シネブログ

このブログは映画に関する記事を書いています☆

『サマーウォーズ』

2009年08月01日 13時36分03秒 | 映画レビュー
原題:-
製作年度: 2009年
別題:-
製作国・地域: 日本 上映時間: 114分
監督:細田守
脚本:奥寺佐渡子
キャラクターデザイン:
貞本義行
岡崎能士(OZキャラクターデザイン)
岡崎みな(OZキャラクターデザイン)
浜田勝(OZキャラクターデザイン)
作画監督:
青山浩行
藤田しげる
濱田邦彦
尾崎和孝
撮影:増元由紀大
美術監督:武重洋二
デザイン:上條安里(OZ美術デザイン)
編集:西山茂
音楽:松本晃彦
主題歌:山下達郎 『僕らの夏の夢』
CGディレクター:堀部亮
音響効果:今野康之
色彩設計:鎌田千賀子
録音:小原吉男
アクション作画監督:西田達三
声の出演:
神木隆之介 小磯健二
桜庭ななみ 篠原夏希
谷村美月 池沢佳主馬
斎藤歩 陣内侘助
横川貴大 佐久間敬
信澤三恵子 陣内万理子
谷川清美 篠原雪子/陣内典子
桐本琢也 陣内理一
佐々木睦 篠原和雄
玉川紗己子 陣内理香
永井一郎 陣内万助
山像かおり 三輪直美
小林隆 陣内太助
田村たがめ 池沢聖美
清水優 陣内翔太
中村正 陣内万作
田中要次 陣内頼彦
中村橋弥 陣内邦彦
入山法子 陣内奈々
板倉光隆 陣内克彦
仲里依紗 陣内由美
安達直人 陣内了平
諸星すみれ 陣内真緒
太田力斗 陣内祐平
皆川陽菜乃 陣内加奈
富司純子 陣内栄
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
仮想都市OZ(オズ)が人々の日常生活に深く浸透している近未来。小磯健二は天才的な数学の能力を持ちながらも内気で人付き合いが苦手な高校2年生。彼は憧れの先輩、夏希から夏休みのアルバイトを頼まれ、彼女の田舎、長野県の上田市を訪れる。そこに待っていたのは、夏希の親戚家族“陣内(じんのうち)家” の個性溢れる面々。この日は、夏希の曾祖母で一族を束ねる肝っ玉おばあちゃん、栄の90歳の誕生日を祝う集会が盛大に行われていた。その席で健二は夏希のフィアンセのフリをする、というバイトの中身を知ることに。そんな大役に困惑し振り回される傍ら、その夜健二は謎の数字が書かれたケータイ・メールを受信する。理系魂を刺激され、その解読に夢中になる健二だったが…。

コメント:
「時をかける少女」では、“タイムリープ”という能力を身につけた
ヒロインの淡い恋の行方と心の成長が丁寧に描かれていた。

あの感動から3年。
細田守監督の新作がいよいよ登場した。

この「サマーウォーズ」は、仮想都市OZ(オズ)と
現実の世界を舞台にして、家族の絆と命の大切さを
爽快なアクションと共に描いたSF青春アドベンチャーだ。

パソコンや携帯電話は現代には欠かせないものとなっている。
普段からそれらを使用している人なら、一度くらいゲームやmixiなどの
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを
やったことがあるのではなかろうか。

もちろんそれらは全てネットワークで繋がっており、
何かしらを通じて世界中が繋がっていると言っても過言ではない。
最近ではDSやPSPなど全ての通信機器と接続することも可能だ。
全くやったことがない人にはよくわからない世界なのかもしれない。
本作で描かれる仮想都市OZ(オズ)とは、一言で言えば、
mixiやハンゲームと言ったネットの世界である。

そんな仮想都市OZと戦争を繰り広げるのが、
本作の主人公ともいえる“陣内(じんのうち)家”の人々。
OZではアバターなど自らのアカウントで管理されている世界なのだが、
この陣内家の皆をアバター化した姿が個性豊か。
各キャラが各々の才能と性格を生かし、世界の危機と対面する。

話の元となるのが、陣内家の当主である曾祖母の90歳の誕生日を
祝うという名目で、一族の早々たるメンバーが集結する。
長野の上田という長閑な田舎で、甲子園の地元高を応援する姿や
子供たちがゲームなどで遊ぶ姿。
親戚の集まりではよく見られる光景で、見ているだけで心が落ち着かされる。

しかしそんな田舎とは縁のなさそうなネットの世界が
次第に陣内家そして世界へと影を落としていく。

OZという独創性豊かな世界を舞台にして、
アバター同士が協力して、ある敵と対峙する過程は見ていて楽しい。
その中でも、花札を使ってバトルをする発想は最高だと思った。

まあ結局本作で何が言いたかったのかを僕なりの言葉で書くとすると、
家族の絆と命の大切さ、そして何よりもコミュニケーションの重大さを
描きたかった作品なのだと思うのだ。

ネットで繋がる現代の世界。
一昔に比べると、人と人とが向き合って
コミュニケーションをとる機会が減ってきているように思う。
なぜならパソコンでチャットも出来るし、
携帯で会話もできる世界が広がっているから。

しかし、そんな現代でももちろん家族が集まれば普通に会話はできる。
なのにそれをしようとしない人が多いのも事実。
要は普段からもっと身近な人とのコミュニケーションを
大切にしろってことを言いたいのだろう。

映画の中盤で陣内家にある大事件が起こり、
家族は人の命の大切さに気付かされる。
命の大切さは、ただ近くにいても遠く離れていても
なかなか気付かされるものではない。
たまたま事件が起こり、そしてみんなが納得いくまで話し合って、
その中でひとつの目標を見つけ動かされていく。

そういう過程が不足している現代への警鐘を、
本作で一番伝えたかったのではないだろうか。

いまや人と人との繋がりはあらゆるところに存在している。
それはリアルなものもあれば、バーチャルな世界でも存在する。
いつ何時どの繋がりで事件が起こるかわからない世界。
現代人は常にその危険と向き合って生活しなければならない。

そんなとき自分は頼れる家族・友達がいるだろうか。
今の自分と重ね合わせて現代の生き方を見つめなおすための作品
それが「サマーウォーズ」である。

笑いあり涙ありのこの作品、
僕の中では間違いなく今年一番の作品だといえるだろう。

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』

2009年07月30日 21時58分00秒 | 映画レビュー
原題: HARRY POTTER AND THE HALF-BLOOD PRINCE
製作年度: 2008年
別題:-
製作国・地域: イギリス/アメリカ 上映時間: 154分
監督:デヴィッド・イェーツ
製作:
デヴィッド・ハイマン
デヴィッド・バロン
製作総指揮:ライオネル・ウィグラム
原作:J・K・ローリング
脚本:スティーヴ・クローヴス
撮影:ブリュノ・デルボネル
クリーチャーデザイン:ニック・ダドマン
視覚効果監修:ティム・バーク
特殊メイク:ニック・ダドマン
プロダクションデザイン:スチュアート・クレイグ
衣装デザイン:ジェイニー・ティーマイム
編集:マーク・デイ
音楽:ニコラス・フーパー
出演:
ダニエル・ラドクリフ ハリー・ポッター
ルパート・グリント ロン・ウィーズリー
エマ・ワトソン ハーマイオニー・グレンジャー
ジム・ブロードベント ホラス・スラグホーン
ヘレナ・ボナム=カーター べラトリックス・レストレンジ
ロビー・コルトレーン ルビウス・ハグリッド
ワーウィック・デイヴィス フィリウス・フリットウィック
マイケル・ガンボン アルバス・ダンブルドア
アラン・リックマン セブルス・スネイプ
マギー・スミス ミネルバ・マクゴナガル
ティモシー・スポール ピーター・ペティグリュー
デヴィッド・シューリス リーマス・ルーピン
ジュリー・ウォルターズ ウィーズリー夫人
ボニー・ライト ジニー・ウィーズリー
マーク・ウィリアムズ アーサー・ウィーズリー
ジェシー・ケイヴ ラベンダー・ブラウン
フランク・ディレイン トム・リドル(16歳)
ヒーロー・ファインズ=ティフィン トム・リドル(11歳)
トム・フェルトン ドラコ・マルフォイ
イヴァナ・リンチ ルーナ・ラブグッド
ヘレン・マックロリー ナルシッサ・マルフォイ
フレディ・ストローマ コーマック・マクラーゲン
デヴィッド・ブラッドリー
マシュー・ルイス
ナタリア・テナ
ジェマ・ジョーンズ
ケイティ・ルング
デイヴ・レジーノ
オススメ度:★★★☆☆

ストーリー:
闇の帝王ヴォルデモートがマグル(人間)と魔法使い双方の世界で支配力を強め、その脅威はハリーたちのホグワーツ魔法学校にも及んでいた。校内を警戒し始めるハリー。最終決戦が迫っていることを知っているダンブルドア校長は、そんなハリーに来たるべき戦いにむけての準備を施していく。また、ヴォルデモートの防御を解く手掛かりにと、重要な情報を持つ元同僚の旧友ホラス・スラグホーンを魔法薬学教授として学校に迎え入れるのだった。一方、ギクシャクした関係が続くロンとハーマイオニーらホグワーツの生徒たちには春が訪れ、学校中で恋の騒ぎを繰り広げる。そんな中、決戦の準備を進めるハリーはヴォルデモートの意外な過去を知ることになるのだが…。

コメント:
自分は原作を読んでない身だが、そんな立場から言わせてもらうと
今作はいまいち要点が絞り込めてない感じだと言えるだろう。

今作のメインとなるお話としては、サブタイトルにもなっている
”THE HALF-BLOOD PRINCE”=”半純血のプリンス”の存在だろう。
一体このプリンスとは誰のことを指すのか!?
そしてプリンスとヴォルデモートの繋がりは!?
できればこの2点を深く濃く描いてほしかった。

シリーズそのものがダークな内容になりつつある本作が、
ハリーとヴォルデモートの関係を深めつつ、いよいよクライマックスへと展開していく。

ところが、ここにきても未だメインとして描かれるのが、
各登場人物の”恋の物語”である。

読んでないのでわからないのだが、
原作も大いに恋の絡みについて描かれているのだろう。
でなければここまで映画で時間を割く必要もない気がするのだ。

元々、ファンタジー映画の超大作だった『ハリー・ポッター』シリーズだが、
ここにきていまいち的を絞り切れてないように感じてしまった。

あと個人的に本作に期待していたのが、魔法使い同士の激しい魔法対決!!
前作の『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』ではラストで
ダンブルドアとヴォルデモートの究極魔法対決を見せつけられた。
正直、今作を観るきっかけとなったのが、あの前作のラストを超える
魔法対決を観たかったからなのだ。

しかし、その期待も虚しく…
魔法らしい魔法はいまいち見られなく、視覚的に盛り上がるのは
ほんの一部だったように感じた。

その代わりと言ってはなんだが、ストーリーは佳境に向かいつつあり、
各登場人物の感情の渦巻きは見所のひとつであったように思う。
”半純血のプリンス”の正体も原作を読んでない自分にとっては衝撃の展開。

『ハリー・ポッターと死の秘宝』も2部作に分けて公開されるということで、
ストーリーに関しては最後まで期待して観たいと思う。

それにしてもドラコ・マルフォイ役の子役の成長ぶりには驚いた。
みんな昔の面影がなくなりつつあることに、本シリーズの長さを感じる。

『愛を読むひと』

2009年07月18日 15時15分40秒 | 映画レビュー
原題: THE READER
製作年度: 2008年
別題:-
製作国・地域: アメリカ/ドイツ 上映時間: 124分
監督:スティーヴン・ダルドリー
製作:
アンソニー・ミンゲラ
シドニー・ポラック
ドナ・ジグリオッティ
レッドモンド・モリス
製作総指揮:
ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
原作:ベルンハルト・シュリンク 『朗読者』(新潮社刊)
脚本:デヴィッド・ヘア
撮影:
クリス・メンゲス
ロジャー・ディーキンス
プロダクションデザイン:ブリジット・ブロシュ
衣装デザイン:アン・ロス
編集:クレア・シンプソン
音楽:ニコ・ムーリー
出演:
ケイト・ウィンスレット ハンナ・シュミッツ
レイフ・ファインズ マイケル・バーグ
デヴィッド・クロス 青年時代のマイケル・バーグ
レナ・オリン ローズ・メイザー/イラナ・メイザー
アレクサンドラ・マリア・ララ 若き日のイラナ・メイザー
ブルーノ・ガンツ ロール教授
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
1958年のドイツ。15歳のマイケルは偶然出会った年上のミステリアスな女性ハンナに心奪われ、うぶな少年は彼女と彼女の肉体の虜となっていく。やがて度重なる情事のなかで、いつしかベッドの上でマイケルが本を朗読することがふたりの日課となる。ところが、ある日突然ハンナは姿を消してしまう。8年後、法学生となったマイケルは、ハンナと思いがけない形で再会を果たす。たまたま傍聴したナチスの戦犯を裁く法廷で被告席に座る彼女を見てしまったのだ。裁判を見守るマイケルは、彼女が自分が不利になるのを承知で、ある“秘密”だけは隠し続けようとしていることに気づく。その秘密を知るただ一人の者として、マイケルは葛藤し、答えを見い出せないまま苦悩を深めていくのだが…。

コメント:
考えれば考えるほど、言葉では語ることが難しい映画だ。

本作のキーワードは”コンプレックス”。
コンプレックスとは、ある事柄と、本来無関係な感情とが結合された状態。

人間誰しもひとつくらいコンプレックスを持っているのではなかろうか?
だが他人からすれば、それは言われてみないとわからないものである。
それを一生隠し通すか、それとも開き直ってしまうか…。
もし人生のうちで、自らのコンプレックスを公の場で認めざるを得ない
瞬間がきたら、自分ならどうするだろうか?

この選択によりハンナの人生は大きく左右されることになってしまう。

そもそもなぜハンナは法廷で自らを苦しめる判断に陥ってしまったのか。
それは彼女のモラル面に問題があったのだと思う。

”文盲”というコンプレックスを必死で隠そうとする挙句、
自らが犯した過ちを見極めることができなくなっている。
ナチスの戦犯で裁判にかけられている状況においても、
優先順位を見失い全く持って無知な発言ばかりが目立ってしまう。

自分の秘密 > 仕事 > 他人の命

こんな項式が出来上がってしまっている。

また過去に15歳のマイケルとの情事を繰り返したことも、
大人の女性としては軽はずみな行動ではなかろうか。
寂しさを紛らわすためなのか、はたまた人の弱みを見ては助けたくなる、
母性本能がそうさせてしまったのか。
謎多き女性であることには違いないだろう。

もちろん自分のことを喋らない人間のことはわからないし、
いざ助けようにもどうしようもなくなる。

ただ若さゆえに彼女を愛し続けたマイケルは
最後に真実を知りながらも、彼女の生き様を見届ける結論に
至ってしまったように感じた。
それは残酷なものでもあり、やさしさのようでもあった。

戦時中ゆえに”文盲”がどのように扱われていたのかわからないが、
もっとハンナが自らのコンプレックスと素直に生きていられれば、
結果はもっと違うものになっていただろう。

愛、コンプレックス、裁判が重なりあった内容で、
いろんな見応えを感じることができた作品に出会えた。

そして最後に言いたいのが、アカデミー賞6回目のノミネートで見事
主演女優賞に輝いたケイト・ウィンスレットへのお祝いの言葉

”おめでとう”

そして素晴らしい演技に感謝する

”ありがとう”

『コヨーテ・アグリー』

2009年07月01日 00時38分37秒 | 映画レビュー
原題: COYOTE UGLY
製作年度: 2000年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 101分
監督:デヴィッド・マクナリー
製作:ジェリー・ブラッカイマー
製作総指揮:
スコット・ガーデンアワー
チャド・オマン
マイク・ステンソン
脚本:ジーナ・ウェンドコス
撮影:アミール・M・モクリ
編集:ウィリアム・ゴールデンバーグ
音楽:トレヴァー・ホーン
出演:
パイパー・ペラーボ
マリア・ベロ
タイラ・バンクス
イザベラ・マイコ
ブリジット・モイナハン
アダム・ガルシア
ジョン・グッドマン
メラニー・リンスキー
マイケル・ウェストン
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
ソングライターを夢見てニューヨークで一人暮らしをするヴァイオレットは、生活資金を稼ぐためにクラブ・バー“コヨーテ・アグリー”で働くことにした。そこでは、弁護士や女優を目指している女性バーテンダーたちが、カウンターの上でセクシーでエキサイティングなダンス・パフォーマンスを繰り広げていた……。

コメント:
”コヨーテ・アグリー”という名前の由来…それは…
酔っ払って見知らぬ相手と寝てしまい、翌朝、腕の中の相手の顔を見て、
腕を噛み切ってまで逃げ出したいと後悔すること…

という、コヨーテの習性に掛けたもの。
このネーミングセンス好きだな。

みなさんこんな経験したこと……ある?
もし一度でも経験があるなら笑い飛ばして観れる映画かもしれない。

製作には、かの有名なジェリー・ブラッカイマー。
彼のジャンルと言えば”アクション”といっても過言ではないような
気がするが、実は”ドラマ”の構成を彩る天才だ。

彼のヒット作品を見ると『アルマゲドン』『ザ・ロック』
『コン・エアー』などアクション大作が目立っているようだが、
実はどの作品にも大きなドラマが掲げられている。

それは”生きるか死ぬか”というもの。

人間の極限を作り出した状態で、笑い、涙、感動を打ち出す流れ。
彼が手掛けるものは全てが大袈裟な演出ばかりだが、
そこには誰しもが共感できる感情が盛り込まれている。
彼がヒットメーカーとして確立できた理由は
そういったところにあるのだと個人的に思う。

話を本作に戻すと、やはりこの『コヨーテ・アグリー』にも
”生きるか死ぬか”のドラマが垣間見れると思うのだ。

歌手としての夢を追いかける主人公ヴァイオレットが、
生活資金を稼ぐためにクラブ・バー“コヨーテ・アグリー”で
働くことになる。
そこでは、弁護士や女優を目指している女性バーテンダーたちが、
カウンターの上でセクシーでエキサイティングなダンス・パフォーマンスを
繰り広げているのだ。

こんなクラブ・バー、日本では考えられない。

自分の夢を叶えるため、夜通しで踊り歌い、そして客に酒を浴びせる。
まさに自由の国アメリカ!!と言わんばかりのノリではないか。
はっきり言って、見ているだけで楽しいし、スカッとするし、
ぶっちゃけ自分もあのバーに行きたい。

バーの経営に命を賭け、そして自分の夢にも命を賭ける。
そんな彼女らのドラマが本作には盛り込まれている。
人生の壁にぶち当たったらぜひこんなバーに行ってみたい。

『コヨーテ・アグリー』に。

『NEXT -ネクスト-』

2009年06月12日 21時01分30秒 | 映画レビュー
原題: NEXT
製作年度: 2007年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 95分
監督:リー・タマホリ
製作:
ニコラス・ケイジ
トッド・ガーナー
ノーム・ゴライトリー
アーン・L・シュミット
グレアム・キング
製作総指揮:
ゲイリー・ゴールドマン
ベン・ウェイスブレン
ジェイソン・クーアニック
原作:フィリップ・K・ディック 『ゴールデン・マン』
原案:ゲイリー・ゴールドマン
脚本:
ゲイリー・ゴールドマン
ジョナサン・ヘンズリー
ポール・バーンバウム
撮影:デヴィッド・タッターサル
プロダクションデザイン:ウィリアム・サンデル
衣装デザイン:サーニャ・ミルコヴィッチ・ヘイズ
編集:クリスチャン・ワグナー
音楽:マーク・アイシャム
出演:
ニコラス・ケイジ クリス・ジョンソン
ジュリアン・ムーア カリー・フェリス
ジェシカ・ビール リズ
トーマス・クレッチマン スミス
トリー・キトルズ キャバノー
ピーター・フォーク アーヴ
ホセ・ズニーガ
ジム・ビーヴァー
マイケル・トルッコ
オススメ度:★★★☆☆

ストーリー:
ラスベガスの二流マジシャンとして生きるクリス・ジョンソン。実は、彼は自分の周囲だけだが2分先の未来を予知できる能力を持っており、その秘密を誰にも悟られないよう目立たず日々をやり過ごしていた。そんなある時、クリスの前に女性FBI捜査官のカリーが現われる。彼女らFBIは、核兵器を持つテロリストがロサンゼルスを爆破する計画を企てているという情報を掴んだことから、予知能力を持つクリスへ捜査協力の依頼に来たのだった。しかし、面倒な他人事に巻き込まれたくないと要請を断るクリス。一方、時折彼の頭によぎっていた美しい女性リズとの出会いを果たし、ほどなく惹かれ合うのだが…。

コメント:
なんだかなぁ…
「2分先の未来を予知できる能力」というのを全面に押し出しておきながら、
その設定をあまりうまく発揮できていない作品だといえよう。

作品の途中まではその特殊能力はをかなり意識して作っているように見えたが、
ある一人の女性に対してはずいぶん先の未来まで見えてしまう。
この時点で作り手の勝手な設定が盛り込まれ、観客は完全に置いてけぼりを
くらうしかない…。

製作者としては、何とかして観客を騙したいという気持ちが見え見えで、
最後のほうではかなり無理矢理感溢れる使い方が観られた。
いくら未来が見えるからと言っても、あんなことができるのかどうか
かなり疑問が残るところ。発想が良すぎて頭がついていかない。

案の定、ラストのどんでん返しには口をポカーンと開けざるにはいれない。
いったいここまでの時間は何だったのか!?

完全に時間を無視した展開にどこまで耐えることができるか?
本編を楽しむにはそれなりのルーズさが必要だろう。

時間に厳しい人は間違っても納得のいく内容ではない気がする。
時間にはルーズなくらいがちょうどいいんだろう…きっと☆

『ターミネーター4』

2009年06月06日 03時57分12秒 | 映画レビュー
原題: TERMINATOR SALVATION
製作年度: 2009年
別題: -
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 114分
監督:マックG
製作:
モリッツ・ボーマン
デレク・アンダーソン
ヴィクター・クビチェク
ジェフリー・シルヴァー
製作総指揮:
ピーター・D・グレイヴス
ダン・リン
ジーン・オールグッド
ジョエル・B・マイケルズ
マリオ・F・カサール
アンドリュー・G・ヴァイナ
キャラクター創造:
ジェームズ・キャメロン
ゲイル・アン・ハード
脚本:
ジョン・ブランカトー
マイケル・フェリス
撮影:シェーン・ハールバット
視覚効果スーパーバイザー:チャールズ・ギブソン
プロダクションデザイン:マーティン・ラング
衣装デザイン:マイケル・ウィルキンソン
編集:コンラッド・バフ
音楽:ダニー・エルフマン
出演:
クリスチャン・ベイル ジョン・コナー
サム・ワーシントン マーカス・ライト
アントン・イェルチン カイル・リース
ムーン・ブラッドグッド ブレア・ウィリアムズ
コモン バーンズ
ブライス・ダラス・ハワード ケイト・コナー
ジェーン・アレクサンダー ヴァージニア
ジェイダグレイス スター
ヘレナ・ボナム=カーター セレナ・コーガン
マイケル・アイアンサイド
イヴァン・グヴェラ
クリス・ブラウニング
ドリアン・ヌコノ
ベス・ベイリー
ヴィクター・ホー
バスター・リーヴス
ケヴィン・ウィギンズ
グレッグ・セラーノ
ブルース・マッキントッシュ
トレヴァ・エチエンヌ
ディラン・ケニン
マイケル・パパジョン
クリス・アシュワース
テリー・クルーズ
ローランド・キッキンジャー
オススメ度:★★☆☆☆

ストーリー:
機械軍(スカイネット)が人類への反乱から起こした核戦争、“審判の日”から10年が経った2018年。圧倒的戦力を誇るスカイネットによって人類がいよいよ滅亡の危機に立たされる中、生き残った人間たちは抵抗軍を組織し、青年となったジョン・コナーもその一員としてスカイネット殲滅の機会を窺っていた。そんなある日、ジョンはマーカス・ライトと名乗る謎の男と出会う。ところが、彼は体の半分が機械化されていた。さらには、自分はれっきとした人間だと思っていたマーカスがそのような体に至った記憶を無くしており、敵か味方か判断しかねるジョン。しかし、将来彼の父となる少年カイル・リースに身の危険が差し迫っていることをマーカスから知らされ、ジョンはある決意を固めるのだが…。

コメント:
『ターミネーター』シリーズが2作目で完結していることは
3作目を観た人ならすでに承知済みの事実であろう。

だが、こうも続編を作られては観ずにはいられないのがファンの心理でもある。
3作目のあまりの駄作さに不満を抱えて早6年。
このモヤモヤが解消されるのをわずかに期待しつつ今回も映画館へ足を運んだ。

しかし結果はやはり残念なものだった。

そもそもここで描かれるエピソードの必要性が全くわからないのが致命的。

本シリーズのメインキャラと言えば、
抵抗軍のリーダーとしてスカイネットに立ち向かうジョン・コナー。
ジョンの母親であるサラ・コナーと父親カイル・リース。
そして彼らの敵となるターミネーター。

本来はこの4つの存在だけで成り立つ物語のはずなのだ。

なのになぜここに来てマーカス・ライトという
新キャラが登場しなければならないのか?

こいつのせいで話がややこしくなり矛盾が生まれつつある。
しかもジョン・コナーより目立ってるし…。
2作目で完璧に辻褄の合っていた物語なのに、
続編が作られていく毎に不満の塊へと変貌していく。
これじゃ単なる金儲けのタネとしての存在に過ぎないじゃないか。
しかもオマージュ的なネタを入れて満足してしまっている始末。

“I'll be back“の使い方強引だし、
リンダ・ハミルトンの声を使えばいいってもんでもないし、
溶鉱炉の使い方を2作目でT-1000と戦ったときに使った液体窒素と
逆バージョンの使い方(これは映画を観てからのお楽しみ)をしたり、
おまけにシュワちゃんの1作目の顔をローランド・キッキンジャーの
体にくっ付けて無理矢理出演させちゃってるし。

なんかこの手の演出飽きてきた。
こういうネタを期待しながら観ていることもよくあるが、
使い方間違っちゃうとなんだか一気に冷めてしまう感じだ。
まさに悪いお手本。

映像は凄くて当たり前。
でも『トランスフォーマー』と酷似していると言われている時点でアウト。
オリジナリティを失くし、プロットが駄目になった時点で本シリーズは
堕落の途を辿るしかない。

単純にファンが期待しているのは、
ジョン・コナーとターミネーターの未来を掛けた死闘だというのに…。
今後はスカイネットの意図やジョン・コナーの更なる運命、
そして妻・子供との関係が複雑に描かれる(勝手な予想だけど)
ことになるのだと思うと何だか無駄な伏線ばかりな気がして残念で仕方がない。

本作のキャッチコピーに、

”どこで誰が、未来を変えたのか?”

というものが掲げられているが、
僕の心の叫びとしては

”どこで誰が、本シリーズを変えたのか?

この一言に過ぎないと言えるのだ。

『シューテム・アップ』

2009年04月23日 22時03分48秒 | 映画レビュー
原題: SHOOT 'EM UP
製作年度: 2007年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 86分
監督:マイケル・デイヴィス
製作:
スーザン・モントフォード
ドン・マーフィ
リック・ベナーター
製作総指揮:
ダグラス・カーティス
トビー・エメリッヒ
ケイル・ボイター
脚本:マイケル・デイヴィス
撮影:ピーター・パウ
プロダクションデザイン:ゲイリー・フルート・コフ
衣装デザイン:デニース・クローネンバーグ
編集:ピーター・アムンドソン
音楽:ポール・ハスリンジャー
出演:
クライヴ・オーウェン スミス
ポール・ジアマッティ ハーツ
モニカ・ベルッチ ドンナ
スティーヴン・マクハティ
グレッグ・ブリック
ダニエル・パイロン
ジュリアン・リッチングス
トニー・マンチ
ラモーナ・プリングル
オススメ度:★★★☆☆

ストーリー:
冬のニューヨーク。黒のロングコートに身を包むスミスは、ひょんなことからヤクザに追われる妊婦を助けるハメに。恐妻家のボス、ハーツが送り込む刺客が次々と現われる中、拾い上げた銃で応戦するスミス。ところが妊婦はショックで産気づくや、赤ん坊を産み落としてすぐ流れ弾に当たってあっけなく絶命。やむを得ず赤ん坊を拾い上げたスミスは、なおも執拗に迫る追っ手をかわして昔なじみの娼婦ドンナのもとへ。しかし赤ん坊の命に執念を燃やすハーツは、スミスの居場所を難なく突き止めると、50人の部下を従え襲撃へと向かうが…。

コメント:
どんだけニンジンが好きやねん!って
ツッコミ入れたくなるほどニンジンが出てくる。
ニンジンを食ってたと思いきや、それを武器にして敵を殺してしまうスミス。
とにかくニンジンが出まくる映画なので、ニンジンが嫌いな人にとっては、
その地点でアウト・オブ・眼中な映画かもしれない…。

宣伝文句にもなっている銃撃戦に関しては「そこそこ」と言った感じだ。

冒頭から銃を乱射しまくりのド派手な銃撃戦が繰り広げられ、
その後も謎のベイビーを守りながらの激しいアクションの数々。

螺旋階段での銃撃戦
カーチェイスをしながらの銃撃戦
スカイダイビングをしながらの銃撃戦

そこまで斬新でもなく、とはいえ退屈でもなく
ホント「そこそこ」の銃撃戦を楽しめたのだが、
どうも最初から薄々感じていた嫌な予感が見事的中した。

それは…セックスをしながらの銃撃戦

赤ちゃんプレイ専門の娼婦役にモニカ・ベルッチが扮している地点で
怪しい雰囲気がプンプン臭っていた。
で、当たり前のようにセックスが始まりそのまま敵を一掃。
「なんじゃそれ!?」ってツッコミ入れないとダメな展開。

でもこれはこれでどこか期待通りの展開だった気がする。
キャストの濃さを見た地点でそれは仕方がないことだ(笑)
とりあえず本作にとっては見所のひとつだったと言えるだろう。

肝心の悪役には、これまた濃い~キャラのポール・ジアマッティ。
個人的には彼が演じたキャラが一番大好きだ。
裸の遺体にチョッカイだしたり、ほ乳瓶撃ちまくったり、
何だか目標が定まらないフラフラしたキャラ設定で、
最後まで読めないところが不気味かつ面白くてよい。

問題はラストを全く思い出せない自分がいることだ。
それだけ本作は何も残らない作品だったのかもしれない。
覚えてるのが”セックスの銃撃戦”だけだとは…

『スラムドッグ$ミリオネア』

2009年04月19日 17時09分04秒 | 映画レビュー
原題: SLUMDOG MILLIONAIRE
製作年度: 2008年
別題:-
製作国・地域: イギリス/アメリカ 上映時間: 120分
監督:ダニー・ボイル
共同監督:ラヴリーン・タンダン
製作:クリスチャン・コルソン
製作総指揮:
ポール・スミス
テッサ・ロス
原作:ヴィカス・スワラップ 『ぼくと1ルピーの神様』(ランダムハウス講談社刊)
脚本:サイモン・ボーフォイ
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
プロダクションデザイン:マーク・ディグビー
衣装デザイン:スティラット・アン・ラーラーブ
編集:クリス・ディケンズ
音楽:A・R・ラーマン
出演:
デヴ・パテル ジャマール・マリク
マドゥル・ミッタル サリーム・マリク
フリーダ・ピント ラティカ
アニル・カプール プレーム・クマール
イルファン・カーン 警部
アーユッシュ・マヘーシュ・ケーデカール ジャマール(幼少期)
アズルディン・モハメド・イスマイル サリーム(幼少期)
ルビーナ・アリ ラティカ(幼少期)
オススメ度:

ストーリー:
インドの国民的人気番組“クイズ$ミリオネア”。この日、ムンバイ出身の青年ジャマールが、次々と難問をクリアし、ついにいまだかつて誰も辿り着けなかった残り1問までやって来た。ところが、1日目の収録が終わりスタジオを後にしようとしたジャマールは、イカサマの容疑で警察に逮捕されてしまう。スラム育ちの孤児でまともな教育を受けたこともないジャマールがクイズを勝ち抜けるわけがないと決めつけ、執拗な尋問と拷問を繰り返す警察。ジャマールは自らの無実を証明するため、これまでに出された問題の答えは、すべてストリートで生きながら学んだと、その過酷な過去を語り始めるのだったが…。

コメント:
「彼がなぜミリオネアになれたのか?」
 A.インチキだった。
 B.ついていた。
 C.天才だった。
 D.運命だった。

冒頭からいきなりこんな問題を突きつけられる。

この映画は全て”運命”という一言で片付けられるかもしれない。
だが実際はインドにおける貧困、犯罪、宗教問題など
様々な社会問題が絡み合っている本作。
そんな過酷な世の中で、”勇気”や”希望”、そして”愛”の力を信じ、
パワフルに疾走し続ける主人公の3人。
ジャマール、サリーム、ラティカの3人を三銃士と見立て、
究極の希望を求めて生き抜く姿を見事に描き出しているのが、
この『スラムドッグ$ミリオネア』なのだ。

それにしても個人的にかなり意外だったのが、
本作がこんなにも壮大なラブストーリーに仕上がっていたということだ。
ラストのライフライン”テレフォン”を使うまでの伏線が、
壮絶かつ過酷な物語であっただけに、最後の最後でまさかこんなに
ピュアな気持ちになれるとは想像もしていなかった。

クイズ番組、警察での尋問、ジャマールの回想シーンの3つを織り交ぜ、
なぜジャマールがミリオネアになれたのかを描いていく構成。
スラムで貧困生活を送り、ある日突然母親を奪われ、やがて孤児を搾取する
大人たちに取り入られるという、過酷な子ども時代を送るジャマール。
偶然たどり着いたタージ・マハルでは観光客を餌に、
自分たちの生きる術を必死で探し続ける姿がみられる。

ここまでの展開は、まさにインドのスラムに生きる子どもたちの
現状を突きつけられているようなリアルさだった。
今回ボイル監督もリアルなインドを撮りたかったと言っているように、
その光景はひしひしと感じ取ることができた。

後半では、途中で生き別れとなったラティカといつか再会したいという
強い”希望”を持ち続けるジャマールの恋をメインに話が展開される。
駅のホームで微笑むラティカを何度も思い出し、彼女と人生を歩みたいという
一心で生き続けてきたジャマール。

彼がクイズ番組に出演しようと思った理由は、きっと彼女は
このクイズ番組を見ていてくれているという”信じる心”があったから。
その”希望”はラストのライフラインで”勇気”と変わり、
最後は”愛”へと繋がるのだ。

これを一言で”運命”と呼ぶのはあまりにもったいない!
だけど人生というものはそうなのだろう。
全ての出会いや行動は、必然であり偶然であり運命なのだ。
その結果がどう変わるかは人それぞれが持つ気持ち次第。
ジャマールのように”信じる心”を強く持っていれば
きっと人生は素晴らしいものになるのだということを教えてくれる映画だ。

正直、インドが舞台の映画には少し拒否感を持っていたのだが、
本作を観てインドに興味を持つ自分がいた。
現地で撮影したリアルな映像ということで臨場感もあったし、
なんと言ってもいいのが抑揚のあるパワフルな音楽の数々だ。
エンドロールまで勢いが感じられてホントよかった。

これからのインド映画に最高の活力を注入した『スラムドッグ$ミリオネア』。
アカデミー賞8部門受賞というのは紛れもない栄光だったといって間違いはないだろう。

『レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―』

2009年04月16日 23時47分03秒 | 映画レビュー
原題: RED CLIFF: PART II/赤壁
製作年度: 2009年
別題:-
製作国・地域: アメリカ/中国/日本/台湾/韓国 上映時間: 144分
監督:ジョン・ウー
アクション監督:コリー・ユン
製作:
テレンス・チャン
ジョン・ウー
製作総指揮:
ハン・サンピン
松浦勝人
ウー・ケボ
千葉龍平
デニス・ウー
ユ・ジョンフン
ジョン・ウー
脚本:
ジョン・ウー
チャン・カン
コー・ジェン
シン・ハーユ
撮影:
リュイ・ユエ
チャン・リー
美術:ティム・イップ
衣装デザイン:ティム・イップ
音楽:岩代太郎
主題歌:アラン
出演:
トニー・レオン 周瑜
金城武 孔明
チャン・フォンイー 曹操
チャン・チェン 孫権
ヴィッキー・チャオ 尚香
フー・ジュン 趙雲
中村獅童 甘興
(特別出演)
リン・チーリン 小喬
ユウ・ヨン 劉備
ホウ・ヨン 魯粛
トン・ダーウェイ 孫叔材
ソン・ジア 驪姫
バーサンジャプ 関羽
ザン・ジンシェン 張飛
チャン・サン 黄蓋
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
80万の曹操軍をわずか5万で迎え撃つ劉備・孫権連合軍は、軍師・孔明の知略と指揮官・周瑜の活躍でどうにか撃退に成功する。思わぬ大敗にも依然圧倒的な勢力を誇る曹操は、2000隻の戦艦を率いて赤壁へと進軍する。そんな中、曹操軍には疫病が蔓延してしまうが、非情な曹操は死体を船に積み、連合軍のいる対岸へと流す。これにより連合軍にも疫病が拡がり、ついに劉備は自軍の兵と民のため撤退を決断する。ただひとり戦地に残り、周瑜とともに戦う道を選んだ孔明だったが、劉備軍が持ち帰ったことで生じた矢の不足の責めを問われてしまう。すると孔明は、周瑜に3日で10万本の矢を調達してみせると宣言するのだったが…。

コメント:
性格がとても温厚なことで知られるジョン・ウー監督。
また自らを「暴力否定論者」と唱える彼がこの『レッドクリフ』を選んだ理由。
それは正に”友情””家族””勇気””愛”の大切さ、
そしてなんといっても”戦争の悲惨さ”を伝えたかったからだろう。

捉えかた次第ではその真摯な想いはなかなか伝わりづらいかもしれない。
あまりにリアルな戦闘シーンの数々のため、人によっては戦争に対して
単なる拒否感しか覚えかねないからである。

だが「赤壁の戦い」という三国志最大の見せ場を選び、
史実に沿いながらもオリジナルのシナリオを盛り込んで
全編をドラマティックに見せてしまう手腕の凄さには頭が上がらない。
各キャラの存在感、一度見たら胸に刻まれる戦略の数々、
そして戦場で生まれ交錯する感情の渦。

本作はとてもダイナミックかつ繊細に制作された映画で、
ジョン・ウー監督の人間性がより深く味わえる作品であると言えるだろう。

「赤壁の戦い」と言えばいわずと知れた数々のエピソードが存在する。

曹操軍に蔓延した疫病、孔明の秘策による10万本の矢収集、
黄蓋を先陣とした火計などアクション映画としての見所も満載。
孔明が東南の風を祈祷するシーンから開戦するまでのシーンは、
まるで『パールハーバー』で日本がアメリカに奇襲攻撃を開始するまでの
沈黙の時間が流れるような緊張感。

風と同時に進軍を開始するシーンはまさに圧巻で、
炎が瞬く間に曹操軍の船団を飲み込んでいく映像は度肝を抜いている。
自分が想像していたものがそのままスクリーンに映し出されているようだった。
これだけでも本作を観る価値はあると言っていいだろう。
またしてもジョン・ウー監督のアクションセンスが実った結果だ。

個人的な評価をすると本作はかなり大成功だといえる。
これだけ歴史的にも有名な史実を見事な映像表現で作り上げているからだ。
同じ制作費を掛けた某アニメの実写版よりどれだけ素晴らしい映画であろうことか。
個人的にはこの上ない満足感を味わえた作品であったといえる。

あとやはりこの映画で感じとって欲しいのは戦争の悲惨さだ。

どんな時代でも人間は皆、家族がある。
それは同じ同族であっても敵同士であっても変わりないことだ。
尚香の役どころは、その”家族”というキーワードを助長したものだろう。

出陣前に尚香が準備した団子。
中国では冬至に一家団欒を祝い団子を食べる習慣があるという。
小喬が敵陣に行ったことで周瑜の家族は近くにいない状況となったが、
代わりに孫権連合軍は皆家族だと象徴せんばかりの行動だったのだ。

敵陣に一人で乗り込んだ尚香が出会った一人の兵士・孫叔材。
彼もまた故郷に家族を残しての出兵だったが、くしくも悲劇の戦死者となってしまう。
同じ人間なのに戦わなければならない悲惨さが惜しみなく描かれている。

忘れてはならないのがジョン・ウー監督のシンボルともいえる”白い鳩”。
今回は尚香が敵陣から飛ばすシーンで何度も使用されていた。
平和を願う監督の意思が至るところに表現されていた映画だったといえるのだ。

『クローズZERO』

2009年04月12日 09時18分30秒 | 映画レビュー
原題:-
製作年度: 2007年
別題:-
製作国・地域: 日本 上映時間: 130分
監督:三池崇史
プロデューサー:山本又一朗
アソシエイトプロデューサー:
岡田有正
富田敏家
堀之内郁哉
企画:濱名一哉
原作:高橋ヒロシ (秋田書店 少年チャンピオンコミックス刊)
脚本:武藤将吾
撮影:古谷巧
美術:林田裕至
編集:
掛須秀一
長坂智樹
音楽:大坪直樹
音楽プロデューサー:古川ヒロシ
CGIプロデューサー:坂美佐子
ラインプロデューサー:原田耕治
音響効果:柴崎憲治
共同プロデューサー:佐谷秀美
照明:高坂俊秀
録音:石貝洋
助監督:西山太郎
出演:
小栗旬 滝谷源治
やべきょうすけ 片桐拳
黒木メイサ 逢沢ルカ
桐谷健太 辰川時生
高橋努 牧瀬隆史
鈴之助 田村忠太
遠藤要 戸梶勇次
上地雄輔 筒本将治
伊崎右典 三上学
伊崎央登 三上豪
波岡一喜
沖原一生
武田航平
鈴木信二
橋爪遼
増本庄一郎
渋川清彦
山口仁
辻岡正人
岡あゆみ
佐田正樹
斎藤歩
大東俊介 桐島ヒロミ
小柳友 杉原誠
渡辺大 阪東秀人
深水元基 林田恵
松重豊 牛山
塩見三省 黒岩義信
遠藤憲一 矢崎丈治
岸谷五朗 滝谷英雄
高岡蒼甫 伊崎瞬
山田孝之 芹沢多摩雄
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
最凶・最悪の不良学生たちの巣窟、鈴蘭男子高等学校。幾多の派閥が勢力争いを繰り返し、いまだかつて鈴蘭を制覇・統一した者はいなかった。現在も、芹沢多摩雄率いる最大派閥の“芹沢軍団”を軸に、群雄割拠の状況が続いていた。そんな鈴蘭にやって来た3年の転入生、滝谷源治は、本気で学園の制覇を狙っていた。一匹狼を貫く源治だったが、ふとしたことから鈴蘭OBのチンピラ、片桐拳と出会い、次第に友情を深めていく。やがて拳は、自分が果たせなかった鈴蘭制覇の夢を源治に託すようになるのだが…。

コメント:
大好きだなぁ~この映画。
喧嘩は嫌いとか人を殴るのは教育に悪いとか言ってる人は
最初から見ない方がいい。
これは最初からそういう映画だと、
はっきり割り切って作っている作品なのだから。

もうとにかく出演者のメンズがかっこいい!!
男の自分からしても惚れ惚れしてしまう。

鈴蘭高校のトップを目指す男たちの戦い。
殴り合い、飛び蹴り、なんでもありの派閥抗争。
誰がトップに登り詰めるか、
徐々に勢力を広げていく判り易いストーリーもGood★

これだけ男くさい連中が集まれば一人くらい好きなキャラが生まれる。
個人的には山田孝之演じる芹沢多摩雄がお気に入り。
彼の演技はいつも静かだけど、暴れるシーンとのギャップが最高。
ストーリーが進むにつれて、だんだん髭面になっていく姿も彼らしいではないか。

とにかく一人ひとりのキャラがカッコいいのは言うまでもないのだが、
それに加えてカメラワーク等の演出が見事な迫力を生み出している。
特にラストの雨の中の乱闘シーンは最高だ。
男たちが血だらけ泥だらけになりながら乱れる姿が汚くもカッコよすぎる。
それはまるで「七人の侍」のラストで傷付きながら戦う侍のようだ。

もうホントに最後にはヤロウ共全員の顔が、あの口裂けキャラで有名な
”ジョーカー”のように口の回りを真っ赤に染めている姿は超不気味。
「マジで死ぬ気で闘っているなコイツ等」的な雰囲気を出しまくりで
恐いけどやっぱカッコいい。

かなりカッコいいを連発してしまったが、
マジでカッコいいのだからしょうがない。
こんなに血の気が多くて男くさい連中を見たのは、
個人的には本当に「七人の侍」以来かもしれない。

なんか気分をスカッとさせたいときにオススメの1本だ。
「クローズZERO II」にもかなり期待が膨らんでいる。

『クレイマー、クレイマー』

2009年03月28日 00時59分56秒 | 映画レビュー
原題: KRAMER VS. KRAMER
製作年度: 1979年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 105分
監督:ロバート・ベントン
製作:スタンリー・R・ジャッフェ
原作:アヴェリー・コーマン
脚本:ロバート・ベントン
撮影:ネストール・アルメンドロス
編集:ジェラルド・B・グリーンバーグ
音楽:ヘンリー・パーセル
出演:
ダスティン・ホフマン
メリル・ストリープ
ジャスティン・ヘンリー
ジョージ・コー
ジェーン・アレクサンダー
ハワード・ダフ
ジョベス・ウィリアムズ
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
8年目にして妻の自立心から破局を迎えた結婚生活。残された夫は幼い息子の面倒を見るのだが……。

コメント:
父親と作る“フレンチ・トースト”の味はどんな味なんだろう?
それはきっと”ほろ苦い”んじゃないかな。

ダスティン・ホフマン演じる父親役が妙に温かくて、
観終わったあとにとても幸せな気持ちにさせてくれる。

仕事漬けで家にほとんどいない父親。
今まで料理も買い物もしたことがなかった父親が、
母親に見捨てられた息子を前に改心していく。

ある日、アイスクリームのことで息子ビリーと本気で
怒鳴り合う喧嘩をしてしまう父親のテッド。
この喧嘩をきっかけに親子の絆が生まれるシーンがとても印象的だ。

最近は街に出ると躾が出来ていない子供をよく見ることがある。
なんで聞き分けの悪い子どもが増えているのか気になっていたが、
この映画を見て現状が少しわかった気がする。
たぶんいまどきの親は子供の叱り方を知らないのだろう。
叱れば虐待と騒がれる時世だからこそ、野放しのまま育つ子供が増えている。
叱れば逆ギレして襲い掛かってくる子どもたち。
そんな悩みを抱えている親は一度この映画を観てはどうだろうか?

少し話がそれてしまったが、
離婚、育児放棄、養育権という社会的な問題を描いた本作。
勝手な親のせいで巻き込まれる子どもたちを中心に、
やがて家族の関係はドロ沼化し、裁判へと持ち越される。

本作を客観的に観た場合、明らかに悪いのは家庭を投げ出す母親の方だ。
「愛してる」と言えば全てが許されると思っている、自己中心的で我儘な女。
勝手に出て行っておきながら、ひょこっと現れて子どもを返して欲しいと嘆く。
私だったら間違ってもそんな女を許そうとは思えない。

だが”子ども”がいたらどうだろう。
子どもからすればそんな女でもかけがえのない母親であり、
愛する一人の家族に過ぎないのだ。

親にとっても自分の子どもは命より大切なもの。
そんなこと冷静になって考えればすぐにわかることなのに、
裁判まで開廷して気付かされる現実。

だけど最後はやっぱり家族みんながいいよね。

父親と作る“フレンチ・トースト”の味は、
最後はきっと”あまじょっぱい味”へと変わっていることだろう。

『ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛』

2009年03月26日 23時04分56秒 | 映画レビュー
原題: THE CHRONICLES OF NARNIA: PRINCE CASPIAN
製作年度: 2008年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 150分
監督:アンドリュー・アダムソン
製作:
マーク・ジョンソン
アンドリュー・アダムソン
フィリップ・ステュアー
製作総指揮:ペリー・ムーア
原作:C・S・ルイス
脚本:
アンドリュー・アダムソン
クリストファー・マルクス
スティーヴン・マクフィーリー
撮影:カール・ウォルター・リンデンローブ
プロダクションデザイン:ロジャー・フォード
衣装デザイン:アイシス・マッセンデン
編集:シム・エヴァン=ジョーンズ
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演:
ジョージー・ヘンリー ルーシー・ペベンシー
スキャンダー・ケインズ エドマンド・ペベンシー
ウィリアム・モーズリー ピーター・ペベンシー
アナ・ポップルウェル スーザン・ペベンシー
ベン・バーンズ カスピアン王子
ピーター・ディンクレイジ トランプキン
ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ グロゼール
セルジオ・カステリット ミラース
ワーウィック・デイヴィス ニカブリク
コーネル・ジョン グレン・ストーム
ヴィンセント・グラス コルネリウス博士
ダミアン・アルカザール ソペスピアン卿
シェーン・ランギ アステリウス
声の出演:
リーアム・ニーソン アスラン
ケン・ストット 松露とり(トリュフハンター)
エディ・イザード リーピチープ
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
偉大な王アスランと“伝説の四人の王”ペベンシー4兄妹によって平和と繁栄をもたらしたナルニア国。だが、あれからナルニア暦にして1300年経った今、かつての美しい国の姿は見る影もなく、戦闘民族テルマール人に侵略・支配され、生き残ったナルニアの民は深い森の奥に追いやられていた。また先王亡きあと摂政を務める弟のミラースは王位を奪おうと、正統な王位継承者であるカスピアン王子の暗殺を画策。一方、小さな象牙の角笛を手にミラースの追っ手を逃れるカスピアン。その笛の音は、ナルニアに危機が迫る時、“伝説の四人の王”を呼び戻すと信じられていた。やがて追い詰められたカスピアンがついにその角笛を吹き、それは時を越えて鳴り響く…。

コメント:
前作が子供版ナルニアだとしたら、本作は大人版ナルニア。
今回はどちらかというと王国の存亡を掛けた戦争映画の色が濃く、
子供にとっては少し退屈な内容かもしれない。

本シリーズの主人公といえばペベンシー4兄妹。
前作では心も身体も完全に子供だった彼らだが、
一度はナルニアの王となっているだけあって、個々の成長が伺え、
それぞれが活躍する姿を見るとなんだか微笑ましい。

そして今作から登場のカスピアン王子ことベン・バーンズの存在も
大きな役割を果たしている。
城からの逃亡に始まり、ナルニアとペベンシーを繋ぐ”角笛”を吹くキー役者。
国の陰謀に苦悩する役がはまっていて、若き王としてピッタリの配役だった。

忘れてはいけないのが、ナルニアの創造主アスランの存在。
だが今回は登場シーンが少なくペベンシー兄妹に主役の座を完全に譲った状態。
前作のタムナスさんやビーバー、キツネなどのファンタスティックで
愛嬌のあるキャラはやや封印されていて、代わりにミノタウロスやケンタウロス、
ドワーフといった戦闘向けのキャラが続出。

これはこれで大人に取っては見応えのある内容に仕上がってたように感じる。
戦闘シーンが多かったため重厚なキャラは欠かせなかったのだろう。

でも忘れてはいけないのが配給はディズニーだってことだ。
可愛いネズミの戦士リーピチープをふんだんに使って、
癒しを取り込んでいるところは流石ディズニーといったところ。
このキャラがいなかったら全体的にかなり重い映画になっていただろう。

今回の見所はやはり戦闘シーンの数々だ。
奇襲作戦やファンタジー映画らしい発想のシーンが目白押しなので、
最後まで飽きることなく鑑賞できる。

全体的にバランスのよかった第2章。
次回作をより期待させてくれる弾みとなった作品であったことには違いないだろう。

『DRAGONBALL EVOLUTION』

2009年03月12日 01時12分12秒 | 映画レビュー
原題: DRAGONBALL EVOLUTION
製作年度: 2009年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 87分
監督:ジェームズ・ウォン
製作:スティーヴン・チョウ
製作総指揮:
鳥山明
ティム・ヴァン・レリム
原作:鳥山明
脚本:ベン・ラムジー
撮影:ロバート・マクラクラン
プロダクションデザイン:ブルトン・ジョーンズ
編集:
マシュー・フリードマン
クリス・ウィリンガム
音楽:ブライアン・タイラー
出演:
ジャスティン・チャットウィン 孫悟空
エミー・ロッサム ブルマ
ジェームズ・マースターズ ピッコロ大魔王
ジェイミー・チャン チチ
田村英里子 マイ
パク・ジュンヒョン ヤムチャ
チョウ・ユンファ 亀仙人
ランダル・ダク・キム
アーニー・ハドソン
オススメ度:★☆☆☆☆

ストーリー:
7つ全てを手にした者はどんな願いでも叶うというドラゴンボール。亡き祖父の遺志を継ぎ、世界中に散らばったそのドラゴンボールを探す旅を続ける孫悟空。彼は旅の途中で天才少女ブルマと出会い、2人は協力してドラゴンボール探しを続ける。そんな中、地球には、ドラゴンボールを手にして世界征服を企むピッコロ大魔王の脅威が迫っていた。武術の達人・亀仙人はピッコロの力に対抗すべく悟空の武術の才能に目を付ける。やがて、亀仙人の下で厳しい修行を重ね、次第にその秘めたる能力を開花させていく悟空だったが…。

コメント:
いよいよこの時がきた。
とんでもない映画が公開された。
感想を一言で述べるなら、
これは「別次元のもの」だということだ。
鳥山明自身がわざわざこの言葉を主張した意味が
ひしひしと伝わってくる。

それを聞いていたから…
というか予告編を見た時点で
そんなことは誰もが百も承知なわけで、
じゃあなぜこの「ドラゴンボール」という名作アニメを
わざわざ映画化しなければならなかったのか?

そんな疑問を少しでも払拭しようと、
自分の目で確かめたく映画館に足を運んだ次第だ。

結論からいうと、予想以上にファンの視点を無視した出来に
憤りを感じずにはいられない。

個人的にアニメを実写化することはそんなに嫌いなことではない。
最近の「20世紀少年」や「ヤッターマン」なんかはなるべく原作に
近づけようとする努力が見て取れるし、ファンを楽しませようとする
エンターテイナーとしてのプライドも伝わってくる作品だ。

だが本作は「DRAGONBALL」という大きな看板を背負っているにも関わらず、
ファンを楽しませようとする努力が一切見えなかった。
タイトルに後付けされたような"EVOLUTION"の文字。
誰が進化させた「ドラゴンボール」を見たいと望んだか?
誰が汚された「ドラゴンボール」を見たいと言ったか?

明らかに原作を冒涜する出来としかいいようがないのだ。

ピッコロの頭に2本の触覚付けるなんて容易いし!
亀仙人なんか探せばいくらでもツルッパゲの適役が見つかるだろうし!!
ドラゴンレーダーがやたら進化してるし!!!
なんか無理矢理チチを活躍させちゃってるし!!!!
大猿なんて今のCG技術があったら原作通りに作れるだろうし!!!!!
「いでよ神龍」の一言くらい誰かに言わせてもいいし!!!!!!
かめはめ波なんて普通に地上から打てばいいし!!!!!!!

なんでそんな簡単なことができないの!?
ホントあまりに見所がなさ過ぎてガッカリだ。

原作のファンでない人から見ればそれなりに見応えのある映画かもしれない。
だけどこれはやはりファンの声を製作者に伝えなければならない問題だ。
もっとファンを大事にして欲しいと刹那に思う。

もし現実に神龍がいるとしたら、
「この映画はなかったことにしてください」
とお願いしたいくらいだ。

あ~それにしてもあの気になる終わり方…
お願いだから続編だけは作らないでね。

『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』

2009年03月07日 02時18分05秒 | 映画レビュー
原題: KNOCKIN' ON HEAVEN'S DOOR
製作年度: 1997年
別題:-
製作国・地域: ドイツ 上映時間: 90分
監督:トーマス・ヤーン
製作:
ティル・シュヴァイガー
アンドレ・ヘンニック
トム・ツィックラー
脚本:
トーマス・ヤーン
ティル・シュヴァイガー
撮影:ゲーロ・シュテフェン
美術:モニカ・バウアート
衣装:ヘイケ・ヴェーバー
編集:アレクサンダー・バーナー
音楽:ゼーリッヒ
出演:
ティル・シュヴァイガー マーチン・ブレスト
ヤン・ヨーゼフ・リーファース ルディ・ウルリツァー
ティエリー・ファン・ヴェルフェーケ ヘンク、ベルギー人
モーリッツ・ブライブトロイ アブドゥル、アラビア人
フープ・スターペル フランキー・“ボーイ”・ベルーガ
レオナルド・ランジンク シュナイダー
ラルフ・ヘアフォート ケラー
コーネリア・フロベス マーチンの母
ルトガー・ハウアー カーチス
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
余命わずかと宣告され、たまたま末期病棟の同室に入院させられたマーチンとルディ。二人は死ぬ前に海を見るために病棟を抜け出し、ベンツを盗んで最後の冒険へと出発した。その車がギャングのもので、中に大金が積まれていたことも知らずに……。道中、残り少ない命の彼らに怖いものなどなく、犯罪を繰り返し、ギャングのみならず、警察からも追われる身になるのだが……。

コメント:
余命わずかと宣告され、
末期病棟の同室に入院させられたマーチンとルディ。
もし自分が彼らの立場だったらどうするだろうか?

死の恐怖、人生に対する喪失感に苛まれ、
たぶんそのまま病院のベッドの上で死に絶えてしまうに違いない。

だがこの二人の男は違った。
酒を交わし彼らが見出した答えが、

「海を見たい」という生きる最後の希望。

僕はそれを聞いた瞬間、彼らの生き方はかっこいいと思った。
単純にそう思えた。

死ぬ前に叶えたい夢があまりに男くさいじゃないか。
こんな夢、想像したこともない。
だが海という存在は、死という絶望から救ってくれるものなのかもしれない。
最後に何かでかい事をするのではなく、でかいものを見たいだけ。
それが最後でいいという二人の生き方に心打たれた。

二人の男の最後の旅は、死を目前にしながらもなぜか希望に溢れ、
最高の終焉へと万進していく。

まさにそれは天国への第一歩を
踏み入れるための旅だったのだろう。
彼らの死があまりに輝いて見える。
死がこれほど希望あるものだと思えたのは
おそらく初めてのことだ。

作品の構成としては、軽くて、ノリが良くて荒っぽいけど純粋。
ギャングに追われようと、警察に追われようと、
死を目前にしている彼らにとってはなんら問題なし。
やりたい放題なところが単純におもしろい。

それをさらに盛り上げるのがボブ・ディランの音楽。
これはもう言うことないほど最高。

生きること、死ぬことに対して説教臭い演出もなく、
ただやりたいことをやって死んでいく。
ドイツならではの作品のように思えた。

最近日本でリメイクされた「ヘブンズ・ドア」は一体どんな作風なのだろうか?
個人的には日本で扱える脚本ではない気がする。だから観るのが恐い…。

まさに本作は絶妙なバランスから生まれた最高傑作のひとつだ。
そう思える作品に出会えたということは、もはや言うまでもない。

『7つの贈り物』

2009年02月24日 00時40分07秒 | 映画レビュー
原題: SEVEN POUNDS
製作年度: 2008年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 123分
監督:ガブリエレ・ムッチーノ
製作:
トッド・ブラック
ジェームズ・ラシター
ジェイソン・ブルメンタル
スティーヴ・ティッシュ
ウィル・スミス
製作総指揮:
デヴィッド・クロケット
デヴィッド・ブルームフィールド
ケン・ストヴィッツ
ドメニコ・プロカッチ
脚本:グラント・ニーポート
撮影:フィリップ・ル・スール
プロダクションデザイン:J・マイケル・リーヴァ
衣装デザイン:シャレン・デイヴィス
編集:ヒューズ・ウィンボーン
音楽:アンジェロ・ミィリ
出演:
ウィル・スミス ベン・トーマス
ロザリオ・ドーソン エミリー・ポーサ
マイケル・イーリー ベンの弟
バリー・ペッパー ダン
ウディ・ハレルソン エズラ・ターナー
エルピディア・カリーロ
ロビン・リー
ジョー・ヌネズ
ビル・スミトロヴィッチ
ティム・ケルハー
ジーナ・ヘクト
アンディ・ミルダー
サラ・ジェーン・モリス
マディソン・ペティス
ジュディアン・エルダー
オクタヴィア・スペンサー
ジャック・ヤング
コナー・クルーズ
オススメ度:★★★☆☆

ストーリー:
過去のある事件によって心に傷を抱えながら生きる男ベン・トーマス。彼は7人の名前が記されたリストをもとに、ある計画を実行しようとしていた。それは、7人がある条件に一致すれば、彼らの運命を永遠に変える贈り物を渡そうというもの。その7人は互いに何の関係もない他人同士だが、ベンにとっては彼らでなければならない理由があった。またこの計画の目的や、贈り物の中身が何であるか、ベン以外には彼の親友が唯一知るのみ。こうして、ベンは7人それぞれに近づき、彼らの人生を調べ始める。だがやがて、リストの中の一人で余命幾ばくもない女性エミリーとの出会いが、ベンの計画に大きな影響をもたらせていく…。

コメント:
彼の行動に同感するのは難しいかもしれない。
自らの過ちにより罪なき7人を殺めてしまった過去を持つ。
それが原因で生きる意欲を失くし、自らが死ぬ前に人の役に立とうとする。
彼は自らの命を捨てることで見知らぬ7人に希望の光を与える善人を演じるのだ。

だが彼のやっていることは本当に善意と言えるのだろうか?
とはいえ、全く否定できるとも言えない。
それは命が関わる重いテーマだからこそ、判断が難しくなっているのかもしれない。

人の命、自らの命、どちらもかけがえのないものだ。
だが例え生きる希望を失ったからとは言え、命を絶つことが許されるのか?
彼の取った行動が肯定できるかどうかは、最後まで僕にはわからなかった。

まあそれは映画なので人それぞれの感性で観ればいいことなのだろう。

問題は映画全体の構成にあるのかもしれない。
予告編では”衝撃の感動作”というありきたりのフレーズがあるが、
ネタは案外最初から予測のつくものになっている。
それはウィル・スミスの悲壮感溢れる演技が全てを物語っているからだ。
彼は最初から死を覚悟していて、何か最後にやり遂げたいと思っている。
それがひしひしと伝わってくる。
だがそれだけの感情だけで感動できるとは思えない。

そもそも彼の言動には違和感がある。
人を助けるといっても、善人しかその資格を与えないし、
それを確かめるために、ときには罵り、ときには突き放そうとする。
また彼がなぜ国税庁の職員に成りすまなければならなかったのかも理解できない。
すでに死を覚悟した人がそこまでの行動を起こすだろうか?
なぜか彼の言動には様々な違和感が混在していたのだ。

結局最終的には自殺を図り、希望ある人間たちに7つの贈り物を届ける。
確かにそれらを与えられた人間にとっては彼は神のような存在のはずだ。
そして彼の思惑通り、その7人は希望溢れる人生を送ることになる。
ただその代償は大きく、痛ましい結果でもあるのだ。

彼の取った行動は、肯定することも否定することもできない。
だが人間誰しも死にたくなるほど辛い出来事に遭うときがくるかもしれない。
どうせ死ぬなら人を救って死にたいと思うときがくるかもしれない。

だけどやっぱり自ら死ぬことは絶対いけないことだと思うのだ。
生きていればきっと幸せの瞬間を感じるときがくるはずだから。