歩なのだと。

人間が忘れかけている大切な温もりを、無機質なロボットを使って気付かせてくれた。
「ディズニー/ピクサー」やはり侮れない。


・余談
パンフレットはまるでウォーリーを模ったような小さめの四角い仕様で、1ページ目にはなんとウォーリー特製シールがついている!これだけでも買う価値あり!!