ライフ&キャリアの制作現場

くらし、仕事、生き方のリセット、リメイク、リスタートのヒントになるような、なるべく本音でリアルな話にしたいと思います。

92.キャリアのささくれ

2018-06-11 20:07:57 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 10年以上前になるが、懲戒処分を受けたことがある。「訓告」という軽い方から2番目の処分であったが、およそ20年勤めて初めてのことだった。今世紀に入る頃から会社は、業界再編の影響もあってか規模の拡大に邁進していた。特に、営業現場では数字至上主義が絶対的な価値観とされ、結果が全てという風潮だった。「目標必達」「未達は許されない」などの檄文メールとともに、店舗や担当者のランキングが頻繁に統括部門から送られ、競わされていた。

 勿論、営業担当者に優劣はあるし数字の結果に波もあったが、私のような地方の中小企業や個人をマーケットとする販売代理店の担当としては、役職を問わず数字を「かき集める」ような泥臭い仕事をしていた。代理店の育成や提案にも努めていたが、毎月の達成期限が迫ると目前の数字に追い込まれることも多々あった。目標を達成すると評価され、未達だと原因や対策を詰められたものだった。

 そんな中、会社は監督官庁から「業務停止命令」を受け、同時に社員数百名の処分があった。それ以前から、度重なる「業務改善命令」にもかかわらずその場しのぎの対応を繰り返し、「お客様第一」を謳いながら業法違反を含む行き過ぎた営業活動が続いていたとされた。マスコミからも批判され、社長辞任に至った。

 対照的な当時の記憶がある。一つは、「どんな手段を使っても数字を作る執念は勲章だ」と部下のルール違反を黙認しながら、責任問題になると「そこまでやれとは言ってない」と逃げた上司の姿。もう一つは、周囲が大勢に流される中でも、自分の立場で役割を誠実に果たそうと努めていた同僚の顔。

 最近、ニュースや周囲の光景を見ていて、ささくれのような痛みを思い出すことがある。今の私は、相手のことを慮りながら納得できる仕事をするよう努めている。迷ったら、自分の信念や倫理観に照らしてみる。それが今の仕事のプライドになっている。

 
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