原題: NO COUNTRY FOR OLD MEN
製作年度: 2007年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 122分
監督:
ジョエル・コーエン
イーサン・コーエン
製作:
ジョエル・コーエン
イーサン・コーエン
スコット・ルーディン
製作総指揮:
ロバート・グラフ
マーク・ロイバル
原作:コーマック・マッカーシー 『血と暴力の国』(扶桑社刊)
脚本:
ジョエル・コーエン
イーサン・コーエン
撮影:ロジャー・ディーキンス
プロダクションデザイン:ジェス・ゴンコール
衣装デザイン:メアリー・ゾフレス
編集:
ジョエル・コーエン
(ロデリック・ジェインズ名義)
イーサン・コーエン
(ロデリック・ジェインズ名義)
音楽:カーター・バーウェル
出演:
トミー・リー・ジョーンズ エド・トム・ベル保安官
ハビエル・バルデム アントン・シガー
ジョシュ・ブローリン ルウェリン・モス
ウディ・ハレルソン カーソン・ウェルズ
ケリー・マクドナルド カーラ・ジーン
ギャレット・ディラハント ウェンデル
テス・ハーパー ロレッタ・ベル
バリー・コービン エリス
スティーヴン・ルート ウェルズを雇う男
ロジャー・ボイス エル・パソの保安官
ベス・グラント カーラ・ジーンの母
アナ・リーダー プールサイドの女
オススメ度:★★★☆☆
ストーリー:
人里離れたテキサスの荒野でハンティング中に、銃撃戦が行われたと思しき麻薬取引現場に出くわしたベトナム帰還兵モス。複数の死体が横たわる現場の近くで、200万ドルの大金を発見した彼は、危険と知りつつ持ち帰ってしまう。その後、魔が差したのか不用意な行動を取ってしまったばかりに、冷血非情な殺人者シガーに追われる身となるが、愛する若い妻カーラ・ジーンを守るため、死力を尽くしてシガーの追跡を躱していく。一方、老保安官エド・トム・ベルもまた、モスが最悪の事件に巻き込まれたことを知り彼の行方を追い始めるが、モスを保護できないまま、死体ばかりが増えていく事態に直面し、苦悩と悲嘆を深めていく…。
コメント:
恐るべきハビエル・バルデム。
圧倒的な存在感、不適な笑みに異様なおかっぱ、
神経を逆撫でされるような図太い声、
そして武器はかつて見たこともない家畜銃ピストル。
何を取っても恐怖の塊に過ぎない。
そんな彼が拘っていることがある。
それはコイントスで人の運命を決めること。
これだけで彼がどれほど非常な人間であるかが伺える。
人の命なんてこれっぽちも考えてなんかいないのだから。
一方、偶然麻薬取引現場に出くわしたモス。
現場に残された一人の生き残りが発した一言によって
人生の全てを狂わされることに。
「アグア」(スペイン語で水の意)
普通の人間であれば傷ついた人間を前にして、
そのまま放っておくことは難儀である。
だが、モスは200万ドルもの大金を手にしてしまった身。
そんな彼が水を持って現場へ戻る。
いくら同情心ともいえど、正直この行動は理解できない。
自分が汚い金を手に入れたことへの懺悔のつもりだったのだろうか?
簡単に大金を手に入れてしまったことへのつぐないか。
一見、水を持っていった彼がいい人間のように思えるかもしれないが、
そんな彼も金に目が眩んだ落ちこぼれ。
そして彼に与えられた罰は、殺し屋シガーとの生死を賭けた戦いとなる。
はっきり言って、本作がなぜアカデミー作品賞に輝いたのかわからない。
僕にとっては単なる逃走劇に終わってしまっているからだ。
確かに今までにない恐怖感と緊張感が味わえるサスペンス映画としてなら、最高の評価を与えられそうだが、肝心のトミー・リー・ジョーンズ演じるベルがどういう心境なのかが最後まで読めない。
この惨劇を最初から最後まで目撃したうちの一人だが、
彼がこの事件を通して何を感じ、どんな答えを見つけたのか?
ラストで気になる二つの夢を見たと語るベル。
ここで映画はエンディングを迎える。
いったいこの最後の語りで何を感じればいいのかわからない。
思わずDVDを巻き戻して見直してみたが、やっぱりわからない。
何も伝わらない映像を作った監督が悪いのか?
それとも僕の頭が悪いのか?
この映画を見て一番印象に残っているのは、
「殺し屋シガー」の人間としての捻じ曲がった感情と、
彼を中心に映し出す歪んだ世界の恐怖。
それ以外の何ものでもないし、
それ以上のことを考えるだけ無駄なのかもしれない。
とにかく久々に深い映画を見た気がする…
と言っても、
それはアカデミー賞が作り出した幻想の産物のように思う。
もし作品賞に輝いていなかったらそのままスルーしていた作品だ。
こういう作品が選出されることが
今の世の中を象徴しているのかもしれない。
製作年度: 2007年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 122分
監督:
ジョエル・コーエン
イーサン・コーエン
製作:
ジョエル・コーエン
イーサン・コーエン
スコット・ルーディン
製作総指揮:
ロバート・グラフ
マーク・ロイバル
原作:コーマック・マッカーシー 『血と暴力の国』(扶桑社刊)
脚本:
ジョエル・コーエン
イーサン・コーエン
撮影:ロジャー・ディーキンス
プロダクションデザイン:ジェス・ゴンコール
衣装デザイン:メアリー・ゾフレス
編集:
ジョエル・コーエン
(ロデリック・ジェインズ名義)
イーサン・コーエン
(ロデリック・ジェインズ名義)
音楽:カーター・バーウェル
出演:
トミー・リー・ジョーンズ エド・トム・ベル保安官
ハビエル・バルデム アントン・シガー
ジョシュ・ブローリン ルウェリン・モス
ウディ・ハレルソン カーソン・ウェルズ
ケリー・マクドナルド カーラ・ジーン
ギャレット・ディラハント ウェンデル
テス・ハーパー ロレッタ・ベル
バリー・コービン エリス
スティーヴン・ルート ウェルズを雇う男
ロジャー・ボイス エル・パソの保安官
ベス・グラント カーラ・ジーンの母
アナ・リーダー プールサイドの女
オススメ度:★★★☆☆
ストーリー:
人里離れたテキサスの荒野でハンティング中に、銃撃戦が行われたと思しき麻薬取引現場に出くわしたベトナム帰還兵モス。複数の死体が横たわる現場の近くで、200万ドルの大金を発見した彼は、危険と知りつつ持ち帰ってしまう。その後、魔が差したのか不用意な行動を取ってしまったばかりに、冷血非情な殺人者シガーに追われる身となるが、愛する若い妻カーラ・ジーンを守るため、死力を尽くしてシガーの追跡を躱していく。一方、老保安官エド・トム・ベルもまた、モスが最悪の事件に巻き込まれたことを知り彼の行方を追い始めるが、モスを保護できないまま、死体ばかりが増えていく事態に直面し、苦悩と悲嘆を深めていく…。
コメント:
恐るべきハビエル・バルデム。
圧倒的な存在感、不適な笑みに異様なおかっぱ、
神経を逆撫でされるような図太い声、
そして武器はかつて見たこともない家畜銃ピストル。
何を取っても恐怖の塊に過ぎない。
そんな彼が拘っていることがある。
それはコイントスで人の運命を決めること。
これだけで彼がどれほど非常な人間であるかが伺える。
人の命なんてこれっぽちも考えてなんかいないのだから。
一方、偶然麻薬取引現場に出くわしたモス。
現場に残された一人の生き残りが発した一言によって
人生の全てを狂わされることに。
「アグア」(スペイン語で水の意)
普通の人間であれば傷ついた人間を前にして、
そのまま放っておくことは難儀である。
だが、モスは200万ドルもの大金を手にしてしまった身。
そんな彼が水を持って現場へ戻る。
いくら同情心ともいえど、正直この行動は理解できない。
自分が汚い金を手に入れたことへの懺悔のつもりだったのだろうか?
簡単に大金を手に入れてしまったことへのつぐないか。
一見、水を持っていった彼がいい人間のように思えるかもしれないが、
そんな彼も金に目が眩んだ落ちこぼれ。
そして彼に与えられた罰は、殺し屋シガーとの生死を賭けた戦いとなる。
はっきり言って、本作がなぜアカデミー作品賞に輝いたのかわからない。
僕にとっては単なる逃走劇に終わってしまっているからだ。
確かに今までにない恐怖感と緊張感が味わえるサスペンス映画としてなら、最高の評価を与えられそうだが、肝心のトミー・リー・ジョーンズ演じるベルがどういう心境なのかが最後まで読めない。
この惨劇を最初から最後まで目撃したうちの一人だが、
彼がこの事件を通して何を感じ、どんな答えを見つけたのか?
ラストで気になる二つの夢を見たと語るベル。
ここで映画はエンディングを迎える。
いったいこの最後の語りで何を感じればいいのかわからない。
思わずDVDを巻き戻して見直してみたが、やっぱりわからない。
何も伝わらない映像を作った監督が悪いのか?
それとも僕の頭が悪いのか?
この映画を見て一番印象に残っているのは、
「殺し屋シガー」の人間としての捻じ曲がった感情と、
彼を中心に映し出す歪んだ世界の恐怖。
それ以外の何ものでもないし、
それ以上のことを考えるだけ無駄なのかもしれない。
とにかく久々に深い映画を見た気がする…
と言っても、
それはアカデミー賞が作り出した幻想の産物のように思う。
もし作品賞に輝いていなかったらそのままスルーしていた作品だ。
こういう作品が選出されることが
今の世の中を象徴しているのかもしれない。