シネブログ

このブログは映画に関する記事を書いています☆

『アルマゲドン』

2007年02月27日 23時00分59秒 | 映画レビュー
製作年度:1998年
上映時間:150分
監督:マイケル・ベイ
出演:ブルース・ウィリス 、ベン・アフレック 、リヴ・タイラー 、ウィル・パットン 、スティーヴ・ブシェミ 、ピーター・ストーメア
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
地球への衝突コースを取る小惑星が発見された。もしも、テキサス州の大きさにも匹敵するその小惑星が地球に激突すれば、人類の破滅は免れない。これを回避する方法はただひとつ、小惑星内部に核爆弾を設置し、内側から破壊するしかない。そしてその任務に選ばれたのは石油採掘のスペシャリストたちだった。刻々と迫る滅亡へのカウントダウンの中、人類の運命を委ねられた14人の男たちは小惑星へと飛び立った!



コメント:
あり得ない設定にベタベタなストーリー・・・
2度、3度と観ていくうちにそんな感想が湧いてくる。
まさしくこれが”マイケル・ベイの罠”とも言うべきものなのだ。

この映画を初めて観たのが高校2年のときだった。
このときは予告編を観てもかなり期待できる作品に見えたし、周囲の騒ぎ方も助けたおかげでかなり楽しめた記憶がある。
しかし今改めて真面目に観てみるとどうだろう?

まず設定とかマジあり得ない。
地球に巨大隕石が衝突するというのにNASAが手助けを要請したのが荒くれ者の掘削プロ。
地球を救うための最終手段が、この掘削プロ集団に宇宙へ行ってもらって隕石を爆破させるというとんでもないシナリオなのだ。
しかもこいつらは本当に地球を救う気があるのかどうかもわからないくらいふざけたやつばかり。
おまけに宇宙ステーションにいるロシア人もいかれた爺さんときた。
最後に父と娘のお別れのシーン。
このシーンはあり得ないくらい長い。
そんなに話す時間がどこにあるんだよ~というくらい長すぎるのだ。
真面目に観るとあり得ないくらいツッコミどころの多いこの映画。

しかしこんな作品だが、気楽に娯楽映画として観るとそれらが全て上手い演出に観えてしまうのだ。
例えばこのむちゃくちゃなキャラ設定は親しみやすさがあって感情移入しやすいし、話の流れも徐々に緊迫した雰囲気に持っていくにはとてもやりやすい。
隕石の衝突やロケットの墜落シーンなどは迫力の映像を作るには持ってこいのシナリオなので観客を楽しますことができる。
そして極め付けが父と娘、友人たちとのお別れシーン。
周りの時間が止まってしまったのではないかと疑ってしまうくらい長いこのシーンで、ここまで時間を取られては泣かずにはいられない。
最後の最後まで気の利いた演出をしてくれるところが流石だと思ってしまう。

それにしてもマイケル・ベイはこの手の映画を作るのが上手すぎる。
『パール・ハーバー』のときも同じ手法(観客を感動させる手法とでも言っておこう)を使って戦争テーマを見事アクション映画に仕上げてくれた。

つまり、マイケル・ベイの作品を観るときに注意したいのが、真面目にそのテーマについて観るのか?それとも単なる娯楽映画として観るのか?この選択次第では雲泥の差があるということが言えるのだ。
もし隕石の衝突をテーマにした作品を真面目に観たい人には『ディープ・インパクト』の方がまだマシだと言えるだろう。

これからもマイケル・ベイの作品を観るときは娯楽映画として臨むことにしよう。

『マスク』

2007年02月26日 02時27分40秒 | 映画レビュー
製作年度:1994年
上映時間:101分
監督:チャールズ・ラッセル
出演:ジム・キャリー 、キャメロン・ディアス 、ピーター・リーガート 、ピーター・グリーン 、エイミー・ヤスベック 、リチャード・ジェニ
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
小心者のスタンリーはひょんなことから不思議なマスクを拾う。家に帰り何気なくそのマスクを着けたとたん!猛烈な竜巻と共に彼の中のもうー人の自分《マスク》が現れた。そして彼は《マスク》の力を借りて、ー目惚れしたクラブ歌手、ティナにアタックするのだが……。



コメント:
ジム・キャリーのコメディセンス。
キャメロン・ディアス美貌。
そしてテンポのいい話の展開。
どれを取っても最高のコメディ映画だといえる。

僕がこの映画を観たのは確か中学生のときだっただろう。
出演者のことなんか全く興味がなく、ただこの”不気味な緑の仮面”に惹かれて観たのを覚えている。
そんな僕を笑いの渦に巻き込んでくれたのがジム・キャリーの演技だった。
あの顔芸とオーバーなリアクション。
CGを使ってはいるがそれは単なる補助的な役割に過ぎず、ジム・キャリーの持ち味を存分に生かすための演出だということがよくわかる。
まさしく僕の笑いのツボにはまる演技がこれだったのである。
そして本作のヒロインでこの映画がデビュー作となったキャメロン・ディアス。
こちらもまさに僕のドツボにはまる理想の女性像だったのである。
とにかくあまりにも美しい。
こんな美しい人がこの世の中にいるんだと思った瞬間だった(まだ中学生だったし)。

そしてこの二人の俳優を引き立てる役目を果たしたのがストーリーだ。
ひょんなことから不思議なマスクを拾った主人公がそのマスクを着けたとたん!猛烈な竜巻と共に彼の中のもうー人の自分《マスク》が現れ、そして彼は《マスク》の力を借りて、ー目惚れしたクラブ歌手、ティナにアタックするのだが……。
というなんとも奇想天外な発想のストーリー。
ノリノリのテンポで進んでいき、笑いあり笑いありとにかく笑いありの展開が申し分なくおもしろい。
バランスのいい仕上がりになっていて老若男女が楽しめる映画だといえる。

この映画をきっかけに、ジム・キャリーとキャメロン・ディアスはスターの道を歩んでいくことになるが、売れるきっかけになった作品がこれだということをみんなには知って欲しい。
ジムの笑いの原点、キャメロンの美しさの原点を再確認できる作品であることは間違いだろう。

『ソウ2』

2007年02月25日 19時32分19秒 | 映画レビュー
製作年度:2005年
上映時間:100分
監督:ダーレン・リン・バウズマン
出演:ドニー・ウォールバーグ 、ショウニー・スミス 、トビン・ベル 、フランキー・G 、グレン・プラマー 、ディナ・メイヤー
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
元々は荒くれ刑事で今は内勤に甘んじているエリック。彼はある時、猟奇的連続殺人犯ジグソウを執拗に追う女刑事ケリーに呼び出され、凄惨極まりない殺人現場に立ち会う。その残忍な手口から、これもジグソウの仕業に違いないと思われた。しかも死体はエリックが使っていた情報屋、マイケルだった。犯人が現場に残したヒントから、エリックはアジトを推測、SWAT、ケリーとともに急行する。案の定、そこにいたジグソウは、思いがけずあっけなく捕まった。だが、それはジグソウが仕掛けた新たなゲームの始まりに過ぎなかった。その部屋に設置されたモニターには、どこかの部屋に監禁された男女8人が写っており、その中にはエリックの息子ダニエルも閉じこめられていたのだった…。



コメント:
前作での常軌を逸した設定と衝撃的なラストを考えると少々残念な結果に終わってしまった本作。
続編は前作を越せないという法則が見事に的中してしまったとしか言いようがないだろう。
しかしそれは本作を駄作と言っているわけではない。
観る前からこの作品に期待しすぎてしまった自分がいけないのである。

まず『ソウ』の魅力とは一体何なのかを考えてみたい。

前作では、真っ暗な密室に”鎖で繋がれた二人の男”と”ひとつの死体”という設定から始まる。
誰にも展開が読めないまま話が進んでいくという設定には誰もが釘付けになったであろう。
少しずつ明らかになっていく真相が原因で、二人の男は精神的限界を超え想像を絶するような行動に導かれてしまう。
そして衝撃的なラストへと繋がっていく・・・

これを踏まえると、1作目のファンが続編に期待する要素といえば、いい意味で裏切ってくれるラストとこの常軌を逸した展開といったところだと思う。
果たして本作ではそれをクリアすることができていたであろうか?

実際のところ、本作はそれらの要素をクリアすることが出来ていたのではないかと思う。
どこかの部屋に監禁された男女8人、そしてジグソウの罠の連発。
『ソウ』の法則を変えることなく、新しい設定でここまで読めない展開を作り上げたということには正直感心した。

それでも前作を超えられなかった理由には、あまりにも前作が良すぎてしまったということが挙げられるである。
その先入観さえなければ十分楽しめる作品になっていたということは間違いない。
そう思うと僕にとってはあまりにもったいない映画なのだ。

期待しすぎてはいけない。
それがこれから観る人への僕からのアドバイスであろう。

『ソウ』

2007年02月23日 01時04分46秒 | 映画レビュー
製作年度:2004年
上映時間:103分
監督:ジェームズ・ワン
出演:ケイリー・エルウィズ 、ダニー・グローヴァー 、モニカ・ポッター 、リー・ワネル 、トビン・ベル 、ケン・レオン
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
薄汚れた広いバスルームで目を覚ました2人の男、ゴードンとアダム。彼らはそれぞれ対角線上の壁に足首を鎖で繋がれた状態でそこに閉じ込められていた。2人の間には拳銃で頭を撃ち抜かれた自殺死体が。ほかにはレコーダー、マイクロテープ、一発の銃弾、タバコ2本、着信専用携帯電話、そして2本のノコギリ。状況がまるで呑み込めず錯乱する2人に、「6時間以内に目の前の男を殺すか、2人とも死ぬかだ」というメッセージが告げられる…。その頃タップ刑事は“ジグソウ”を追っていた。ジグソウが仕掛ける残忍な“ゲーム”で次々と被害者が出ていたのだった…。



コメント:
最初から最後まで続く閉塞感とスタイリッシュな展開がサイコーにおもしろい。
こういった程よいグロテスク加減&最後まで展開のわからない映画は大好きだ。

"saw"という英語には"のこぎり"という意味と"見た[seeの過去形]"という二つの意味があるが、これはどちらも当てはまる内容であるといえよう。
というかなかなかセンスのいいタイトルネーミングだと思ってしまった程だ。
最後まで気の抜けない展開で、痛々しいシーンが多々あるのでそれらの演出が苦手な人にとっては辛い映画だろう。
だが僕にとってはとにかく最後まで犯人がわからなくて、わかったときは思わず『こいつかよ~』と叫んでしまうくらいだった。
見事に”ソウトラップ”にハメられてしまったという形だ。
わかる人にはすぐわかるオチなんだろうが・・・

最後まで犯人がわからないし目が離せない展開というところでは『スクリーム』や『メメント』に似ているように感じた。
どの映画も衝撃的ラストが待ち構えている作品だ。

『ソウ』を観終わった瞬間=気持ちよく騙してくれる映画に出会えた瞬間
この感想が一番しっくりくる作品だ。
まだ観てない人には、ぜひともその驚愕のラストを体験していただきたい。

『プライドと偏見』

2007年02月22日 03時06分23秒 | 映画レビュー
製作年度:2005年
上映時間:127分
監督:ジョー・ライト
出演:キーラ・ナイトレイ 、マシュー・マクファディン 、ドナルド・サザーランド 、ブレンダ・ブレシン 、ロザムンド・パイク 、ジュディ・デンチ
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
18 世紀末のイギリス。田舎町に暮らすベネット家の5人の子どもはいずれも女ばかり。女性に相続権がないこの時代、父親が死んだら家も土地も遠縁の男子が継ぎ、娘たちは路頭に迷ってしまう。母親はなんとか娘たちを資産家と結婚させようと躍起になっていた。そんなある日、近所に独身の大富豪ピングリーが引っ越してきた。にわかに浮き足立つ5人姉妹。そして舞踏会の夜、次女エリザベスは、ピングリーの親友ダーシーと出会う。しかし、ダーシーの高慢な態度に強い反感を抱くエリザベス。さらに、あらぬ誤解からダーシーへの嫌悪感はますます募っていくのだったが…。



コメント:
まず驚いたことに、この映画の中ではキスシーンが一度もない。
ラブストーリーにおいてキスシーンが一度もない映画を観たのは初めての経験だった。
どことなく違和感があるというのは僕だけだろうか・・・

それはさておき、この映画はタイトルにもついているように男と女の”プライドと偏見”が見所の作品。

正直言うと、個人的には登場する女性たちの感情の動きが解り難かったのだが、この時代設定に合わせた恋愛ドラマとしては見応えのある内容だったと思う。
とにかくこの時代の女性たちは常に結婚というものを考えており、特に資産を所有している男性にはとことんアタックしていく行動派ばかりなのだ。
たまたまこの映画の主人公たちがそうだったのか、それとも全ての女性たちがそうだったのかわからないが、ここまで恥を知らず攻めていく様子は見ていてとても気持ちが良い。
まあそういう女性が多かったということもあってか、世間では様々な噂が広まりそしてその噂が疑惑、偏見へと変わっていく。
その感情のぶつけあいが繰り返され、やがて相手の本来の姿が見えたとき”愛”というものが生まれる。
主人公の二人のやりとりはまさしくそれなのである。

観ているほうとしてはとにかくもどかしい感じが続いて少しイライラするところもあるのだが、ラストの展開を考えるととても効果的な展開なのかもしれない。
どちらかと言えば女性的主観の強い作品で、ゴタゴタの上最終的に結ばれていく恋愛が好みの人にはオススメの映画である。
とにかく主演のキーラ・ナイトレイのはにかんだ顔が可愛い!
マシュー・マクファディンはどうなんだろう?
それは女性的主観から判断して欲しいところだ。

『エミリー・ローズ』

2007年02月20日 03時13分08秒 | 映画レビュー
製作年度:2005年
上映時間:120分
監督:スコット・デリクソン
出演:ローラ・リニー 、トム・ウィルキンソン 、キャンベル・スコット 、ジェニファー・カーペンター 、コルム・フィオール 、ジョシュア・クローズ
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
ある日、神父ムーアが悪魔に呪われたという19歳の女子大生エミリー・ローズに悪魔祓いを施した末、死に至らしめたとして過失致死罪で起訴された。彼の弁護には、野心的な女性弁護士エリンがあたることに。エミリーは精神病で、薬の服用をやめさせたことが原因だと主張する検事側に対し、エリンはムーアの真摯な主張をもとに悪魔の存在を証明していく――。ある深夜3時、大学寮で寝ていたエミリーは焦げ臭いにおいで目を覚ました途端、原因不明の痙攣や幻覚に見舞われる。以来、症状が悪化し、病院でも改善が見られない彼女は自宅で療養する。やがて、自分の中に何かが取り憑いていると確信したエミリーは、ムーアに全てを託す。だが、彼の懸命な悪魔祓いも空しく、エミリーは無惨な姿で命を落としてしまう…。



コメント:
実話を基に、悪魔に取り憑かれてこの世を去った少女の数奇な運命を辿っていくオカルト・ホラー。

この映画で語られる話は事実なのだろうか?
それは誰にも断言できない・・・だがその可能性は?

劇中でも語られるこのセリフ、まさにその通りだと思う。
僕は生まれてこのかた一度も幽霊や呪いというものを信じたことがない。
ましてや悪魔や宗教なども全く信じない性格だ。
なぜならそのような体験をしたこともないし、それを実証できるものが存在していない世の中だからである。
だがそれらの現象が全くないというのも実証されていないのが事実だろう。
だからこそこの手の話は観る者によって全く感じ方の違う作品になると思う。
この映画のおもしろいところは、そんな話を裁判を通して見せることにより、双方の意見を交えながらどちらでも取れるようなストーリーに仕上げているという点だ。
信じるか信じないかという疑問は観客に投げつけて、より深みのある作品に仕上げている。

と、まあなんだか真面目に語ってしまったが、忘れてはいけないのはこの映画は完全なホラー映画であるということだ。
エミリー役を演じるジェニファー・カーペンターはとにかく恐い。
特殊メイクやCG、そして音の効果はもちろんあると思うのだが、悪魔に取り憑かれているときの演技はリアルすぎる。
なりきりという点では最高の演技だといえよう。
夜中3時に目が覚め…その瞬間焦げた匂い……そして勝手に開く扉………
と、ホラーではお決まりのような演出も健在でカメラワークもそれなりによかったと思う。

この物語を単なる映画として観るか?それとも現実的な話として観るか?
どちらにしても恐怖を体感することには違いないだろう。

『ドリームガールズ』

2007年02月18日 23時37分21秒 | 映画レビュー
製作年度:2006年
上映時間:130分
監督:ビル・コンドン
出演:ジェイミー・フォックス 、ビヨンセ・ノウルズ 、エディ・マーフィ 、ジェニファー・ハドソン 、アニカ・ノニ・ローズ 、ダニー・グローヴァー
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
1962 年、アメリカの自動車産業の中心地、デトロイト。エフィー、ローレル、ディーナの3人は音楽での成功を夢見て“ドリーメッツ”というグループを結成し、新人オーディションへの挑戦を繰り返していた。中古車販売会社のカーティスはそんな彼女たちに大きな可能性を見出し、マネジメントを買って出る。そして、地元で抜群の人気を誇るジェームズ・アーリーのバック・コーラスに抜擢されると、彼らのパワフルなステージはデトロイトのみならず全米中の注目を集め、一躍スター街道を歩み始めるのだったが…。



コメント:
音楽、映画、舞台の要素が全て兼ね備えられた極上のエンターテインメントムービー。
出演者が奏でる歌と歌声は圧巻。
最初から最後まで全身に鳥肌が立ちまくりで最高の感動を与えてくれた作品だ。

元々、音楽にはかなり疎い僕がこの映画を観た理由は、今年のアカデミー賞に最多ノミネートされている作品だということでとりあえず興味があったからだ。
はっきり言って、過去に”ドリームガールズ”というミュージカルがブロードウェイで上演されていたということは全く知らず、本作がその映画化ということを知ったのも映画を観終わってからのことだ。
しかしそんな知識を全く必要とせずただただ音楽のすばらしさを見せ付けてくれる作品、それが『ドリームガールズ』なのである。

僕が過去に観たことのあるミュージカル映画といえば『シカゴ』のみである。
そう、本作で監督を勤めたビル・コンドンが脚本を担当した作品だ。
この人が手がける作品には最大の共通点がある。
それは歌による演出が半端なくうまいということだ。
ストーリーに合わせた歌の挿入が抜群によく、セリフを歌にすることでメッセージの伝わり方、感情の起伏がとてもわかりやすいものになっている。
そしてドリームガールズの激動の人生を歌だけで語ってしまうという演出には感服させられた。

この映画の功績として俳優の歌声というものを忘れてはならない。
実際ビヨンセ・ノウルズを始めほとんどの俳優はミュージカルや歌手としての実績があるので、歌がうまいのは当たり前と言っちゃ当たり前。
そんな中、個人的に驚いたのがエディ・マーフィーの歌唱力。
大抵の人に聞けばエディ・マーフィーのイメージといえばコメディアンと答える人がほとんだろう。
しかし、この映画を観ればそのイメージがガラッと変わるのは間違いない。
俳優としての演技はもちろんすばらしい。
だけど歌を聴いた瞬間、いい意味で裏切られたなぁという気がしてならなかったということをみんなに伝えておきたい。
こんな才能を垣間見れただけでも最高の作品だといえよう。
また本作でアカデミー助演女優賞にノミネートされたジェニファー・ハドソン。
新人歌手としても活躍している彼女は、主演のビヨンセ・ノウルズをも飲み込んでしまうほどの歌唱力で観るものを圧倒している。
歌というものは心・魂(ソウル)で伝えるものだということを教えてくれる最高の演技だった。

それにしても歌というものには本当に底知れぬ力を感じてしまう。
『シカゴ』を観たときもそうだったように、歌と映像を合わせた映画というのはしばらくしてからもずっと頭を離れることがない。
まるで自分がこの”ドリームガールズ”のような栄光を手に入れたような感覚に陥り、とても気分が弾んでしまうのだ。
歌が好きな人にはぜひオススメしたい作品。

『ユージュアル・サスペクツ』

2007年02月16日 00時30分44秒 | 映画レビュー
製作年度:1995年
上映時間:105分
監督:ブライアン・シンガー
出演:スティーヴン・ボールドウィン 、ガブリエル・バーン 、チャズ・パルミンテリ 、ケヴィン・ポラック 、ピート・ポスルスウェイト 、ケヴィン・スペイシー
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
カリフォルニア、サン・ペドロ港でアルゼンチン・マフィアの所有する船舶の炎上事故が発生。それはコカインを奪おうとした犯罪者一味とマフィアの闘いの結果であった。一味の生き残りであるヴァーバル(K・スペイシー)を尋問していた関税特別捜査官クインラン(C・パルミンテリ)は、6週間前、銃器強奪事件の容疑者として集められた5人の男たちの身にふりかかった奇妙な話を聞く事になる。元汚職警官のキートン(G・バーン)、マクナマス(S・ボールドウィン)とフェンスター(B・デル・トロ)の強盗コンビ、爆破の専門家ホックニー(K・ポラック)、そして詐欺師のヴァーバルら5人は、釈放後、協力して宝石強奪を決行。ブツをさばくためにLAの故買屋と接触した5人は、そこで新たなヤマを依頼されるが、宝石と聞かされていた獲物は麻薬で、トラブルから相手を射殺してしまう。そして恐慌状態の彼らの前に、伝説のギャング“カイザー・ソゼ”の右腕と名乗る弁護士が現れたというのだ……。



コメント:
この映画はなんといっても脚本がすばらしい!
まず主人公が5人の容疑者というところ。
サスペンス的要素やユーモアを出すにはこの人数はベストだといえよう。
キャラの設定がおもしろく、どの人物も怪しさを醸し出している。
多からず少なからずといったところがこの映画のバランスを保っている。

そしてこの映画のキーワードともいえるのが“カイザー・ソゼ”。
耳にしただけでいかにも怪しい、そして響きがいい。
一体こいつは何者で何が目的なのか?
その謎が、容疑者のうちの1人“ヴァーバル”によって語られる。

とにかくストーリーの運び方がうまくて最後まで目が離せない。
観た人のほとんどがいい意味で裏切られる形になるであろう。

“カイザー・ソゼ”

その正体が明らかになるまで決して目を離してはならない。
そしてこのクールな結末に驚嘆しろ!

『2001年宇宙の旅』

2007年02月14日 01時24分41秒 | 映画レビュー
製作年度:1968年
上映時間:139分
監督:スタンリー・キューブリック
出演:ケア・デュリア 、ゲイリー・ロックウッド 、ウィリアム・シルヴェスター 、ダニエル・リクター 、レナード・ロシター 、マーガレット・タイザック
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
猿人の眼前に屹立するモノリス、それに触れた猿人が骨を武器として用い他の猿人を打ち殺し、空高く放り投げられた骨は一瞬にして宇宙船へと変わる--その、史上最も時空を超えたジャンプ・カットを後に、舞台は宇宙へ移行する。『美しき青きドナウ』や『ツァラトゥストラはかく語りき』といったクラシックをBGMに、悠々と描き出される未来のイメージ。そして、木星探査船ディスカバリー号での淡々とした日常業務。やがてコンピュータHAL9000に異変が起こり、ボウマン船長は光り渦巻くスターゲイトをくぐり抜けスター・チャイルドとして転生する……。



コメント:
はっきり言って僕には一生この映画を理解することなんてできないだろう。
しかし観終わった後に、とてつもないインパクトを受けた映画であったことには違いない。
映画でこんな不思議な体験をしたのは初めてだった。
一応おおまかなストーリーはあるのだが、映像と音楽が印象的で観客の思うがままに観てほしいという監督のメッセージが伝わってくる作品だ(キューブリックが本当にそう思っていたかどうかは定かではないが・・・)。
とにかくどんな言葉でも当てはまりそうな映画なので本当に不思議なのである。
最後まで観た人にとっては必ず何かを考えさせられる映画だし、途中で寝てしまった人にとっては単なる催眠術のような映画なのであろう。

一言でいえばそんな映画なのだ。

この映画を観てひとつの答えをだそうなんて考えてはならない。
観た人の数だけ答えが出る作品、それが『2001年宇宙の旅』という映画なのだ。

『シャイニング』

2007年02月11日 00時51分36秒 | 映画レビュー
製作年度:1980年
上映時間:119分
監督:スタンリー・キューブリック
出演:ジャック・ニコルソン 、シェリー・デュヴァル 、ダニー・ロイド 、スキャットマン・クローザース 、バリー・ネルソン 、フィリップ・ストーン
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
冬の間閉鎖されるホテルに、作家志望のジャック一家が管理人としてやってきた。そのホテルでは過去に、管理人が家族を惨殺するという事件が起こっていたのだが……。



コメント:
すでにこの映画を観たことがある人ならわかると思うが、この映画がなぜ恐いのかを一言で言うと、間違いなくジャック・ニコルソンとシェリー・デュヴァルの顔がすさまじく恐いからだ。
正直、過去にあった惨殺事件とか幽霊とかどうでもいい話なのである。

時間が経つにつれて精神を侵されていくジャック・ニコルソン。
髪もぐしゃぐしゃで目の周りも真っ黒、そして極めつけのイカレタ笑顔。
これを素の顔でやってしまうところがまさに恐怖に値する。
そしてそのイカレタ旦那に追っかけ回されるシェリー・デュヴァル。
まあ元々素顔からどことなく不気味な顔をしているのは確かなんだけど、この顔が恐怖に歪んだとき更に恐ろしい顔になってしまうところがマジで恐い。

結局こんな両親のもとに生まれてきたダニーが一番恐怖のどん底にいるということは間違いないだろう。
まあこの子もところどころ恐い演技をしていたけど・・・

また演出や音楽でもかなり工夫が凝らされていた。
迷路の中を走るシーンなんかは、前方からの映像と後方からの映像をうまく組み合わせて緊張感を出していた。
この演出は随所で使われていておもしろかった。
音楽は全体的に耳を突くような音が使用されていて恐怖感を増幅させている。
この辺の技術はさすがキューブリックと思わせるところである。

まあなんといってもこの映画のスゴイところは主演二人の顔と演技。
これだけで十分ホラー映画としてのレッテルを貼ることができる作品だといえよう。

『明日に向って撃て!』

2007年02月10日 17時54分35秒 | 映画レビュー
製作年度:1969年
上映時間:112分
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
出演:ポール・ニューマン 、ロバート・レッドフォード 、キャサリン・ロス 、ストローザー・マーティン 、クロリス・リーチマン 、チャールズ・ディアコップ
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
列車強盗としてならしたブッチとサンダンス。しかし、近代化に向かう時代に、彼らの生き方はあまりにも旧弊だった。新たな夢を求めて、二人は南米ボリビアへと旅立つが……。



コメント:
この映画のラストは衝撃的だ。
同様のラストが描かれている作品として『ボニーとクライド/俺たちに明日はない』という映画がある。
どちらも実話を基にした作品でラストは警官隊によって蜂の巣にされるという悲劇的なものだ。

しかしこの2作品を比べてみると明らかに異なる部分がある。
それはその衝撃的な結末の見せ方だ。

『ボニーとクライド/俺たちに明日はない』では、その蜂の巣にされる様子を全て映像で見せることで完璧なリアルさを出している。
だが本作では、結末は誰もが想像できるものであるため、画面にストップをかけてそのままゆっくりとセピア色に染まっていくという演出を施してある。その最後を物語るのは想像を絶する数の銃声だけ。
このラストには本当に驚かされた。
そして言葉にすることができなかった。

こんなラストにできるのも”男の友情”というテーマがあってからこそであろう。
全編を通して描かれるポール・ニューマン演じるブッチとロバート・レッドフォード演じるサンダンスの友情。
死ぬ間際の二人の会話ではその絆の強さを感じることができた。
そしてその直後に最後を迎えてしまう・・・

しかしこんなラストを見せられたにも関わらずあまり悲しさが残らないなということに気づく。
しばらくしてからその理由は劇中で流れる音楽のせいだということがわかった。
この映画で使用されている音楽のほとんどは明るい音楽ばかり。
序盤でブッチが後ろ乗りで自転車を乗り回すシーンでは『雨に濡れても』が流れる。
なんという陽気な作品なんだと思ってしまったくらいだ。
このシーンのオチとしてはそのまま柵に衝突してしまうというおバカなシーンでこれには思わず苦笑してしまった。
他にも男の友情ありきなジョークがちらほら見えて、まさかこんなラストになるなんて想像すらできなかった。
でもこういった絶妙なバランスによって名作は生まれるんだなと感じた作品だ。

まあこれがアメリカンニューシネマの醍醐味なのであろう。

『カッコーの巣の上で』

2007年02月08日 00時00分30秒 | 映画レビュー
製作年度:1975年
上映時間:129分
監督:ミロス・フォアマン
出演:ジャック・ニコルソン 、ルイーズ・フレッチャー 、マイケル・ベリーマン 、ブラッド・ドゥーリフ 、ウィル・サンプソン 、クリストファー・ロイド
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
刑務所の強制労働から逃れるため精神異常を装ってオレゴン州立精神病院に入ったマクマーフィは、そこで行われている管理体制に反発を感じる。彼は絶対権力を誇る婦長ラチェッドと対立しながら、入院患者たちの中に生きる気力を与えていくが……。



コメント:
この映画を観終わったとき思い出した映画といえば『ショーシャンクの空に』と『グリーンマイル』の2本だ。
そう、どちらの作品も刑務所という閉じられた世界での人間ドラマを描いた作品である。
この『カッコーの巣の上で』では精神病院が舞台になっていて、刑務所とはまた一味違った雰囲気が描かれている。

刑務所の強制労働から逃れるため精神異常を装ってオレゴン州立精神病院に入ったマクマーフィ。彼は、そこで行われている管理体制に反発を感じ、絶対権力を誇る婦長ラチェッドと対立しながら、入院患者たちの中に生きる気力を与えていくが……。

と、まあ結局やってくるのは刑務所から来た人間で、決して善人とは言えないキャラが主人公。
しかし、このキャラの人間性はとてもおもしろい。
舞台が精神病院ということもあるのだが、とても人間らしい行動を見せてくれて、周りの人々に元気を与えてくれる力がある。
演じているのはこの映画でアカデミー主演男優賞を獲得したジャック・ニコルソン。
たまに恐い顔を見せたり、急にはしゃいで見せたりとかなり幅の広い演技を見せてくれている。

この作品のテーマはまさに”人間の尊厳と社会の不条理”を問いただしている。
映画の中に出てくる婦長は見ていてとても腹立たしい人間だ。
どこかバランスの崩れた考え方をしていて人間としての形振りができなくなっている。
そんな人間がトップに立つことで、周りの人間もバランスが取れなくなっている。
ここにマクマーフィという新入りがくることで、今まで押さえつけられていた人間が、人間としての考えを身に付けていく過程はとてもおもしろい。
そしてなんといってもマクマーフィと婦長の対立が一番の見所であるだろう。

この映画を観て人間の在り方を今一度考えてみてはどうだろうか。
稀にみる人間ドラマの最高傑作に値する作品だ。

『リバティーン』

2007年02月06日 02時06分57秒 | 映画レビュー
製作年度:2004年
上映時間:110分
監督:ローレンス・ダンモア
出演:ジョニー・デップ 、サマンサ・モートン 、ジョン・マルコヴィッチ 、ロザムンド・パイク 、トム・ホランダー 、ジョニー・ヴェガス
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
1660 年代、王政復古のイギリス。国王の親族が居並ぶ大事な宴の席で卑猥な詩を朗読して国王の怒りを買い幽閉されていた第二代ロチェスター伯爵こと詩人のジョン・ウィルモット。恩赦を受けて3ヵ月ぶりにロンドンへと戻ってくる。しかし、ロンドンでは相も変わらず悪友たちと酒を酌み交わし、娼婦を抱く放蕩の日々。そんなある日、ジョンは訪れた芝居小屋で観客のブーイングを浴びていた若い女優エリザベス・バリーに目を留める。彼女の隠れた才能に気づいたジョンは自ら演技指導を申し出る。悪名高いジョンを警戒して固辞するバリーだったが、ジョンの熱意に押し切られ、翌日から2人は一対一で稽古を開始するのだった。



コメント:
ジョニー・デップの魅力が遺憾無く発揮されている作品。
それにしても毎度のことながら、ここまで役になりきってしまう彼には本当に参った。

僕はこの映画の最初と最後のジョニーのセリフが大好きだ。
ここまで自分の役をけなすセリフはなかなかないだろう。
そしてこれを聞かされている自分がなぜかこの役を好きになってしまいそうなのである。
やはりこれはジョニーマジックとも言えるものなのであろうか?
観客を惹きつける魅力、ジョニーにはそれが十分備わっている俳優だと言えよう。

脇を固める俳優もすばらしかった。
チャールズ二世を演じたジョン・マルコヴィッチ、 エリザベス・バリーを演じた サマンサ・モートン、 ロチェスターの妻を演じた ロザムンド・パイク、彼らの演技力も確かなもので、後半につれてどんどん物語に引き込んでいってくれた。

実際このロチェスター伯爵という人物は実在したらしいのだが、この人物や歴史に興味がなければストーリー的には結構どうでもいいものなのかもしれない。
この映画の魅力はなんといってもジョニー・デップ。
これから鑑賞する方には、彼の演技に引き込まれそして彼の魅力に酔いしれて頂きたい。

『NOTHING ナッシング』

2007年02月05日 02時27分24秒 | 映画レビュー
製作年度:2003年
上映時間:89分
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ
出演:デヴィッド・ヒューレット 、アンドリュー・ミラー 、ゴードン・ピンセント 、マリ=ジョゼ・クローズ 、アンドリュー・ロウリー
オススメ度:★★★☆☆

ストーリー:
カナダのトロント。デイブとアンドリューは幼い頃からの親友同士。デイブは協調性が全くない自己中心男、一方のアンドリューは極度の心配性で家から出られない引きこもり。ルームメイトの2人は、デイブが外で働き、アンドリューが家事を引き受けることで、なんとか互いに助け合いながら生きていた。しかしそんなある日、2人はたび重なる不幸に見舞われ、ついには住み慣れた家からも追い出されようとしていた。すっかり何もかもが嫌になった2人は、思わず“放っといてくれ!”と叫ぶ。するとその瞬間から、驚いたことに彼らの周りから“無の世界”が広がっていくのだった…。



コメント:
『CUBE』を作った監督が再び奇才ぶりを発揮して作り上げた世界ということで興味があったので観てみた作品。
まさかこの映画がコメディタッチに仕上がっているとは思いもしなかった。

それにしてもこの人が作る世界観はいろんな意味でスゴイ。
僕には到底思いもつかない世界観である。
このどうにでも転がるような展開をひとつのストーリーでまとめているのはさすがだ。

とは言っても、結局なんだかよくわからない内容なのだが、観客のイマジネーションをどんどん膨らませてくれるということに関しては言う事はない。
現実と仮想の世界をちゃんと区別して観ることのできる人には楽しめる映画であろう。
そんな人にはぜひこの不思議な世界を体感してもらいたい。