1399 作者未詳 2009-10-31 | 巻七 比喩歌 百傳 八十之嶋廻乎 榜船尓 乗尓志情 忘不得裳 百伝(ももづた)ふ 八十(やそ)の島廻(しまみ)を 漕ぐ舟に 乗りにし心 忘れかねつも 「“百伝ふ”無数の島を回るため。漕ぐ舟に、乗ったときの(楽しい)心は、忘れられないよ」
1398 作者未詳 2009-10-30 | 巻七 比喩歌 寄船 神樂聲浪乃 四賀津之浦能 船乗尓 乗西意 常不所忘 楽浪(ささなみ)の 志賀津(しがつ)の浦の 舟乗りに 乗りにし心 常忘(つねわす)らえず 船に寄せる 「“楽浪の”志賀津の入り江で、舟に乗った。そのときの(楽しい)心は、未だに忘れられない」
1397 作者未詳 2009-10-29 | 巻七 比喩歌 荒礒超 浪者恐 然為蟹 海之玉藻之 憎者不有手 荒礒越(ありそこ)す 波は畏(かしこ)し しかすがに 海の玉藻の 憎くはあらずて 「岩石だらけの海岸に、荒波が打ち寄せてちょとヤバイ。まあそうなのだが、海(を漂う)きれいな藻まで、キライなわけではない」
1396 作者未詳 2009-10-28 | 巻七 比喩歌 紫之 名高浦乃 名告藻之 於礒将靡 時待吾乎 紫の 名高の浦の なのりその 礒に靡かむ 時待つ我れを 「“紫の”(ムラサキで名高い)名高の入り江の、“なのりその”(ホンダワラが)磯になびく、その時を待つ私です」 ●紫:ムラサキ ●なのりそ(莫告藻):ホンダワラ
1395 作者未詳 2009-10-27 | 巻七 比喩歌 奥浪 依流荒礒之 名告藻者 心中尓 疾跡成有 沖つ波 寄する荒礒の なのりそは 心のうちに 障(つつ)みとなれり 「“沖つ波”打ち寄せる海岸の、ホンダワラは、心の中で、障害となってしまった」