黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

原発事故と子どもの健康3 緊急情報

2011-05-31 08:00:16 | 健康・病気

緊急情報

少し疲れていて、受動的な情報ばかり受けていましたが、友人の情報サイトに出ていたグーグルの放射能測定結果を検索したら、大変な事態になっていました。申し訳ありません。

私は、フォトジャーナリスト広河隆一さんの設立した「チェルノブイリ子ども基金」のお手伝いをしてきました。それで今は医療関係の顧問になりました。もちろんチェルノブイリの高濃度汚染地域にも入りました。高濃度汚染地域は、許可なく入ることはできない地域です。そこでは、現在でも平均毎時3~4マイクロシーベルトの放射線濃度です。事故後の91年2月にウクライナ議会が可決した法律「汚染地域の定義」によると「無条件に住民避難が必要な地域」は年間5ミリシーベルトです。これは、毎時0.57マイクロシーベルトになります。

広河さんは、震災とそれに続く原発事故が起きた時に、すぐ50km圏内の避難を勧告しました。アメリカ政府は、自国民に80km圏内の避難を勧告しました。

現在の状況を調べてみると、一律ではありませんが、原発から62km離れた福島市でも5月の最高1.76マイクロシーベルトで、5月29~30日でも1.17~1.34マイクロシーベルトです。郡山市でも1.39マイクロシーベルト、白河市でも0.56マイクロシ―ベルトを記録しています。避難地域に該当します。特に19歳以下の子どもと妊婦は緊急避難が必要です。グーグルの放射能汚染マップにでていました。

つづく。


原発事故と子どもの健康2続

2011-05-15 12:01:28 | 健康・病気

子どもの被曝が問題になる理由

Img009_2 これだけ19歳以下の子どもの被ばくによる自然の発がん率に上乗せした過剰の発がん率が高いのです。20歳超えると大きく低くなり、40歳過ぎるとさらに低く、50歳代半ばで自然の発がん率と変わりなくなります。つまり、発がんした場合、被ばくの影響か、そうでないか判らなくなります。そういう意味で、子どもと妊娠する予定のある女性は、少しの被ばくでも避ける必要があります。


原発事故と子どもの健康2

2011-05-15 08:05:18 | 健康・病気

1.放射線の危険とは何か

(1)低線量の放射線被曝の影響はー放射線の危険性ー

 2)被ばくした人の子孫への影響ー遺伝的影響

 私は、今まで広島長崎で被ばくした友人とつきあってきましたし、被ばく二世たちとも小児科医としてつきあって来ました。もちろん直接被曝した人は、当然あり得ることですが、被ばく二世でも発がん率が普通の人より高いのです。そしてそれは、私が関わっている チェルノブイリ子ども基金の中でも、やはり同じでした。詳細は、今発売中の女性セブン5月26日号に子ども基金の設立者広河隆一さんが書いています。また「暴走する原発」小学館5月22日発売、にも載るはずです。子ども基金は、当時被ばくした子どもの支援をしていました。しかし、今その子どもたちは大人になり、子どもを産むようになりました。そしたら、その子どもたちから、病気が出ているのです。もちろん、低汚染度や中汚染度の地域に子どもたちが住んでいます。その影響もありますが、汚染されていない土地に移住した人の子どもたちからも病気が出ています。写真になるのは、がん(特に甲状腺がん)や白血病ですが、それ以外の異常が見られ、近年私たちが支援している病院の医師たちから、以前より骨の異常が増えていると言われています。前にも言いましたが、19歳以下の人たちと妊娠する可能性のある女性は、少しでも放射能汚染されている所から逃げ出しましょう。

遺伝子の突然変異で、微量でも蓄積されて、確率的に出るのは、体細胞と同じ。普通でも、生殖細胞1個に起きる塩基の置換(複製の際の間違いなどによる)は600万か所にのぼり、子孫に伝えられる。だから生殖細胞における3か所くらいの間違いは、自然の間違いの中に埋もれてしまう。ヒトの卵母細胞は出生時200万個、次第に減少し、45歳で3万4千個で、思春期以後、毎月成熟して卵子となり排卵する。精子は1回の射精で5億個あり、そのり半数は欠陥を持つが、生存競争と共に、何らかの監視機構が働いて、欠陥の無い1個の精子が受精する。普通は正常の精子が受精するが、欠陥のある精子が受精すると流死産することが多い。卵子にも監視機構が働いている。そして間違って生まれても、新生児期、乳児期に死亡する。監視機構はまだ判っていないが、その存在が推定され、その働きがうまくいかないのは環境因子によると考えられる。

 遺伝子は環境条件に左右される。ある種の環境でなら、ある形で発言する。遺伝子は、特定性(発達や環境にさゆうされない)と可塑性(環境の変化に適応する能力)を持つ。遺伝子と環境は相互に影響し合う。つづく


原発事故と子どもの健康1

2011-05-05 10:50:47 | 健康・病気

まず理論よりも、現実から言います。取り敢えず、第一に妊婦(胎児)、と乳児(1歳以下)は、低濃度汚染地域でも、放射線の汚染地域から速やかに避難して下さい。第二は、19歳以下の子ども、青少年と妊娠する可能性のある女性は、できるだけ避難して下さい。

心ある市町村長は、それを手配して下さい。現在の各市町村の対応を見ていますと、トップの判断が住民の安全を守れるかどうかを左右しています。東電や政府からお金をもらっていても、今の緊急事態になったら、そんなことを忘れて、現実に行動して下さい。よく東電や電力会社、政府を非難する人が少なくありません。しかし、原爆を被曝した日本に、原子力の平和利用と称して原発政策を推進したのは、読売新聞と日本テレビの二大マスコミを抱えた正力松太郎であり、時の吉田内閣を始め、自民党政府を動かしたのです。その人たちこそ、現在の事故の起きる発端を作ったのです。石炭をやめ、石油と原子力に走ったのは、一つは労働政策でしたが、(三池炭鉱を始め、炭労と政府の闘いと、安保闘争でした)それに国民が乗ったのは、政府の補助金で原発は安く作れるという宣伝でした。しかし、皆さん、車も電気製品もパソコンも、10年で耐用年数が来るとは思いませんか。原発も、そう考えたのです。しかし、廃炉にしようとしたら、莫大な費用が掛かり、動かしていた方が安上がりで、40年も動かして来たのです。事故が起きてもおかしくないのです。ちっとも安全ではありません。全国の原発で10年超えたものは、みなそうです。少なくとも40年たった全国の原発はすべて、まず運転停止しましょう。今回、風向きでまず高濃度汚染されたのは、海でした。浜岡原発が同じ事故を起こしたら、風向きで東京はもろにやられます。しかも、福島と同じく老朽化しています。原発は、パソコンや電気製品と違い、補修するのが大変なのです。多くの使い捨ての日雇いの作業員を入れて、被曝限度まで働かせ、限度になったら雇い止めです。何も知識のない人にボルトを何回かまわさせたり、補修部分の一部を少しずつ治させることをやってきたのです。

東電ももちろん悪いです。ベント(穴をあけて圧力を下げ、爆発を避けること。当然放射能も放出されますが、内部の構造は維持されます。これをしたのが、アメリカのスリーマイル島原発で、現場の技師が圧力計算をして、もうもたないと判断してやったのです)を、一部の情報では、菅総理が指示したのに、東電社長が拒否したから、菅総理が現場へ行って指示したといううわさもあります。しかし、ベントしたけれど間に合わなかったのです。東電は、廃炉にするのに、莫大な費用と時間がかかることを避けたかったのです。動かしている方が安上がりなのです。石棺の中にあるチェルノブイリ原発は、まだ放射能をひび割れから出し続け、今の石棺の上にもう一つかぶせようとしていますが、資金が足りなくて、進んでいません。25年もたっているのに。

でも原爆被爆者がまだ生存しています。こんなことを本人の了解なく書くのは不謹慎かも知れませんが、私の友人で、広島で被爆した人が、昨年白血病になりました。65年たっています。それでも、逃れられないのです。

私は、チェルノブイリ子ども基金の顧問をしているので、母乳調査・母子支援ネットワークの発起人になりました。母乳汚染されて、それを飲んだ乳児の65年後はどうでしょうか。でも、検査は、1検体3万円かかります。今、なんとか工面していますが、多くの人の検査ができません。今後、受け入れ口座を作りますから、いくらでもよいですから、応援して下さい。ブログに載せます。

理論に入ります。難しい所は飛ばして読んで下さい。原発賛成派、容認派(チェルノブイリ連帯基金、鎌田實)からの批判を受けないために難しく書いています。もっとやさしく書くことより、お話をした方がよいとチェルノブイリ子ども基金の仲間たちから言われています。呼んで下さい。原発反対運動のボランティアとして行きます。尚、IAEA(国際原子力機関)は原子力推進派、ICRP(国際放射線防護委員会)とWHOは原子力容認派、ECRR(放射線リスク欧州委員会)は、原子力批判派です。

1.放射線の危険とは何か。

(1)低線量の放射線被曝の影響―放射線の危険性ー

1)被曝した本人への影響―身体的影響                                   はっきり判っていることは、1ミリシーベルト/時 の被曝で、1本の放射線が体内のすべての細胞を通過し、通過する際に細胞内のDNAの塩基対(アデニンA、グアニンG、チミンT、シトシンCのATとCGか゜対になっている)を切断する。なんか所かは判らない。その結果突然変異を起こす。それが、がんを始めとする、さまざまな病気の原因になる。

DNAは、ヒトの体には60兆個の細胞があり、体細胞では1細胞中に60億塩基対、生殖細胞(卵子、精子)は30億塩基対ある。ヒトは新陳代謝で細胞分裂を行ない、また傷害部位の修復を行なっているが、細胞分裂のたびに、10億塩基対に1回くらいの間違いを、つまり1細胞中に6か所くらいの間違いが生じる。しかし、免疫のシステムが監視していて、間違って作られた細胞を破壊する。この数が多ければ、修復が間に合わないし、うまく免疫のシステム(監視機構)が働かないと、病気になる。これは日常的に起きていることである。

 放射線の害は今までは「発がん性(白血病とがん)とがんによる寿命短縮、老化現象の促進」と言われてきたが、現実にチェルノブイリで被曝した子どもたちは、いろいろな症状を訴え、(高濃度汚染された人は明確に出ているが)脳神経系、免疫系、内分泌(ホルモン)系、筋骨格系などいろいろな病気になっている。特に近年は骨の異常が目立つと現地の医師は言う。しかし、それらは数値化することは難しいので、発がん率で代表して、放射線の害を表現している。これらは、微量でも、確率的に蓄積されて、出る。その確率に個人差がある。それを左右するのが、私の病原環境論または適応説では、その人の環境に適応する能力と、環境(自然、社会、精神心理)の違いであり、特に社会的環境が精神的影響も含めて、大きく影響する。だから、だから、社会的弱者に影響が出やすい。また不安が強いと出やすい。できるだけ免疫システムを活性化することで、元気で楽しく生きることが第一である。「くよくよしないことが長生きの秘訣」と毎年敬老の日に長寿の人が言っていたが、昔は、私はそんなことはないと思ったが、今は、もっともだと思っている。嫌なことは嫌だと言い、どうしても仕方がないことは、しょうがないや、まあいいかと、くよくよしないことが一番である。原発は、ノーと言おう。体細胞の突然変異は遺伝しないと言われているが、それが生殖細胞に入れば遺伝する。近年の遺伝学では、遺伝子と環境とは相互に影響し合って進化して行くと言う。つづく