シネブログ

このブログは映画に関する記事を書いています☆

『電車男』

2008年01月30日 00時14分17秒 | 映画レビュー
原題:-
製作年度: 2005年
別題:-
製作国・地域: 日本 上映時間: 101分
監督:村上正典
製作:島谷能成、関一由、細野義朗、安永義郎
プロデューサー:山内章弘、仁平知世、稲田秀樹
エグゼクティブプロデューサー:市川南、小岩井宏悦
企画:川村元気
原作:中野独人 『電車男』(新潮社)
脚本:金子ありさ
撮影:村埜茂樹
美術:柳川和央
編集:穂垣順之助
音楽:服部隆之
主題歌:ORANGE RANGE 『ラヴ・パレード』
映像:吉川博文
企画協力:春名慶
照明:花岡正光
装飾:臺勝隆
美術プロデューサー:津留啓亮
録音:田中靖志
助監督:村上秀晃
出演:山田孝之、中谷美紀、国仲涼子、瑛太、佐々木蔵之介、木村多江、岡田義徳、三宅弘城、坂本真、西田尚美、大杉漣
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
電車内で暴れる酔っ払いから女性(中谷美紀)を助けたオタク青年、通称・電車男(山田孝之)。彼女に心惹かれた電車男だったが、これまで女性に縁がなかったので、どうしたらいいかわからない。そこで彼はインターネットの世界に助けを求め……。



コメント:
キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ !!!

ってフレーズ流行ったなぁ。
僕は2ちゃんねラーでもないし、オタクでもない。だがネットサーフィンはよくする方で、見えない相手と掲示板などで語り合うことも多く、またその楽しみ方も知っている。ネットだと顔も性格も何も知らない相手と、ただ文字のやりとりで判断するしかない世界なのに、ここまで感情移入してしまう不思議な世界、それがネットというデジタルな世界の特徴なのだろう。

実際、2ちゃんねるで行なわれた見知らぬ人同士のやりとりが本作の原点だと言われてるが、それがホントだったのかどうかはこの際どうでもいい。作ろうと思えばこんな話いくらでも作れると思うからだ。本作の見所は、普通のどこにでもありそうなラブストーリーを、ネットとオタクの世界をうまく繋いで、ヴァーチャルな世界感を作り上げたことがすごいのだ。

こういった作品の一番重要なポイントはやはり配役だが、これに関しては個人的にほぼベストのメンバーだったように思う。前半で見せる山田孝之のオタク度合は見事だった。ああこんな人いるなって思わせる演技がとても巧かった。中盤から後半に掛けては、そんなオタクでもおしゃれをすれば普通の男子だという説得力も備わっていて、自然とラブストーリーに持っていけている感じがした。中谷美紀のお姉さまタイプ的な演技もなかなかのもので、完璧になりきれない男子を抱擁する役としては最適だったように思う。

時折、出てくるネットの書き込み&絵文字の数々がコメディ要素を高め笑わせてくれる。2ちゃんねる用語か何か知らないが、ちょくちょく発せられる意味不明な言葉に「?」を浮かべながら、家族揃って鑑賞するのもおもしろいだろう。実際、僕は母と見ながら「?」の連発だった(笑)

笑あり涙ありのバランスの取れた作品だと言える。
シンプルながらも、ちょっと不思議な世界観を楽しみたいと感じたら鑑賞してみるといいだろう。

『穴』

2008年01月27日 21時53分57秒 | 映画レビュー
原題: THE HOLE/AFTER THE HOLE
製作年度: 2001年
別題:-
製作国・地域: イギリス 上映時間: 102分
監督:ニック・ハム
製作:ジェレミー・ボルト、リサ・ブライアー、ピッパ・クロス
製作総指揮:アンドレア・カルダーウッド、フランソワ・イヴェルネル
原作:ガイ・バート(『体験のあと』集英社刊)
脚本:ベン・コート、キャロライン・イップ
編集:ニーヴン・ハウィー
音楽:クリント・マンセル
出演:ゾーラ・バーチ、デズモンド・ハリントン、ダニエル・ブロックルバンク、ローレンス・フォックス、キーラ・ナイトレイ、エンベス・デイヴィッツ、スティーヴン・ウォディントン、エマ・グリフィス・マリン、ジェマ・クレイヴン
オススメ度:★★★☆☆

ストーリー:
イギリスでも指折りの名門パブリック・スクール、プレイボーン学園。ここに通う4人の生徒が、ある日忽然と姿を消した。騒然となる警察とマスコミ。やがて、失踪から18日後、4人の生徒のうちの一人、女子高校生リズだけが薄汚れ、憔悴しきった姿で発見される。リズに、そして3人のクラスメイトにいったい何が起こったのか?事故なのか、それとも犯罪か?真相解明とリズの精神的ダメージを癒すため犯罪精神科の女医フィリッパがカウンセリングを始める。やがて、リズはビデオカメラに向かって、悪夢の顛末を語り始める……。



コメント:
密室を舞台にした映画は過去にもたくさんあるが、オチまでの流れは基本的に同じようなものが多い気がする。まさに極限の状態で理性を失っていく人間を描いたパターンである。仕掛人は必ず中にいて被害者を操り、被害者はまんまとハメられ自滅していく。仕掛人と被害者との精神的な器量の差で結末は揺るぎないものへと変化していく。そんな様子をじれったくも観察できるのが、この手の作品の見所のひとつである。

本作はゾーラ・バーチの独壇場と言ってもいいだろう。初心(うぶ)な少女から犯人まで幅広い演技を見せており、全ての登場人物を見事に操っている。真実と妄想が交錯した展開がより彼女の演技の幅を広く見せている。また、彼女の”心”と、舞台となる”穴”が”暗闇”というキーワードでうまくリンクし、ストーリーに深みを増している気がする。

話の展開はそんなに複雑でもなく、また大きなどんでん返しがある訳でもない。なんとなくラストがすっきりとしないが、普通に楽しめる内容だ。まあもし本当にあんな穴があったとして、若い男女が監禁されてしまったとしたら、ほぼ映画と同じような展開が起こりえるような気がする。そういった意味でとてもリアルな作品に仕上がっていると言えるだろう。

閉所恐怖症の人はあの雰囲気だけでも恐怖なんだろうな。いろんな意味で恐い作品だった。

『チアーズ!』

2008年01月20日 18時44分13秒 | 映画レビュー
原題: BRING IT ON
製作年度: 2000年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 100分
監督:ペイトン・リード
製作:マーク・エイブラハム、トーマス・A・ブリス、ジョン・ケッチャム
製作総指揮:アーミアン・バーンスタイン、パディ・カレン、ケイトリン・スキャンロン、マックス・ウォン
脚本:ジェシカ・ベンディンガー
撮影:ショーン・マウラー
音楽:クリストフ・ベック
出演:キルステン・ダンスト、エリザ・ドゥシュク、ジェシー・ブラッドフォード、ガブリエル・ユニオン、クレア・クレイマー、ニコール・ビルダーバック、ナティナ・リード、ハントリー・リッター、リンゼイ・スローン、ビアンカ・カジリッチ、ホームズ・オズボーン、コディ・マクマインズ、イアン・ロバーツ、チャニーナ・ジョエルソン
オススメ度:★★★☆☆

ストーリー:
チアリーディングがスポーツ競技として社会的にも一定の高い地位を確立しているアメリカ。そんなアメリカのハイスクールを舞台に、チアリーディングに全ての情熱を賭けて打ち込む女子高生の姿を描いた、スポ根青春コメディ。傍目には元気でかわいいだけの彼女たちのパフォーマンスも、生傷の絶えない過酷で危険な練習あってのもの。そして、ここでも互いに対照的な2つのチーム“トロス”と“クローヴァーズ”が全国大会の優勝目指してライバル心剥き出しで激しい練習に励んでいた。

コメント:
ストーリーは在り来たりすぎてラストまで読める展開だった。正直駄作と言ってもいい内容だが、そんな本作を支えていたのは、間違いなくチアガールとしての魅力を演じきったキャストの存在だ。このキャストが好きなら、まあ普通に楽しめる内容だと言えるだろう。

”トロス”のリーダを演じたキルステン・ダンストを筆頭に、エリザ・ドゥシュク、ガブリエル・ユニオン、クレア・クレイマーなど元気で若い女の子を多数起用している。個人的にはキルステン・ダンストは好きなほうなので満足だ。可愛いだけじゃなく、スタイルの良さもアピールしており意外とセクシーな部分も見せていたので驚いた。アメリカのチアリーディングがまさかこういうものだったとは…。

チアリーディングはアメリカではスポーツ競技として確立されているだけに、かなりハードなもので、技術的にも高度な物が要求されているのが画面からよく伝わってきた。とても興味深い競技で一度本物を見てみたいと感じたほどだ。元々応援団としてチアリーディングができたわけで、アメフトなどの余興の一部に過ぎないが、ここまで人気が出た理由は完成度の高さがあったからこそだと思う。もしこういう本格的な応援が見れるなら、アメフトに興味がなくてもなんとなく競技場へ足を運びたくなるだろうなと感じた。アメリカのスポーツ人気の裏側が垣間見れた気がする。日本でもこれくらい過激(?)な応援をやれば、もっとスポーツ人気が増すのではなかろうか。

エンドロールで「Mickey」の音楽に乗せて見せるNG集はかなりうれしい。「Mickey」は以前日本で流行ったゴリエのチアガールソングとして使用された曲である。何度も聴いたことがあるのでとても馴染みやすい。

ストーリーはともかく観ていて元気の出る映画であったことは間違いない。アメリカの青春時代ってこういうものなんだろうな。なんとなく羨ましいと思ってしまった。

『プレステージ』

2008年01月19日 12時44分05秒 | 映画レビュー
原題: THE PRESTIGE
製作年度: 2006年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 130分
監督:クリストファー・ノーラン
製作:クリストファー・ノーラン、アーロン・ライダー、エマ・トーマス
製作総指揮:クリス・J・ボール、ヴァレリー・ディーン、チャールズ・J・D・シュリッセル、ウィリアム・タイラー
原作:クリストファー・プリースト 『奇術師』(早川書房刊)
脚本:クリストファー・ノーラン、ジョナサン・ノーラン
撮影:ウォーリー・フィスター
プロダクションデザイン:ネイサン・クロウリー
衣装デザイン:ジョーン・バーギン
編集:リー・スミス
音楽:デヴィッド・ジュリアン
出演:ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン、スカーレット・ヨハンソン、パイパー・ペラーボ、レベッカ・ホール、デヴィッド・ボウイ、アンディ・サーキス、エドワード・ヒバート、サマンサ・マハリン、ダニエル・デイヴィス、ジム・ピドック、クリストファー・ニーム、マーク・ライアン、ロジャー・リース、ジェイミー・ハリス、ロン・パーキンス、リッキー・ジェイ、モンティ・スチュアート
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
19 世紀末のロンドン。華麗かつ洗練されたパフォーマンスで魅せる“グレート・ダントン”ことロバート・アンジャーと、天才的なトリックメイカー“ザ・プロフェッサー”ことアルフレッド・ボーデン。2人のマジシャンは、修業時代から互いを認め合いマジックの腕を競い合っていた。しかし、アンジャーの妻が脱出マジックに失敗して命を落とすと、その原因がボーデンにあったことから、アンジャーは彼への復讐に取り憑かれていく。そんな中、ボーデンはサラと出会い幸せな家庭を築く。一方のアンジャーも、美しく優秀なアシスタント、オリヴィアを得て、その華麗なステージが評判となる。しかし、2人の確執は一層激しいものとなっていくのだった。



コメント:
トリックトリックトリックトリックトリックトリックトリックトリック・・・・・・・・
考えれば考えるほど騙されている気がする。どこからどこまでがトリックなのか?クリストファー・ノーラン監督の術中に見事にハメられた気分だ。思えば『メメント』のときもそうだった。10分毎に逆戻りしていくという手法で、衝撃のラストを見せられたときの感覚が今でも忘れられない。そんな彼が手掛けた作品だけに、まあ『メメント』ほどの衝撃は受けなかったが、観終わったあとでも何か重大なことを見逃している感覚に陥っている状態だ。おそらくその真実は僕の中にまだ見出せていない気がする。逆に言えばその未解決である状態がなんだか快感でなのである。

この映画、単純なのか複雑なのか考え方次第で印象が全く違う作品になると言える。途中までは、華麗かつ洗練されたパフォーマンスで魅せる“グレート・ダントン”ことロバート・アンジャーと、天才的なトリックメイカー“ザ・プロフェッサー”ことアルフレッド・ボーデンの、復讐心とプライドを掛けた壮絶な”けんか”を描いている作品としか思えなかった。双方のショーに現れては陰湿な悪戯を仕掛け、一発で殺せばいいものをダラダラと長年掛けて争っていく二人。

だがそうやってダラダラ進行していく中にもおそらくトリックは随所に散りばめられていたのだろうなと観終わった後に気付く。時すでに遅し。いや、でも一応僕の中では物語は完結はしている。二人がプレステージに掛ける意地と情熱と異常なほどの執着心を持って戦ったお話。一線を越えた二人が見せた衝撃のラスト…僕はそれを見たまんま捉え完結させた。それがノーランにとっての思惑なのかどうかはわからないが素直に楽しめた作品だと言えるだろう。

もう一度鑑賞すれば何か変わるかもしれない。そんな気分にさせられる作品だ。
とりあえず二人が見せるトリックの仕掛けはおもしろいので、それだけでも本作を観る価値はある。まるで○んじろう先生の科学実験を観ているようなので素直に楽しめるはずだ。って、やっぱそんなとこばかり観て、映画の真髄を全くわかってない僕なのでした…(笑)

『ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記』

2008年01月14日 16時16分25秒 | 映画レビュー
原題: NATIONAL TREASURE: BOOK OF SECRETS
製作年度: 2007年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 124分
監督:ジョン・タートルトーブ
製作:ジェリー・ブラッカイマー、ジョン・タートルトーブ
製作総指揮:マイク・ステンソン、チャド・オマン、バリー・ウォルドマン、オーレン・アヴィヴ、チャールズ・シーガース
キャラクター創造:ジム・カウフ、オーレン・アヴィヴ、チャールズ・シーガース
原案:テッド・エリオット、テリー・ロッシオ、コーマック・ウィバーリー、マリアンヌ・ウィバーリー
脚本:コーマック・ウィバーリー、マリアンヌ・ウィバーリー
撮影:ジョン・シュワルツマン、アミール・モクリ
音楽:トレヴァー・ラビン
出演:ニコラス・ケイジ、ジョン・ヴォイト、ハーヴェイ・カイテル、エド・ハリス、ダイアン・クルーガー、ジャスティン・バーサ、ブルース・グリーンウッド、ヘレン・ミレン
オススメ度:★★☆☆☆

ストーリー:
ベンは、彼のもとを訪れたウィルキンソンと名乗る古美術商からある驚きの情報を知らされる。それは、今なお多くの謎に包まれているリンカーン大統領暗殺事件の犯人による日記で消失されていた一部が発見され、そこには暗殺の真犯人としてベンの祖先トーマス・ゲイツの名が記されていた、との衝撃的な内容だった。大統領暗殺者の末裔という汚名を着せられてしまったベンは何としても祖先の無実を晴らすべく、天才ハッカーのライリー、そしてベンとは今や破局寸前の恋人アビゲイルの協力を得て調査を開始。その日記に伏せられた暗号解析を機に、パリの自由の女神やバッキンガム宮殿へ飛び、徐々に真実へ近づいていく。しかし、その一方で、謎の一味がベンたちをつけ狙っていた…。



コメント:
前作同様ただただ登場人物に流されるまま自分も宝探しをした気分にさせられる映画だ。だが続編ということでどうしても前作と比較してしまうのが人間の性、個人的には間違いなく前作の方が楽しめたと言える。

本シリーズの見所と言えばまずは宝探しの元となるテーマである。前作はテンプル騎士団が残した宝の謎を描いており、今作はリンカーン暗殺者の日記に隠された宝の謎ときた。どちらもおもしろいテーマであり、宝物に繋がっていく展開、そして仲間それぞれの知識を生かした謎解きもサクサクと進んでいき最後まで飽きさせない。ラストで宝を発見するときの感動は素直に喜べる内容である。

だが今作はいろんな意味でやり過ぎていた感があったことを否めない。途中で大統領が絡んだ地点でもはや無理があった。前作はFBIや悪役など常に追跡者の影が存在していたのが、今作では主人公をあまりに放置しすぎているような気がしてならない。大統領の執務室に入るにしても、大統領に会うにしてもあまりにガードが甘すぎる。これだけ法的にマズイことをしている人物を野放しにするはずがない。映画だから仕方がないと言われればそうだが、それでも前作よりシビアさが抜けてしまっては、やはり満足度に欠けてしまう。いかにピンチを脱して宝に行き着くかが見物なだけにちょっと残念である。

二つ目の見所と言えばアクションだが、正直これに関してもかなり物足りない。前作では初っ端から爆発シーンで始まり、キーアイテムの争奪戦もかなり危機迫るものがあった。今作は……何かあったけ?もしかして予算が足りなかったのかな?という疑問を持ってしまいそうなほどあっけないものだった。近年のアクション大作に見慣れている人にとっては間違いなく物足りないだろう。

最後に期待するものと言えばキャラクタだが、新しく登場したのはベン(ニコラス・ケイジ)の母親エミリー・アップルトン博士(ヘレン・ミレン)と悪役ウィルキンソン(エド・ハリス)の二人くらいだ。どちらもかなりの大物を起用しているがなんとももったいない使い方である。

テーマに関しては本当に申し分ないのだが、それに付与していく材料が全て中途半端に終わった形だ。前作を鑑賞済みの人はとりあえずDVDを待って観ればいい内容だろう。続編もまだありそうな作品なだけに、次回作に対する期待とちょっと反省して欲しいという意を込めて☆2で。

『イカとクジラ』

2008年01月13日 11時54分40秒 | 映画レビュー
原題: THE SQUID AND THE WHALE
製作年度: 2005年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 81分
監督:ノア・バームバック
製作:ウェス・アンダーソン、チャーリー・コーウィン、クララ・マルコヴィッチ、ピーター・ニューマン
脚本:ノア・バームバック
撮影:ロバート・イェーマン
プロダクションデザイン:アン・ロス
衣装デザイン:エイミー・ウェストコット
編集:ティム・ストリート
音楽:ブリッタ・フィリップス、ディーン・ウェアハム
出演:ジェフ・ダニエルズ、ローラ・リニー、ジェシー・アイゼンバーグ、オーウェン・クライン、ウィリアム・ボールドウィン、アンナ・パキン、ヘイリー・ファイファー、ケン・レオン
オススメ度:★★★☆☆

ストーリー:
1986 年、ブルックリン。16歳の兄ウォルトと12歳の弟フランクの両親は共に作家。しかし父バーナードはかつては脚光を浴びたものの、現在は長くスランプが続いていた。一方の母ジョーンは『ニューヨーカー』誌での華々しいデビューを控えた新進作家。そんなある日、兄弟は両親から離婚することを告げられる。そして、兄弟は共同監護という形で父の家と母の家を行ったり来たりの生活が始まる。やがて、弟はストレスから学校で奇行を繰り返すようになり、冷静に受け止めていたかに思われた兄もまた学校で問題を引き起こしてしまう…。



コメント:
一人ひとりの言動が家族を崩壊させていく。離婚という社会的問題を、本作ならではのユーモアとアイロニーを交えてリアルに描き出している。だがそこに笑える要素は一切ない。離婚がどれだけ悲惨で惨めなものかがヒシヒシと伝わってくる作品だ。離婚って本当に嫌だな…と。

正直言うと、本作が一番伝えたかったものが何だったのか理解できなかった。それは僕の理解力の浅さが原因ではなく、作品内で遣われるセリフの汚さに嫌気が差してしまったことが問題だ。つまり脚本そのものが僕の受け付けないものであったと言える。特に次男のフランクは言葉遣いがひどく”shit”や” #OOPS#”を何度も遣っている。子供がこういう言葉を平気で遣ってしまうのはなんだか恐ろしい光景だ。親の離婚により精神的に不安定になり、そのため発せられる言葉で、この先何か大きな事件が起きることを予感させる。離婚が落とす影の強さが、こういった言葉遣いに一番影響してくるのだろうなという印象を強く受けた。

だが僕が一番嫌悪感を覚えた言葉は、母親が子供を呼ぶときに遣う”Chicken”や”Pickle”という言葉である。長男のウォルトには「Chicken=臆病者」(参考:『バック・トゥ・ザ・フューチャー』では主人公マーティーがこの言葉を言われることでいつも事件が起きていた)、次男のフランクには「Pickle=いたずらっ子」という意味で遣われている。母親が普段から子供に対してこう呼び捨てる心理というのはどういうことなのだろうか?僕はこの心理をどうしても理解することができず、最後まで子供に対する侮辱の言葉でしか聞きとることがなかった。たとえこれが親としての愛情表現だろうと、本心だろうと、侮辱的な言葉を平気で遣ってしまう母親がいたのでは家庭はうまくいかないだろうなと感じた。

おそらく作品としては、家族一人ひとりの未熟さが原因で離婚に発展したということを描きたかったのだと思うのだが、僕からすればあまりに偏った家族像が見えてしまったためそれを真摯に受け止めることはできなかった。『イカとクジラ』というタイトルにも相当いろんな思いが詰められているのだと思うのだが、今の僕にはそれを理解することは不可能だったようだ。おそらくその意味を感じ取れるかどうかは人それぞれの経験や考え方次第で変わってくるであろう。

まあストーリーはともかく、演じている俳優陣はとてもよかった。彼らがリアルな演技をしたおかげで、僕はセリフに強いインパクトを感じることができたのだから。自分がもし離婚を経験するなら、日常の会話が原因になってくるのだろうなという想像すらしてしまった。ある意味、本作で離婚の疑似体験をさせられたような気分である。

時間を置いて再度鑑賞すれば、きっとまた違った印象を与えてくれる作品だと思う。そのとき自分が離婚をしていないことをただ祈りたい…。

『アドレナリン』

2008年01月05日 10時52分11秒 | 映画レビュー
原題: CRANK
製作年度: 2006年
別題:-
製作国・地域: アメリカ/イギリス 上映時間: 94分
監督:ネヴェルダイン、テイラー
製作:マイケル・デイヴィス、トム・ローゼンバーグ、スキップ・ウィリアムソン、リチャード・ライト、ゲイリー・ルチェッシ
製作総指揮:ピーター・ブロック、マイケル・パセオネック、エリック・リード、デヴィッド・スコット・ルービン
脚本:ネヴェルダイン、テイラー
撮影:アダム・ビドル
プロダクションデザイン:ジェリー・フレミング
衣装デザイン:クリストファー・ローレンス
編集:ブライアン・バーダン
音楽:ポール・ハスリンジャー
出演:ジェイソン・ステイサム、エイミー・スマート、ホセ・パブロ・カンティージョ、エフレン・ラミレッツ、ドワイト・ヨーカム、レノ・ウィルソン、キーオニー・ヤング、カルロス・サンス、グレン・ハワートン、ヴァレリー・レイ・ミラー、チェスター・ベニネトン
オススメ度:★★★☆☆

ストーリー:
ロサンジェルスの裏社会でプロのスナイパーとして生きるシェブ・チェリオス。ある朝目覚めると、宿敵のリッキーから“眠っている間に毒を盛った。お前はあと1時間の命だ”と告げられる。解毒剤を手に入れるため、リッキーの居場所を探し始めたシェブ。やがて、知り合いの医師から、アドレナリンを出し続けると毒の作用が止められると知らされたシェブは、所構わず動き続け、興奮し続けるハメに。さらに恋人イヴも狙われていると知り、やむなく彼女も一緒に連れ回すことになるのだが…。



コメント:
アドレナリン (adrenaline)(英名:アドレナリン、米名:エピネフリン、IUPAC組織名:4-[1-ヒドロキシ-2-(メチルアミノ)エチル]ベンゼン- 1,2-ジオール)とは、副腎髄質より分泌されるホルモンであり、また、神経節や脳神経系における神経伝達物質でもある。分子式はC9H13NO3。
ストレス反応の中心的役割を果たし、血中に放出されると心拍数や血圧を上げ、瞳孔を開きブドウ糖の血中濃度(血糖値)を上げる作用などがある。









………って、そんなことどうでもいい!!!

とにかくこの映画、テレビ破壊して、車ブッ飛ばして、黒人とケンカして、ドラッグ吸って、ショッピングモール破壊して、アルコール飲みまくって、デブの腕切り落として、エピネフリン注射して、人前でSEXして、銃乱射して、ヘリコプターから落下して…

「ハイッ!おしまい」な映画だ。
まさに音楽掛かりっぱなしのノンストップ・アクション・ムービーである。
内容は好き嫌いのはっきり分かれるB級映画と言えるだろう。
あとは観てからのお楽しみ。
あっという間に終わるので暇つぶしに観てもいい作品かも。

『ダイ・ハード4.0』

2008年01月04日 11時06分29秒 | 映画レビュー
原題: LIVE FREE OR DIE HARD
製作年度: 2007年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 129分
監督:レン・ワイズマン
製作:ジョン・マクティアナン
製作総指揮:マイケル・フォトレル、ウィリアム・ウィッシャー
原案:マーク・ボンバック、デヴィッド・マルコーニ
脚本:マーク・ボンバック
撮影:サイモン・ダガン
プロダクションデザイン:パトリック・タトポロス
衣装デザイン:デニス・ウィンゲイト
編集:ニコラス・デ・トス
音楽:マルコ・ベルトラミ
出演:ブルース・ウィリス、ジャスティン・ロング、ティモシー・オリファント、クリフ・カーティス、マギー・Q、シリル・ラファエリ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ケヴィン・スミス、ジョナサン・サドウスキー、クリスティーナ・チャン、ジェリコ・イヴァネク、ヤンシー・アリアス、サン・カン
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
アメリカ独立記念日の前夜。ワシントンDCのFBI本部に、何者かが全米のあらゆるインフラを監視するシステムにハッキングを仕掛けてきたとの情報が入り、ブラックリストに載るハッカーたちの一斉捜査が開始される。一方その頃、ニューヨーク市警統合テロ対策班のジョン・マクレーン警部補は、久しく顔を見ていない娘ルーシーに会うため、ニュージャージー州の大学に立ち寄っていた。しかし、意に反してルーシーの冷たい対応に気落ちするマクレーン。おまけに、たまたまそこにいたばかりに、上司から、近くに住むマットというハッカーをFBI本部まで連行せよ、とのヤボ用まで仰せつかるハメに。不承不承マットのアパートへと向かうマクレーンだったが、それは、またもや始まる不運の序章にすぎなかった…。



コメント:
やっぱり『ダイ・ハード』シリーズはこうでなくちゃ!!
シリーズの型が壊されているとか、いつものジョン・マクレーンじゃないとか、何かと酷評の多いように見受けられる本作だが、個人的にはアクションのレベルアップ、そしてジョン・マクレーンの成長ぶりなどなど、とにかく見所満載の超ド級娯楽大作に仕上がった作品だと言える。

特にアクションの質には目を張るものがあった。なぜかなと思ったら監督はレン・ワイズマンではないか。そう、あの『アンダーワールド』を手掛けた監督である。どうやら僕はこの監督のアクションセンスが大好きらしい。『アンダーワールド』のときもあのアクションシーンの数々にノックアウトされたのを覚えている。とにかく先の読めない展開にテンポの良さが加わったシーンを作るのがとても巧い監督なのだ。正直あり得ない度120%の映像がほとんどだと言えるのだが、ジョン・マクレーンの不運な一日を描くにはこれくらい無謀な死闘の方が楽しめたに違いない。これを楽しめないなら初めからこのシリーズを見ること自体間違っている気がする。

今回はサイバーテロということで、アナログ人間のジョン・マクレーンがかなりの苦戦を強いられる。今までにはないスリルも詰め込まれ、頭脳戦あり肉体戦ありでバランスの良い展開が繰り広げられる。最初から最後まで緊張感は途切れることはないだろう。また黒幕が仕掛けるテロの規模も前作を遥かに上回るものである。過去のシリーズのように閉鎖的な空間だけでは終わってないため、爆破などで巻き込まれた人の数も計り知れない。まさに”巻き込み型アクション”の最高傑作と言えよう。実際にこのようなテロがあったらマジ恐ろしすぎるけど…。

今回のキーパーソンを演じたジャスティン・ロングもなかなかのはまり役だった。ジョン・マクレーンの気の強い娘を演じたメアリー・エリザベス・ウィンステッドの演技、そしてルックスも最高である。鑑賞中、クリフ・カーティス演じるボウマンが実は本作の黒幕だと予想していたのだが違ったようだ。どうも彼は『コラテラル・ダメージ』で演じたテロリストのイメージが強過ぎてあまり良人には見えない(笑)

まあとにかく娯楽大作としては十分な出来の作品だったと言える。シリーズものとして見るかどうかは別として、何かスカッとさせたいときにこのアクションを観れば、嫌なことが全て吹き飛ばされるに違いないだろう。

『七人の侍』

2008年01月01日 15時08分17秒 | 映画レビュー
原題:-
製作年度: 1954年
別題:-
製作国・地域: 日本 上映時間: 207分
監督:黒澤明
製作:本木荘二郎
脚本:黒澤明、橋本忍、小国英雄
撮影:中井朝一
美術:松山崇
音楽:早坂文雄
監督助手:堀川弘通、田実泰良
照明:森茂
録音:矢野口文雄
出演:三船敏郎、志村喬、津島恵子、藤原釜足、加東大介、木村功、千秋実、宮口精二、小杉義男、左卜全、稲葉義男、土屋嘉男、高堂国典、熊谷二良、富山晴子、東野英治郎、上田吉二郎、谷晃、中島春雄、多々良純、堺左千夫、渡辺篤、小川虎之助、千石規子、山形勲、上山草人、高木新平、大友伸、高原駿雄、大久保正信、大村千吉、杉寛、林幹、牧壮吉、千葉一郎、堤康久、宇野晃司、島崎雪子、仲代達矢
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
麦の刈入れが終わる頃。とある農村では野武士たちの襲来を前に恐怖におののいていた。百姓だけで闘っても勝ち目はないが、麦を盗られれば飢え死にしてしまう。百姓たちは野盗から村を守るため侍を雇うことを決断する。やがて、百姓たちは食べるのもままならない浪人たち7人を見つけ出し、彼らとともに野武士に対抗すべく立ち上がる……。



コメント:
あけましておめでとうございます!!
正月休みということで、映画もぼちぼち観れる時間があったのでついに観てしまった。

『七人の侍』

こんな名作を今まで放っておいたのが間違いだったと思うくらい本当に楽しめた。207分という時間があっという間に感じるくらい作品にのめり込むことができ、黒澤明の偉大さがビンビン伝わる作品であったと言える。

実は僕は黒澤作品を観るのが初めてである。今まで映画好きを語っていたのがなんとも恥ずかしい。でも本作を観たからと言ってまだ映画を語れるほどの知識は持ち合わせていない。ただこの時代に、このスケールで、これほどメッセージを持った作品を作れる監督ならば「世界のクロサワ」と言われるのも間違いなく頷けるということだけははっきり言えるのだ。

僕はなんといっても本作に登場する七人の侍が大好きだ。

戦略家で冷静なリーダー”島田勘兵衛”
常に静かでおだやか、時には人をなだめるような力がある”片山五郎兵衛”
勘兵衛の最も忠実なる部下”七郎次”
苦境の中でも深刻にならない、愛想の良い浪人”林田平八”
修業の旅を続ける凄腕の剣客”久蔵”
育ちがいい裕福な家の末っ子で半人前の浪人”岡本勝四郎”
勘兵衛の強さに惹かれ勝手についてきた型破りで血がたぎった熱い男”菊千代”

それぞれの人格がわかるエピソードもたくさん散りばめられており、ストーリーの随所でそれぞれのキャラクタが絡んでくるのでとてもおもしろい仕上がりになっている。各キャラが持つ過去や百姓に対する価値観など、当時の時代背景も垣間見ることができるため勉強にもなる。これは観ずして語れない奥深さの感じられる作品であると言えるだろう。

当時はCGなどなかったわけで、これだけの映像を作り出すのにどれだけの苦労があったのかを考えるとゾッとしてしまう。黒澤監督が映画に対してどれだけの情熱を持っており、どれだけのこだわりを意識していたのかが全編を通して感じられる。傑作を作り出すということは意識してできるものではなく、何かを作りたいそして伝えたいと思う魂を持っていないと到達できない領域であるのではなかろうか?

とにかくこんなすばらしい作品に出会えただけでも幸せだ。
彼の作品をわかっているとは到底言えないが、本作をきっかけにもっと幅広い作品を観てみたいという気持ちにさせられたということには違いない。