天使の図書館ブログ

 オリジナル小説サイト「天使の図書館」の付属ブログです。

太陽と月に抱かれて~あとがきらしきもの☆~

2013-08-14 | 創作ノート
【ユニコーン】ギュスターヴ・モロー


(※ネタバレ☆がありますので、本編をお読みでない方は閲覧されないようお願い致しますm(_ _)m)


 きっと悲しみや
 喪失に似たものにちがいない
 気高い美のほうへ
 目を向けることは

 だが ひとたび目を傾ければ
 鍾乳石のように
 まれな
 喜びを認める

 ありふれた喜びなら
 もっとわずかな代償で手に入るだろう
 その値いは
 恩寵にひとしい

 主イエスは少しも
 無駄使いと思われなかった
 十字架の代償を払うことを

(エミリー・ディキンスン/新倉俊一さん訳)


 え~と、べつにそんなに大して書くことない気がするんですけど、まあ2、3付け加えておいたほうがいいのかなと思わなくもなかったり

 このシーンは出来れば要の回想の中に入れようと思っていて、なんとなく都合で入れられなかったっていうのが、マリエが要に目をつけたというか、彼に抱かれようと思った理由でしょうか(^^;)

 彼女はああした過去を持っているので、べつに要に対して女としてムラムラ(笑)したとか、そういうえっち☆なことが動機ではあまりなく……本当に何かこう直感的なことですよね。「この男なら自分を癒してくれる」といったような。

 もちろんマリエには要のような男とは恋愛関係が長続きしないだろうとわかっていたし、だから一夜限りの関係というので十分に良かった。何故なら、あんな男が自分の記憶に残る最後の経験だなんて、とても耐えられなかったから……。

 そこで、「この人になら……」と自分が十分納得できる相手と関係を持とうと思ったというか。今回のトップ絵はギュスターヴ・モローのユニコーンですけど、一角獣というのは処女にしか懐かないそうです。でも自分的に肉体的に処女っていうのと、精神的に処女っていうのは少し別のことのような気がするので、魂に深い処女性を持つ女性にだけ一角獣は懐くとしたほうがいいような気もしたり(笑)

 モローのこの絵を見ても、一角獣が懐いているということは、この娘たちはヴァージンなのだろうと想像されるわけですけど、そう思ってあらためて絵を見つめ直してみると、なんだか清らかであると同時にどこか艶めかしいように感じられてきますよね。

 清らかであると同時に艶めかしい……なんというか、要がというか、世界の全男性が求める理想の女性像はそういうことなのかもしれませんが、とにかく要の好みとしては自分自身が一角獣で、そういう美しい娘たちが好みなわけです(笑)

 つまり、最初はマリエって要のそういうセンサーにまったく引っかからなかったわけですけど、つきあっていくうちに彼女がまさしく「清らかであると同時に艶めかしい」という自分の理想に近いことに思い当たったのかもしれません。

 物語としては、「マリエは幽霊になっていつでも要のそばにいる」……といったように読めるかも、なんですけど、わたし自身は「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」的に思って書いていたかもしれません(^^;)

 でも仮にもしそうであったとしたら――彼女は自分が払った代償以上のものを手に入れたのかもしれないし、イエス・キリストの生涯が敗北のように見えて実は圧倒的な勝利であったように、マリエもまた自分の魂が欲するものを肉体の滅びを通して永遠に手に入れたのかもしれません。

 もちろん、ユーレイなんていう存在は、キリスト教神学と矛盾することではあるんですけど、まあそこらへんの論争についてはとりあえず置いておくとして……マリエはわたしの中のプリマヴェーラ的解釈としては、三美神のうちの<悦楽>に当たります。

 そして<美>が椎名ミキ、<貞節>が鹿沼玲子といったところでしょうか。

 鹿沼玲子ちゃんについては別に短編があるので、ここでは詳しく書かないにしても……ミキたんは、わたしが思うにたぶん、女優&モデルをやめて完全に家庭に入ちゃったのがいけなかったのかなと思ったりもします

 もちろん、旦那さんとの間にチルドレンがいたらああいうことにならなかったかもしれないんですけど、たぶんミキたんはもともと創造力というか、何かを作ったり生み出したりする創作能力が高い女性だったんじゃないかと思うんですよね。

 でも要に出会う前までは「自分はこれがしたい!」といったことがはっきり見えていたわけではなく……要と関係を持つことで「これこそが芸術ということなんだわ!」ということがわかるなり、真綿が水を吸収するように、どんどん花開いていったというか。

 なので、普通の人よりズバ抜けた高い能力を持ってる人が家にずっと引きこもっていたりしたら、そうした創作能力がどんどん鬱屈していって、最後にはちょっとしたことをきっかけにドカーン!!と爆発しちゃったみたいな、あれはそういうことだったのかな、なんて思います(^^;)

 そしてそういう間違った方向であったにしても、自分の目的がはっきりと定まるなり、ミキたんは毎日早起きしてジョギングしたりとか、「打倒!鹿沼玲子!!」とばかりCAの仕事のレッスンをしたりとか、計五百時間ばかりも射撃練習場で特訓したりとか、それはもう物凄いエネルギーを傾注したのではないかと……もちろん事件後彼女が思ったのは、その物凄いエネルギーをどうせならもっと別のことに使うべきだったということかもしれませんけど、人間はそんな些細なことに気づくのに、時々物凄く遠回りをしてしまうものなんですよね。。。

 なんというか、要の中でもそうかもしれませんけど、わたしの中でもマリエとミキたんと玲子ちゃんはそれぞれ女性として素晴らしいので、三人のうち誰のことを選ぶということは出来ないような気がしたり(^^;)

 だから彼女たちはこれからも永遠に、三美神として輪舞し続けるしかないのかもしれません。ある時は<悦楽>にキューピッドの矢が当たり、また別の時には<美>に、あるいは<貞節>に矢が当たってメルクリウスと恋に落ちるのだと思います。

 まあお話全体としては、偽テロリストたちが一体どうやって拳銃を機内に持ち込んだのかとか、謎が残ってもいるんですけど(汗)、何分本当のテロリストじゃないだけに、あんまりイスラム思想についてとか、そのあたりのことを書けずに終わってしまったな~とも思っていたり

 なんにしても、次回からはくだらない記事を暫く上げていって、その次に鹿沼玲子ちゃんの短編を連載しようと思っていますm(_ _)m

 それではまた~!!





最新の画像もっと見る

コメントを投稿