沖縄の街角(旧名:北京の街角)

沖縄と天津でIT関係の会社を経営しながら、仕事を通して考えたことを発信する。

いまさらのREACH 第1回

2016-10-22 12:17:02 | 事業
いまさらですが、REACHについて勉強しながら、その概要を記述します。

REACHの概要を勉強するために、教科書は経産省発行の「欧州の新たな化学品規制(REACH規制)に関する解説書」を使いました。

REACH規則とは、欧州連合 (EU) における化学品の登録・評価・認可および制限に関する規則。
規則の名称は(Registration,Evaluation,Authorisation and Restriction of Chemicals)の頭文字をとって REACH(リーチ)と呼ばれてる。

REACH規則は、EUの法体系における「Regulation(規則)」。
ELV指令やRoHS指令のような加盟国が国内法を定めて国ごとに運用する「Directive(指令)」とは異なり、REACH規則はEUの加盟国にそのまま適用される共通の法律。

REACH規則が求める責務を果たさなければ、EU域内での化学品の製造、上市または使用を行うことができない。
EUに加盟していない国(たとえば日本)の事業者は直接にはREACH規則の拘束を受けないが、その事業者がEU域内に製品を輸出している場合には、EU域内の輸入業者がこの法律に従わなければならない。
日本企業のEU現地製造者もREACH規則への対応が必要。

REACH規則での対象となるのは、物質それ自体、混合物の中の物質、成形品の中の物質。
この規則で述べられる「物質」とは、単一物質のことである。

REACH規則が規定している各種責務

物質や混合物を製造または輸入する事業者が要求される責務:
 登録の義務
 認可申請の義務
 使用制限の義務
 情報伝達の義務

成形品を製造または輸入する事業者が要求される責務:
 登録の義務
 届出の義務
 使用制限の義務
 情報伝達の義務

各義務の要約

1)物質や混合物の登録
EU域内で製造または輸入する物質の、物質ごとの総量が年間1トン以上の事業者は、欧州化学品庁に当該物質を登録しなければならない。
この原則をREACH規則では、「No Data,No Market」の原則という。
混合物の場合は、それぞれの構成物質の年間総量が1トンを超える場合は、該当する構成物質それぞれ登録する。
この登録は、誰かが先に同物質を登録したら、それに続く人は登録が不要というものではなく、其々が条件に会えば、其々で登録しなければならない。
ポリマーの登録は不要。しかしポリマー中に結合した状態で2wt%以上含まれる構成モノマーや成分の年間総量が1トンを超える場合は登録が必要。 
登録されれば、登録番号(Registration number)を入手できる。
EINECSに記載された物質の予備登録は、2008年12月1日に終了したが、EINECSに記載された物質で且つ年間総量が1~100トンの場合は、現在でも予備登録が可能。
但しそのタイムリミットは2017年5月31日迄。
登録の最終期限(第3次登録期限)が2018年5月31日。
この期限以降は、原則EU域内で流通する化学物質・混合物中の物質には原則登録番号が付与されることになる。

登録できる人は;
 EU域内の製造業者
 EU域内の輸入業者
 EU域外の製造業者が指定する、EU域内の唯一の代理人

少し話は飛ぶが、以下、登録番号とSDSに関して記述する。

REACH規則第31条ではSDSの要件を定めている。
SDSの記載要件を定めたREACH規則附属書II1)において、登録物質の登録番号の記載を規定し、REACH規則付属書IIの3.2.1項に該当する物質(要はGHSの健康有害性、環境有害性に寄与する物質)はSDSに登録番号の記載が必要。
単一物質の場合には「第1項 .物質または混合物および会社の特定」の1.2項で登録番号の記載が必要。
混合物の場合には「第3項 .組成または成分に関する情報」で構成物質の登録番号の記載が必要。

株式会社iBouのパッケージソフトi.Bou-GHS_MLは、EU向けのSDSの第1項と第3項に、登録番号を記載できるようになっている。


単一物質のSDSの場合は、SDS作成の第1項に、登録番号を手入力する。


混合物の場合は、先ず成分に登録番号を手入力する。


そうすると、SDS作成の第3項に、表示される。


2)物質や混合物の認可
REACH規則の付属書ⅩⅣのAuthrization Listに記載される物質が、認可対象物質と呼ばれる。
認可対象物質やそれを利用する混合物をEU域内にて製造または輸入したい場合は、欧州化学品庁へ申請し認可を受ける必要がある。
認可の基準は、使用のリスクが小さいこと、及び社会・経済的便益がリスクを凌駕し、かつ代替物質・代替技術がないこと。

認可の申請をできる人は;
 EU域内の製造業者
 EU域内の輸入業者
 EU域内の川下ユーザー
 EU域外の製造業者が指定する、EU域内の唯一の代理人

3) 物質や混合物の制限
REACHの付属書XVIIのRestriction Listに記載されている物質は、一般に制限物質と呼ばれ、その製造、輸入、あるいは使用が制限されている。
これは、特定条件での使用が制限されている物質。
例えば、トルエンは、一般公衆に販売されることを意図する接着剤またはスプレー塗料中に、物質として、または0.1重量%以上の濃度で混合物の成分として、上市または使用を禁止 となっている。
じゃあ、工業用に使用されるスプレータイプではない一般塗料なら条件を満たさないので、制限されないのかというと、代替物質を導入しないとEUでの販売が実質不可能になるらしい。

4)物質や混合物の情報の伝達
製品の受領者にSDSの提出が必要な物質、及び混合物は;
 GHSの物理価格危険性、健康に対する有害性、環境に対する有害性に該当する物質。
 付属書XIIIに定められているクライテリアに従い、PBTまたはvPvBである場合。
 SVHCに該当する物質。

安全性データシートが要求されない物質や混合物であっても、EU域内では登録番号
認可に関する情報、制限に関する情報、リスク管理措置に関する情報を、サプライチェーンの川下側に伝達する必要がある。

注: SVHC: Substances of Very High Concernの略。高懸念物質
PBT: Persistent, Bio-accumulative and Toxicの略。難分解性、生物蓄積性
vPvB: very Persistent and very Bio-accumulativeの略。極難分解性

第2回に続く















最新の画像もっと見る

コメントを投稿