シネブログ

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『7つの贈り物』

2009年02月24日 00時40分07秒 | 映画レビュー
原題: SEVEN POUNDS
製作年度: 2008年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 123分
監督:ガブリエレ・ムッチーノ
製作:
トッド・ブラック
ジェームズ・ラシター
ジェイソン・ブルメンタル
スティーヴ・ティッシュ
ウィル・スミス
製作総指揮:
デヴィッド・クロケット
デヴィッド・ブルームフィールド
ケン・ストヴィッツ
ドメニコ・プロカッチ
脚本:グラント・ニーポート
撮影:フィリップ・ル・スール
プロダクションデザイン:J・マイケル・リーヴァ
衣装デザイン:シャレン・デイヴィス
編集:ヒューズ・ウィンボーン
音楽:アンジェロ・ミィリ
出演:
ウィル・スミス ベン・トーマス
ロザリオ・ドーソン エミリー・ポーサ
マイケル・イーリー ベンの弟
バリー・ペッパー ダン
ウディ・ハレルソン エズラ・ターナー
エルピディア・カリーロ
ロビン・リー
ジョー・ヌネズ
ビル・スミトロヴィッチ
ティム・ケルハー
ジーナ・ヘクト
アンディ・ミルダー
サラ・ジェーン・モリス
マディソン・ペティス
ジュディアン・エルダー
オクタヴィア・スペンサー
ジャック・ヤング
コナー・クルーズ
オススメ度:★★★☆☆

ストーリー:
過去のある事件によって心に傷を抱えながら生きる男ベン・トーマス。彼は7人の名前が記されたリストをもとに、ある計画を実行しようとしていた。それは、7人がある条件に一致すれば、彼らの運命を永遠に変える贈り物を渡そうというもの。その7人は互いに何の関係もない他人同士だが、ベンにとっては彼らでなければならない理由があった。またこの計画の目的や、贈り物の中身が何であるか、ベン以外には彼の親友が唯一知るのみ。こうして、ベンは7人それぞれに近づき、彼らの人生を調べ始める。だがやがて、リストの中の一人で余命幾ばくもない女性エミリーとの出会いが、ベンの計画に大きな影響をもたらせていく…。

コメント:
彼の行動に同感するのは難しいかもしれない。
自らの過ちにより罪なき7人を殺めてしまった過去を持つ。
それが原因で生きる意欲を失くし、自らが死ぬ前に人の役に立とうとする。
彼は自らの命を捨てることで見知らぬ7人に希望の光を与える善人を演じるのだ。

だが彼のやっていることは本当に善意と言えるのだろうか?
とはいえ、全く否定できるとも言えない。
それは命が関わる重いテーマだからこそ、判断が難しくなっているのかもしれない。

人の命、自らの命、どちらもかけがえのないものだ。
だが例え生きる希望を失ったからとは言え、命を絶つことが許されるのか?
彼の取った行動が肯定できるかどうかは、最後まで僕にはわからなかった。

まあそれは映画なので人それぞれの感性で観ればいいことなのだろう。

問題は映画全体の構成にあるのかもしれない。
予告編では”衝撃の感動作”というありきたりのフレーズがあるが、
ネタは案外最初から予測のつくものになっている。
それはウィル・スミスの悲壮感溢れる演技が全てを物語っているからだ。
彼は最初から死を覚悟していて、何か最後にやり遂げたいと思っている。
それがひしひしと伝わってくる。
だがそれだけの感情だけで感動できるとは思えない。

そもそも彼の言動には違和感がある。
人を助けるといっても、善人しかその資格を与えないし、
それを確かめるために、ときには罵り、ときには突き放そうとする。
また彼がなぜ国税庁の職員に成りすまなければならなかったのかも理解できない。
すでに死を覚悟した人がそこまでの行動を起こすだろうか?
なぜか彼の言動には様々な違和感が混在していたのだ。

結局最終的には自殺を図り、希望ある人間たちに7つの贈り物を届ける。
確かにそれらを与えられた人間にとっては彼は神のような存在のはずだ。
そして彼の思惑通り、その7人は希望溢れる人生を送ることになる。
ただその代償は大きく、痛ましい結果でもあるのだ。

彼の取った行動は、肯定することも否定することもできない。
だが人間誰しも死にたくなるほど辛い出来事に遭うときがくるかもしれない。
どうせ死ぬなら人を救って死にたいと思うときがくるかもしれない。

だけどやっぱり自ら死ぬことは絶対いけないことだと思うのだ。
生きていればきっと幸せの瞬間を感じるときがくるはずだから。

『クローバーフィールド/HAKAISHA』

2009年02月13日 23時32分46秒 | 映画レビュー
原題: CLOVERFIELD
製作年度: 2008年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 85分
監督:マット・リーヴス
製作:
J・J・エイブラムス
ブライアン・バーク
製作総指揮:
ガイ・リーデル
シェリル・クラーク
脚本:ドリュー・ゴダード
撮影:マイケル・ボンヴィレイン
プロダクションデザイン:マーティン・ホイスト
衣装デザイン:エレン・マイロニック
編集:ケヴィン・スティット
出演:
マイケル・スタール=デヴィッド ロブ
マイク・ヴォーゲル ジェイソン
オデット・ユーストマン ベス
ジェシカ・ルーカス リリー
リジー・キャプラン マレーナ
T・J・ミラー ハッド
ベン・フェルドマン
ライザ・ラピラ
クリス・マルケイ
テオ・ロッシ
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
ニューヨーク、マンハッタン。ある夜、仕事で管理職への就任が決まり日本へ栄転となったロブを祝うため、アパートの一室で送別パーティーが開かれていた。ところがそのさなか、外で突然爆音が響き渡る。ロブたちが屋上へ出てみると、街の一部で爆発炎上している凄惨な光景が広がっていた。さらに、間もなくその惨禍は彼らにも及び、一瞬にして街一帯がパニック状態となる。そして、人々はこの事態を引き起こした元凶でおよそ地球上には存在し得ない巨大な怪物を目の当たりにするのだった…。

コメント:
『ミスト』の直後に鑑賞したせいか、街を破壊するクリーチャーの姿が『ミスト』で出現したクリーチャーとかぶってしまって、まるで続編を観ているような気分に晒されてしまった。

実は『クローバーフィールド/HAKAISHA』と『ミスト』は同じ時間軸のお話で、霧から出現する怪物と海から出現する怪物のそれぞれのお話なんだと。そんなどうでもいいことを考えながらの鑑賞。

もちろん実際はそんな共通点はひとつもありません。

いやぁそれにしても本作の映像技術は新しい。まるで自分が当事者となって一緒に何かから逃げている感覚に陥り、少しずつ正体を見せる怪物の姿に恐怖を覚えていく。チラチラとたまに見せる大きな姿が妙な威圧感を放っており、それが手振れカメラによるリアルな見せ方なため大袈裟感をそこまで感じることなく体感できるのだ。

確かにこれを映画館で観ると間違いなくカメラ酔いするだろう。一人また一人と無惨に死んでいく仲間の姿があまりに生々しく、揺れと血がダブルパンチで観客を襲い、救いようのない映像に目を背けずにはいられなく有様。

別にこれは駄目だししているわけではない。

実際、人間が恐怖を感じるときは、この映画のように希望を一点として見ることができず、何かに振り回されながらただ闇雲に行動することしかできないということを見事に表現しているのだ。

『ミスト』とはあまりに対称的で実におもしろい。

98年に公開されたアメリカ版『GODZILLA』も突如未知の怪物が襲ってくるという点では同じなのだが、緊張感やスピード感は本作よりも圧倒的に劣っていたといえる。やはり最初から姿を見せることで恐怖が減り、攻撃の合間が出来ることで緊張感が途切れる。この無駄なものを全て取り払ったのがこの『クローバーフィールド/HAKAISHA』なのだと思う。

85分という短い時間ながら、かなり見応えのある映像を観れたことに感動だ。
過去にありそうでなかった斬新な映画に酔える(いろんな意味で)こと間違いない!

『ミスト』

2009年02月12日 00時46分23秒 | 映画レビュー
原題: THE MIST
製作年度: 2007年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 125分
監督:フランク・ダラボン
製作:
フランク・ダラボン
リズ・グロッツァー
製作総指揮:
リチャード・サパースタイン
ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
原作:スティーヴン・キング 『霧』(扶桑社刊『スケルトン・クルー1 骸骨乗組員』所収)
脚本:フランク・ダラボン
撮影:ロン・シュミット
クリーチャーデザイン:
グレゴリー・ニコテロ
ハワード・バーガー
プロダクションデザイン:グレゴリー・メルトン
編集:ハンター・M・ヴィア
音楽:マーク・アイシャム
出演:
トーマス・ジェーン デヴィッド・ドレイトン
マーシャ・ゲイ・ハーデン ミセス・カーモディ
ローリー・ホールデン アマンダ・ダンフリー
アンドレ・ブラウアー ブレント・ノートン
トビー・ジョーンズ オリー・ウィークス
ウィリアム・サドラー ジム・グロンディン
ジェフリー・デマン ダン・ミラー
フランシス・スターンハーゲン アイリーン・レプラー
アレクサ・ダヴァロス サリー
ネイサン・ギャンブル ビリー・ドレイトン
クリス・オーウェン ノーム
サム・ウィットワー ウェイン・ジェサップ
ロバート・トレヴァイラー バド・ブラウン
デヴィッド・ジェンセン マイロン
ケリー・コリンズ・リンツ ステファニー・ドレイトン
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
のどかな田舎町を襲った激しい嵐の翌日、デヴィッドは湖の向こう岸に発生した異様に深い霧に懸念を抱きながら息子と共にスーパーマーケットへ買い出しに出掛けた。するとやはり、その濃い霧は間もなく買い物客でごった返すマーケットに迫り、ついには町全体を飲み込むように覆っていく。人々がマーケットに缶詰状態となる中、霧の中に潜む不気味な触手生物を発見するデヴィッド。彼を信じた者たちはただちに店のバリケードを作り始め、武器になる物もかき集める。その一方、骨董品店の女主人カーモディは狂信めいた発言で人々の不安を煽ってしまう。そして夜、突如として霧の中の生物たちが襲撃を開始、店内は大混乱となるのだが…。

コメント:
予告編だけ見ると、よくあるどんでん返し系の映画だと思わされる。
良いようにも悪いようにも裏切られる作品だと覚悟しての鑑賞。
だがこれがまさかまさかの良い裏切られ方で、
ラストまで驚かされっぱなしの映画であったことは否めない。

予想とは大きく違って、意外にも早い段階で謎の生物が姿を現す。
そして物語の舞台となるのが町のスーパーマーケット。
一体やつらは何者で、何が目的なのか?
宇宙生物の襲来、モンスターパニックなど何とでも取れそうな展開だが、
はっきり言って一番恐いのはここに閉じ込められた人間たちの狂信的な姿だ。

それは一人の女性ミセス・カーモディによる演説から始まる。
ミセス・カーモディは狂信的な宗教信者。
”神”の存在が全てで、起こること全てが神の仕業だと言い張る。
そして人間なんて所詮、神の生贄なのだと。

彼女が発言するたびにスーパーの中が凍りつくような感覚に陥る。

だが恐怖に怯える人々は彼女を神の遣いと信じ始め、
次第にこの小さな集団の秩序は乱れることになる。
やがて人を殺めることへの抵抗も失われていってしまうとは…
恐怖に耐えうる人間の負の連鎖がリアルに描かれているのだ。

日本では宗教という概念がそこまで大きくないため、どちらかというと
トーマス・ジェーン演じるデヴィッドの家族思いな行動に同感するはずだ。

だが”神”を信じたくなる心境もわからなくはない。
何を信じるにしても、希望に向かって進む人間の心理は皆同じはずだから。

しかしこの信じる対象の違いにより、
ラストでここまでの衝撃を見せられるとは思いもしなかった。
それはもう”神”がいないことを証明したかのような描写。

霧は人間の目を眩ます自然界。
虫はその自然界で暮らす生き物の象徴。

つまり人間は自己中心的な動物で、普段は目の前にあるものしか信じようとしないのに
自分たちが助かろうとするために都合よく”神”に祈りを捧げる愚か者。

この映画は何か大きなテーマを掲示している作品なのかもしれない。

霧や数多くのクリーチャーなどの映像技術もすごいが、
はっきりと見えない何か普遍的なテーマを、濃いミストの中から探し出すのも
本作を楽しむひとつの方法であるような気がしてならない。

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』

2009年02月09日 20時41分16秒 | 映画レビュー
原題: THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON
製作年度: 2008年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 167分
監督:デヴィッド・フィンチャー
製作:
キャスリーン・ケネディ
フランク・マーシャル
セアン・チャフィン
原作:F・スコット・フィッツジェラルド
原案:
エリック・ロス
ロビン・スウィコード
脚本:エリック・ロス
撮影:クラウディオ・ミランダ
プロダクションデザイン:ドナルド・グレアム・バート
衣装デザイン:ジャクリーン・ウェスト
編集:
カーク・バクスター
アンガス・ウォール
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:
ブラッド・ピット ベンジャミン・バトン
ケイト・ブランシェット デイジー
ティルダ・スウィントン エリザベス・アボット
ジェイソン・フレミング トーマス・バトン
イライアス・コティーズ ガトー
ジュリア・オーモンド キャロライン
エル・ファニング デイジー(7歳)
タラジ・P・ヘンソン クイニー
フォーン・A・チェンバーズ ドロシー・ベイカー
ジョーアンナ・セイラー キャロライン・ボタン
マハーシャラルハズバズ・アリ
ジャレッド・ハリス
デヴィッド・ジェンセン
テッド・マンソン
トム・エヴェレット
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
1918年、ニューオーリンズ。ある一組のカップルの間に男の子が産まれる。しかし、その赤ん坊は80歳の老人と見まがうほど奇異な容貌をしていた。ショックを受けた男は困り果てた末、赤ん坊を老人養護施設に置き去りにしてしまう。そして、施設を営む黒人女性クイニーに拾われた赤ん坊はベンジャミンと名付けられ、献身的に育てられるのだった。成長するにつれ髪が増え、皺が減り、車椅子から立って歩けるようになるなど、普通の人間とは逆に若返っていくベンジャミン。やがて少年期を迎えた彼はある日、施設入居者の孫娘で6歳の少女デイジーと出会う。それは、これから様々な経験を積み壮大な人生を歩んでいくベンジャミンにとって、今後かけがえのない存在となる女性との運命の出逢いだった…。

コメント:
時を逆に刻む時計。

それは戦争で失った息子を取り戻したいと願うある男の希望。
だが一度失ったものは二度と元に戻らないという現実がそこにある。

人生とはそういうものだ。

ベンジャミンは80歳の老人として生まれ、
そして年をとるごとに若返っていく人生を歩む。

果たしてそれは奇異なことだったのか?

いや、年をとるも若返っていくも、人生を歩むことに変わりはない。
赤ん坊であれ老人であれ、人の世話をなしにして生きていけない歳だ。
そんな時期は人生の最初と最後に必ず訪れる。

「自分のことは自分が一番わからない」と、ベンジャミンが言うように、
彼にとってみれば自分も人の子として生まれ、話すこと、食べること、
歩くこと、そして人を愛することができる普通の人間。

だがベンジャミンはたったひとり時が逆戻りすることにより、
数奇な人生を送ることになるのだ。

それはデイジーとの出会いから始まる。
その出会いが彼の人生を大きく動かし、愛することの素晴らしさを胸に刻み込む。
運命によって幾度も導かれあう二人は、同じ時を過ごすことの大切さを感じ、
やがて共に暮らし、ついには子供を作るのだ。

しかしお互いの歳が重なる時期を境に、
ベンジャミンは自分の抱えている運命に向き合い苦渋の決断をだすことになる。

歳をとることが恐いデイジーと若返ることが恐いベンジャミン。
確かにこの違いはとても大きな意味を持つことだ。

愛があればそれでいいのかもしれない。
だけどこれから歩む人生は誰も見たことがなく想像もつかない世界。
それが頭でわかっていたからベンジャミンはデイジーの前から姿を消したのだろう。
人生は前に進むしかない。
だがベンジャミンは自分の運命に従って人生を逆方向に進んでしまう。

数奇=運命のめぐりあわせが悪いこと

二人の運命は最初から決まっていたのかもしれない。
たとえ人生を前に進みたくても、二人の関係ではそれは難しい。
そんな二人の人生を数奇というのは全く別の話なのかもしれない。

だけどどんな些細なことでも、時を共有することの有り難味を本作は教えてくれた。

ベンジャミンが初めて愛した女性エリザベス。
数十年後に彼女がテレビで話した言葉、

「人生は前へ進み続ければ必ずやり遂げることができる」

これを見ていたベンジャミンは一体何を思ったのだろう?
いろんな人生論が詰め込まれた映画に出会えた気がする。

『007/慰めの報酬』

2009年02月02日 21時23分50秒 | 映画レビュー
原題: QUANTUM OF SOLACE
製作年度: 2008年
別題:-
製作国・地域: イギリス/アメリカ 上映時間: 106分
監督:マーク・フォースター
製作:
マイケル・G・ウィルソン
バーバラ・ブロッコリ
製作総指揮:
カラム・マクドゥガル
アンソニー・ウェイ
原作:イアン・フレミング
脚本:
ニール・パーヴィス
ロバート・ウェイド
ポール・ハギス
撮影:ロベルト・シェイファー
プロダクションデザイン:デニス・ガスナー
衣装デザイン:ルイーズ・フログリー
編集:
マット・チェシー
リチャード・ピアソン
音楽:デヴィッド・アーノルド
テーマ曲:モンティ・ノーマン (ジェームズ・ボンドのテーマ)
主題歌:
アリシア・キーズ
ジャック・ホワイト
出演:
ダニエル・クレイグ ジェームズ・ボンド
オルガ・キュリレンコ カミーユ
マチュー・アマルリック ドミニク・グリーン
ジュディ・デンチ M
ジェフリー・ライト フィリックス・レイター
ジェマ・アータートン フィールズ
イェスパー・クリステンセン ミスター・ホワイト
デヴィッド・ハーバー ビーム
アナトール・トーブマン エルヴィス
ロシー・キニア タナー
ジャンカルロ・ジャンニーニ マティス
ホアキン・コシオ メドラーノ将軍
グレン・フォスター ミッチェル
フェルナンド・ギーエン・クエルボ カルロス大佐
スタナ・カティック
ニール・ジャクソン
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
何者かの陰謀によって愛するヴェスパーを亡くし、復讐を誓ったボンドは、彼女を操っていたミスター・ホワイトを捕らえ、真相を究明すべく尋問する。そして、彼の背後には世界中の有力者や諜報機関をも取り込む巨大な組織が存在していることを知るのだった。その調査のため、まずハイチに向かったボンドは、そこでカミーユという謎めいた女性と出会う。さらに彼女を通じ、組織の幹部ドミニク・グリーンを突き止めるボンド。グリーンの表の顔は、環境保護のため土地を買収する慈善団体“グリーン・プラネット”のCEO。だがその裏では、ボリビアの土地に眠る貴重な天然資源の独占を目論み、それを機に世界支配を企んでいた。上司Mから、グリーンの陰謀を阻止する任務を私情を挟まず遂行せよ、と念を押されるボンド。ところが、カミーユも実はグリーンと共謀するボリビアの将校に愛する家族を殺され、復讐の機会を窺っていると知ったボンドは、彼女と共にグリーン打倒へ奔走していく。

コメント:
前作の1時間後の話ということで、何の説明もなくいきなり激しいバトル。
そして、アップダウンの激しいアクションの連続で、
またしても一気に映画に入り込むことができた。

やっぱりダニエル・クレイグはイケてると実感する。

本作では孤独と葛藤、そして復讐という様々な感情のもと、
Mをはじめとする秘密情報部から理解されぬまま任務を遂行する姿が描かれる。

ボンド・ガールはウクライナ出身のオルガ・キュリレンコ。
顔は一瞬幼くも見えるが、トップモデルということもあり、
スレンダーでとても美しく、大人の魅力を持った女優だ。

前作で心に深い傷を負ったボンドだったが、
その割には常に冷静な行動を見せ、
復讐心はあまり表に表れていなかったように伺えた。
任務を遂行すべく果敢に敵と対峙するシーンが多く、
見せ場の多いアクションに息をつく間もなかった。

ひとつ気になったのが、女性との絡みシーンの少なさ。
やはりヴェスパーを失ったことに対する悲しみの表れか、
それとも拷問のせいで男のナニが機能しなくなったか…
とはいえ、ちゃっかり一回はやることやってたので、
その心配はしなくてよかったのかと。

残念だったのが、アイディア満載の超人的なボンドグッズが
ひとつも観れなかったこと。
まあジェームズ・ボンドそのものがかなり超人的な体の持ち主なので
そのアクションを観るだけでお腹いっぱい。

ラストもきれいに纏めた感があるのでよかったと思う。

だけどそういえば「ミスター・ホワイト」って結局どうなった?
あと「慰めの報酬」って一体何を指してたのだろう?
考え方次第でいろいろありそうだけど…。

そんなに深く考えなければ十分楽しめる映画。
「カジノ・ロワイヤル」と「慰めの報酬」
必ず合わせて観るようにしましょう!

『007/カジノ・ロワイヤル』

2009年02月01日 17時45分30秒 | 映画レビュー
原題: CASINO ROYALE
製作年度: 2006年
別題:-
製作国・地域: アメリカ/イギリス 上映時間: 144分
監督:マーティン・キャンベル
製作:
バーバラ・ブロッコリ
マイケル・G・ウィルソン
製作総指揮:
アンソニー・ウェイ
カラム・マクドゥガル
原作:イアン・フレミング 『007/カジノ・ロワイヤル』(東京創元社刊)
脚本:
ニール・パーヴィス
ロバート・ウェイド
ポール・ハギス
撮影:フィル・メヒュー
プロダクションデザイン:ピーター・ラモント
衣装デザイン:リンディ・ヘミング
編集:スチュアート・ベアード
音楽:デヴィッド・アーノルド
テーマ曲:モンティ・ノーマン (ジェームズ・ボンドのテーマ)
主題歌:クリス・コーネル
出演:
ダニエル・クレイグ ジェームズ・ボンド
エヴァ・グリーン ヴェスパー・リンド
マッツ・ミケルセン ル・シッフル
ジュディ・デンチ M
ジェフリー・ライト フェリックス・レイター
ジャンカルロ・ジャンニーニ マティス
シモン・アブカリアン アレックス・ディミトリオス
カテリーナ・ムリーノ ソランジュ
イワナ・ミルセヴィッチ ヴァレンカ
セバスチャン・フォーカン モロカ
イェスパー・クリステンセン ミスター・ホワイト
クラウディオ・サンタマリア
イザック・ド・バンコレ
トビアス・メンジーズ
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
殺しのライセンス“00(ダブル・オー)”を取得するため、昇格最後の条件である2件の殺害を実行したジェームズ・ボンドは見事ダブル・オーの称号を得る。そして、犯罪組織の資金源を絶つという最初の任務に乗り出すのだった。まずはマダガスカルで爆弾所有の男を追い、そこから世界中のテロリストを資金面で支えるル・シッフルなる人物が一連の案件に深く関わっていると判明。続いてボンドは、バハマ、マイアミで武器売人と航空機爆破の阻止に奔走し、いよいよル・シッフルへ辿り着く。すると、ル・シッフルがモンテネグロの“カジノ・ロワイヤル”で大勝負に出ることが明らかとなり、ボンドは更なる陰謀を阻止せんと現地へ向かうのだった。しかし、そんな彼のもとには、財務省からお目付役として美女ヴェスパー・リンドが送り込まれる。最初は彼女に対して懐疑的だったボンドだが、危険を共にする中で次第に心惹かれていく…。

コメント:
実を言うと本シリーズをちゃんと観たのは今回が初めて。
地上波などでお目にかかることが多いシリーズだが、
今までのジェームズ・ボンドにはあまり魅力を感じることができず、
どうしても観る気になれない作品のひとつだった。

過去の007といえば(あくまでイメージだが…)、
陽気なジェームズ・ボンドが、出会う美女を手玉に取りながら、
あらゆる任務を遂行していき、そして最後まで美女と好きなことやって終わる。
そんな女好きボンドが諜報員として活躍する内容…という認識である。

まあこんな感覚の持ち主なため、
本レビューも過去の作品とは比較できないので悪しからず。

そんな初心者の僕から見た「カジノ・ロワイヤル」。
正直、予想以上に楽しめたといえる。

本作から6代目ボンドに抜擢されたダニエル・クレイグ。
世間ではボンドのイメージに合わないという評価を多く耳にするが、
個人的にはピアース・ブロスナンよりしっくりくる。
確かに強面だが、鍛え上げられた肉体美や仕草のひとつひとつは
諜報員としての風格が感じられる。

そんな彼が全編を通して体を張ったアクションを見せ付ける。
実際本人はどこまでスタントをこなしているのかわからないが、
あの体なら全てやってもおかしくないというリアルさ。
初っ端からかなり激しいアクションの数々のおかげで、
一気に映画へ入り込むことができた。

そして007といえばボンド・ガールの存在。
今回はフランス美女のエヴァ・グリーン。
デビュー作『ドリーマーズ』では大胆なヌードも見せていた彼女だが、
個人的にはルックスを含め結構好きな女優なのでうれしい限り。

本作の見所といえば、タイトルにもなっているカジノでの戦い。
これが思わぬ緊張感を生み、最高の見せ場を作っている。
ポーカーを知らない人にはちょっと退屈なシーンが続くかもしれないが、
ヴェスパーの美貌を利用して心理戦に持ち越そうとしたり、
意地でも勝とうとするボンドの必死な姿がおもしろい。

そんなボンドが後半で最大のピンチに。
拷問シーンは男にとっては最大級の苦痛だ。
ありゃもう笑うか死ぬしかないよ…ホントに。

本作は「慰めの報酬」のための序章のようなもの。
ボンドとヴェスパーの関係、そして本当の黒幕の正体など、
様々な伏線を残したままのエンディングとなる。
「慰めの報酬」は本作から1時間後の話という設定が何とも憎らしいが、
これはこれで巧くまとめた感じだ。

本作をDVDで鑑賞した翌日、「慰めの報酬」を映画館にて鑑賞。
個人的には「カジノ・ロワイヤル」の方が内容的に好きだった。
だが結局、2作を合わせて観ないと成立しない作品なので、
一気に鑑賞することをオススメしたい。