※使用させていただいているイラストは、幻想素材サイトFirst Moon様のものです。利用規約を守らず転載or再配布したりされないよう、よろしくお願い致しますm(_ _)m
さて、今回は画集「ぬうど☆」(笑)に、シェラの誕生日と血液型が書いてあったことから始めたいと思います(^^)
シェラの誕生日=6月27日(蟹座)
血液型=AB型。
だそうです♪(^^)
いえ、自分的に「蟹座キターッ!!」って思いました(ちなみにわたしは水瓶座だったり)
一般的に蟹座って母性愛が強いって聞くので……そこで軽く占星術のページをぐぐってみたところ。。。
☆蟹座・AB型のあなたへ。
〔総合〕困っている人や可愛そうな人を見過ごせない人情家タイプです。
細やかな気配りで世話をやく、まるでお母さんのようです。
たとえ相手に感謝されなくとも、いつもにこやかに面倒をみてあげるタイプです。
姉ご肌というよりは、やさしいお姉さんといった感じでしょう。
自分の世界をかたくなに守る面もあるので、人に悩みを打ち明けたり、相談することはあまりありません。
〔職業〕状況判断が的確でとてもスピーディ。一刻を争うことが日常的に起こる看護婦や、子供たちの面倒をみる保母などで力を発揮できそうです。
〔恋愛〕かに座は守護星の月から豊かな感受性を与えられています。
AB型はメルヘンチックな空想世界が大好きな夢見る乙女。そのため、ほれっぽく、恋に恋することもあるようです。
ロマンチックでなければ恋ではないと思うタイプです。
母性本能が強いので、守ってあげたいタイプに弱いのですが、自分をグイグイ引っ張って行くリーダータイプの方が結婚相手には良いようです。
☆蟹座・AB型(女性)、相性が良いのは?
水瓶座A型・双子座A型の男性
(引用元=ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/fortune/1233328273/)m(_ _)m
まあ、占星術って結局、本によって書いてることが違ってたりとか、色々だとは思うんですけど(^^;)、>>困っている人や可愛そうな人を見過ごせない人情家タイプ。とか、>>細やかな気配りで世話をやく、まるでお母さんのようです。とか、さらには、>>母性本能が強いので、守ってあげたいタイプに弱いのですが、自分をグイグイ引っ張って行くリーダータイプの方が結婚相手には良いようです。とか……妙に壺(←?)にくるんですけど!!!
ちなみに、カルはたぶん冬生まれっぽそーな気がしますよね
べつに夏の白夜に生まれたとかでも全然いいんだけど(笑)、たぶん日本の季節感としては、12月~3月くらいの生まれなのかな~なんて(あ、一応書いておくと、カルの誕生日は「不明」ってことになってるんですよね^^;)
あとはそれぞれ、太字(?)のキャラ紹介として、カルのところには「孤独に抱かれた哀しき至高王!!」、シェラのところには「美しき琴の音は悲しみの調べ……」みたいなことが書いてあったり。。。
たぶんこれまとめたのって、S英社の「必殺!!編集人!!」な方々だとは思うんですけど、う゛~んやっぱりカルってキャラ的に、最後までこのキィワードで括られたまま終わるのかなあ(^^;)
<孤独>って言っても、自分のことを慕ってくれる十二魔戦将軍もいるし、D・Sっていう親友もいるし、他にもガラとかアビっていう盟友もいたり、ネイとは兄妹(?)っぽい関係だと思うし……まあ、べつにカルってそんなに<孤独>っていう感じはしないんですけど、魂の飢えみたいな意味では、確かに孤独なのかなっていうのはあって
まあ、わたしがカル×シェラなお話書いてるのは、そーゆーカルの魂の飢えみたいなものが薄まるといいなっていう気持ちからなんですけど、人によって主義主張って違うと思うので、とりあえずうちはそーですよ♪くらいな認識で書いています(^^;)
実をいうと今回画集を購入したのには、カルとシェラの絵を描くれんしう☆でもしよーかなっていうのがあったんですけど……やっぱりねー、怖れおおくって、上からなぞって描くっていうのは無理だなあと思って諦めることにしました
いえ、中学生くらいの時とかは、たまにそーやって練習したりしてて(^^;)あまりにも上手い人の絵の場合は、薄い紙の上からなぞっても、本物そっくりになりませんけど(笑)、それでもある程度何度かやってると、「感じ」が少し掴めてくるというか。。。
まあ、カルとシェラの場合、たぶん100枚くらいそーやって模写してようやく、人に見せられるくらいのものが描けるかな~と思ったりww
でも結局、そんなことしてる時間もないので、モシャモシャ☆(?)することもなく、画集は時々開いて、これからもニヤニヤ☆するだけで終わりそうです(笑)
それではまた~!!
迷宮のカル=ス。-2-
それからもカル=スとシェラは、<リハイラ王妃の館>と呼ばれる場所で、何度となく逢瀬を重ねた。大抵は先にシェラがその場所へ向かい、カルは少しばかり時間を置いてから――つまりは、寝た振りをしてから――そこへ向かった。
こうした秘密は、ちょっとしたスリルと刺激をふたりの関係にもたらしていた。最初シェラは、自分の身分が、心地の好い囲い地に囲われた鳥のようになったらどうしようと、少し不安でもあったが、今はそのようなこともまったく気にならなくなり、<リハイラ王妃の館>で主君とふたりで過ごせる時間が、本当に楽しみで仕方がなかった。
その日、シェラは町の大通りにある青果店で果物をいくつか買い、また同じ通りにある菓子店で、マドレーヌと干しぶどう入りの焼き菓子、フィナンシェなどを買ってから、<リハイラ王妃の館>へ向かった。こうしたものをいつも買っていくのは、シェラが眠る前に物語を語る間――カルが紅茶とともに果物やお菓子を摘むことがあるためだった。
ここのところシェラは、ジューダス城内にある図書館へ、暇があれば赴くようにしているが、それというのも吟遊詩人としての彼女の話のレパートリーが、そろそろ尽きかけているというそのせいであった。シェラは、カルと出会う前からすでに、一族の長老などから口伝によって継承された、数百以上もの古来からの物語を知ってはいたが……ただし、主君カル=スが面白がって聞いてくださるだろうと思うものを厳選するとしたら、その数は相当に減ってしまうのである。
そこで、図書館にある世界の民話や御伽話などを集めた本を読み耽り、今夜はどんな話をカル様にしたら喜んでいただけるだろうかと探すことが、彼女の日課になっていたと言っていい。
そしてシェラはこの日、青果店で買った果物を銀の鉢にのせ、紅茶の支度をし、陶器の皿の上に焼き菓子などをのせたあと――寝室のベッドの下へ隠しておいた、ある一冊の本を取りだしたのだった。立派な茶色の革表紙に、金箔のおされたその本のタイトルは『やんごとなき姫君の祈祷書』というものであった。
シェラがこの本を偶然図書館で発見した時、彼女は(何か面白い話でものってないかしら?)という、極めて純粋な動機から手を伸ばしたのだったが、中を数ページ捲ってみただけで、みるみる顔が赤くなるのを感じた。
その本はようするに、いわゆる性的なテクニックを女性向けにわかりやすく書いた本で、こうすればもっと殿方の心を惹きつけておけるといったようなことが、図版も交えてたくさん書かれていたのだった。
(ほ、本当にこんなことをすればカル様は、お喜びになってくださるのだろうか……?)
半信半疑な思いとともに、シェラはもう一度、ドキドキしながらその本――『やんごとなき姫君の祈祷書』という本を開いた。
最初は極めて几帳面に、一ページずつ捲って読んでいたシェラだったが、その後あるページに差し掛かると、まるで「何も見なかった」とでもいうように、パタンと本を閉じていた。
(で、出来ない、こんなこと……っ!!絶対に無理!!で、でも………)
もし本当にこれで、カル様がいつも以上に喜んでくださるとしたら……そう思い、シェラがもう一度同じページへ戻ろうとした瞬間のことだった。
「ほう。敵が侵入してきたのにもまるで気づかないとは、まったく大した堕落ぶりだな、シェラよ」
ハッとしてシェラがベッドの上から顔を上げると、そこには魔戦将軍である、ひとりの男の姿があった。
「堕落とは、一体どういう意味だ!?わたしが一体いつ……」
と言いかけて、シェラは自分が今、完全に女の格好をしていることに気づき、あらためて赤面した。シェラ自身には特段、女性の衣装を身に着けることに対し、執着心のようなものはまるでない。というより、彼女には豪華な衣装や装飾品類を過度に纏いたいといったような欲求が、もともと希薄だった。
けれど、この<リハイラ王妃の館>の衣装部屋には、カル=スがわざわざシェラのためにと誂えた衣装や靴、宝石類などが数え切れないほどあったため――シェラは単にそうした主君の心遣いに応えるため、ここにいる時にはあえて女性の格好をするようにしているという、それだけのことだった。
一瞬、男の身体から殺気のようなものが漲り、シェラは彼が本気で自分に害を加えるつもりらしいと身構えた。ジャキン、と両手の<魔爪>が伸び、戦闘体勢に入る……が、すぐにフッと、男の殺気が緩んだ。それに合わせ、シェラもまた一歩バルコニーのほうへ後ずさる。
「私はおまえと争うつもりはない……だが、あの方の力を試すため、シェラ、おまえには丁度いい餌になってもらうことにしよう」
「どういうことだ!?まさか卿、カル様に背くつもりなのではあるまいな!?」
「背くも何も」
と、男は嘲笑うように口角を曲げた。
「すべての発端は、そもそもシェラ、おまえにあるのだ。私は女などに現を抜かすあの方には興味などない。あの方が孤高の精神を持って理想郷へ邁進する姿こそ、私の理想だった。なのに最近ではすっかり、こんな小さな城下町の政(まつりごと)風情に随分力を注いでおられる……あの方はもっと上を目指すべきお方なのに、シェラ、おまえのせいでその計画が頓挫しかかっていると、何故気づかんのだ!?」
「……………っ!!」
シェラは同じ魔戦将軍である男の言葉に、動揺を隠せなかった。今彼が言ったのと似たようなことを、シェラは確かに何度か考えたことがある。だが、目の前に差し出された幸福に酔いしれるあまり、最近ではそうしたことをあえて考えぬよう、思考を閉ざしていたのかもしれない。
そして、その心の動揺という一瞬の隙をついて、男はシェラの背後をとった。彼女の<魔爪>が虚しく空を切り、次の瞬間には、彼にベッドの上へ押し倒されるような格好になる。
「フッ。女など、所詮この程度のものだ」
ギリ、と両方の手首を捻り上げられ、シェラは痛みに顔をしかめた。
「おっと、大人しくしてもらおうか、シェラ。同僚のよしみで、余計な危害を加えるつもりはないのでね」
(何が同僚のよしみだ、この裏切り者めっ!!)
男は、最初からそのつもりで用意してきたのであろう、薬品を含ませたハンカチでシェラの口許を覆った。んー、んんー、という、言葉にならない叫びがシェラの口からは洩れたが、その声が男の耳に届くということは当然なかった。
こうしてシェラは、満月が美しいその初夏の夜、自分と同じ魔戦将軍のひとりに誘拐されるということになったのであった。
>>続く……。。。
さて、今回は画集「ぬうど☆」(笑)に、シェラの誕生日と血液型が書いてあったことから始めたいと思います(^^)
シェラの誕生日=6月27日(蟹座)
血液型=AB型。
だそうです♪(^^)
いえ、自分的に「蟹座キターッ!!」って思いました(ちなみにわたしは水瓶座だったり)
一般的に蟹座って母性愛が強いって聞くので……そこで軽く占星術のページをぐぐってみたところ。。。
☆蟹座・AB型のあなたへ。
〔総合〕困っている人や可愛そうな人を見過ごせない人情家タイプです。
細やかな気配りで世話をやく、まるでお母さんのようです。
たとえ相手に感謝されなくとも、いつもにこやかに面倒をみてあげるタイプです。
姉ご肌というよりは、やさしいお姉さんといった感じでしょう。
自分の世界をかたくなに守る面もあるので、人に悩みを打ち明けたり、相談することはあまりありません。
〔職業〕状況判断が的確でとてもスピーディ。一刻を争うことが日常的に起こる看護婦や、子供たちの面倒をみる保母などで力を発揮できそうです。
〔恋愛〕かに座は守護星の月から豊かな感受性を与えられています。
AB型はメルヘンチックな空想世界が大好きな夢見る乙女。そのため、ほれっぽく、恋に恋することもあるようです。
ロマンチックでなければ恋ではないと思うタイプです。
母性本能が強いので、守ってあげたいタイプに弱いのですが、自分をグイグイ引っ張って行くリーダータイプの方が結婚相手には良いようです。
☆蟹座・AB型(女性)、相性が良いのは?
水瓶座A型・双子座A型の男性
(引用元=ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/fortune/1233328273/)m(_ _)m
まあ、占星術って結局、本によって書いてることが違ってたりとか、色々だとは思うんですけど(^^;)、>>困っている人や可愛そうな人を見過ごせない人情家タイプ。とか、>>細やかな気配りで世話をやく、まるでお母さんのようです。とか、さらには、>>母性本能が強いので、守ってあげたいタイプに弱いのですが、自分をグイグイ引っ張って行くリーダータイプの方が結婚相手には良いようです。とか……妙に壺(←?)にくるんですけど!!!
ちなみに、カルはたぶん冬生まれっぽそーな気がしますよね
べつに夏の白夜に生まれたとかでも全然いいんだけど(笑)、たぶん日本の季節感としては、12月~3月くらいの生まれなのかな~なんて(あ、一応書いておくと、カルの誕生日は「不明」ってことになってるんですよね^^;)
あとはそれぞれ、太字(?)のキャラ紹介として、カルのところには「孤独に抱かれた哀しき至高王!!」、シェラのところには「美しき琴の音は悲しみの調べ……」みたいなことが書いてあったり。。。
たぶんこれまとめたのって、S英社の「必殺!!編集人!!」な方々だとは思うんですけど、う゛~んやっぱりカルってキャラ的に、最後までこのキィワードで括られたまま終わるのかなあ(^^;)
<孤独>って言っても、自分のことを慕ってくれる十二魔戦将軍もいるし、D・Sっていう親友もいるし、他にもガラとかアビっていう盟友もいたり、ネイとは兄妹(?)っぽい関係だと思うし……まあ、べつにカルってそんなに<孤独>っていう感じはしないんですけど、魂の飢えみたいな意味では、確かに孤独なのかなっていうのはあって
まあ、わたしがカル×シェラなお話書いてるのは、そーゆーカルの魂の飢えみたいなものが薄まるといいなっていう気持ちからなんですけど、人によって主義主張って違うと思うので、とりあえずうちはそーですよ♪くらいな認識で書いています(^^;)
実をいうと今回画集を購入したのには、カルとシェラの絵を描くれんしう☆でもしよーかなっていうのがあったんですけど……やっぱりねー、怖れおおくって、上からなぞって描くっていうのは無理だなあと思って諦めることにしました
いえ、中学生くらいの時とかは、たまにそーやって練習したりしてて(^^;)あまりにも上手い人の絵の場合は、薄い紙の上からなぞっても、本物そっくりになりませんけど(笑)、それでもある程度何度かやってると、「感じ」が少し掴めてくるというか。。。
まあ、カルとシェラの場合、たぶん100枚くらいそーやって模写してようやく、人に見せられるくらいのものが描けるかな~と思ったりww
でも結局、そんなことしてる時間もないので、モシャモシャ☆(?)することもなく、画集は時々開いて、これからもニヤニヤ☆するだけで終わりそうです(笑)
それではまた~!!
迷宮のカル=ス。-2-
それからもカル=スとシェラは、<リハイラ王妃の館>と呼ばれる場所で、何度となく逢瀬を重ねた。大抵は先にシェラがその場所へ向かい、カルは少しばかり時間を置いてから――つまりは、寝た振りをしてから――そこへ向かった。
こうした秘密は、ちょっとしたスリルと刺激をふたりの関係にもたらしていた。最初シェラは、自分の身分が、心地の好い囲い地に囲われた鳥のようになったらどうしようと、少し不安でもあったが、今はそのようなこともまったく気にならなくなり、<リハイラ王妃の館>で主君とふたりで過ごせる時間が、本当に楽しみで仕方がなかった。
その日、シェラは町の大通りにある青果店で果物をいくつか買い、また同じ通りにある菓子店で、マドレーヌと干しぶどう入りの焼き菓子、フィナンシェなどを買ってから、<リハイラ王妃の館>へ向かった。こうしたものをいつも買っていくのは、シェラが眠る前に物語を語る間――カルが紅茶とともに果物やお菓子を摘むことがあるためだった。
ここのところシェラは、ジューダス城内にある図書館へ、暇があれば赴くようにしているが、それというのも吟遊詩人としての彼女の話のレパートリーが、そろそろ尽きかけているというそのせいであった。シェラは、カルと出会う前からすでに、一族の長老などから口伝によって継承された、数百以上もの古来からの物語を知ってはいたが……ただし、主君カル=スが面白がって聞いてくださるだろうと思うものを厳選するとしたら、その数は相当に減ってしまうのである。
そこで、図書館にある世界の民話や御伽話などを集めた本を読み耽り、今夜はどんな話をカル様にしたら喜んでいただけるだろうかと探すことが、彼女の日課になっていたと言っていい。
そしてシェラはこの日、青果店で買った果物を銀の鉢にのせ、紅茶の支度をし、陶器の皿の上に焼き菓子などをのせたあと――寝室のベッドの下へ隠しておいた、ある一冊の本を取りだしたのだった。立派な茶色の革表紙に、金箔のおされたその本のタイトルは『やんごとなき姫君の祈祷書』というものであった。
シェラがこの本を偶然図書館で発見した時、彼女は(何か面白い話でものってないかしら?)という、極めて純粋な動機から手を伸ばしたのだったが、中を数ページ捲ってみただけで、みるみる顔が赤くなるのを感じた。
その本はようするに、いわゆる性的なテクニックを女性向けにわかりやすく書いた本で、こうすればもっと殿方の心を惹きつけておけるといったようなことが、図版も交えてたくさん書かれていたのだった。
(ほ、本当にこんなことをすればカル様は、お喜びになってくださるのだろうか……?)
半信半疑な思いとともに、シェラはもう一度、ドキドキしながらその本――『やんごとなき姫君の祈祷書』という本を開いた。
最初は極めて几帳面に、一ページずつ捲って読んでいたシェラだったが、その後あるページに差し掛かると、まるで「何も見なかった」とでもいうように、パタンと本を閉じていた。
(で、出来ない、こんなこと……っ!!絶対に無理!!で、でも………)
もし本当にこれで、カル様がいつも以上に喜んでくださるとしたら……そう思い、シェラがもう一度同じページへ戻ろうとした瞬間のことだった。
「ほう。敵が侵入してきたのにもまるで気づかないとは、まったく大した堕落ぶりだな、シェラよ」
ハッとしてシェラがベッドの上から顔を上げると、そこには魔戦将軍である、ひとりの男の姿があった。
「堕落とは、一体どういう意味だ!?わたしが一体いつ……」
と言いかけて、シェラは自分が今、完全に女の格好をしていることに気づき、あらためて赤面した。シェラ自身には特段、女性の衣装を身に着けることに対し、執着心のようなものはまるでない。というより、彼女には豪華な衣装や装飾品類を過度に纏いたいといったような欲求が、もともと希薄だった。
けれど、この<リハイラ王妃の館>の衣装部屋には、カル=スがわざわざシェラのためにと誂えた衣装や靴、宝石類などが数え切れないほどあったため――シェラは単にそうした主君の心遣いに応えるため、ここにいる時にはあえて女性の格好をするようにしているという、それだけのことだった。
一瞬、男の身体から殺気のようなものが漲り、シェラは彼が本気で自分に害を加えるつもりらしいと身構えた。ジャキン、と両手の<魔爪>が伸び、戦闘体勢に入る……が、すぐにフッと、男の殺気が緩んだ。それに合わせ、シェラもまた一歩バルコニーのほうへ後ずさる。
「私はおまえと争うつもりはない……だが、あの方の力を試すため、シェラ、おまえには丁度いい餌になってもらうことにしよう」
「どういうことだ!?まさか卿、カル様に背くつもりなのではあるまいな!?」
「背くも何も」
と、男は嘲笑うように口角を曲げた。
「すべての発端は、そもそもシェラ、おまえにあるのだ。私は女などに現を抜かすあの方には興味などない。あの方が孤高の精神を持って理想郷へ邁進する姿こそ、私の理想だった。なのに最近ではすっかり、こんな小さな城下町の政(まつりごと)風情に随分力を注いでおられる……あの方はもっと上を目指すべきお方なのに、シェラ、おまえのせいでその計画が頓挫しかかっていると、何故気づかんのだ!?」
「……………っ!!」
シェラは同じ魔戦将軍である男の言葉に、動揺を隠せなかった。今彼が言ったのと似たようなことを、シェラは確かに何度か考えたことがある。だが、目の前に差し出された幸福に酔いしれるあまり、最近ではそうしたことをあえて考えぬよう、思考を閉ざしていたのかもしれない。
そして、その心の動揺という一瞬の隙をついて、男はシェラの背後をとった。彼女の<魔爪>が虚しく空を切り、次の瞬間には、彼にベッドの上へ押し倒されるような格好になる。
「フッ。女など、所詮この程度のものだ」
ギリ、と両方の手首を捻り上げられ、シェラは痛みに顔をしかめた。
「おっと、大人しくしてもらおうか、シェラ。同僚のよしみで、余計な危害を加えるつもりはないのでね」
(何が同僚のよしみだ、この裏切り者めっ!!)
男は、最初からそのつもりで用意してきたのであろう、薬品を含ませたハンカチでシェラの口許を覆った。んー、んんー、という、言葉にならない叫びがシェラの口からは洩れたが、その声が男の耳に届くということは当然なかった。
こうしてシェラは、満月が美しいその初夏の夜、自分と同じ魔戦将軍のひとりに誘拐されるということになったのであった。
>>続く……。。。
シェラがどうなるのか!予想ができない展開にハラハラしつつ、二人で幸せを感じてる2人にドキドキしました(^^)v
ほんと、カルはただ真顔で読み終えてしまいそうな気がします(笑)それで、「これの一体どこが祈祷書なんだ……?」とかつぶやくんでしょうねww
シェラに関しては、やっぱり彼女も真面目なんだろーなっていう気がしたり(^^;)この本がカルに見つかった時、「カル様、違うんですっ!!これはほんとに……!!」とか言って、オロオロしてる彼女の姿が目に浮かぶよう(笑)
ちょっと長いので読むの面倒くさいと思うんですけど(汗)、最後までおつきあいいただけると嬉しいです~♪(^^)
それではまた~!!