今年最後になるかもしれない映画鑑賞、『黄金のアデーレ 名画の帰還』を観た。
午後1時40分からの上映回だったので友人とお昼をご一緒し、ゆっくりたっぷりの時間を過ごして映画館へ。と言っても場所はすぐ近く。初めての店に案内されて美味しくいただいた。
「食」とは「人」に「良い」と書く、とか。そう言われてみれば確かに…。
時々はこうして親しい友人との会食が何よりの御馳走だし、心を充たす時間となる。
第2次世界大戦中、クリムトが描いた伯母・アデーレの肖像画をナチスに略奪されてしまう。
祖国オーストリアを捨てアメリカへ決死の亡命を図った主人公マリアは82歳。演じるのはあの『クイーン』のヘレン・ミレン。
祖国の国立美術館に飾られ、“オーストリアのモナリザ”と讃えられていたが、絵の所有権は自分にあり、オーストリア政府に対して「私に返してほしい」と訴訟を起こす。
美しい叔母と過ごした幼い日々、ナチスの侵攻、両親を残しての亡命…。胸に抱え込んだままの悲しみ。毅然とした姿、皮肉も可愛い、頭のキレ。マリアが素敵だ。回想のシーンが胸を打つ。と同時に、何もかも失う不条理な戦争への不快感がむらむらと突きあげ襲ってくる。
もう一度観たい。映画も音楽も、…読書もそうだが、心動かされる刺激が、生きていく上で大いに役立つ力となるような気がする。…とすれば、見たいという欲求を満たすことが好ましいのだろうなぁ。