京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

秘仏拝観に

2021年10月21日 | こんなところ訪ねて

南都七大寺(東大寺、興福寺、元興寺、西大寺、大安寺、薬師寺、法隆寺)の雄、大安寺。かつては薬師寺と拮抗し、左京六條四坊に広大で、厳かな美しさを誇っていた寺院だったという。今、その面影は全くと言ってなかった。

奈良時代には広大な敷地に偉容を誇る90余棟の建物が立ち並び、三面僧房には887人の僧侶が住んで、勉学修行に励んでいたのだそうな。奈良時代の仏教の総合大学の観を呈し、渡来僧や大宮人が行き交い、文化の花を咲かせていたと。空海も宿にしていたと伝わっている。

天平時代の秘仏の十一面観音像が公開されていた。
頭部や左手には後に補修の手が入っているというが、写真で拝見したところ、なんと上品で美しいお顔立ちなこと。これはぜひ拝顔をと思い立った。風が吹く冷たい一日だった昨日。
ご本尊は厨子に収まっていて、その前に坐して仰ぐも頭部全容は目に入らなかった。右へ左へ、少し体をずらしてみるが…。
写真から想像していたより小さなご本尊だった。いったいどれだけの人々がお前で手を合わせて来られたことか。素朴で、安堵感のもたらされる静かな気品。

    本堂          
度重なる災禍の歴史の中にあっても十一面観音像は守られ伝えられてきたことの尊さを思う。
ガン封じの寺としても名高いという。健康で過ごせることを願って手を合わせた。

コメント (2)
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