◆「街の灯」
北村薫の新シリーズ。
昭和7年の東京が舞台で、社長令嬢の花村英子とその運転手別宮(べっく)みつ子がささいや謎から、殺人事件までを解いていく。
雰囲気としては、覆面探偵に近いが(すっごいお金持ちなので)あそこまで軽くは無く、むしろ昭和の始めがかかえていて、その後の戦争へ進んでいく時代の暗黒面が見え隠れしている。
しかし、北村薫はどーして女の子描くのが上手いんでしょうねぇ。
主人公の英子はもちろん、彼女の学友、宮家のお嬢様であったり、元大名の家だったり、そういうところからきちっとかけている。人を形成する大部分の要素は環境だ。そこに筋が通っているから、ともすれば虚構のような世界が、しっかり息づいている。
そう、読み進めれば進むほど、風景が色づいてくる感じがした。
と、日本語って美しいなぁ。