黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

RSウイルスの話

2014-11-30 14:26:44 | 健康・病気
RSウイルスの話
 RSウイルスは、ありふれたかぜの原因で、重症化すると1歳未満児の細気管支炎と肺炎、そして乳幼児の気管支炎の主な原因です。年齢が上がるにつれ軽症化します。
 多くは普通の鼻かぜか、発熱を伴うかぜで終わり、まれに気管支炎、喘息様気管支炎になり、極くまれに重症化し、細気管支炎や肺炎になります。
普通の家庭での最大の重症化要因は、赤ちゃんのストレスです。だから、第一児の家庭内保育に少なく、第二児以降と早期の集団保育に多いようです。それで、できるだけ上手に育てましょう。そうすれば、発病しないか、しても普通のかぜで済みます。(乳幼児の育て方は既に書いてあります。)

☆RSウイルスは、毎年冬に発生し、4~5か月間続きます。母親の抗体が胎盤を移行して感染を防御するのは、生後4~6週間とみられています。それで、この間の重症感染は少ないようです。しかし、血液中の抗体では感染を完全には防御できず、環境条件に左右されます。都市部では一回の流行で、約半数が初感染すると推定され、2歳までにはほぼ全員が初感染すると言います。一度感染しても抗体で防御できないので、繰り返し再感染します。小児期には、一回の流行で、10~20%の割合で再感染するようです。生涯にわたって感染を繰り返し、大人ではもっと少ないようですが再感染しているようです。その多くは軽い症状です。
 発病率は、保育所など感染しやすい場所では、初感染でほぼ100%、再感染では60~80%です。症状は鼻かぜと咽頭炎で発病し、発熱は普通で、中には中耳炎を伴うこともあります。発病すると10~40%は、様々な程度の気管支炎、細気管支炎、肺炎を起こします。入院率は1~3%と推定されています。
生後2~7か月が気管支炎、細気管支炎、肺炎の発生率が高く、1歳過ぎると、気管支炎や喘息様気管支炎が多いです。
 再感染は、通常は軽症であり、まれに重症化します。
 社会経済的弱者と密集した生活環境では、気管支炎、細気管支炎、肺炎の発生頻度が高いし、発生時期も早いです。
☆潜伏期間は約4日間です。
☆ウイルスの排泄期間は様々で、気管支炎、細気管支炎、肺炎で入院する場合は5~12日間と言い、3週間続くこともあるといいます。入院する程でない場合は明らかではありません。
☆感染経路は、飛沫感染と手に付着して運ばれて生じます。患児の手によっても、看護者の手によっても広がります。マスクしても、手洗いしても防げません。
 流行時には、再感染した学童から家庭に持ち込まれ、通常は、2~3日で兄弟や親がかぜをひきますが、乳児の場合は重症化しやすく、発熱、中耳炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎を起こしやすいです。ウイルス単独がほとんどで、細菌感染はほとんどないと言います。
☆発症機序は難しく、詳細は判っていません。他のウイルスと異なり、抗体ができても防御できないのが、特徴です。なぜか解明が出来ていません。
☆臨床症状
 乳児の初発症状は、鼻汁と咽頭炎です。咳はすぐ出ることもありますが、多くは1~3日後に出現し、くしゃみや微熱を伴うこともあります。咳が出ると喘鳴が出るようになります。
 軽症ではここまででおさまります。透明な大量の鼻汁が続き、断続的に発熱を伴います。初感染の乳幼児の約7割以上はここまでで、数日のうちに軽快します。約3割で進行し、進行すると、咳と喘鳴が悪化して呼吸困難を生じます。
☆診断
 軽症では、他のウイルスによるかぜと見分けがつきません。
 特徴的な症状は細気管支炎で、そこまで進行すると臨床像・季節・流行状況によってある程度RSウイルスと判断できます。もう一つの特徴は、年長の同居者にかぜの症状が現れることです。検査では、余り情報は得られません。白血球数は正常か上昇(20%程度の人で)します。確定診断は鼻咽頭ぬぐい液からのウイルスの検出ですが、簡単にはできません。迅速診断法も検査キットがありますが、感度は70~90%と言われ、保険適用は限定されて、普通にはできません。
☆治療
治療は対症療法しかありません。合併症には、それなりにあります。多くの乳児は軽度から中等度の脱水症状がありますから、できるだけ水分補給をします。喘鳴には、エピネフリン(ボスミン)の吸入が有効なことがあります。
☆予後
 重症感染を起こすのは、環境因子が大きいです。環境因子には、社会経済的弱者と、密集した保育環境と、家庭内のストレスです。入院率は1~3%以下で、入院した乳児の死亡率はその約2%で、ほとんどがハイリスクの病気(未熟児、神経筋疾患、先天性肺疾患、先天性心臓病、免疫不全症、ダウン症候群)を持った乳児です。
☆予防
 RSウイルスのワクチンはありません。
ハイリスクの乳児には、パリビズマブ(抗RSウイルス抗体、商品名シナジス)を、月一回筋注しますが、個々の症例によって使い方が異なり、日本小児科学会では使用のガイドラインを作成しています。



インフルエンザの話

2014-11-28 14:41:58 | 健康・病気
インフルエンザの流行が東京でも始まったようです。まず、予防は人混みを避けることで、高齢者は外出を控えましょう。

     インフルエンザの話2015
今年のインフルエンザは、従来型がほとんどと予測されています。2009年に流行した新型インフルエンザは、以前のソ連型、香港型と同じく、そのまま居ついていて、昨年と変わりはありません。例年は、突然A型が流行し、2~3週間でピークに達し、2~3ヶ月で急速におさまり、その後B型が流行することが普通です。地域的流行があり、通常1~3年ごとに地域的に流行します。
インフルエンザの流行は、子どもの発熱を伴う呼吸器疾患の増加で始まり、続いて成人のインフルエンザ様疾患が増加し、肺炎、うっ血性心不全や慢性肺疾患の悪化などの入院患者の増加が続きます。インフルエンザの罹患率は流行ごとに10~20%です。何か非常に伝染性が強いように思われていますが、新型インフルエンザが流行した時に、2009年の最初の集団感染があった大阪の私立の中高一貫校の生徒550人、教職員95人、生徒の家族2人の計647人から採血。その結果、102人(15.8%)が感染していました。この内98人を分析すると、インフルエンザ特有の症状(発熱38度以上、咳、のど痛)があったのは、44人(44.9%)、インフルエンザの症状に至らない軽症が36人(36.7%)、無症状が18人(18.4%)でした。もちろん全員新型インフルエンザのワクチンを受けていません。それでもこの程度でした。インフルエンザとして発病したのは、全体の6.8%しかいなかったのです。それなのに大騒ぎしました。私の理論から言うと、インフルエンザは人間と適応関係が形成されて、軽い病気になり、特別な免疫力の低下した人しか重症化しない病気になったのです。
一般のA型インフルエンザウイルスは、本来は毒性が低く、重篤な症状を引き起こさないことが示唆されています。B型は広がりにくく、重症度も低いです。大流行はA型により数年に一度発生します。
インフルエンザの典型的症状
1.頭痛、発熱、寒気、筋肉痛、だるさなどの全身症状で始まり、次いで症状はさまざまで、軽いかぜ様症状から、呼吸器症状が少ないが重篤な衰弱を示す状態まで幅広いのです。発病後24時間以内に急激に上昇した38~41℃の発熱は、一般にその後2~3日で徐々に解熱しますが、時に1週間発熱が続くこともあります。頭痛は頭全体のことも前頭部のこともあります。筋肉痛は全身に起きり得ますが、下肢と腰で最も多く、関節痛も出ます。
2.呼吸器症状は、熱が引く頃からひどくなることがあります。のど痛と1週間以上続く咳があり、胸に不快感を伴うことも多いし、眼症状も出ることがあります。
3.合併症のない場合は、激しいのどの痛みにもかかわらず、のどには所見はなく他にはほとんど異常は見られません。明らかな呼吸器症状が見られる場合は、肺合併症を疑われます。
4.合併症のないインフルエンザでは、急性症状は2~5日で改善し、1週間で回復しますが、咳は1~2週間続くこともあります。下痢をしませんが、5歳以下では下痢をすることがあります。大人や8歳以上で下痢をしている人をインフルエンザだという医者もいますが、別のウイルスによる胃腸炎でしょう。8歳以上は胃液の酸によって死滅し、胃を通過できないのです。ですから、インフルエンザウイルスの基礎研究者は、インフルエンザウイルスは、呼吸器内でしか繁殖せず、胃腸や血液内に入らないと言います。これではワクチンを接種して血液中に抗体を作っても、効果が無いのです。今生ワクチンののどへのスプレーの研究がされていますが、もし成功すれば、流行している型(株)が当たれば有効性は期待できますが、これでもはずれれば、全く効果は期待できないのです。
5.特に薬を飲まなくとも、時間さえかければ、自然に治ります。
ヨーロッパでは、薬を処方しません。そして、stay at home と言うのです。ウイルスをばらまかないように、家に居て下さいと言うことです。日本は、薬を出すと医者は儲かるから出すのです。ヨーロッパは、医療は無料の国が多いのです。だから無駄な薬は処方してくれません。しかも、日本では売られていないような、昔の安い薬を今でも使っています。それでも効果があるのです。
私は、今はご希望の方には、抗インフルエンザ薬を出します。説得するのが面倒になりましたから。薬は、期間を短縮しますが、副作用もありますから、気を付けて使って下さい。内服と吸入があります。解熱剤は、病気を長引かせるし、子どもでは脳症を起こす原因になるので使ってはいけません。
合併症
 65歳以上の高齢者(と言いますが最近は75~80歳以上ではないでしょうか。高齢で元気な人が増えて来ましたから。)や、心臓病、肺の病気、糖尿病、腎臓病、免疫抑制剤使用中などの人や妊娠中や乳児に合併症のリスクが高いです。
合併症には、肺炎(8割は細菌性かウイルスとの混合性)、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息の悪化があります。抗生物質は、肺炎、中耳炎、副鼻腔炎などの細菌性の合併症の予防に使います。
頭痛、体の痛みには、大人では、我慢のできない時に、解熱鎮痛剤の中で副作用の少ないアセトアミノフェン(カロナール)を使って下さい。18歳未満の小児には、解熱剤を使うとライ症候群(急性脳症で肝臓病を合併して発病し、死亡率50%以上)やインフルエンザ脳症になることがありますから、使ってはいけません。急性期には体を楽にして、水分補給を十分にします。重症であった場合は、回復後徐々に活動性をあげていきます。
治療
 かかっても、5日間くらいじっとがまんしていれば、自然に治ります。でもお薬が欲しい方には、一応あります。
 インフルエンザに対しては、タミフル(オセルタミビル)5日間内服、リレンザ(ザナミビル)5日間吸入、イナビル(ラニナミビル)1回吸入、ラピアクタ(ペラミビル)15分以上かけて点滴静注1回、などがあり、発症後2日以内に治療を開始すれば、病気の期間を1~1.5日短縮します。
抗インフルエンザ薬の副作用には、どの薬もすべてタミフル同様に、まれに神経精神症状を引き起こし、意識が混濁したり、異常行動をとったり、幻覚幻聴がでたりする副作用があります。それでタミフルは、10代には禁止され、他の薬でも未成年では、2日間は目を離さないようにとされています。
 日本では、65歳以上の高齢者とハイリスクの人には、治療を勧められていますが、厚生労働省の見解でも、健康な成人では治療を控えることがあるし、また発病48時間後の場合には、効果が期待できません。65歳以上でも、病気を持っていない健康な人はもちろん必要はありません。ハイリスクの人は、自分で病気と副作用を天秤にかけて、薬を使うかどうか判断して下さい。
 しかし、世界の流れは、前述のように、ワクチンも薬も要りません。ハイリスクの人に効くという、有効性の証明が、ワクチンと同様に薬でもありません。
ワクチン
 まだ生ワクチンはなく、不活化ワクチン(死んでいると推定されているウイルスのワクチン)で、前のシーズンに流行し、今年も流行が予測されるインフルエンザの株(A型2種類、B型1種類)から作られます。不活化ワクチンは、ワクチンウイルスと流行株が同じかまたは非常に似ていれば50~80%の効果が期待されると言いますが、ウイルスは血液中には入らないので、血液中に抗体を作っても効果があるとは思えませんし、実際有効性の証明もありません。感染を予防することはできないが、高齢者の死亡率、入院率を減らす効果があるというのが、アメリカ行政当局の見解です。しかし、昔はこんなことを言わなかったのですから、ワクチンそのものが替わっていない以上、アメリカでも産官学の癒着が始まっていると思います。現実に、利益相反と言って、研究費や旅費などのお金をワクチンメーカーから貰っている研究者や学者は、発言権を無くす方向に進んでいるくらい問題が起きているのです。それでもWHO内の委員が、告発されています。日本はもっとひどい状態です。研究者は、研究費や旅費をもらい、官僚は天下り先にしているのが現状ですから、産官学の癒着が当たり前の現状です。
 現在は、65歳以上の高齢者とハイリスク(心臓病、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息などの肺の病気、糖尿病、腎臓病、免疫抑制剤使用中などの人)に接種が勧められています。しかし、接種後の死亡者も出ていますが、報道されません。原疾患とワクチンの副作用との見分けがつかないというのが、その理由です。子どもは慢性疾患が少なく、原因がワクチンしか考えられないのに、因果関係不明として切り捨てられ、高齢者は病気を持っているから、その悪化として片づけられてしまっているのです。
過去の前橋の5年間のデータで、小中学生への有効性は否定され、インフルエンザワクチンを受ける人がいなくなりました。それに替わって高齢者に有効と言われるようになり、高齢者に接種するようになりました。厚生労働省の公式見解では、子どもへの有効率は20~30%といいます。健康な子どもには接種する必要はありません。もちろん、高齢者もする必要はありません。かかって重症化する率とワクチンで副作用が出る率とどちらが高いか判っていないのです。
 インフルエンザウイルスは、種族維持の本能で、ある程度繁殖すると自己規制して、繁殖を止めてしまい、自然に治ります。かかった人が歩きまわり、ウイルスをばらまいて流行してしまい、しかも毎年少しずつ変異して、ワクチンの効果から逃れるので、毎年流行します。大きく突然変異を起こすと大流行になります。
最後に
まず、インフルエンザの検査をし、10分くらいで結果が出ます。私は、それで病気の診断がついたから、もう心配ありません。家に帰って、楽にしていましょう。仕事は休みましょう。かかったのは、体が疲れていたからで、休息が一番の薬です。薬がないと不安の方は薬を飲んでも良いですが、副作用が出ることも覚悟して下さい。
昔、ワクチンを小中学生がしなくなり、大人もせず、タミフルなどもなかった時代があったのですが、ほとんどの人は治っていました。インフルエンザにかかったら、休養の時間だと思って休んで下さい。あなたが疲れて不健康になっているからかかるのです。休息が一番の薬です。インフルエンザにかからないようにするには、自分の健康管理をしましよう。無理をしないで下さい。過労が一番いけません。
ワクチン信仰から脱却して、何がよいか考えましょう。
ちょうど原発は安全と言う神話を信じていたら、事故が起きてしまったように、ワクチンも安全で有効と言う神話を見直しましょう。


熱性けいれんの話

2014-11-07 08:49:48 | 健康・病気
          熱性けいれんの話         

★熱性けいれんとは
   熱性けいれんとは、発熱に伴って生じたけいれん発作のことです。
           一般には単純性または良性の熱性けいれんを指します。
☆熱性けいれんの特徴
◇ 熱性けいれんは通常生後6ヵ月から2才まで(遅くとも4才までの)に始まり、6才過ぎたら起きなくなります。
◇ こどもの内8~12%の子が熱性けいれんを起こします。
◇ 一般には両親のどちらかにこどもの頃熱性けいれんを起こしたことがあることが多く、また兄弟にあることが多い。両親共にあると、そのこどもの80%に起きます。親にあって1人の子にあると、次の子には80~90%起きます。一人の子に、1~2回熱性けいれんがあると兄弟には18%、3回あると兄弟には29%の確率で熱性けいれんが起きます。
◇ 熱性けいれんを起こすこどもの3分の2は1回で終り、3回までで終わるのが90%で、その後は熱が出てもけいれんを起こさなくなります。多くても大人になるまでに6回以内で終ります。もちろんそれ以上のことも、極くまれにあります。
◇ 通常熱が急上昇する時に、ひきつけることが多いです。だから、ひきつける前は熱がなく、ひきつけた時には、熱が高かったということが多いようです。熱が高い程起こし易く、大脳に何らかの侵襲が起きるからなると考えられています。
◇ けいれん発作の型は左右対称性で、両腕をクックックッと屈曲させ、その直後に手足をのばして固くつっぱり、その後ピクピクふるえますが、固くつっぱっただけで終ることもあります。ひきつけの特徴は、意識がなくなることですから、すぐに目を見れば分ります。けいれんの後は麻痺は起きません。(麻痺が起きるのは別の病気です)
◇ 持続時間は通常5~15分以内で終ります。1回の発熱する病気(1~3日間)でけいれんは1回が普通ですが、まれに2回くり返すこともあります。解熱剤を使って、一旦熱が下がり、しばらくしてまた熱が上がってくる時に、ひきつけやすいです。
◇ こどもに精神や運動発達の異常のないことが良性熱性けいれんの条件です。
◇ 繰り返し起こしていると、稀に(1%以下)てんかんに移行することがあります。
☆ひきつけた時の処置
 ①けがをしないように周囲の危険物を取り除くことです。
 ②安静にし、刺激をさけ、抱きしめたりしない。刺激で、ひきつけが長引きます。
 ③顔を横に向け、口内の唾液をガーゼかティッシュペーパー でふきとります。
  吐き気がある時は、吐いたものを気管に吸い込まないように、顔を下に向けて吐かせます。
 ④衣服をゆるめ、呼吸を楽にしてあげます。
 ⑤高熱があれば、氷枕やタオルで冷やします。下熱剤は使わないこと。
 ⑥口に何も(割り箸、タオル、指、スプーンなど)入れてはいけません。舌が後ろに落ちて呼吸が止まることはありませんから。
 ⑦10~15分以上続いている時は抗けいれん剤を注射してひきつけを止める為に、小児科医のいる病院へ救急車でつれて行きましょう。けいれん止めの坐  薬を入れて様子を見てもよいです。大抵はそれでおさまります。ひきつけが止まれば、あわてて行く必要はありません。
☆熱性けいれんの予防
 通常は3回以上熱性けいれんを繰返した場合に、予防を始めます。普通4~5才まで、年長ではじまった場合は6才まで続けます。
〇予防として下熱剤を薦める医者も多いですが、実際にはひきつけてから熱に気付くことが多く、間に合わないことが多いです。下熱剤に副作用があることや、熱が出るのは人間の身体が病気と闘っている為で、下熱剤は闘う力を薬で抑えてしまうため、使わない方がよいです。
〇予防の方法は、
 最近はジアゼパム(ホリゾン、ダイアップ)という抗けいれん剤(精神安定剤)の予防投薬で、発熱時に間欠的に坐薬または飲み薬で、使用する方法がアメリカのNIHから1980年に熱性けいれんの管理に関する見解として出され、日本でも普及しています。(0.3~0.5㎎/㎏/日)しかし、この量だと多すぎて、翌日にも残り、ふらふらすることが多く、私は、もう少し少なめに使っています。坐薬を希望の方は申し出て下さい。
 そのやり方は、熱が37.5゜C前後になったり、寒気や頭痛がして熱が出そうだったりした時に、すぐ薬(1回目)を飲ませるか、坐薬を入れます。その後5~10分後には効き始めます。
 その後38゜C以上の熱が出たら、1回目から8時間後に2回目の坐薬を入れるか、薬を飲ませます。もし熱が出なかったならば、2回目は使わずに終ります。
 熱が続いても、2回で終りにし、2回薬を使えば2回目から36時間以上効いていますので、その間ひきつけません。熱性けいれんは、熱の出始めに多いので、ある程度時間がたてば、ひきつけないことが多いです。
 普通の病気で、48時間以上熱が続くことは稀ですし、熱が長引く時は熱の原因を確かめる必要があります。
★熱性けいれんを繰返した時に、脳波検査が必要な場合は
 ①熱性けいれんを3~4回以上起こした時
 ②1回の発熱する病気で2回以上起こした時
 ③無熱か、38.5゜C未満でひきつけた時
 ④症状が、対称的でない時や持続時間が20分以上と長い時、
 ⑤ひきつけ後入眠したり、麻痺が残ったりした時

ノロウイルスによる胃腸炎について

2014-11-06 09:38:11 | 健康・病気
ノロウイルスって何?
ノロウイルスによる胃腸炎とは、どんな病気だろうか。
1.昔からある病気で、新聞報道以外でも、学校や幼稚園、保育所などで今流行しているウイルス性胃腸炎の一種です。ロタウイルスと共にウイルス性胃腸炎を起こす代表的なウイルスです。検査法の進歩により、短時間で検査できるようになったため、すぐ判り、感染力が強いため、騒がれているのですが、重症化することは少ないです。
2.特徴は、インフルエンザと同じく、自己規制的なウイルスで、ある程度体内で繁殖すると、繁殖を止めてしまうため、滅多に重症化せず、治ってしまうのですが、その為、かかった人がウイルスをまき散らすため、感染が広がるのです。吐き続け、脱水にならない限りと、余程免疫力が低下していない限り、死んだり、重症化することはありません。 その理由は、生存本能から、かかった人が死ぬと自らも死んでしまい、子孫を残せないから、適度に繁殖を止めて次の人へ移って、効率的に種族を増やしていくのです。最近は、変異しているとも言われています。
3.ロタウイルスとは違い、ノロウイルスは、幼児期には軽度から中等度の下痢を起こし、乳児には重症の病気を起こさないと言います。主として年長児と成人に集団発生の胃腸炎を起こす最も一般的な原因です。集団の約三分の一がかかることが多いようです。免疫が2年以上は持続しないので、効果がなくなり、再感染します。それはインフルエンザと同じく、変異と関係あるようです。
4.症状は
 ノロウイルスは潜伏期間が短く(12時間)(別説では18~72時間)、嘔吐(吐くこと)と嘔気(はきけ)と腹痛が主症状であることが多い。下痢は起きる時も起きない(約半分くらい)ない時もある。嘔吐は成人より小児に多く、半数は37.5℃以上の微熱が出る。頭痛、筋痛も一般的。病気の期間も短く、普通は1~3日間(24~48時間)で一過性です。その為、症状や発生の仕方が食中毒によく似ているため間違えられることも多い。食中毒ではなく、ウイルス性胃腸炎です。症状と流行状況によって、ウイルス性胃腸炎は診断できます。効く薬はなく、治療には関係ないので検査は希望でします。
5.治療
 第一は脱水症の予防と治療が目的です。栄養状態の悪い人は、第二が栄養状態の維持です。普通の健康な子どもや成人は、嘔吐下痢の治療で、重症の脱水を防ぐことで十分です。
 ノロウイルスに効く抗ウイルス剤はないし、抗生物質も効果がありません。吐き気止めの薬や下痢止めの薬は、有効と証明されていないし、副作用の危険もあります。乳酸菌製剤類(ビオフェルミン、ミヤBMなど)は、重症度を軽くし、病気の期間を短くすることが認められています。
6.食事療法
 嘔吐や下痢が始まったら、何も飲ませずに、すぐに胃をからっぽにし、最低3~4時間から、吐き気がおさまらなければ5~6時間、胃を休ませること。
それによってほとんどの人(99%)は、吐き気がおさまり、口から水分を飲むことができるようになります。吐き気がおさまらなければ、おさまるまで待ちましょう。のどが渇いても飲ませてはいけません。ナトリウムなどの塩分が多くグルコースを含む経口補液剤OS-1(病院と薬局で市販されている)により、腸からの水分吸収が促進されると言いますが、軽い場合は水(子どもは湯冷ましがよい)やお茶類で充分です。ポイントは、吐き気がおさまるまで飲ませないことです。早期に飲食を止めても、軽い脱水で済み、吐き気が収まってから飲ませると、回復します。吐き続けて脱水がひどくなってからでは、点滴するしかありません。多くの医師は、吐いても飲ませなさいと指導するので脱水が進行します。
コーラ、ソーダ類、清涼飲料、果汁、スポーツドリンク、イオン飲料などの塩分が少なく高濃度の糖分などは、嘔吐下痢がひどい子どもには飲ませてはいけません。
吐き気がおさまったら、水分補給は、6~8時間かけてゆっくり行ないます。少量を、回数を多く飲ませると吐かずにすみます。私はしませんが、初期に点滴をするのは、飲まないでいる時間をとれ、飲むことができるようになるからです。しかし、水分だけやうすめたミルク(私はうすめることを勧めません)だけを12時間以上続けると、ある程度の塩分や糖分が必要になるからよくありません。母乳は、吐かなければ飲ませてよいです。回復すると、まずのどが渇きますが、回復していなくても、脱水があるとのどが渇きますから、それで脱水がある程度あれば、点滴をします。嘔吐がなく、下痢がある程度おさまってきたら、お腹がすきます。始めは、甘い飲み物やあめをなめさせて我慢させるのですが、もっと回復すると我慢できなくなりますから、食事へ進めます。固形食は、果物特にリンゴやバナナから始め、ヨーグルト、野菜などへ進め、さらに炭水化物(おかゆやおじや、パン、うどん、じゃがいも、)や赤身の肉などへ進めます。脂肪を含む食品や単糖の多い食品(市販のジュースや炭酸飲料)は避けた方がよいです。
7.予防
 適切な手洗い(水か石鹸で十分)と隔離により、集団発生を防ぐことができます。胃腸炎ウイルスは効率よく感染するために変化していて、衛生的な社会でも感染します。
 家では、隔離することはありません。抵抗力の落ちた人だけが感染します。赤ちゃんは、別室に隔離して下さい。
便や吐いた物を扱う時は、病院や保育所、幼稚園、学校、飲食業などの場合は、手袋で処理した方が安全です。家では、処理後よく手洗いをすること。幼小児や高齢者では、適切な手洗いをしないことも多いし、その手で直接食べ物をつかんで食べたり、手や指をしゃぶったりすることで、感染しやすい。
 消毒は効果なく、吐いた物や下痢便がついたものは、よく洗い流すこと。消毒液の効果はないので、洗って日に干すことがよい。日光消毒が、一番効果があります。
8.感染経路
 便に汚染された食物や水の摂取を介して、人から人への感染です。汚染された手からもうつります。水を介した感染性胃腸炎の一般的な原因であり、養護ホーム、観光船、学校やサマーキャンプなどの施設での流行の原因である。
原因は、汚染された水、氷、氷菓子、貝(特にカキ)や甲殻類、サラダ(緑黄野菜)類、粉砂糖をかけたケーキやチョコレート菓子などが多いようです。
便へのウイルスの排泄は、発病後2~3日間で終わります。下痢が治るまでは、保育所、幼稚園、学校に行ってはいけません。空気感染は、文献上はありません。しかし、便からのウイルスの排泄も、下痢がおさまってからも1~3週間続くと言う報告もあります。
9.胃腸炎と呼ばれていますが、胃の粘膜の変化はなく、胃の働きが落ちて胃の中に食べ物が残り、小腸へ出て行くことが遅れることは判っています。そのために吐きます。結腸(大腸)の粘膜の変化も観察されていません。
 小腸では、主として小腸上部がおかされ、小腸の絨毛の粘膜細胞が消化と吸収の働きをしているのですが、この細胞が選択的に破壊されて、腸管の水分と電解質を分泌する細胞が残り、その結果、水分の吸収と分泌のバランスがくずれて下痢となります。二次的には乳糖の吸収不良や炭水化物の吸収障害も生じます。だから嘔吐さえ止まれば、水分を飲むことによって脱水を防ぐことができます。(ネルソン小児科学、ハリソン内科書より)

病気の相談について

2014-11-03 19:00:00 | 健康・病気
詳しい相談をしたければすずしろ診療所の方にメールして下さい。個別にお返事します。年齢、性別、家族構成、家業などの環境要因と、保育所か幼稚園か学校なら何年生かなども必要です。蓄膿症は3歳から出てきます。3歳未満でしたら、その医師は子どもの発達を知らないのです。かぜは耳鼻科ではなく小児科にかかることを勧めます。しかし、日本はアメリカなどとは違い、小児内科しか知らない小児科医が多く困っています。本来なら、簡単な眼科、耳鼻科、皮膚科、泌尿器科などの子どもの病気を知っていて欲しいのですが。勉強する医師としない医師がいますし、日本では総合小児科医の養成に熱心ではありません。すずしろ診療所のメルアドは少し前の記事に書きました。「赤ちゃんを健康に育てるために」は、まず実践してみてください。わたしは、こう指導して、病気がちの赤ちゃんを、特に喘息様気管支炎やアトピー性皮膚炎などの赤ちゃんの病気を治してきました。大体一か月くらいで病気をしなくなります。これが病原環境論から得た病気にならない方法です。治療は現代医療を使っています。幼児でも同じです。叱らず、ほめて育てましょう。もし叱ることがあれば「あなたは良い子だから、こういう悪いことはやめましょうね」と叱ることです。頭ごなしに叱らないでください。あなたは悪い子ねと叱ると、子どもは悪い子だから悪いことをしてもよいのだと思います。良い子にして、悪いことをさせないようにしましょう。

予防接種の効果はあるのか。

2014-11-03 18:06:36 | 健康・病気
 予防接種に対して、多くの、しかも専門家を自称する人すら、幻想を持っています。それは、川喜田愛郎「近代医学の史的基盤」で、ヒポクラテスから現代までの医学の歴史、ルネ・デュボスの「人間と適応」、マクニール「疫病と世界史」、ジンサー「ネズミ、シラミ、文明」、ディクソン「近代医学の壁」、シゲリスト「文明と病気」その他多数の本に、病気と人間のかかわりが書かれています。私は、病気は人間が環境に適応できない時になるという、病原環境論で、適応説とも言います。特に「近代医学の壁」には、人類は、ワクチンと抗生物質という二つの魔法の弾丸と思われていたものが、壁にぶつかったことを警鐘しています。感染症で言えば、ウイルスや細菌と人とが適応関係を作って、弱毒化し、消えて行ったのです。天然痘は、隔離政策でなくなったのです。麻疹は、ワクチンのできる以前から減少し、軽症化していきました。日本脳炎も同じです。適応関係ができてなくなったか、軽症化してきたのです。ペストは、ヨーロッパで人口の四分の一を死なせましたが、病原菌も治療法も判らないうちに、ヨーロッパから姿を消し、中国で病原菌が見つかったのです。
 そして遺伝学者は、「人間のゲノムに、人類の病気の歴史が書かれている」と言います。つまり、過去に流行した病気のゲノムが、人間のゲノムに書かれているのです。人は、多くの細菌や微生物と共存し、その助けを借りて生きています。詳しくは、2011年1月の自然治癒力または生体防御の項をお読みください。また新たに知識を得ましたので、いずれ書き直します。
 人間には、利根川博士が証明したように、一億にも上る抗体を産生する能力を持っています。また過去に、祖先がかかった病気に対して遺伝的に速やかに抗体を産生します。ヒブや肺炎球菌は人間の体の中にいる常在菌です。それが、人が抵抗力を落とした時に発病し、重症化するかどうかは、その抵抗力の落ち方によるのです。そして、ヒブや肺炎球菌の話に書きましたように、ワクチン先進国では、菌交替現象が始まっています。ワクチンをしても別のタイプの菌にかかります。予防接種のおかげで病気が減ったのではなく、日本人の抵抗力が上がったことと、適応関係ができてきたからです。そこに環境が関与しています。
 私の理論では、一つ病気が無くなっても、また新たな病気が出てきます。デング熱は、今流行が止まりましたが、蚊の卵の中で越冬し、また初夏から、つまり蚊が卵から孵り、成虫となって繁殖する為に人間の血を必要とすると、出てくるでしょう。日本脳炎もそうですから。
 エボラ出血熱も、完全に制圧するには、天然痘のように、完全隔離するしかありません。しかし、媒介動物がウイルスを持っている限りまた出現します。それが感染症の歴史なのです。
 最後は、ワクチンの副反応が出るかどうかも、人間側の抵抗力と、それを左右する様々な環境に左右されます。最後は、ストレスです。これはコメントを書かれた方への返信でもあります。
 予報接種を選択することを私は勧めています。予防接種によって、完全に防御することは不可能です。有効性と副反応と、病気にかかった時の重症度とを天秤にかけて、ご自分で判断して下さい。私の意見は少数派ですが、前出の多くの本を読むと、理解できますが、医者でさえ難しくて読まない人がほとんどですから、無理でしょう。予防接種の専門家と称する人たちはほとんど読んでいないと思います。