シネブログ

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『ブラック・ダリア』

2008年02月21日 00時26分00秒 | 映画レビュー
原題: THE BLACK DAHLIA
製作年度: 2006年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 121分
監督:ブライアン・デ・パルマ
製作:ルディ・コーエン、モシュ・ディアマント、アート・リンソン
製作総指揮:ロルフ・ディール、ダニー・ディムボート、ジェームズ・B・ハリス、ヘンリク・ヒュイッツ、ジョセフ・ローテンシュレイガー、アヴィ・ラーナー、トレヴァー・ショート、アンドレアス・ティースマイヤー、ジョン・トンプソン
原作:ジェームズ・エルロイ 『ブラック・ダリア』(文春文庫刊)
脚本:ジョシュ・フリードマン
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
プロダクションデザイン:ダンテ・フェレッティ
衣装:ジェニー・ビーヴァン
編集:ビル・パンコウ
音楽:マーク・アイシャム
出演:ジョシュ・ハートネット、アーロン・エッカート、スカーレット・ヨハンソン、ヒラリー・スワンク、ミア・カーシュナー、マイク・スター、フィオナ・ショウ、パトリック・フィスクラー、ジョン・カヴァノー、レイチェル・マイナー、ビル・フィンレイ、ジェミマ・ルーパー、ジョン・ソラーリ、リチャード・ブレイク、ケヴィン・ダン、マイケル・P・フラニガン、ローズ・マッゴーワン、ジェームズ・オーティス、クローディア・カッツ
オススメ度:★★★☆☆

ストーリー:
共にボクサーとしての経歴を持つロサンジェルス市警の名物コンビ、バッキー・ブライカートとリー・ブランチャード。リーには美しい同棲相手ケイ・レイクがいたが、いつしか彼らは3人で行動を共にするようになっていた。そんなある日、腰から切断された若い女性の死体が発見される。やがて被害者の身元が、女優を目指してマサチューセッツからやって来たエリザベス・ショートという女性と判明する。マスコミは彼女を“ブラック・ダリア”と呼び大きく報じる。一方リーは、この事件に異常なほどの執着を見せ、ケイとの時間さえ惜しむほど捜査に夢中になっていく…。



コメント:
キャッチコピーに”世界一有名な死体”と銘打ってはいるものの、日本人にとっては知らなくてもおかしくない事件である。当時のアメリカにとっては衝撃的な事件だったのだろうが、別にそれは気にするところではなく、単なる宣伝文句として適当に受け止めておくのが妥当だろう。

『L.A. コンフィデンシャル』の原作者ジェームズ・エルロイが書いた同名ベストセラーを元にしているだけあって、雰囲気がどことなく『L.A.コンフィデンシャル』そっくりだ。ブライアン・デ・パルマ監督の作品はそんなに多く観たことはないが、時折見せる捻りのある演出がなかなかおもしろいことに気付かされた。

本作のキーワードでもある”世界一有名な死体”を、観客に遠慮することもなくはっきりと描写している点はよかったのではなかろうか。まあ多くの人はこのグロい映像に降参したかもしれないが、真っ二つに切断され口を裂かれた惨殺死体を惜しげもなく見せることで、恐怖が何倍にも膨らみミステリアスな世界観が見事に作り出されたといえる。直視させるのではなく、間接的に見せることで次第に想像力が掻きたれられ、演出の巧さが冴えていたように思う。

また本作で登場する妖艶な女優陣も見所だ。特にモノクロの映像の中で魅せたミア・カーシュナー演じるエリザベス・ショートの美貌に釘付けとなるだろう。ヒラリー・スワンクが演じるマデリンの存在も、ミステリアスな雰囲気を高める重要な存在だ。

だが残念なのが、あまりにミステリアスさを求めすぎたのが原因で、登場人物の感情や行動が読み取り辛くなっている。謎が謎を呼んでそのまま流されるがままにラストを迎えた感じだった。人の繋がりが複雑化してしまったストーリーにも問題があると言えるだろう。セリフがゼロに等しい被害者を演じたミア・カーシュナーのインパクトが一番強いというのも、なんとも皮肉なものだ。