重松清原作のテレビドラマ「とんび」を二週にわたって観ていた。
2009年に息子が帰省したとき読んでいたのだが、それを一年後に私が読んだ。彼が「感動する」と漏らしていたからだった。時代背景も家族の形態も異なるが、ヤスさん28歳、同年代ではあった。ひと悶着あって我が家の息子も進学で東京に出た。
どうしてこの一冊を手に取ったのかを聞くことはなかった。父と息子…、ただひと言漏らした感想がすべてなのだけれど…。
このお正月に、『とんび』がこうしてドラマ化される話をしたが、そのときは、「小説だとおもうけど、涙が出るな」と言葉が返ってきた。
息子のアキラが入社試験で書いた「父の噓」と題した作文。自分はお前らのふるさとだ、最後に帰ってくる場所だという父親ヤスさんの言葉。
やはり涙が出たわ…。
息子が父と過ごした日々…。はやく父親になってほしいなあ、なんて思うのだ。
トンビがタカを生むわけはないが、不器用な親父の深い愛と、周りの優しい大人たちがタカに育てて行く・・・。
感動をもらいました。
そして、父親の立場としてよ~く観ると、自分に足りないものが多すぎて落ち込んだりします。しかし、親父には親父の愛の表現というのがあるんだよな~って、自分を納得させたり・・・。
言葉少なに感動を表現する息子さん、素直に受け止める気持ちを持たれて、素直ないい子です。心配要りません。
自分の思い、考えを示したりぶつける姿はありませんでした、ような…。
時間もチャンスもたくさんあったはずですのに。それが息子には淋しかったようです。
たくさんの人の優しい心に支えられて、このアキラ君よい青年に育ちました。
こんなに強い人と人とのつながり、温かでいいですね。
家庭があって地域がある、人が育つのは家庭だけの力ではないのですね。
人の親って大変なことなんですね。
「子育ては親育て」とも言いますけど、自分自身その通りと思うことばかりです。
アキラは重松さんと重なって見えてきます。
彼の小説は温かいですね。
「十字架」は孫と読みましたが、いろいろな場面で話し合うことが多い小説でした。
父親役の堤さんもばっちりで好演でしたね。
書店で内容を見ただけで終わった『十字架』でした。
お孫さんとの関係は本当に素敵ですね。
東京に出た息子に初めて、何か最近読んだ?と聞いた時に返ってきたのは
『エミリーへの手紙』(キャムロン・ライト)でした。死んだおじいちゃんが言いたかったこと… と。
感想を交わすことはありませんでしたが、この一冊を選んだのは…?とあれこれ思いました。
大切な一冊です。