舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

卒業論文第2章まとめ(カヒコ&アウアナ)

2006-01-25 23:46:11 | 創作活動
(1) カヒコ

まずはカヒコの辞書的定義から。ちなみに、言葉を調べる時はいつもフセボ先生の御墨付き辞書、Pukui & Elbert Hawaiian Dictionaryを参考にしております。

「カヒコ(古い)」という語は後世になって用いられたものです。カラーカウア王時代に初めて西洋式音楽に合わせて踊られた新しい形式のフラ(アウアナ)に対して、それ以前の様々なフラの総称として呼ばれるようになった名前なのです。
つまり「カヒコ」と呼ばれるフラにはいくつもの種類があるのです。

次にカヒコの「踊り方」「演奏形態」「服装」における特徴です。
踊り方は、ひとめ見ればアウアナとの違いが分かるものなのですが、文章にするとなるとひと苦労だった記憶が
演奏形態というのは、打楽器(イプやパフ)が用いられることや、メロディのある歌というよりは「祝詞」に近い歌い方がされること、そしてチャントにおけるハワイ語の正確な発音の重要性などを説明してます。
カヒコの服装の説明は、同時に古代のフラの衣装の解説でもあります。
パウ(スカート)やレイの由来にも触れました。
それに加え、現代では基本的に当時の衣装を踏まえて考え出されているものの、デザインや機能性、あるいは材料調達の問題などから改良が加えられた点について論じました。

そして、カヒコにとって最も重要な「歌詞の持つメッセージ」についての解説です。
すべてのフラにとって歌詞は大切ですが、もともと宗教行為として生まれたカヒコの場合、とりわけ歌詞が重んじられるのです。
というわけで、「どんな題材がよくテーマに選ばれるか」を検証してみました。
第一に「ペレ」や「ヒイアカの旅」など、神話を題材にしたもの。第二は作者にとって縁ある土地の讃歌。第三は王族讃歌。そして恋愛や男女関係を讃える歌、以上の4つです。
とくに最後の一つに関しては、フラやハワイアンソングになじみのない人にとってはチト理解しがたい部分かと思いましたので(笑)、「なぜそれが讃えられるのか」というハワイアンの考え方も述べました。

これら4種類のテーマを分類してしまうことには、フラを3つに分けて分析することと同じくらい悩むところでした。
というのは、殆どのチャントは4種類のどれかに分類することが不可能で、複数のテーマが絡まり合っていますし、そもそもこの4種類は非常に密接に関係しているので、分けてしまうのは適切でない気がしたのです。
書きながらそんなことを悩んだ結果、続く第3章で自分なりの結論を出してみました。

締めくくりに、敬愛するジョニー・ラム・ホー御大らによる「新しい」カヒコについても触れました。


(2) アウアナ

アウアナの流れも基本的にはカヒコと同じです。まず定義をはっきりさせてから、踊り方、演奏形態、服装について順に述べました。
ちなみに曲のテーマに選ばれる題材は基本的にカヒコと同じで、それにパニオロなどカラーカウア以降の出来事が加わります。
さっきカヒコのことを書いたので、「カヒコとの比較」という点で説明していけたのが良かったと思います。ここで述べられているのは必ずしも相違点だけではなく、カヒコのチャントにメロディがつけばアウアナとなるし、ばりばりアウアナの曲にカヒコに使われていた楽器(鼻笛やイプ)が使われることもある等、共通点についても触れています。

音楽の項では特にウクレレ、スラック・キー・ギター(どうでもいいけどグラミー賞はどうなった)、ファルセット・ヴォイスについて調べました。この3つはどれもアウアナの音楽に強い影響を与えた要素なのです。

次に服装です。宣教師によってもたらされた西洋風ドレスがいかにしてムウムウになり、いかにしてフラのドレスとなり、そして現在に至るまで進化を遂げてきたか、というお話です。
このへんは母マミちゃんの衣装に対する意識の高さに助けられた面が多いですね。
とはいえこの人はその高い意識をデザイン面のみにしか向けませんので、衣装が担っている意味(どのへんが歌詞のテーマにそっているか等)を研究するのは私の役目.....。

アウアナの項では何人かのクムフラ(フラの先生)についても触れています。
音楽面では、フラやハワイアン音楽に革新をもたらすクムとしてロバート・カジメロを挙げ、それに対しハワイの伝統文化継承に強い責任感を持っているクムとしてケアリイ・レイシェルを挙げました。
どちらも「世界的地位を持つハワイアン・ミュージシャン」であるという共通点からこのお二人を挙げたのです。

そして衣装面では、尊敬する天才クリエイター、パレカ・マトスのことを書きました。
彼女の類い稀な才能によって創り出された衣装に対し、どこがどう類い稀なのか、私なりの(本当は殆ど母の)分析を試みています。

ということでカヒコとアウアナは終了です。
第2章の最後「ハパ・ハオレ」は、以上の2つとはちょっと毛色が違いますぞ。

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