京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

心には翅(つばさ)もあらん

2024年01月15日 | 日々の暮らしの中で
いっきに血管が収縮し、身が縮みあがるほどに冷え込んだ堂内。
お仏飯から立ち上がるゆげのむこうに、こうして同じようにお勤めを繰り返したであろう、顔も知らない代代の女たちを思うことがある。

山の向こうから朝日が昇るので、とりわけ冬はいつまでも暗い。夜明はまだまだ先。


今朝、地元紙の文芸欄「柳壇」の入選句、〈毎日が贈り物だと思う朝〉に目が留まった。
「辛くてしんどい朝もあるのに、毎日が贈り物だという作者の前向きな姿勢に感心している。今日という日を喜んで生きていくという大切さを思う」(選者評)

そう言えば…。
【内側に何かを秘めない人はいません。何をどのくらい表にし裏にするかは人によって違います。その割合こそが、動かしようのないその人らしさを作るのでしょう】
そして、
 「心には翅(つばさ)もあらん蝸牛(かたつむり)
江戸俳諧歳時記にこんな一句が収められているということ、『夜の蝉』(北村薫)の中で円紫師匠に教わったなと思いだす。


比叡山が白くけむっていたので、吹雪いているんだなと遠望した午後。
奥のガラス戸がときどき音を立てていた。
コメント (4)
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