塩野七生ルネサンス著作集 4 海の都の物語塩野七生著 |
塩野七生ルネサンス著作集 5 海の都の物語塩野七生著 |
◆「海の都の物語」
ながいっ! そりゃそうだ。ヴェネチア共和国1千年の歴史だもの。それを上下巻とはいえ、ここまでしっかりとまとめ、なおかつロマンチックに彩るのは、塩野七生だからこそできたことだと思う。
蛮族から逃れるために、潟の中にくいを打って作られたヴァネチアが、その地理ゆえに、海の国家になり、その位置ゆえに常に大きな勢力と敵対していく。その在り方は、ロマンだよなと思ってしまう。
塩野七生のミステリーでヴェネチア貴族を主人公にした3部作があるのだが、その3部作が魅力的だったのもヴェネチアという都市の魅力が反映していたからにさえ思う。
またシェイクスピアの「ベニスの商人」がなぜ、ベニスなのか、ずーーっと謎だったのだが、これでようやく納得した。宗教も自由、言論も自由、人種的な差別もないに等しいというヴェネチアは、当時のほかの都市からしたら特異だったのだろう。で、特異なものはたいてい排除されるもんだ。
とにかく面白かった。元々、ヴェネチアって好きだし死ぬまでには行きたいと切望しているのだが、ますます行きたくなった。