◆「神の代理人」
ルネサンス期の4人の法王に焦点をあてた作品。
宗教家でありながら、政治家であることも求められる法王という立場の複雑さが、4人の全く違っていた理想へのベクトルの違いから際立たせている。
とはいえ、やはり一番面白かったのは、チェーザレ・ボルジアの父親、アレッサンドロ6世の話だ。他の三人が在位中に何をして、何ができなかったのかということに論点をおいているが、アレッサンドロ6世の場合当時フィレンチェで絶対的な勢力をもっていた修道士、サヴォナローナとの対決だけに絞られている。しかしながら、この対決こそが法王という立場の絶対さや、同じだけあるあやうさや、微妙さを象徴し、それを乗り切ったアレッサンドロ6世という人を表現しているといえる。
面白かった。