京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

更衣(ころもがえ)

2020年06月01日 | 日々の暮らしの中で

6月1日、一般的には「衣替えの日」としている。

葉桜、若楓、柿若葉…。萌え出た鮮やかな黄緑の若葉は、いくつもの色目を重ねながら、その成長は著しく青葉となって木々に繁るようになった。風土、土地によって、その緑の色つやは異なる美しさであることを教えられる。
このころになると人は逆に一枚また一枚と衣をとって薄着に変わる。

今の三越の前身にあたる、江戸一番の大店であった越後屋三井呉服店では〈現金掛け値なし〉〈越後屋〉などの看板を掲げ、暖簾を盛大にかけめぐらして、切り売りという薄利多売の商法で人気を得ていた。
旧暦で4月1日~5月4日ごろ(太陽暦だと5月初めごろ)、綿入れを脱いで袷(あわせ)に替える衣替えの季節で、初袷の仕立ての注文が殺到する。客が群がり、店からはひっきりなしに絹布を裂く音が聞こえ、切り売りされたようだ。

    越後屋に衣さく音や更衣   其角

商売繁盛。商家の景気の良さが、耳に届く。


こうした商店の賑わいが戻るだろうか…。

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「期待と弾み心」 | トップ | ボーン ボーン ボーン »

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
先駆け、 リュウさん (kei)
2020-06-02 23:12:30
こんばんは。
昨夜は暑くて少々寝苦しさを感じました。
今日は31度です。
クレープのパジャマ、涼し気ですね。
暑いかと思えば肌寒い日もあって、着るものに困りますから、
今は衣替えといっても臨機応変にでしょうか。
階段の上がり降りはこたえますでしょう。運動ですね。

江戸の活気が感じられて、其角の句もいいものですね。

返信する
こんばんは (リュウ)
2020-06-02 22:23:00
衣替え、私もやっと機能済ませました、ちょっと遅いけどね。
厚手のパジャマから薄手のクレープ(今でもこんな呼び方
してるのかな?)、ポロシャツも半袖に。
1,2階を何べんも往復、クロークを総入れ替えしました。

越後屋は時代小説ではしょっちゅう出てきますね。
従来の商法から、店先売り、現金売り、切り
売りに変え、
今日の商法の先駆けとなった。
返信する
ガッテン! なのはなさん (kei)
2020-06-02 21:21:21
「江戸前のいきな商人」、商法が感じられますね。
いきですね。
店頭の様子が目に浮かびます。
5月5日には袷からひとえの帷子に替えたようですし
衣替えの習慣を守る暮らしぶりが想像できます。

すれ違った自転車に乗った高校生の一団が、白いシャツ姿だったのを今思い出い出しています。

返信する
切り売りと更衣 (なのはな)
2020-06-02 17:50:02
衣替え(更衣)も、このような歴史に名を遺す豪商の商い方や、衣裂く音にまでつなげていただくと、大いに納得、ガッテン!です。
また豪商とはいっても、個人のお客に切り売りする薄利多売とは、興味深いですね。
豪商越後屋は、一般の人など相手にもせず、裏で何かをたくらむイメージが大きいようですが。
そればかりではない、江戸前のいきな商人でもあったのでしょうね。
返信する
松坂、Reiさん (kei)
2020-06-02 16:59:59
外出ができないのを「あ~あ」とため息に替えるよりも、
庭の木々を眺める時間が増えたと前向きにとらえたほうがよさそうですね。

「越後屋と言うと悪代官と結託して」ですね(笑) 
松坂には嫁いで間もなくに親戚に挨拶に伺いました。
本居宣長の鈴屋を夫に案内してもらったことを思い出しました。
こちらでは三井家下鴨別邸が公開されています。
そう言えば、NHkの朝の連続ドラマでも加島屋に嫁いだ広岡朝子さんのことが。
玉岡かおるさんの「負けんとき」を読みました。
大財閥、一門にはいろいろな方がおられますね。
返信する
ころもがえ (Rei)
2020-06-02 10:47:56
若葉も日に日に濃くなってきました。
コロナのおかげで?庭の木を眺める時間が少し増えました。

以前、松阪へ行ったとき三井家発祥の地を訪れました。
外から眺めただけですが、門や塀は残っていました。
屋敷は塀越しではわかりませんでした。
越後屋と言うと悪代官と結託して・・・と
小説に良く出てきます。
大商人ですから力があった証でしょう。
返信する

コメントを投稿

日々の暮らしの中で」カテゴリの最新記事