黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

精神神経免疫学のはなし

2021-09-28 09:50:51 | 免疫の仕組み
精神神経免疫系のはなし

1990年代からアメリカのハーバード大学精神科などから始まっていたし、その後日本でも始まっていたのですが、研究費や社会的に評価されないなどから進展がないようで、今思いだして、検索中です。取り敢えず昔のものを載せます。

精神神経免疫学から
       「内なる治癒力」(スティーヴン・ロックとコリガン著、創元社1990)から
       「こころと体の対話」(神庭重信、文春新書1999)と、私により補足改変。
〇ヒポクラテスへ還れ
 「神の力と同じように、自然も病気の重要な原因となる。健康は、自分自身の内部や自分を取り囲む環境と調和が取れたとき初めて実現される。つまり、健康を保つには、何よりもまずこの内外の調和に配慮し、自然界の法則にそって生きることが大切になる・・・。こころのなかで起こることはすべてからだの現象に影響を与えている」とヒポクラテスは言う。
 「感情がわれわれのからだに影響を与えうる」ということが、いつの間にか消えた。
 ヒポクラテスの流れは、ガレヌスの「メランコリーの女性は、健康な女性に比べて、乳房に腫瘍ができやすい」と観察し、自然治癒力を重視していた。
 その死後千三百年にわたり、キリスト教文化の強い欧州で自然科学は停滞し、アラビアを中心としたイスラム医学へ継承されたが特に独創的な発展は無かった。近代医学はルネッサンスと共に十六世紀に興隆した。
 そして自然科学や医学が再び動き出したが、デカルトが精神―身体二元論を取ったことキリスト教の肉体はこころが宿る乗り物との考えと、ラ・メトリーの「人間機械論」と共に、医学に大きく影響している。コッホたちの細菌の発見は、特定病因説(一疾病一病因説)を有力にし、環境の力を重視したヒポクラテスの考えの流れは、世界の片隅に追いやられた。
 しかし、アリストテレスの「活力説」に端を発したライプニッツの「生気論(バイタリズム)」が十八世紀には出てきた。
特定病因説に異論をとなえたのは、ドイツの衛生学者のペッテンコーファーで「急性感染症は、何か特別な健康上の問題が先行していない場合には成立しない」と述べ、ロシアの微生物学者メチニコフらと別々の場所で、公衆の面前で培養コレラ菌を飲んで見せて、一過性の下痢だけでコレラを発病しないことを実証した。
病理学者のウィルヒョウは病気を自然病と人工病に分け、人工病は誤った文化や社会的構造が生み出した貧困によるものとした。パストゥールも「細菌が問題なのではなく、その環境がすべてである」と言っている。
クロード・ベルナールが「生体内部の恒常性」を発見し、「内部環境の不動性こそ、自由で独立した生存の条件であり、生命を維持するために必要な機構はすべて、それがどのように変化しようと常に唯一の目的を持つ。それは内部環境に生存の条件を恒常に維持することである。
 次はウォルター・キャノンのホメオスタシス説であった。彼は、体の内外から加わる有害な侵襲(外敵の攻撃や細菌の感染)に抗して安定性を維持するための、人体の自動調節作用をホメオスタシスと名づけた。キャノンは、人が緊急事態に直面した場合、怒りや恐れと共にある変化―緊急反応―が起きる。(交感神経系野発見) 一時的な恐怖であれば、緊急反応がその使命を終えれば、生体は元の状態にすぐ戻ることができる。ところが、慢性的な不安や緊張、恐れや怒りといった情動反応は、身体の恒常性をかき乱す結果しか生まず、自然治癒力にゆゆしい影響を与えていたことを認めていた。
 さらにハンス・セリエは、強い情動によって神経内分泌反応が起こることに注目した。
彼は病原体であれ、物理・化学的な侵襲であれ、また精神的な苦痛であれ、生体に侵襲を与えるような要素は、いずれも一定の生体変化(非特異的変化)を引き起こすことを見いだした。
そしてこのような刺激をストレスと名づけ、ストレス刺激によって起きる生体反応を「全身適応症候群」と呼んだ。これは、こころと免疫系との密接な関係を初めて実証したものである。これが糸口となって神経内分泌系のストレス応答の全貌が明らかにされた。
 現代では、ストレスという用語には混乱があり、いろいろ定義されている。
慢性疾患について、フランツ・アレキサンダー1939年「慢性疾患の多くは外的、機械的、あるいは化学的な原因によって起こるのではなく、また微生物の侵入によって起こるのでもない。その原因は、生存競争にさらされた日常生活のなかからもたらされるたえまないストレスにあるのだ」。 「感情的な要素が、・・を介して・・身体に影響を与えることがはっきりしている以上、理論的にはあらゆる病気は心身症である」という。そこから心身医学が生まれた。
ビクトーア・ヴァイツゼッカーは「病因論研究」の中で、「病気は何かの偶然といった起こり方をするものではなく、生命の情念的な動きから起こるものだ」という。

〇心身症
 こころがどのように免疫系に影響を与えるかという証明
 免疫系は敵を攻撃するのに、必要最小限の力しか用いず、・・・
 誰でも病気にかかるのは、侵入した微生物を抗原として察知したさいに、免疫機能があまり反応しなかったり、逆に反応しすぎたりするからである。
〇心療内科
 ロンドン大学の精神科医バリントは、開業医を集めて始めたのが「心療内科」であった。
 心のあり方がからだの病気と密接な関係を持っていると考えた。
〇医学は自然科学ではなく、社会科学であると説いたのは、アメリカの衛生学者シゲリストであり、日本では東大闘争時の東大医学部長であった脳科学者白木博次であった。
 またヒポクラテスへ還れと唱えたのは、ロックフェラー大学医学部の結核研究者であり、環境医学教授で「人間と適応」を書いたルネ・デュボスと、精神免疫学を提起し「内なる治癒力」を書いたハーバード大学医学校助教授スティーブン・ロックであった。

☆彼らの考え方は根強く残っていて、「人新世とは何か」の中で、世界の周縁部に追いやられたネオ・ヒポクラテス医学派と書かれている。
「人新世とは何か」によれば、人文社会科学と自然科学との統合が必要なのである。
 医学は心理学や社会学と統合し、人間がどのような環境に置かれたら、どのように反応するかという研究を進めるべきであったし、まだこれからすべきである。しかし、今までそういう研究をしていた研究者には、研究費が配分されず、社会的地位も上がらず、ごく少数が片隅で研究しているに過ぎない。
◇免疫系の過剰反応
 ・外界からの抗原に対しての過剰反応―アレルギー反応
                   サイトカイン・ストーム
 ・自分のからだの抗原、つまり自分自身の健康な組織を抗原と認識して攻撃すると
―自己免疫疾患
◇免疫系の反応不良
 ・外界の抗原、例えば細菌やウイルスに対して、
  あまり反応しなかったり、無反応だったり、敵を破壊する能力が不足したりしていると
                  ―感染症にかかる
 ・体内の異常細胞(抗原)を排除する働きが乏しいと、この異常細胞が増殖してしまい
                  ―がんになる
 これらが免疫系の働きの故障した時に起こる。そこにこころの影響が明らかになりつつある。
〇「病気を制圧するうえで力強い味方となる免疫系も、体内の他の組織と同じように心理状態に影響されやすい」とルシャン、トーマス、ヴェイラントらは言う

心療内科のはなし、心身症
 現在、日本では心療内科というとほとんど精神科医が名乗っているので、精神科と思われているが、本来はこころの問題を扱う内科医なのです。診療報酬が低く、精神的にも疲れる仕事で、志す医師が少ないのです。放射線診断医、病理診断医と共に、医学医療に欠かすことができない学問分野なのに、なる人が少ないのです。

精神神経免疫学
☆NASA(アメリカ航空宇宙局)の医療班からの報告
宇宙飛行士たちは、大気圏に再突入する時にだけ白血球数の変化が起こることに気づいた
☆オーストラリア人医師チームの報告
 配偶者を失った直後の26人の血液検査をした結果、深い悲しみに打ちひしがれた人々の免疫細胞群は、微生物の侵略に対して反撃する能力の一部を失っていることがわかった。
☆スタンフォード大、精神科医ジョージ・ソロモンは、
 一群のラットに、すし詰めの檻に入れ電気ショックを与えるという二つのストレスを与えたあと、腫瘍を植えつけた。ストレスを加えられたラットの多くは腫瘍が増殖し、その成長も速かった。
△ソ連の科学者のした実験の追試。
  それは小さな電極で、動物の視床下部を破壊した。これによって正常な免疫機能が損なわれた。
△それに対するソロモンの追試では、視床下部を焼かれたラットの免疫機能は明らかに弱まった。このことからソロモンが「精神免疫学」と呼ぶことを提案した。
☆ロチェスター大学の心理学者ロバート・エイダ―はラットを用いたパブロフの条件反射実験をした。
 ラットに好物のサッカリンの入った甘い水を嫌いにしようとして、サッカリン水を口に注入した後吐き気を催させるサイクロフォスファマイドという薬品を注射した。ほとんどのラットがこの実験でなぜか死んでしまう。その原因は、サイクロフォスファマイドは強力な免疫抑制作用を持っていたのでラットをサッカリン嫌いにさせただけでなく、免疫系が抑制されるような条件付けを行なってしまったのである。
 そこで次にSLE(エリテマトーデス=全身性紅斑性狼瘡)という自己免疫疾患によって死ぬ運命にあるラット群に、この条件付けをした。そうしたら条件付けの訓練を受けたラットは炎症が軽くなり、訓練を受けなかったラットに比べて長生きした。これは条件付けと免疫の変化との間の明確な関連性を示す明確な実験だった。エイダ―はソロモンから借りて、精神神経免疫学と名づけた。

免疫機能の働き
 免疫系を構成しているさまざまな要素以外にも、免疫系を介さない別の強力な要素が存在し、それらも免疫系の発育や機能を促進させているということも明らかになっている。
◎時間
 正常な免疫系は24時間周期で働いている。体内時計、対外時計に従っている。
 ☆イギリス・ノッティンガム病院の研究チームは、約200人の看護師と医学生に弱い抗原を注射し、その後3時間おきに24時間のあいだ、各人の免疫機能をモニターした。その結果、免疫力の強弱にパターンがあった。
 一般的に免疫機能は午前一時ごろに最低値を示し、その後上昇しはじめ、午前七時に最高値を記録した。午後から夕方にかけて小さなピークが見られた。
 ☆フランツ・ハルベルクという時間生物学者は
 日中と夜間の二群に分けて、マウスに放射線を照射する実験をした。放射線は骨髄に作用して免疫機能を弱める働きを持つ。放射線照射の8日後、日中に照射した群はいずれも生き残り、夜間に照射した群はいずれも死んでいた。骨髄を顕微鏡で見ると、日中に照射したマウスの骨髄細胞は、夜間に照射したマウスより大きな抵抗力を示し、致死率も低かったのだ。
 時間帯による影響力が大きいことがわかった。免疫系は常に一定ではなく、外部の影響から遮断されてもいないことがわかった。免疫系は24時間体制であるが、何らかの理由で、その強さが時間によって変化しているのである。

◎年齢
 免疫系は生まれた直後は弱く、そのために免疫学的寛容があるし、胎盤を通しての抗体などの液性免疫を母体から受け取り、また母乳によって腸管内の免疫を高めている。
 だから新生児は母親に免疫がない病気にかかると致命的になりやすい。
 乳児は次第に免疫産生能力を上げていき、ほぼ6カ月で無ある程度のレベルまで出来上がる。また母体からもらった液性免疫(抗体など)は、6か月で消失していく。
 しかし、水痘、おたふくかぜ、風疹などは十分対処できるが、麻疹には免疫を抑制する働きがあるため、この時期にかかると重症化しやすい。それで麻疹生ワクチンを1歳からするが、1歳前では母体からの液性免疫が残っていると抗体産生の働きが妨げられるため、不確実になるので、麻疹生ワクチン接種が1歳からになっており、それ以前に緊急接種する場合には短時間の間隔で追加接種をすることになる。
 そのため、現在DPT―IPV(四種混合)などを生後6か月以前に接種しているが、まれにではあるが、免疫系性能力が不十分のために、年間数人が亡くなっている。6か月過ぎてからの接種では死亡者は出ていない。
 生後6か月から免疫力は次第に上昇し、3歳でほぼ成人の8割以上の働きを達成し、6歳前後で出来上がる。人生で一番感染症の少ない時期が小学校時代である。この時期に感染症にかかるのは、免疫力を落とす何らかの要因、例えば厳しいしつけとか、虐待などの存在がが疑われる。
 2回接種法のワクチンの2回目を5~6歳でするのは、この時期だと確実に100%近くに免疫ができるからです。しかし、何らかの理由で決して100%にはならないようです。
 免疫系における多くの機能が年齢と共に衰弱化する。60歳を過ぎると免疫能力、とくにT細胞の機能が衰え始める。しかし、老化現象は個人差が大きいことも知られている。
 高齢になると共に、個人差も広がるし、心の影響も大きくなる。現在豊かであるか、貧困かによっても、また良い人生を送れたかそうでないかによっても、心の持ち方が変わっていき、それが免疫力を左右する。(この年齢の項は私が書きました)
◎遺伝的影響
 われわれはそれぞれ遺伝学的にも免疫学的にも異なっており、免疫に関連した特定の疾患には強い遺伝学的影響が見られる。(遺伝に関しては、現在はもっと詳しく判っている)
◎食物
 食物中に含まれる亜鉛やビタミンCなどが免疫系の成分の原料になる。
 コロナに感染して亜鉛が低下するのは、免疫系が動員されて亜鉛が消費されるからではないか。
◎医学的治療の副作用
 化学療法を受けているがん患者や、免疫抑制剤を使用している臓器移植患者。
◎性別
 女性は免疫グロブリンMの割合がやや高い。
 女性ホルモンのエストロゲンを多量に投与されたマウスは、免疫系のサプレッサーT細胞の機能が低下した。その為サプレッサーT細胞の抑制的影響がいくらか取り除かれると、マウスは過剰な免疫反応を示した。
 SLEにかかったマウスに多量のエストロゲンを与えたところ症状の悪化が見られたが、男性ホルモンを与えても何の変化も起こらなかった。
 また女性は、リウマチ様関節炎やSLE(エリテマトーデス、全身性紅斑生狼瘡)のような自己免疫疾患にかかりやすいし、甲状腺疾患にもかかりやすいが、その理由は判っていない。

☆個人の免疫機能を測定する尺度がない。
 △液性免疫では、抗体は測定できるが、他はできない
  免疫グロブリン、モノクローナル抗体、中和抗体など様々な抗体
 △免疫記憶は測定できない
 △細胞免疫は、一部しか測定できない
 異物や抗原に反応する際のT細胞の殺傷および免疫能力、NK細胞の機能、T細胞やB細胞の増殖能力などの測定
 △スクラッチテストは、即時型過敏症のテスト、ツベルクリン反応は結核菌に対する遅延型過敏症で、細胞性免疫と考えられている
 △リンフォカインの量の測定、モノクロナール抗体による免疫細胞の割合など、
 
脳神経系と免疫系の相関はどうなっているのか

実験報告
 ハーバード大細胞免疫学者のテリー・ストローム医師は学会で、「免疫系の自己制御の能力は大変すぐれており、そのことは証明されている。しかし、免疫反応の結果に対して脳やホルモンが何らかの影響を及ぼしている可能性は疑いようのない事実だと思う」
 精神神経免疫学者たちの努力により、ようやく「想念や感情がホルモンや神経伝達物質を介して神経細胞に作用し、微妙ではあるが明らかに健康に影響する」というプロセスが解明され始めた。
 
☆「免疫系は条件づけできる」
 これはソ連人研究者の結論である。
 △それをロチェスター大学の心理学者ロバート・エイダ―の追試の実験をして再確認した。
多くの精神科医や免疫学者がそれを誤りと証明しようとして追試した。しかし、多くの実験室で同じ実験結果が報告され、動かしがたい事実であることが証明された。
 しかし、人間を対象にした研究が遅れている。
 △免疫系が反応できるのは約1000万種といわれてきた。
 しかし、利根川進博士は、人間は約1億の抗原に反応し、抗体を作ることができることを証明し、ノーベル賞を受賞した。

☆脳と免疫系の関連性は明らかであるが、それがどうして起きるかは解明され始めている。
 △1958年ハンガリーのゲーザ・フィリップとアンドール・スゼンチヴァニは、モルモットの視床下部の中央部を除去することによって、アナフィラキシー・ショックにおちいるのを妨げることを発見した。その結果モルモットはアレルゲンにほとんど反応しなくなった。一方、脳に損傷を受けていないモルモットにアレルゲンを与えると、13匹中10匹までがショックで死んでしまった。
 △1960年代はじめには、レニングラード実験医学研究所のエレーナ・コルネ―ヴァは、視床下部の異なった部位を選択的に損傷することによって、免疫系の状態を様々に変化させることに成功した。
 例えば、視床下部の背側核を切断すると、細胞性免疫と液性免疫の両方が抑制された。
△精神科医のジョージ・ソロモンは、それを追試した。そして同様の結果を得た。
 とくにソロモンは視床下部を傷つけることで「胸腺」の活動が著しく抑制されることを発見した。胸腺は免疫系のT細胞の成熟に関与し、中枢神経系が免疫系に重要な役割を果たしていることを示した。
 △ニューヨーク市のマウントサイナイ医大のマーヴィン・スタインらは、モルモットの視床下部を除去した。そして、高純度に精製された卵白に対して感作させ、もう一度卵白を与えると過剰反応を起こすようにした。そこで再び卵白を与えると、脳に何の操作も加えられていない10匹のモルモットのうち8匹は死んだが、脳の一部が除去されているモルモットの死亡率は20%にも満たなかった。
 これは視床下部と液性免疫との間に関連があることを立証した。
 △フランスのトゥール医大の脳研究者ジェラール・ルヌーは、右脳と左脳はそれぞれ異なる影響を免疫系に及ぼしているという。
 マウスの左脳のある特定の部位を除去すると、脾臓においてT細胞の数の現象が見られた。しかし、右脳の同じ部分を除去してもこの現象は起きなかった。
 △ベネット・ブラウン医師は多重人格を研究していて、患者の人格が変化すると身体的な変化も同時に起きることを発見した。
  ・ある糖尿病の女性患者は、ある特定の人格が前面に出ている時だけしか、糖尿病の症状が出現しなかったので、担当医は治療に難儀した。
  ・またある男性患者は、ある人格が支配している時にだけ、柑橘類にアレルギー反応を示した。
 どのようなメカニズムでこれらの現象が起きているかは不明である。
 
☆脳の発育と免疫系の能力と関係がありそうだ
 △ハーバード大神経科医ノーマン・ゲシュウィンドとグラスゴー大ピーター・ビーハンは、
失読症の患者が自己免疫疾患を併発している割合が高いという。これは特に男児の場合、
脳の発育の仕方に関わっているという。
 彼は、状況証拠をつなぎ合わせたものであるが、失読症が家族発生しやすい、それは失読症以外の症状をとってもよい。そして失読症の家族には、吃音といった他の言語的な障害が高率に認められるし、またその家族には潰瘍性大腸炎といった自己免疫疾患の罹患率も高い。
 しかも失読症は男児に多い。また失読症は左利きが多い。それで「テストステロンの何らかの異常が、左脳の発育を抑え左利きを生じさせ、同時に胸腺の活動も抑制し、その結果免疫疾患が生まれてくる」との仮説を立てた。

☆カリフォルニア大学サンディエゴ校の神経解剖学者カレン・ブロックは、「ラットの胸腺には、直接脳に連絡している第十脳神経の迷走神経の繊維が結びついている」ことを発見した。
 ブロックの仮設では、「脳が胸腺に影響を及ぼしているだけではなく、胸腺の正常に機能し、T細胞を産生するためには、ある量の神経線維が必要不可欠であるという。実験略。
☆インディアナ大学の精神神経免疫学者デーヴィッド・フェルトンたちは特殊な蛍光染色を用いて神経経路を追跡したところ、神経線維のネットワークは胸腺の付近に達しているばかりでなく、脾臓、リンパ節、骨髄まで達していた。また神経線維のネットワークが血管の近くやリンパ球が通る場所で終わっていることを発見した。これは「神経支配や神経の成長は、血管に沿って臓器に入り込み、そこから枝分かれしてリンパ球の存在領域にまで達している」という。
 フェルトンの調査結果には、「神経シナプスの多くは、肥満細胞が充満した胸腺や脾臓の近くに位置していた」。彼はあらゆる神経線維群がこの細胞群の近くにあることを発見し、
それは直接神経的な連絡があることを意味していると考えた。これを「神経調節機構」と名づけた。

脳と神経系の働き
 ウォルター・キャノンが20世紀初頭にあきらかにした。続いてハンス・セリエはストレスを提唱した。
☆キャノンは、ストレスに対する反応というテーマに、「闘争か逃走か 反応」と名づけた心の中の葛藤の概略を明らかにした。
「例えばスピーチを依頼されているという状況が」あると、それを脳がストレスとして反応すると、その認識は信号に変えられ、神経中枢の脳から脳幹へ伝えられ、脳幹はこれに反応して自律神経のうちの交感神経を興奮させる。交感神経が”ストレス”で賦活されると、呼吸は速くなり、心拍数は増し、血圧は上昇する。筋肉に栄養を与えるために肝臓は蓄えていた糖を放出する。血液は心臓や中枢神経系さらに筋肉などにまわされ、体は闘いを始めるか逃げ出すかの準備が整うことになる。信号の一部は、副腎の髄質へ伝わり、副腎髄質からアドレナリンとノルアドレナリンが血中に放出される。
☆脳が健康に及ぼす影響についての知識のほとんどは、ストレス研究から得られたものである。
ストレスを感じると、脳の下垂体に信号が送られ、下垂体はエンドルフィンを放出する。

 △カリフォルニア大学ロサンジェルス校の心理学者ジョン・リーベスキンドは、動物に短い中程度の強さの電気ショックを繰り返し与えた所、その刺激に誘発されてエンドルフィンが分泌された。ところが、三分間持続する長い電気ショックを一度だけ与えたところ、天然の鎮痛物質(脳内化学物質)は分泌されたが、エンドルフィンではなかった。
 そこでラットにエンドルフィンを誘発させるような電気ショックを与えたところ、免疫細胞の一つ、ナチュラル・キラー(NK)細胞の活動性は低下した。しかし、長時間の電気ショックからは、このような活動性の低下は生じなかった。
 △リーベスキンドの共同研究者である心理学者のヤフダ・シャヴィットは、同種の実験を行なって、エンドルフィンを誘発するようなストレス下では、ラットのNK細胞が持つ、腫瘍を破壊する能力が弱まることを発見した。
 ・そこでシャヴィットはラットにモルヒネ(エンドルフィン)遮断剤を注入したところ、ラットの免疫系、とりわけNK細胞が突然活発な反応を示し始めた。
 このことは、エンドルフィンが免疫機能を弱める働きをもつとするなら、その利用を阻害するモルヒネ遮断剤で、免疫抑制作用も抑えられるはずだという考えを裏付けた。
 ・次にシャヴィットは、オピスタン(合成麻薬物質)を動物に投与してみた。その結果は、エンドルフィンが分泌されたときと同じようにNK細胞の活動性は低下し、その低下の割合はオピスタンの量に比例していた。
 △リーベスキンドとシャヴィットは、「エンドルフィンは少なくとも免疫系の一部には免疫抑制作用をもたらす」という結論を下した。
 これによってエンドルフィンを誘発するなストレスにさらされたラットの乳がんが悪化したことの説明がついた。

脳神経系と免疫系の情報交換
 脳神経系が免疫系に影響を及ぼすには、脳が免疫系の働きを感知できることが必要である。
それならば、神経系と免疫系のあいだでの情報交換が行なわれているはずである。
 ☆アラン・ゴールドスタイン博士は、精神分裂病患者にクロールプロマジン(鎮静剤)を投与すると、病気の症状のいくつかが消失するばかりでなく、免疫系の細胞の異常の一部も消失することに気づいた。(ゴールドスタインは精神分裂病野患者の血液の中から自己免疫疾患の患者に認められる化学物質に類似した物質を見つけていたのである)。
クロールプロマジンは、自己免疫疾患の症状を軽減する作用を持つと同時に、精神分裂病の症状を改善した。
 ☆スイスの研究者ウーゴ・ベセドウスキーは、ラットの脳の視床下部の電位を測定し、次に病原性をもつ抗原をラットに注入した。ラットの免疫系が抗原と戦っているあいだ、脳の神経細胞の放電率は二倍以上に上昇した。脳の二倍以上の電気量の増加は、免疫系の必死の活動を反映したものだった。
 △ベセドウスキーはさらに、ラットに免疫反応物質を注入すると、それによって引き起こされる免疫反応の程度が強ければ強いほど、ノルアドレナリン(神経伝達物質である)の脳内濃度は急速に低下した。
☆生化学者ニコラス・ホールは、胸腺における脳と免疫系を結ぶもう一つの回路を発見した。
 胸腺はホルモン(サイモシン)を分泌するさいに、二つの機能を行なっていた。①未熟な免疫細胞がT細胞へと成熟するのを促進する役割。サイモシンの量が増えるとT細胞の産生も増大する。②脳に信号を送る役割。
 抗体量が上昇するのとほぼ同時にサイモシンの量は増大し、ピーク値に達する。(しかし、これを中止させる信号については判っていない)

脳―免疫系相関
 この証拠が二つある。
◎一つは、主に推論的なものである。
 ●ロバート・エイダ―は、条件づけられた行動によって免疫系を変化させることができるという実験に基づいて、「免疫機能は脳の作用によって影響を受けやすい」という結論を出した。
 ●旧ソ連人の研究者や、ジョージ・ソロモン、マーヴィン・スタイン、ジェラール・ルヌーらの研究によって、大脳の新皮質や視床下部に対する選択的な損傷が免疫系に特定の変化をもたらすことが明らかになった。
 ●ノーマン・ゲシュウィンド、ピーター・シフネオス、ジョン・ニーマイヤーらの研究では、情報交換に関与する脳の構造的な違いが病気の過程に影響するらしいことを示した。
 
◎もう一つは、より直接的な証拠である。
 ●神経系の分布を丹念に調べた研究によって、骨髄、胸腺、脾臓、リンパ節といった免疫系の主要部分に神経系が分布していることが明らかになった。
 ●エンドルフィン(モルヒネ様物質)が脳から分泌され、免疫を抑制あるいは促進する作用があるという証拠が示された。
 ●脳神経系と免疫系のあいだに情報交換する活発な経路があることを示すさまざまな実験結果。

脳神経系と免疫系を結ぶ機構
 免疫系は他の間隔ではとらえられないような環境変化を感知し、体内で第六感的な働きをしているのかもしれない。
 △ウーゴ・ベセドウスキーは「免疫系は脳が拡張していったものであり、『末梢の受容器官』ではないかという。
 △ルイスヴィル大の精神科医ジョエル・エルクスは、免疫系を「液性神経系」と名づけた。
☆テキサス大の生化学者エドウィン・プラロックは、細胞レベルでの免疫系の研究によって、
ある発見がもたらされた。
 その一つは、白血球は神経系が産生するある種の蛋白質と実質的に同じ化学物質を作る(複製する)ことができるという。その中には、副腎皮質ホルモン、コルチコトロピン(下垂体ホルモン)がある。
 プラロックは、定期的にワクチン接種を受けている「下垂体機能不全症」の子どもを研究した。ワクチン接種は正常な子どもではACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を分泌させるのに十分なストレス源になるが、(下垂体機能不全のためにACTHを分泌できないのではないかと思われていたのに)下垂体機能不全症の子どもたちは健常児と同様にACTHを分泌したのである。ブラロックは、ACTHは脳からではなく、免疫系から産生されたのだろうと推定している。
 プラロックは「免疫系の機能のもう一つは、おそらく感覚器官としての機能だろうと推定している。
 △健康増進研究所のテッド・メルネチャックは、「免疫系は分子レベルにおける触覚器官である」という。
 免疫系には自己以外の抗原分子を感知する能力がある。リンパ球は、分子の型から百万種もの異なる抗原を認識することができる。この能力は絶えず変化し、つねに最新のものへと更新される。リンパ球が抗原に遭遇するとクローン細胞として自らを複製する。これが記憶細胞として残り、その抗原が再び侵入してくると速やかに免疫反応を発動する。
 特定の記憶をもつクローン細胞がプログラムされた抗原に遭遇しないと、クローンは徐々に消滅してその数は減少していく。新たに記憶される抗原もあり、認識可能な抗原の数は百万種のレベルを維持している。(利根川進は一億の抗原に対応できる能力をもっているという)

昔からの観察では、こころの持ち方が病状を左右する
 ☆北里柴三郎門下の石神亨博士は、10年にわたり結核患者の診療にあたっていて、ある発見をした。「この症例を理解する鍵は患者のこころの持ち方にある。どの結核患者にも、事業の失敗、家庭不和、恨み、ねたみ、といった個人的な背景が存在する」。
さらに神経質な人ほどこの病気にかかりやすく、予後も概して不良となる。それとは対照的に、重篤な患者が順調に回復することもある。これは楽観的でくよくよしないタイプの患者である」と石神博士は書いている。「また、長期療養を必要とする患者の場合、見かけ上は良好であっても、ひとたび不幸な出来事が起きると経過が一変する。結核の第二期の患者は、同じ結核にかかっている母、妻、子、あるいは近い親戚を看病している時は、順調に回復しているように見える。しかしその大切な人が亡くなった場合、彼らは絶望し、激しい結核の症状があらわれる・・・・このような患者は死の転帰をとることが多い」
大阪の石神研究所の石神博士の論文「肺結核の進行と予後に対する心理的影響」は1919年に「アメリカン・レビュー・オブ・トゥベルクロ―シス(アメリカ結核研究誌)」に発表されたことと、しかも結核専門医が、強い心理的要因と背景を指摘していることが注目されることである。
 しかも、イギリスの医師ウイリアム・オスラー卿が「結核の治療と経過は、患者の肺の中にあるというより、こころの中にあるもので決まる」と述べてから10年後であった。
 ロバート・エイダ―は「我々の関心は病気の因果関係にあるのではなく、心理社会的な出来事、それに対する処理能力、基本となる身体状態という、三者の相互関係にある」のである。
◎病気の発症や経過を決定する要素は二つある。
 一つは遺伝である。がん、心臓病、関節炎なども遺伝的な要因がある。
もう一つは、生来の体質である。体の生まれつきの強さ、弱さと精神的な強さ、弱さもある。(これらは解明されつつある)
 
 ここにストレスが登場する。
☆ハンス・セリエがストレスを提唱した。その後いろいろな意味に使われている。
 「生物学的なストレスとは、からだに対する要求への、生体の非特異的な反応である」というのが、セリエの考えた三つの定義の中で特に好んだものであるという。
☆ストレスの定義は混乱し、精神神経免疫学ではこの用語を使うことはできないので、ストレスという語は、「環境や状況が個人の能力で対処できる範囲をこえているという認識」を
意味する。この意味では、ストレスは各人の主観的な経験ということになる。
☆用語は混乱していても、ストレス時に体の内部で起きる生理的反応は整然としている。
 ストレスは二重の反応を生じるというのが、従来の学説である。
 一つは、キャノンがまとめた「神経系」主体とした反応である。
 もう一つは、生化学的な反応である。
ストレスに対する反応が免疫機構に影響を与える
無力感が免疫を低下させる?
☆コロラド大の精神科医ローデンスレーガーは、生後6か月の子ザルを母親から引き離して檻に入れた。子ザルたちは母親の不在に対して全身で抑うつと不安を表した。別離の前後で白血球の増殖能力を調べたら、別離後に白血球の活動性は目立って減少していた。

☆ペンシルヴェニア大の心理学者マーティン・セリグマンらの実験では、できるだけ楽な姿勢でイヌを拘束するためにハンモックの上で、特定の音を聞くと電気ショックを連想するように条件づけた。結果としてイヌたちは無力状態におおちいった。
 ハンモックでの条件付けの後、今度はイヌを床の半分に電流を流した箱に入れた。条件づけしていない方のイヌを箱に入れ、電気ショックを与えると、たいてい狂ったように走りまわり、仕切りを飛び越え、電気の流れていない方へ移った。実験を繰り返すうちに、ショックの避け方が巧みになった。電気ショックを感じると平然と仕切りを越えて安全地帯に入り込んだ。
 次に条件付けした方のイヌを箱に入れると、最初の30秒ほどは、狂ったように走りまわった。しかし、その後はイヌは動くことをやめ、横になって哀れっぽい声を出した。1分後に、電気ショックのスイッチは切られた。イヌは仕切りを越えて逃げようとしなかった。
 もう一回試してみたが、結果は同じだった。最初はなんとかしようとするのだが、すぐあきらめてショックに甘んじた。何度か試したがイヌは逃げようともしなかった。
 セリグマンは無力感が動物や人間に及ぼす影響を20年にわたり研究してきた。
 「無力感は、学習され条件づけられた反応にすぎない。強いストレスに直面すると、どうにも解結しようがないという無力感に圧倒されてしまうことがある。何度あがいてもどうにもならないとわかると、しだいに絶望感が深まり、ついにはすっかりあきらめてしまう。つまり、困難な状況に立ち向かう気力を完全に失ってしまうのだ」
 これは圧倒的なストレスに屈服した人間のメタファーである。
 △無力感は、慢性的に感じていると、先ず受動的になる。性欲や食欲を失い、抑うつ状態となり、不安や恐怖から逃れられなくなる。
 無力感はからだにも同じように、潰瘍や他のストレス病がおこりやすくなる。からだが弱っているときに、感情を揺さぶるようなストレスを受けると、時に致命的な症状に発展することがある。
 △セリグマンは「ある喘息患者は母親と電話で話していた時、彼が自分ひとりの力で仕事を始めようとしていたことに対して、母親は自分がのけ者にされたことを恨み、母親が興奮して「あなた一人でやっても失敗するだけよ」と勘当を言い渡し悪態をついた。口論から一時間もたたないうちに、彼は致命的な喘息発作に襲われた。
△セリグマンと同じペンシルヴェニア大のマデライン・ヴィシンテイナーらと、がん細胞をラットに注射する実験を行なった。そして制御できないショックを受けたラットは、ショックを制御できたラットに比べ、腫瘍の発生率が二倍になった。
 
☆これらの研究は、ストレスに対する反応が免疫機能に影響を与えるということを示している。
☆ストレスの研究は、重大さの如何にかかわらず、人生におけるさまざまな出来事が健康に影響を与えるということだった。
 △小さな日常的なストレスが人の免疫機能に影響を及ぼすかどうかの研究がなされた。
 ロックはハーバード大学の学生を対象にした。そして内面的な感情について、抑うつ状態の有無、不安の強さなど余り悩みをを感じなかった「対処良好群」と、心配や不安でひどい抑うつ状態におちいったことのある「対象不良群」とに分け、ナチュラル・キラー(NK)細胞の活力を調べた。「対象不良群」はナチュラル・キラー細胞の活動性が低下し、「対処良好群」のナチュラル・キラー細胞の活動性は高かった。
☆オハイオ大医学校の心理学者ジャニス・キーコルト=グレーザーらは、医学生を対象にした実験で、期末試験の一か月前と試験の初日の二回採血した。その結果はロックと同じような結果だった。また学生の感情や気分、たとえば孤独をどの程度感じているかも調べ、比較的小さな日常的なストレスでも免疫系に影響を及ぼすという結果が出た。
・試験を受けるという日常的な緊張や不安でも免疫系に影響を及ぼすこと。更に大いにストレスを感じていると答えた学生は、ナチュラル・キラー細胞の活動性が低かった。
・ひどく孤独を感じていると答えた学生の免疫機能が最も損なわれていた。

☆ワイズマン科学研究所のイスラエル人科学者は、流産により胎児を失った女性は、なぜ流産したかよりも、自身がそれをどう受け止めたかのほうが、免疫機能に大きな影響を及ぼすことを発見した。
 一つは、流産の現実を受け入れない、結果を認めたくない女性のグループで、近親者の死を嘆く人たちの反応に似ていて、免疫機能が低下し、T細胞の働きが弱かった。
 他方、悲しんだり、取り乱したりせず、子どもを失ったことにうまく対処できた女性のグループは、免疫機能は低下しなかった。

◎気分や心の持ち方が生体の防御システムに影響を与える原因やしくみを、私たちはようやく理解し始めている。
 心理状態が生化学的変化をもたらし、その結果免疫系が揺さぶられる。
 それは人生に降りかかる「大きな出来事」だけでなく、侮辱や口論などの日常的なちょっとした出来事でも影響をもつのである。
 ☆このことは私たちが無力ではないことが分かる。
 からだや健康に対する脅威をどう受け止めるかによって、からだの反応は変わってくる。
 からだと同様に、こころもその恒常性(ホメオスターシス)をもち、感情のバランスを取り、平静と健康を保とうとしている。
 人間も動物も、ストレスに満ちた状況にうまく適応していく柔軟性をもっている。
 ストレスという内的体験は、免疫機能を方向づけ、その程度を決定する。同じ場所、同じ時間にいても、個人の受け止め方によって結果が大きく異なってくる。
1990年代に始まった精神神経免疫学は、さらに精神神経免疫内分泌学へと発展したものの、その後の研究をまだ入手していません。さらに文献を検索します。
 ただアメリカを中心に、がんの治療への心理療法などは進んできていますが、日本ではまだ遅れているようです。

 次回は、ハンス・セリエのストレス説について見ていきたいと思います。

       
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病原性大腸菌O-157とは

2017-09-26 19:09:40 | 免疫の仕組み

病原性大腸菌O-157について

大 腸 菌 O- 1 5 7 に つ い て     

1. 感染症の成立の為の条件は
① 菌がいる。
② 感染経路がある。
③ うつる人が健康かどうか。ここが発病に大きく関与している。
 多くは、免疫状態が低下している人が発病するので、食べた人が全員かかる訳ではないのに、あたかも食べた人がすべて発病するようなことを、自称専門家も衛生部や厚生労働省もそれを報道するメディアも、言っている。病原環境論から言えばそれは間違いである。
 この3つのうち、どれか1つでも欠ければ成立しない。

2.大腸菌O-157がいること。
 ①大腸菌は、人間の腸に住んでいる菌である。通常腸管内では病気を起こさず、むしろ人間の体に必要な菌であるが、膀胱や肺や血液内に入ると病気を起こす。ところが、その中で、腸管の中で病気を起こすのが病原性大腸菌である。
 生まれてすぐの新生児の腸内は無菌状態であるが、48時間以内に大腸菌が住みつく。つまり大腸菌はどこにでもいる菌で、簡単に人間の腸に入ってしまう菌である。

 ②人に病気を起こす病原性大腸菌には、腸管毒性大腸菌(コレラ菌毒素に似た毒素等を出すコレラ型)や腸管侵襲性大腸菌(赤痢型)や腸管出血性大腸菌(志賀赤痢型)などがある。

 ③腸管出血性大腸菌は、30くらいの型があり(日本では7種類の型がでている)、その中の80%を占めるのがO-157:H7菌である。この菌は、ベロ毒素(志賀毒素)を産生し、この毒素が微小血管の内皮細胞を破壊して、出血を起こし、血性下痢を生じる。 また毒素が血管内に入り全身を巡り、腎臓の血管を侵したり、赤血球や血小板など血球を破壊し、溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こす。また脳の血管を傷害して脳障害を起こす。名前のOは、大腸菌表面の糖質の抗原性、Hは鞭毛の蛋白質の抗原性で、番号は見つかった順番。
④ 大腸菌O-157:H7による病状のうち問題となるものは、ベロ毒素によるものであり、この毒素は昔あった志賀赤痢菌の出す志賀毒素と同じもので、病状も志賀赤痢と同じで、溶血性尿毒症症候群を起こすことも同じである。

⑤ なぜ病原性大腸菌がいるのか。
 それは、大腸菌は遺伝子組み換えが容易な細菌で、実験材料の主流であり、かつ現在は組み換えた大腸菌により作られたホルモンなどが商品化されています。人の大腸の中で、何兆もの菌がいて、自然界の中 で遺伝子組み換えが行われていると考えらられます。

3.感染経路は何からか。
 感染するには、菌に汚染された飲食物を摂取するか、経口感染である。
 世界最初にアメリカで1982年に患者が発生。以来アメリカでは年々増える傾向にあり、最近では年2万人発症し、250人位死亡(1.25%)。その後カナダやヨーロッパで散発し、日本に上陸した。日本では90年の浦和市の幼稚園と96年の堺市の小学校での集団感染が有名である。東南アジアでは1998年までは、全く発生していない。以後は不明。
 アメリカでは、チェーン店のハンバーガーなど牛のひき肉(43%)その他サラミや肉製品(6%)を食べて発病しているのが半分。ほかには生乳(4%)、レタス、ドレッシング、マヨネーズ、豆類、無殺菌のアップルサイダー、七面鳥、メロンなどで20%、健康保菌者からの感染など人から人(主に託児施設)で20%、6%は水(湖の水、村の水道水に下水が混入、プールの水など消毒していないもの)。カナダ、イギリス、南アなどでは、ヨーグルト、サンドイッチ、川の水などだが、半数は原因不明である。日本では、浦和の汚染された井戸水、おかかサラダ、レバ刺し、などが判っているに過ぎない。

4.牛の腸内で保菌
 O-157は、牛の大腸に寄生していて、問題となるのは牛だけである。今まで日本では、鶏や豚からは検出されていないが、実験的には鶏も保菌する。
 1996年の農水省の調査では、牛の保菌率は0.62%である。別の検査では、牛の糞便で4.4~0.9%(厚生省研究班1.4%、ビーズ法4.4%など)、牛の枝肉で0.9~0.3%、輸入肉0.49%で、検査方法によっても異なり、ビーズ法がもっとも感度がよい。なぜ農水省の検査だけが陽性率が低いのか?
 1980年代アメリカでは牛の飼い方が変わり、穀物を肉に変える動物工場で牛が生産され、その過程で抗生物質や女性ホルモン剤(DES)を投与されるようになってから出現し、世界に広がる。アメリカ牛肉の輸出先や、アメリカ方式の牛肉の生産をしている国で問題になっていると見られる。

5.O-157の繁殖する条件は
 O-157は条件(温度、酸素、水分、食物)が良ければ、20分に1回細胞分裂して増える。冷凍に強く、-20℃の冷凍牛肉中では9か月たっても生き続ける。井戸水に入れた菌は70日以上も生き続ける。5℃以下では増えないが、死なない。カイワレについても、カイワレの中では繁殖しないが、水耕栽培では窒素肥料があると水の中で増える。 加熱には弱く、62.8℃の条件では24秒で死滅する。サルモネラ菌よりも弱い。また乾燥にも弱い。だから梅雨明けに条件がそろうので、特に気をつける必要がある。

6.ごく少い菌量でも発病する危険性がある
 ①一般の食中毒では病原菌が100万個以上で発病する。しかしO-157は100個の菌量で発病する危険がある。通常の食中毒は、菌がついていても繁殖しないうちに食べてしまえばよいが、O-157はついているだけで発病する可能性がある。その理由は、体内で繁殖するからと考えられる。潜伏期は繁殖して多量になるまでの期間であろう。

 ②人の体には、いくえもの防御機構がある。それらを突破されて病気になる。
 人の唾液には、1ml中100万個の細菌がいる。胃では胃酸のためにやられて、小腸にたどりつけるのは10分の1以下である。
 大腸内には大腸菌等100種以上の菌が常在細菌叢を形成し、1gの内容物に3000億から5000億個の腸内細菌がいて、外来菌の腸内での増殖を抑制している。大腸菌は1g中に100万から数千万個いる。ここで外来菌が排除されれば、腸壁に着床できずに素通りする。
 大腸菌の好む餌は、動物性の蛋白質とその分解物、特に肉汁であるから、穀類、野菜や果物を多く食べる方がよい。植物性蛋白質の代表は納豆や豆腐。乳酸菌は大腸菌を抑制し、その餌は糖類で米やさつまいも。納豆には納豆菌がいる。これらの菌が繁殖して、O-157の繁殖を妨げてしまえばよい。しかし圧倒的に多くの大腸菌は、腸内では無害である。

 ③腸内細菌叢の働きをくずすのは、ストレス、抗生物質、副腎皮質ホルモン、免疫抑制剤、放射線被曝などである。


7.発病するのは少数である。
 ①大人の発病率は極めて低く、子ども特に小学校低学年以下の発病が主である。
 堺市の集団発生で、同じ給食を食べた教職員の発病は2.2%(100人)以下。
 91年から94年までのO-157が検出されたのは386件で、その内15歳以下が83%(322件)。横浜のレバ刺しで発病したのは子ども1人だけ。

 ②菌が入っても、病気にならない人がいる。
 堺市で発症者0の学校もある。堺市の健康な市民の検便では、9152人中、2.3%(206人)からO-157が検出された。これを健康保菌者という。この人たちは、菌を腸内にもっていても、発病せずに、菌と共存している。
菌をもっていても、大便後の手洗いをして、大便の処理をきちんとしていれば他の人に迷惑をかけることはない。抗生物質を飲む必要もない。

⑥ 小学生の発病率も48%をこえない。
 岡山県邑久町の集団発生では、同じ給食を食べた2つの小学校の、発病率が高かった低学年489人では、発病率48%で235人が発症した。高学年や教職員ではもっと低い。
 堺市の集団発生では、学校により大きく異なり、多くても50%を超えていない。地区ごとでは、最高が南地区で27%。発症者0の学校もある。
 堺市全体でも約4万5千人のうち6千400人が発病し、発病率は15%である。

⑦ 発病しても大部分は、下痢(水様便)か、出血性下痢で治ってしまう。
 1990年の浦和市の幼稚園で起きた集団感染では、発病したこども174人の調査では、血便が出たのは24%(42人)で、76%は下痢だけだった。

 ⑤溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こすのは、発病したこどもの8~10%。
 浦和市の幼稚園では、発病者319人、うち溶血性尿毒症症候群が21人、8%。
 堺市での発病者は、7月28日までで6473人で、重症者は102名となり、1.6%である。発病しても98.4%は軽症である。重症者は全児童の0.2%である。  市立堺病院では、入院79人のうち4人が溶血性尿毒症症候群を起こした。(5%)

 ⑥溶血性尿毒症症候群を起こしたこどもの3~5%が脳障害で死亡し(発病者の0.2~0.5%)、10%が腎臓や脳に後遺症が残るという。(7月22日毎日新聞)
 浦和市の幼稚園では、溶血性尿毒症症候群21人のうち、死亡2人で、9.5%だった。(発病したこどもでは死亡0.6%)
 岡山県邑久町では、患者468人中死亡は2人、0.4%。
 96年5~6月のO-157の集団感染では、岐阜市347人、広島県東城町185人、春日井市21人、福岡市40人、岡山県新見市346人などで、いずれも死者0であった。邑久町などを含め総計1426人で、死亡3人、0.21%。
 堺市では、発病者6557人(9月まで)、重症102人、死亡3人。HUSは1.5%以下で、死亡0.04%であり、堺市児童全体では死亡は、1万5千人に一人。

8.どんな症状か。--腹痛を伴う出血性の下痢--
 ①潜伏期は4~9日(4~5日が普通)
 ②始めは普通の下痢である。軽い下痢で終わることもある。→軽く済む。
 ③進むと、水様便を頻回に繰り返し、激しい腹痛を伴う。→ここでおさまると良い。
 (但し、水様便の9割は、ウィルス性で、1割がO-157を含む細菌性である。)
  熱は、7~29%に38℃以上出る。吐き気も半数に出て、吐いたりする。
 ④そのうちに、1~2日して更にひどい血便になる。真っ赤な血液がそのまま出てくる。 僅かに線条に血がつくのではなく、便に血液が混じるというよりは血液がお尻から出てくる感じである。ここまで来たら入院するしかないでしょう。
 ⑤溶血性尿毒症症候群(HUS)は通常、既に下痢が快方に向かっている時の、発病して第1週の終わり頃(5~7日目)に発症する。尿量が少なくなる(乏尿、無尿)のが、最初の症状である。むくみ(浮腫)や、うとうとしたり(傾眠)、意識がなくなったり、けいれんしたりすることもある。突然症状が出ることが多い。蒼白、倦怠もみられる。まれには、血尿、出血斑、黄疸がある。検査では、貧血(破砕状赤血球)、血小板減少、蛋白尿、血尿が出る。血中LDHの異常な上昇も特徴。
 下痢がおさまって1週間たてば、HUS(溶血性尿毒症症候群)が発症する心配は無くなるという。
⑧ 脳症は、HUS(溶血性尿毒症症候群)と同じ頃またはHUSに先がけて発症するこ
とが多い。その予兆は、頭痛、傾眠、不穏、多弁、幻覚で、これが見られてから12時間以内に、けいれん、昏睡が始まると考えなければいけない。

9.対策はあるのか。
 基本的には、赤痢と同じと考えると良い。日本では6~7月に大発生している。
 ①通常手から感染することは少ない。飲食物からがほとんどである。
  手洗いはよく水で洗えばよいが、心配なら普通の石鹸を使えばよい。しかし、保菌者 や汚染された食品を扱うのでなければ、手から感染することはない。健康保菌者だけは 他人に感染させないために、手洗いを十分にすること。
 ②消毒されていない生水を飲まない。(水道水は良い)
 ③肉の切断面にはよく火をとおす。62.8度24秒間で死滅。こま切れ肉(ハンバー グなど)は中まで、ステーキは表面でよい。(ステーキでの感染例は文献にはない)
 ④野菜や果物は、よく水洗いする。流水で30秒洗えば汚染されていても落ちる。
 ⑤念のため、生肉を扱った包丁やまな板は、よく洗ってから使う。
 ⑥水様便が頻回にでたら、医者にかかる。でも1~2回なら心配はない。
  ひどい血便が出たら、必ず医者にかかる。
 注)新聞やテレビなどでは、かかった子どもの家族内感染の予防も一緒に「注意」とし  てのせていますが、かかっていなければ関係ありません。かかっても、大便の始末をきちんとすれば問題はありません。

10.大切なことは、感染しても発病しないようにすること。
 ①本当に心身共に、健康であればよい。
 菌が腸内に入っても発病しないか、発病しても軽く済めばよい。それには抵抗力があれば病気にならない。
抵抗力が少し落ちると軽くかかる。
抵抗力が大きく落ちると、重症になる。抵抗力を左右するものは、薬品類、放射線やストレスなど。堺市での報道を見ると、HUSになった子どもの母親は、子どものベッドに入って抱きかかえたりしてるが、こんなに過保護にしていると子どもが危ないと思います。
赤ちゃんでは、過保護、過干渉がストレスです。
 ②今まで、大きな病気にかかったことがない子、余り病気をしない子、熱が出たり、病気になった時に平気な子は、かからないか、かかってもひどくなる確率は低いです。
 ③やたらに神経質にならないこと。病気に神経質になると病気にかかりやすくなります。
 下痢をした時に、親があわてたり、不安にならないこと。子どもが不安になると病気は悪くなります。子どもが不安になるようなことは言ってはいけません。
 子どもは親のラウドスピーカーと言います。親の不安を拡大して受け止めます。
 ④抵抗力が落ちる最大の原因は、ストレスです。
  そのためには、のびのびと生きること。ストレスが多いと抵抗力が落ちてひどくなります。子どもは、叱らずにほめて育てましょう。
  子どもに、がまんさせないこと。いやなことは、いやと言わせましょう。
  毎日を楽しく送っていれば病気をしないし、もししても軽く済みます。

11.水様の下痢を繰り返したらどうするか。
 ①6~8時間は絶飲食にして、お腹を空にします。その後は水分だけにして、固形物は食べさせないようにします。お茶類、水、みそ汁、コンソメスープ、OS-1などで好きなものを、のどが乾いたら飲ませます。市販のジュースは勧めないと言います。家で作るジュースは良いです。糖分が入っていても良いです。甘いのが好きなら、糖水でもよいです。
 お腹が空いてきたら、回復の徴候ですから、果物、野菜、炭水化物(おかゆ、うどん、軟飯、パンなど)ならよいです。
 ②下痢止めは飲んではいけません。下痢止めはかえって有害であることが最近判ってきました。正露丸は絶対飲ませないこと。クレオソートが入っています。
 整腸剤(ビオフェルミンなど)は、回復を早くすると言うことが判ってきました。
 ③抗生物質は賛否両論。初期に飲むと治りが早いといいますが、O-157が死ぬ時にベロ毒素を大量に放出するとも言います。
厚生省のお薦めの抗生物質ホスホマイシン、キノロン系、ミノサイクリンは、いずれも乳幼児にはすぐには使いたくない抗生物質なので、他に方法がない時にしか使いたくありません。ミノサイクリンは歯が黄色くなります。ホスホマイシン、ニューキノロン系の乳幼児への安全性が確立されていません。

12.もう少し、考えよう。
 新聞記事を見ると、O-157大腸菌は、猛毒で、強い病原菌と騒がれ、ついには指定伝染病にされてしまいました。確かに、食中毒を起こす黄色ブドウ球菌が100万個で発病するのに、O-157大腸菌は数百個で発病するといいます。しかしこれも、最低条件であって、かならずしも発病する訳ではありません。
 菌が体内に入ったら、100%病気にかかると思われていますが、そうではありません。人間の体には病気にかからないようにする身体の仕組みができています。例えば人間の皮膚には1平方cmの中に10万の微生物が住んでいて、それが人間の身体への外来菌の皮膚からの侵入を守ってくれます。人間の腸内にも1g中の腸内容物に、小腸1000万、大腸100億~数千億の細菌が住んでいて、外から来た細菌やウィルスを駆逐してくれています。
 大腸菌を始め多くの菌は良い条件の下では、約20分ごとに分裂増殖します。1匹の大腸菌が少量の肉汁に加えられると、3時間で千倍に増加し、1日経つと数十億の子孫を生産するといいます。しかし、腸内の多数の細菌叢の中で、繁殖できずに排除されてしまうことも多いのです。外来菌は、その仕組みのために、健康な人では排除されてしまいます。
 昔、コッホがコレラ菌を発見した1892年、コレラの原因はコレラ菌ではないと主張するドイツのペッテンコーファーやロシアのメチニコフら数人の医師が、コレラ患者から分離したコレラ菌を何百万個もふくむ培養液を飲んでみせました。彼等の何人かは、軽い下痢を起こし、全員の便からは大量のコレラ菌が発見されたが、誰もコレラにはかからなかったのです。ペッテンコーファーは、「急性感染症は、何か特別な健康上の問題が先行しない場合には、成立しない。」と主張しました。
 その後、篤志家が数十億の赤痢菌を飲んだのです。しかし、赤痢の症状を起こしたのは、ごく少数の志願者だけで、大多数の人は感染しなかったのです。
 パスツールも「細菌が問題なのではなく、その環境がすべてである。」といっています。
「全く同じ毒性の強い細菌が、免疫のない人に感染した場合にも、ある人は発病し、他の人は発病しない。人間と微生物の関係は、交戦状態に陥るよりもむしろ、平和共存に傾きやすいのである。」(B.ディクソン)
 だから本当に健康な人は、感染しても病気になりません。健康とは、WHOの定義にあるように、「身体的にも、精神的にも、社会的にも完全に良好な状態をいう」のです。
 現代では、本当の原因を取り除こうとせずに、病気の症状を緩和することしか、なされていないから、次々と病気が出てくるのです。 
 本当の原因は、現代社会のもつストレスです。子どもの発病率が高いのは、それだけ子どもの世界にストレスが多いことの象徴です。
 子どもがいきいきと育ち、病気をせずに、成長していくことを、少しでもお手伝いしたいと願っています。

        総数     発病(下痢) 入院、重症    HUS   死亡
岡山県邑久町         468人   入院26人    5人+α   2人                          (発病者の1%+α)0.4%
堺市小学生 4万5千人余  6557人   102+?人   4+?人   3人              14.5%   0.2%+?   00.007%
堺市南地区(最高率)     27%
堺市教職員  4500人余  100人以下(2.2%以下)          0
浦和幼稚園          319人    57+?人     21人  2人
             (発病者の18%) (発病者の6%)
 1996年は、9月24日までに9804人発病し、死亡11人でした。

昨今、惣菜店で買った総菜からの、O-157の発病が騒がれています。そんなに怖い病気ではありませんし、だれもが溶血性尿毒症症候群になるわけでもありません。
 怖がることはありませんが、ちょっとだけ気を付けましょう。

                             文責 黒部信一
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O-157病原性大腸菌なんか恐くない

2017-09-26 19:04:37 | 免疫の仕組み
みなさん、マスコミと厚労省に左右されず、子どもを守るには、もっと「のびのぴ子育て」しましょう。

その第一弾です。

O-157なんて恐くない
    あなたの子どもの免疫を働かせよう
みなさん、今騒がれている病原性大腸菌O-157を恐がらないで下さい。マスコミは
大げさに騒いでいます。それは、マスコミは公衆衛生学を無視しているからです。公衆衛生学者は、厚生労働省の中では重要視されていないのです。なぜなら、政府の方針をやりにくくさせるからで、厚労省ではもっと大衆操作をして、世論を形成して自分たちに都合の良い政策へ誘導したいのです。

最近では「ヒアリの脅威」、「黄色スズメバチや大スズメバチの増加」、「麻疹が増えている」、「梅毒が増えている」、「子宮頸がんが増えている」、災害時には決まってお年寄りに「インフルエンザワクチンを」とか、誇大宣伝をして利益誘導をしています。過去には「エイズ」、「デング熱」などもありました。これらに対しては、別の機会にします。

O-157病原性大腸菌は、強毒の病原菌ではありません。エボラ出血熱のような致死的な病原微生物ではありません。どこにでもいて、誰でも食べているかもしれません。
菌の強さが病気を左右するのではなく、人間の側の免疫システムが十分働くかどうかが問題なのです。詳しくは別稿の「病原性大腸菌O-157」をお読み下さい。堺市での集団発生の時に書いたものです。

それは、私の師と言っても書物での師ですが、ルネ・デュボスはロックフェラー研究所の結核研究所長でした(「白い疫病」の著者)。そして、軽症の結核患者からとった結核菌と重症の粟粒結核や結核性髄膜炎を起こした結核菌を比較研究した結果どこにも違いがないことを確かめたのです。
それで感染症にかかった時に、軽症で済むか重症化するかは、人間の側に違いがあるとの結論を出したのです。誰もがかかると同じ症状経過をたどる訳ではないのです。
それが私の提唱する病原環境論または適応説(ルネ・デュボス著「人間と適応」)を提唱したのです。しかし、命名は私です。

人には、生物の長として、最高の免疫システムを構築して持っています。それは、自然に働かせれば、一億の抗体を作る能力(つまり一億の病原微生物や毒物に対応する能力)をもっていることを、利根川進さんが証明しました(私の同世代だからこう呼ばせてもらいます。慶応義塾では「先生」は福沢諭吉先生一人です。今はどうか知りませんが、私の在学時代は、大学の掲示板に「○○君休講」と教授の休講の知らせが貼られていました)。

しかし、前にこのブログに載せた、「自然免疫」の第一段階は、1970年代にイギリスで出された「見えざる同盟軍」に書かれていますが、人間の外界と接触するすべての場所に微生物が住み、外界からの病原微生物の侵入をはばんでいるのです。
皮膚とすべての粘膜(目、耳、鼻、口、唇、のど、胃腸管、気管、肛門、泌尿器、性器)には、微生物とそれを助けて働く仕組み(皮膚の垢、涙、鼻汁、鼻水、耳垢、唾液、痰、腸粘液、多数の消化液、性腺の液)があります。それによって、自然免疫の第一段階が働くのです。
生ワクチン(生きたウイルス)を接種しても免疫ができないことを、ワクチン学者たちはVactin Failure として、ごまかして説明をしません。私は、注射や採血の時に注射針を血管に刺すと、一時的ですが、菌血症(血液中に細菌がまわる)が起き、一瞬にして消える、つまり対処され処理されてしまっているのです。だから、生きたウイルスも同じ運命にあっているのです。その為、免疫(血液中の抗体の産生)ができないのです。

次に自然免疫の第二段階になります。それは、皮膚や粘膜での戦いです。ここで初めて細胞免疫が働きますが、細胞免疫は重要なものなのに、それを測定する方法はツベルクリン反応しかないのです。ツベルクリン反応は、結核菌に対する細胞免疫の検査なのです。
そんなことは、大学では教えてくれませんでした。ワクチンの中で細胞免疫を作るのは、ポリオの生ワクチンです。不活化ワクチンではできません。それで、私は「不活化ワクチンは効果の証明がない」と言います。
私が大学一年の時に、日本でのポリオの大流行(1960年に5000人ものポリオ患者が発生。この考察は別にしたいです)が、当時既にポリオの不活化ワクチンがあったのに、流行を阻止できず、母親たちの運動で、緊急事態として厚生大臣がソ連とカナダからポリオ生ワクチンを輸入し、3年後に子どもたちのポリオ発生は100人以下になったのです。

そしていよいよからだの自然免疫の登場です。それは既に、ブログに載せました。
続いて、適応免疫です。ここで、免疫が獲得され、このシステムがワクチンによる免疫形成に関わるのです。
「免疫学要説」、「近代医学の壁」、「病気と免疫の社会学」、「医療人類学」、などに書かれていますが、現代医学はここからの理論構築に失敗し、ワクチンも抗生物質も抗がん剤も限界になり、壁にぶつかっています。

いま、私は言いたいのです。現代医学は、失敗していますが、それに気づいていません。

そしてワクチンを批判的に見る皆さん、放射能の汚染に心配されている皆さん、どちらも同じ免疫システムをしっかり働かせれば、心配することは無いのです。
しかし、そう育児すると、子どもたちは自立し、親離れをし、親の言うことを聞かなくなります。
親の言うなりに育った子どもたちは、発達障害や、引きこもり、不登校、そしていろいろな感染症の重症患者になります。アレルギーも子どもの反旗のしるしと思います。食べさせたいと思わないで下さい。蜂蜜を乳児に与える失敗をおかすことになります。
アレルギーの話も別にします。今多い食物アレルギーは、飢えた私の子ども時代にはありませんでした。今世界でも、飢えに悩む国にはないと思います。生きていくことが第一ですから。

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ヒトには、抗体産生の能力がある、 免疫遺伝学の話

2017-07-11 15:41:19 | 免疫の仕組み
 私の知る知識の中で、免疫に関する遺伝学の情報をお知らせします。

その第一は、利根川進さんの理論です。

 「利根川理論」と病原環境論または適応説

  クォーク1987.12「利根川理論のすべて」(平松啓一監修)より

 ワトソンとクリック以来の原理は、「体の細胞にあるDNAの遺伝情報はすべての生命現象の基本、一定不変のものである。肝臓や筋肉など、分化した細胞に機能や構造の違いがあるのは、そのどの遺伝子が発現し、どの遺伝子が発現しないかの違いによる。」
利根川理論は
免疫に携わる細胞がどうやって外敵である病原体をやっつける抗体を作り出すかというメカニズムを明らかにした。
 DNAは生物の体の中で、不変なものではなく、つねに変化し動きまわるダイナミックな存在である。
抗体はあらゆる抗原とそれぞれに対応する。自然界に存在する抗原の数は数億にのぼる。哺乳類ではDNAに含まれる遺伝子はせいぜい数万である。数万の遺伝子から数億の抗体の蛋白質ができる。それは遺伝子が免疫細胞の中で縦横無尽に変化するからである。
抗体の構造
抗体は免疫グロブリンで、他の蛋白質と同じように、20種類のアミノ酸が鎖状に連なったポリペプチドから構成されている。最も基本的なタイプである免疫グロブリンGでは、4本のポリペプチド鎖からなり、このうちの2本の短い鎖をL鎖、長い鎖をH鎖という。それぞれの鎖は可変部と不変部からなっていて、このうちの抗原と結びつくのは、Y字形の先端部分、すなわち可変部(V)である。不変部(C)は、どの抗体でもアミノ酸の配列は一定である。
利根川博士は、抗体のL鎖の可変領域の遺伝子はVとJの二つからなり、H鎖はV・D・Jの3種類からなることをつきとめた。そして、未成熟な細胞のDNAではV・D・J・Cの各遺伝子の断片が、遠く離れて存在しているが、リンパ球が成熟していく過程で、それぞれから一つずつ選ばれて、組み合わさって抗体が作られる事を証明した。これが遺伝子の再構成である。
マウスのDNAの場合、遺伝子のH鎖のV領域の遺伝子は数百個、J遺伝子は4個、D遺伝子は12個ぐらいある。この3種類の組み合わせで1万種類以上になり、さらにH鎖とL鎖の組み合わせがあるから、1億以上の抗体の産生が可能になる。
以上が利根川理論である。
また、最近の研究では、V領域では非常に頻繁に突然変異が起きていることも判った。そのため、人間の体は、限られたDNA情報を使って、無限の種類の抗体を作る事ができる仕組みになっている。こうしてできたDNAの持つ遺伝子情報は、子孫に伝えられ、歴史的に人間は、いろいろな病気が登場しても何代か経つうちに、克服してきたのである。しかし、単純でないのは、病気を起こす細菌、ウイルス、リケッチヤ―などの微生物や寄生虫も、変化していく。
それぞれの生存がかかっているからで、最終的にはお互いに適応しあって、共存の道を選ぶ事によって生き延びていくのである。しかし、うまく適応できない種は、絶滅していく。変化した環境に適応できなければ、種は絶える。
適応できた種は生き残り、できなかった種は滅びていく。人間の歴史はそれを物語っている。そしてそれは、人間と疫病との関係の歴史でもある。
微生物や寄生虫は、生きていくための餌を求めている。



「免疫生物学」より
利根川進
「Ig可変部の遺伝子が、遺伝子断片の組として遺伝され、それぞれの断片はIg分子を構成するポリペプチドの一部をコードしていること」を発見。
 遺伝子断片はDNA組み換えにより、不可逆的に結合され、1本のDNAになり、それが可変部全体をコードする。
 数百の遺伝子断片から、何千ものレセプター鎖ができる。
 二つの可変部をもつ鎖の組み合わせ、結合する際の追加、除去  により、100万レベルの特異性抗原レセプターができる
 各個体には少なくとも1億レベルの異なる特異性をもつリンパ球が存在する。

 免疫生物学と上記の本をお読み下さい。以上は、それらからの私の抄録です。

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ワクチンの同時接種の安全性について

2017-07-11 15:29:24 | 免疫の仕組み
     ワクチンの同時接種の安全性の根拠が薄弱です

 私の知る限りでの、ワクチンの同時接種の根拠について、お話しします。せいぜい二種類の生ワクチンの接種か、経口生ワクチンと不活化ワクチンやトキソイドとの同時接種に関して、安全だとは言われていましたが、それ以上にはありません。
 根拠なくしているに過ぎません。二種類の接種を多数の同時接種に拡大して理解しているのではないでしょうか。

   予防接種の同時接種の理論

 日本では、DPT三種混合とDT二種混合しか、いくつかのワクチンの同時接種をして来ませんでした。その後アメリカのMMRワクチンに啓発されて、日本製のMMRワクチンを製造しましたが、失敗しています。
 故木村三生夫氏も麻疹風疹混合ワクチンならよいが、麻疹ワクチンと風疹ワクチンを別々の腕に同時に接種することはお勧めしないと言っていました。(予防接種の手引き10版)
 その後、新型インフルエンザの流行で世界のグローバル企業にワクチン業界も巻き込まれてしまい、研究者たちも業界と官僚たちに支配されています。

 同時接種が安全であると言う根拠は、

1. 人間の体内、いや血液中で二つのウイルスが同時に繁殖できないこと。
それは、以前に報告されたことですが(どこに載っていたか失念しました)、ある子ども
が麻疹にかかり隔離されていましたが、発疹が消えて治ったと思い退院する間際に、今度は
おたふくかぜを発病したのです。潜伏期間を考えると、入院中に感染したとは考えにくく、
入院する前に感染して、麻疹が治ったら続いておたふく風邪ウイルスが繁殖を始めたと考えられたのです。
 ウイルス性疾患の発疹は、ウイルス(抗原)とそれに対して体内で産生された抗体との、抗原抗体反応の結果生じると、「Infectious of the children」に書かれています。
 発疹が消えることは、ウイルスも消えることを意味していると私は考えます。ウイルスが血液中になくなるから(抗体があれば抗原抗体反応の結果としての発疹が出ますから)、発疹が消えたと考えます。
 それでその後次のウイルスが繁殖したと考えるのです。

2. 同時に接種するとなぜよいのか。
それは、同時に感染すると強いウイルスから繁殖し、次に別のウイルスが繁殖して行くと
考えられます。
確か、アメリカでは当初、いろいろな感染症が流行していたので、ワクチン接種後のすぐあとに別の感染症にかかるよりは、同時に接種する方がよいとのことだったように記憶しています。
アメリカのMMRワクチンは、私の記憶では、麻疹ウイルスの量を減らしていたと思いますが、日本は減らしていません。それで麻疹ワクチン(ウイルス)の影響で免疫力が低下し、続いて増殖したムンプスウイルスの副作用が強く出たことと、もう一つの要因として接種を受けた子どもの免疫状態が低下していたという二つの理由があったと思います。
 つまり、三種のウイルスを同時に接種しても、強いウイルスから次々と繁殖し、時間差をもって抗体が産生されると考えられます。つまり、その間繁殖中のウイルスがいると、他のウイルスはじっとしていて、繁殖が終わると次のウイルスが繁殖します。
 麻疹ウイルスに感染し、治っても免疫状態が低下している時に、次のウイルスを接種すると、そのウイルスの合併症が出やすいが、同時に接種すれば、最初に繁殖したウイルスが繁殖を終えなければつぎのウイルスが繁殖できないからというものです。
 昔の論文か本に書かれていたことです。
 しかし、これは生ワクチンにしか言えません。次々といくつかのワクチンを短い間隔で接種するよりは、同時に接種する方が、そういう理由で、体内では同時に繁殖せず、次々と順番に繁殖し、次々と免疫つまり血液中の抗体が産生されるから、その方が安全であると言う理論なのです。
 しかし、感染局所の細胞免疫に関しては、成立することは証明されていませんし、できないと考えられます。現代では、細胞免疫はツベルクリン反応でしか、証明できません。
 それで液性免疫である抗体産生で代用しているに過ぎません。しかし、ワクチンの専門家と称する小児科医たちは、抗体産生で免疫ができていると称していますが、正確には細胞免疫でないと発病を完全には止められないのです。
 ポリオ生ワクチンは、腸管の細胞免疫を作るので有効であり、ポリオ不活化ワクチンは細胞免疫を作らないので、有効性に疑問が残るのです。
 弱毒化したウイルスの先祖帰りという理論には、私は間違いであると考えます。その証明をして下さい。私の理論の原点のルネ・デュボスは、結核菌を調べて、重症化した患者さんの結核菌と軽く済んだ患者さんの結核菌に違いがないと言う結論を出し、そこから人間の側の抵抗力、免疫に違いがあると言う結論に達して、適応説を唱え、それを私が病原環境論と唱えたのです。
 そこから考えると、明確な証明のない先祖帰りは、仮設でしかありません。
 それと同時に、生ワクチンを接種してもつかないことを、ワクチンの失敗(ファースト・フェイラー)と言っていますが、私の理論では人間の持つ自然免疫が生きたウイルスを接種しても、跳ね返してしまうと考えます。
 注射をしたり、採血した時に、一過性の菌血症が生じ、すぐ消えてしまうことが報告されていますが、それと同じではないかと考えます。それは低年齢で健康な子どもほど、免疫ができない率が高く、最近の報告では水痘ワクチンを定期の1歳から2歳の間に接種すると、抗体産生率は50%前後のため、2回接種するのです。
 水痘ワクチンが健康児に接種を認められてからは、一回接種で5~8%が免疫ができないと言う報告もあり、実際に私の所でも同じ結果でした。
 また、おたふくかぜの研究では、過去に追跡調査をし、四歳までは不顕性感染があり、五歳以上はすべて発症したといいます。確か60数例の追跡調査でした。ワクチンせずに毎年抗体の検査をしたのです。もうそういう研究はできないでしょう。
水痘も四歳頃までは軽く済みます。

3. ウイルスと細菌とは同時に繁殖します。また二種の細菌も同時に繁殖します。
それで、細菌性ワクチンであるヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの同時接種に問題が起き
やすいと考えています。特にこれらのワクチンは外国製で日本国内の治験を経ていないまま許可されて海外のデータだけで論議されています。だから添加されたアジュバンドや他の物質の量が多いのではないかと思います。ですから、ヒブと肺炎球菌の二つの細菌性ワクチンは、生菌ワクチンでなくても、同時接種の安全性は保証されていません。
 もしその安全性を保障する理論や根拠になる論文や野外実験のデータを持っていたら教えて下さい。
 前から、ポリオ生ワクチンとDPT三種混合とは同時接種がアメリカでされていましたし、日本でもしてよいと言われていました。それは、ポリオ生ワクチンの生きたウイルスは、当面腸管の粘膜で交替を作ることになり、三種混合は血液中で作用するので、少なくともかなりの時間差を生じますから問題にならなかったのだと思います。

4. DPT三種混合の理論は、百日咳ワクチンのアジュバンドとして破傷風トキソイド
が働いているという訳です。それで単独よりも混合した方が、免疫効果が高いということで、三種混合製剤になったのです。
 もちろん、ジフテリアトキソイドと破傷風トキソイドは、単独でも十分効果があります。百日咳ワクチンの効果を高める為に、トキソイドを混合しています。
 同じ理由で、初期のヒブワクチンには、ジフテリアトキソイドが使われました。その後破傷風トキソイドに変わりました。ですから今のアクトヒブには、破傷風トキソイドが入っています。

5.ワクチンの同時接種の安全性の証明はありません。
  ということで理解して下さい。ただ便宜的に同時接種して、副作用が出なかったと言う個々の少数の報告だけです。しかし、多数のワクチン接種がされて行き、結果的に同時接種の方に死亡例や後遺症の出る例が多いことも明らかになりました。
 
 これを原因が判らないなどとして救済しなかったり、反省して同時接種をやめるようにはなぜならないのでしょうか。

 最後になりましたが、科学史の世界では、麻疹の一度しかすすらないと言うのは間違いと言うことになっています。それは、太平洋の島で航海での交通の時代に、二つの島でそれぞれ40年後と50年後に麻疹が流行し、片方の島では過去にかかった人が再度感染していたと言います。
 また、インフルエンザウイルスに関しては、昔パナマに来て、陸上で流行しているので沖合に停泊して待っていたが、2km以上離れていたのに船上で感染者が出たと言います、曇りの日には、そのくらいは飛んでいくようです。日光下では、2m離れれば感染しません。

 水痘に関しては、私の上司の某小児科医が高齢になり、非常勤で国立埼玉病院に来ていた時に、水痘に感染していたのに、数個の水疱だけだったのに私に言ってくれず、入院していた白血病の子どもの部屋に入ってしまい、その子は水痘になり、亡くなりました。確かにみたら水痘で、帯状疱疹ではなかったのです。全身に僅かに散在していました。
 二度無し病は、間違いで、再感染してブースター効果で、かからなかったということが今では通説になってきましたが、それが正しいと思います。
 また、どこから感染したか判らないように、いろいろな病気の流行が始まります。
 昔から人口が30万人いたら、麻疹は常在していると言われていました。その理由は、もしかして麻疹にも健康なキャリアーがいるのではないかと思います。他のウイルスも同じです。水痘ウイルスが脊髄の神経節に生き残ったり、単純性ヘルペスウイルスが口唇の皮膚粘膜移行部の細胞に潜伏していることなども、それを示唆しているのではないでしょうか。

 科学史の世界に入り、いろいろなことを学びました。皆さんも興味がある方にはお教えします。

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獲得免疫の話

2017-07-10 07:42:24 | 免疫の仕組み
     獲得免疫の話(適応免疫系)

 なかなか分かりやすく書くことができずに、載せていなかったのですが、とりあえず載せておきます。獲得免疫が予防接種の原理なのですが。とりあえず載せたものは、私のメモ的文章でもあるので、専門家はもっとわかりやすく書けるのでしょうが、私にはすらすらとは書けずに申し訳ありません。遺伝子の話は後日載せます。

自然免疫および適応免疫の原理

○多数の細菌が自然免疫を活性化し炎症反応を引き起こします
 マクロファージは細菌を認識し、細菌と結合し、それを取り込んで食べる(貪食する)と共に、サイトカイン(サイトカインの受容体{レセプター}を有する細胞に影響を与える物質)とケモカイン(好中球や単球を血中から遊走させる物質)を分泌します。これらは補体(免疫細胞の補助物質)の活性化によって局所的炎症を引き起こします。
炎症は、サイトカインの感染局所の血管に対する影響の反映です。白血球はサイトカインにより感染巣へ遊走し、感染した局所で作用します。その主な白血球は好中球であり、大量に動員されます。好中球は侵入した微生物を貪食し、微生物を破壊する主たる細胞です。まもなく単球が遊走し、マクロファージに分化します。好中球とマクロファージは炎症細胞と呼ばれます。
炎症反応は、抗原および抗原保有細胞を含むリンパ液のリンパ組織への流入を増加させる一方で、微生物表面の補体と微生物を取り込んだ細胞に誘導された変化は、その微生物の抗原だけに(特異的に)結合する受容体(レセプター)を有したリンパ球を活性化します。樹状細胞は、Tリンパ球に抗原を知らせ(抗原提示を行ない)、適応免疫応答を起こします。

○特殊化した(侵入してきた微生物に対してそれだけに対応する)抗原提示細胞(それが抗原つまり病原体であることを知らせる細胞)の活性化するのは適応免疫を始めるため(誘導の)の最初の段階に必須です。
 未熟な樹状細胞が病原体を取り込むと適応免疫反応(応答)が始まります。樹状細胞はほとんどの組織に定着しており、これがリンパ液によって運ばれて局所のリンパ節へと遊走し、循環しているリンパ球と相互反応します。未熟な樹状細胞は、多数の細菌種に共通した表面レセプター(受容体)を有し、レセプターに細菌が結合すると、レセプターが活性化され、病原体を取り込み、分解します。同時に周囲に存在しているウイルス粒子や細菌などを含む細胞外の物質を、レセプターを介さない機序(マクロピノサイトーシス)により、持続的に取り込みます。樹状細胞の機能は、病原体を取り込み活性化され、リンパ節へと運搬し、Tリンパ球へ提示する抗原提示細胞へと成熟します。活性化した樹状細胞はサイトカインを分泌します。サイトカインは自然および適応免疫応答に影響を与えます。

○抗原により活性化されたリンパ球は適応免疫にかかわる抗原特異細胞のクローンを産生します。

○リンパ球のクローン選択は適応免疫の中心的原理です。

○抗体分子の構造はリンパ球抗原レセプターの多様性があることの問題を示しています。

○発生する各リンパ球はレセプター遺伝子の再編成により特異的なレセプターを生み出します。

○利根川理論「免疫グロブリン可変部の遺伝子が遺伝子断片の組として遺伝され、それぞれの断片は免疫グロブリン分子を構成するポリペプチドの一部をコードしていること。
 第一に、限られた数の遺伝子断片により非常に多様性のある蛋白の生成が可能になること。
第二に、各細胞は異なる遺伝子断片の組み合わせを使うことから、発現される抗原レセプターの特異性は細胞ごとに異なること。
第三に、遺伝子再編成が細胞のDNAに不可逆的な変化をもたらすことから、その細胞を前駆体として増殖する細胞はすべて同一の特異性を有することです。
 こうした組み合わせによる多様性を通して、各タイプの何千もの異なる鎖が組み合わされ、100万レベルの異なる特異性の抗原レセプターが生み出されます。各個体には随時少なくとも1億レベルの異なる特異性をもつリンパ球が存在するといわれています。

○リンパ球の発生と生存は抗原レセプターを介するシグナルに依存しています。

○リンパ球は末梢リンパ組織(リンパ節、扁桃、虫垂など)で抗原に反応して増殖し、エフェクター細胞と免疫記憶を生み出します。

○リンパ球の活性化には抗原とともに他の細胞との相互作用が必要です。
初期に起きる自然免疫系は、非常に重要ですが、多数の病原体がこの系を撃ち破り、くぐりぬけてしまうし、この段階では免疫記憶は成立しません。

    適応免疫の認識およびエフェクター機構

○抗体は細胞外病原体とその毒素を処理します。ですから、細胞内には入らず、細胞内病原体には効果はありません。それで、抗体免疫で、ワクチンの効果を判定するのはおかしいと思います。細胞免疫が必要です。

○細胞内病原体の制御とほとんどの抗原に対するB細胞の活性化にはT細胞を必要とします。

○T細胞は主要組織適合遺伝子複合体蛋白に結合したペプチド断片として外来抗原を認識します。

○2種類のT細胞はそれぞれ異なるMHC分子に結合したペプチドを認識します。
 細胞傷害性T細胞(ウイルスペプチドを結合したMHCクラスⅠ分子を認識し、感染細胞を破壊)とTH1細胞やTH2細胞(マクロファージ内で生存する病原体やB細胞に取り込まれた病原体由来のペプチド結合したMHCクラスⅡ分子を認識する)の2種でこれらをエフェクターT細胞と呼ぶ。

○免疫不全や病原体の作用で特殊な感染症が発症します。

○適応免疫の理解はアレルギーや自己免疫疾患、臓器移植片拒絶の制御やワクチンにとって重要です。

○ワクチン接種は感染予防の最も効果的な方法です。もちろん有効性のあるワクチンです。
その多くは、生ワクチンとトキソイドです。

      第2部 適応免疫応答
 ☆T細胞を介する免疫系
    武装化エフェクターT細胞の産生

○T細胞応答は末梢リンパ組織で抗原提示細胞と出会って始まります。
 適応免疫応答は、局所感染巣ではなく、ナイーブT細胞が常に流れている末梢リンパ組織で始まります。

○ナイーブT細胞は、抗原提示細胞表面のMHC・ペプチド複合体との結合を試しながら末梢リンパ組織内を移動していきます。

○リンパ球の遊走、活性化およびエフェクター機能の発現には細胞接着分子を介した細胞間相互作用が必要です。

○T細胞と抗原提示細胞の最初の結合は細胞接着分子によります。

○ナイーブT細胞のクローン増殖には抗原提示細胞からの抗原特異的シグナルと補助刺激シグナルの両方が必要です。

○樹状細胞は抗原の取り込みとナイーブT細胞の活性化を専門としています。

○マクロファージはスカベンジャーであるが、病原体によってナイーブT細胞への外来抗原提示能も獲得します。

○B細胞は細胞表面の免疫グロブリンに結合する抗原を効率よくT細胞に提示します。

○活性化T細胞はT細胞増殖因子インターロイキン2とそのレセプターを合成します。

○補助刺激シグナルがIL-2の合成と分泌に必須です。

○抗原を認識しても補助刺激シグナルが伝達されない場合、T細胞は寛容状態となります。

○武装化エフェクター細胞へと分化したT細胞はその作用に補助刺激因子を必要としません。

○CD4T細胞の文化の方向(TH1あるいはTH2)は、その後の免疫応答における体液性免疫と細胞性免疫の比重を決定します。

○ナイーブCD8T細胞から武装化細胞傷害性エフェクター細胞への活性化機構は数種類あります。


         まとめ

 適応免疫応答誘導のための決定的段階は、抗原特異的なナイーブT細胞の活性化である。これは、ナイーブT細胞が常に循環しているリンパ組織や臓器で起こる。抗原提示細胞の特徴は補助刺激分子の発言であり、このうちB7.1、B7.2分子が知られている。ナイーブT細胞は、一つの抗原提示細胞(樹状細胞、マクロファージ、B細胞の一つ)が、対応する。
 組織樹状細胞は貪食およびマクロピノサイトーシスにより抗原を取り込み、感染刺激により局所リンパ装置に遊走し、そこで成熟樹状細胞となって補助刺激活性を獲得する。樹状細胞はナイーブT細胞を最も強力に活性化する。
 マクロファージは細菌のような粒子抗原を効率的に貪食し、感染由来成分によりMHCクラスⅡ分子と補助刺激分子を発現するようになる。
 B細胞の特徴は、表面のレセプターを介して可溶性抗原を捕捉し、その抗原に特異的なT細胞を活性化することであるが、これには補助刺激分子の発現誘導が必要である。
 3種すべての抗原提示細胞において、感染の存在を知らせる自然免疫機構のレセプターシグナルによって、補助刺激分子の発現が活性化される。
 T細胞は、抗原刺激細胞により活性化されると増殖し、武装化エフェクターT細胞へと分化する。T細胞の増殖と分化は、T細胞増殖因子IL-2と、活性化T細胞上の高親和性IL-2レセプターが結合すると始まる。T細胞性レセプターが抗原を認識しても補助刺激シグナルが供給されないとIL-2産生は誘導されず、T細胞はアネルギー状態なるか死ぬ。このようにナイーブT細胞の活性化には抗原認識と補助刺激分子による二つのシグナルが入ることが必要であるが、この機構は同時にナイーブT細胞が末梢組織の自己抗原と反応して活性化するのを防いでいる。末梢組織細胞は補助刺激分子を発現しないからである。分裂増殖を始めたナイーブT細胞は武装化エフェクターT細胞となる。この家庭は適応免疫応答には欠くことができない。
 ある抗原に特異的なT細胞クローンが増殖しエフェクター細胞へと分化すると、これらの武装化エフェクターT細胞は、特異抗原を発現するあらゆる細胞を標的として作用することができる。エフェクターT細胞は種々の機能をもつが、中でも細胞傷害性CD8T細胞による感染細胞の破壊、TH1細胞によるマクロファージの活性化が重要である。これらはともに細胞性免疫の主体をなしている。B細胞は、TH-1およびTH-2細胞により活性化され、異なるタイプの抗体を産生し、体液性免疫で中心的な役割を果たしている。
武装化エフェクターT細胞の一般的性状
8-15エフェクターT細胞と標的細胞との相互作用は抗原非特異的な接着分子を介して始まる。
8-16T細胞レセプターからのシグナルによりエフェクター分子が標的細胞に向けて分泌される
8-17T細胞のエフェクター機能は、エフェクター分子によって決定される
8-18サイトカインは局所でも遠隔からも有効に働く
8-19サイトカインとそのレセプターはその構造により分類される
    ヘマトポエチン、インターフェロン、ケモカイン、TNFファミリー
8-20TNFファミリーのサイトカインは三量体の細胞表面に結合していることが多い
まとめ
武装化エフェクターT細胞と標的細胞の相互作用は細胞間の一過性の非特異接着によって始まる。T細胞のエフェクター機能は、T細胞のレセプターが標的細胞表面にペプチド・MHC複合体を認識したときのみ発揮される。この抗原認識によって、武装化エフェクターT細胞と抗原をもつ標的細胞の接着がより強固になり、標的細胞に向かって直接サイトカインを分泌し、標的細胞に死をもたらすのである。武装化エフェクターT細胞の抗原認識によってもたらされた結果は、主に特異的標的細胞に接着したときに放出されるサイトカインの組み合わせによって決定される。CD8細胞傷害性T細胞はサイトトキシンを前もって特別な傷害顆粒の中に貯蔵しており、この顆粒の放出は、感染した標的細胞との接触部位だけに厳密に限定されている。サイトカインと、いくつかあるTNFファミリーの膜結合型エフェクター分子は、3種類すべてのエフェクターT細胞によって新規に生合成される。TH2細胞はB細胞活性化因子を発現しており、TH1細胞はマクロファージ活性化分子を発現する。CD8T細胞は膜結合型のFasリガンド発現しており、Fas発現細胞との結合によりプログラム細胞死をもたらす。CD8T細胞はまたIFN-γを生産する。膜結合型分子はその特異的レセプターを発現している細胞のみにシグナルを伝達するが、可溶性サイトカインは局所の標的細胞上のサイトカインレセプターを介しても作用するし、遠隔にある造血細胞にも作用する。サイトカインと膜結合型エフェクター分子の作用は、それぞれの特異レセプターと、CD8T細胞によって放出されるサイトトキシンを介して起こり、これらでT細胞のエフェクター機能をほとんど説明できる。
T細胞による細胞傷害
8-21細胞傷害性T細胞により標的細胞はプログラム細胞死にいたる
8-22アポトーシスを誘導する細胞障害性エフェクター蛋白はCD8細胞傷害性T細胞の顆粒内に貯蔵されている
8-23活性化CD8T細胞および一部のCD4エフェクターT細胞もFasリガンドを発現し、アポトーシス誘導能がある
8-24細胞傷害性T細胞は特異抗原を発現する標的細胞を、順次、選択的に傷害する
8-25細胞傷害性T細胞はサイトカインの分泌を介しても作用する
武装化CD4TH1細胞によるマクロファージの活性化
結核やハンセン病の原因となるミコバクテリア属の細菌のように、マクロファージの食胞内で増殖する病原体は、抗体や細胞傷害性の攻撃を免れることができる。・・・その結果、これらの病原体は、マクロファージの殺菌作用を免れ寄生し続けることができる。しかしマクロファージがTH1細胞により活性化されると、これらの病原体をも排除できる。
8-26武装化TH1細胞はマクロファージ活性化に中心的働きを果たしている
8-27武装化CD4TH1細胞によるサイトカインおよび膜結合型エフェクター分子の発現には、そのmRNAと蛋白を新規合成する必要がある
8-28武装化TH1細胞によるマクロファージ活性化では、殺菌効果促進とともに組織破壊回避のための厳密な制御が必要である
8-29TH1細胞は、細胞内寄生性の病原体に対する宿主の免疫応答を統括している
まとめ
・・・このようにTH1細胞は、ある種の細胞内細菌に対する宿主の防御機構を統合的に制御する役割を果たしている。成人エイズ患者では、この機構が傷害されるため、細胞内感染が重篤な結果にいたると考えられる。

第8章 まとめ
 武装化エフェクターT細胞は、適応免疫応答全般にわたり、不可欠な役割を果たしている。適応免疫応答の始まりは、まずナイーブT細胞が、抗原提示細胞表面に発現された特異抗原と、活性化のための補助刺激分子B7.1とB7.2を認識することである。この抗原との最初の遭遇は、樹状細胞上で起こると考えられている。樹状細胞は感染部位で抗原を取り込んだ後、局所リンパ装置に移動して成熟し、そこで強力なナイーブT細胞活性化能を獲得する。活性化されたT細胞はIL-2を分泌し、IL-2はこれらのT細胞を増殖させ、武装化エフェクターT細胞へと分化させる。T細胞のエフェクター機能はすべて、細胞間の相互作用を介して発揮される。武装化エフェクターT細胞が標的細胞上の特異抗原を認識すると、標的細胞に直接作用しその働きを変化させる物質を分泌する。この武装化エフェクターT細胞の活性化は、抗原ペプチド。MHC分子複合体を介するシグナルのみで誘導され、補助シグナルを必要としないため、どんな感染標的細胞でもその作用を受けて活性化されるか破壊される。細胞傷害性CD8T細胞は、細胞質内寄生性の病原体に侵された標的細胞を破壊して病巣を排除する。CD4TH1細胞はマクロファージを活性化し、細胞内病原体を殺させる。CD4TH2細胞は、B細胞を活性化し、抗体を産生させるために必須である。抗体は、細胞外の病原体に対する体液性免疫応答において重要な役割を果たす。以上のようにエフェクターT細胞は、適応免疫応答で知られているほとんどすべてのエフェクター機構を統制している。
第9章 体液性免疫応答
 ヒトの感染症の原因となる多くの細菌は、体内の細胞外で増殖するし、細胞内病原体もその多くは細胞外組織液を介して細胞から細胞へと感染していく。体内の細胞外環境の防御にあたるのは体液性免疫応答であり、B細胞によって産生される抗体分子が細胞外微生物の破壊を誘導するとともに細胞内感染の拡大を防ぐ。B細胞の活性化と抗体産生細胞である形質細胞への分化は抗原によって誘導されるが、通常は更にヘルパーT細胞の助けを必要とする。ヘルパーT細胞とはB細胞の活性化を補助し得るエフェクターCD4細胞すべてを含むものとする。ヘルパーT細胞の役割はまだあるが略。
 抗体の免疫における役割
 ①ウイルスや細胞内細菌が細胞内に侵入するには、その標的細胞表面上の特異的な分子に結合しなければならない。病原体に対する抗体にはこのプロセスを阻害するものがあり、これを病原体の中和と呼ぶ。抗体による中和活性は、細菌毒素の細胞内侵入の阻害においても重要な役割を果たす。細胞外でぞうしょくする細菌に対して抗体は、主に殺菌能を有する食細胞への細菌の捕捉を促進することによってその防御に関与する。これには二つある。②一つは病原体の表面に結合した抗体分子が、その定常部に結合する食細胞上のFcレセプターによって認識される場合である。病原体の表面に抗体分子が結合することによって、食細胞の食作用が亢進される現象はオプソニン化と呼ぶ。③もう一つは、病原体の表面に結合した抗体分子による補体系の蛋白の活性化である。補体系の活性化によって、補体系蛋白が病原体の表面に結合し、食細胞上の補体レセプターによって病原体のオプソニン化がもたらされる。補体系の他の成分は、食細胞を感染局所へと動員するし、活性化された補体系の最終産物は一部の微生物の細胞膜にあなを開けることによって融解させる。
 このどれが働くかは、産生される抗体のイソタイプ (クラス)によって決定される。
B細胞の武装化ヘルパーT細胞による活性化
 B細胞抗原レセプター(BCR)としての表面(膜型)免疫グロブリンは、B細胞の活性化において二つの役割を持つ。①第一に、T細胞抗原レセプター同様、抗原と結合する゛ことによって細胞内に直接にシグナルを伝達する。②第二に、B細胞抗原レセプターは抗原を細胞内に取り込み分解し、MHCクラスⅡ分子に結合したペプチドの形で再度B細胞表面に戻す。このペプチドとMHCクラスⅡ分子の複合体は、抗原特異的な武装化ヘルパーT細胞によって認識され、その結果産生される蛋白によってB細胞の増殖とその抗体産生細胞への分化が誘導される。一部の微生物抗原は、T細胞の補助なしで直接B細胞を活性化する。B細胞がこのような微生物抗原に直接反応し得ることにより、多くの重要な病原細菌に対する迅速な反応が可能となっている。しかし、抗体分子の体細胞高頻度突然変異やある種のイソタイプへのスイッチには、抗原によって活性化されたB細胞と抹消リンパ組織におけるヘルパーT細胞およびその他の細胞との相互作用が必要である。したがって、微生物抗原のみによって直接誘導された抗体分子は、T細胞の補助によって産生された抗体に比べ可変部の多様性に乏しく、機能的多様性も低い。
9-1体液性免疫応答は、抗原に結合したB細胞がヘルパーT細胞によって誘導され、あるいはある種の微生物抗原によって直接誘導されることにより開始する
 ナイーブな抗原特異的リンパ球は抗原単独では容易に活性化されないということは適応免疫における一般的なルールである。ナイーブT細胞はプロフェッショナル抗原提示細胞からの補助シグナルを必要とするし、ナイーブB細胞は武そうかへるぱーT細胞あるいは微生物成分そのものに由来する補助シグナルを必要とする。
9-2武装化ヘルパーT細胞は同一抗原を認識するB細胞を活性化する
T細胞依存性の抗体産生応答には、同一抗原を認識するヘルパーT細胞によるB細胞の活性化が必要である。これは認識連関と呼ばれる。
ウイルスの外被蛋白のエピトープを認識することによってB細胞はウイルス粒子全体を細胞内に取り込むことができる。細胞内でウイルス粒子は分解され外被蛋白のみならず内部の蛋白からもペプチドが生成され、MHCクラスⅡ分子に会合してB細胞上に提示される。感染に伴ってこれらの内部ペプチドを提示したマクロファージや樹状細胞によってすでに感作されたヘルパーT細胞はこれらのB細胞を活性化し、外被蛋白を認識する抗体を産生させることができる。
9-3自己のMHCクラスⅡ分子に結合した高原性ペプチドの刺激で、武装化ヘルパーT細胞はB細胞を活性化させる膜結合型あるいは分泌型の分子を産生する
 これらの分子はエフェクター分子であり、協調してB細胞を活性化させる。特に重要なエフェクター分子は、CD40リガンド(CD40L)という腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーの分子であり、B細胞表面にあるCD40分子に結合する。この結合は、静止期B細胞の細胞周期への侵入を誘導するのみならず、胸腺依存性抗原に対するB細胞応答に必須の役割を果たす。
9-4イソタイプスイッチにはヘルパーT細胞に発現されるCD40Lが必要であり、サイトカインによって誘導される
 
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免疫の仕組み

2016-04-03 10:54:32 | 免疫の仕組み
             免疫の仕組み

誰かは、免疫を高めなければと言いますが、私は免疫の仕組みは誰でも持っているもので、高めることなどできませんが、低下することを防ぐことはできます。つまり、低下することを予防することが大切なのです。免疫不全(先天性、後天性)の病気ではなければ、免疫は誰でも同じです。しかし、それが環境によって低下するのです。それには個人差があります。環境に上手に適応できる人もいれば、できない人もいます。その差です。
 環境に適応できない時に病気になります。それには、持って生まれた遺伝的因子も関係します。
 まずふつうの人は、子どもを叱ってはいけません。叱らず、ほめてそだてましょう。その方法は、私の新著に書きました。
なぜ私の子は病気をしないのかと不思議でした。私の小児科医の父の育て方がよかったのでしょうか。私は、幸い大きな病気はせず、ワクチンもしないのにポリオにもかからず、結核にもかからず、麻疹、百日咳などにはかかっていたようです。大体、病気で寝ていたことの記憶は、一桁の回数しか記憶にありません。
 私の父は放任主義で、私はのびのび何も干渉されずに育ちました。悪いことをしても、父は周りに謝りに回っていましたが、私はそんなことはしりませんでした。後になって知ったのです。
 子どもを叱ってはいけません。しからず、こうしてちょうだいねと言って、してくれたらほめましょう。
私の持論(病原環境論または適応説)では、個人の性質と環境と関係によって、病気になります。
 最近、子宮頸がんワクチン(実はヒトヘルペスウイルスワクチン)が、脳神経の障害が出るのが特定の状態にある人だという見解が出されましたが、私は、そんなことは日常的にあることであって、それをなくしたワクチンしか許可してはならないと主張します。
 人間世界の病気は、人間個人の状態(遺伝的、または環境によって形成された)と環境(自然、つまり自然環境にいるすべてのの生物、ウイルスや細菌も、そして社会的環境、会社、学校、地域、国、そしそれからくるて心理的、精神的ストレスから)やワクチン、薬などとの適応関係によってできているとの考えです。

 もっとのびのび、いい加減に、人には迷惑をかけない範囲で、そこそこに、適当に、生きていきましょう。
 ノーベル賞の益川先生は、子ども時代宿題をせず、毎日廊下に立たされていたと言っています。でも、今の子どもはかわいそうだ。廊下に立っているだけですむ時代ではなくなっている、と言います。多くの人の伝記や回顧録を読むと、えらい人はみな、子ども時代はいたずらっ子だってり、悪さをする子だったりしています。もっと子どもたちをのびのび育てましょう。西瓜泥棒をした小出元女子マラソンの監督。首相になっても母親からどなられた田中元首相など。親からみたらだめでも、ちゃんとして生きている人はたくさんいます。もしかしたら、その方が大成するかもしれません。
 みなさん、こどもをしたい放題に育てて下さい。その代わりにまわりに気をくばることが大変で、親が苦労しますから。私は若い時しか子育ては難しいと思います。
 今子育て真っ最中の方は、もっと肩の荷をおろして、いい加減に、適当に、悪さをしたら、親が謝ってあげて、子どもにはのびのびさせましょう。事故、自殺、他殺で死ぬことを防げばよいのです。あとはなんとかなりますから。

 続きは、また後に。
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自然免疫の話

2016-04-03 10:49:51 | 免疫の仕組み
免疫の仕組みの話
はじめに
人は皆、先天性免疫不全症でない限り、自然の免疫の仕組みを持っています。それを大きく自然の生体防御と言います。それは、二つに分けられます。それは自然免疫系と適応免疫系です。自然免疫系の最前線は、人と共棲している微生物たちが形成しています。それが前に述べた「生体防御」です。この段階では、体内に入っていないのです。身体の表面の皮膚や粘膜で対応しています。その次の段階が、いよいよ免疫系の働きが始まります。

自然免疫の概略
健康な人にとって、毎日出会う微生物は目に見える病気をほんのまれにしか起こしません。多くの微生物は、短時間に発動される防御機構によって数分から数時間の間に感知され、撃退されます。これが自然免疫の作用です。
 感染した病原体は、病巣(感染巣)を形成するためには自然生体防御を打ち破らなければならないのです。
 体表面の上皮細胞は感染に対する防御の最初の障壁です。これが第一に感染成立を阻止しています。それが第一線の生体防御です。ここに人間と共棲している微生物が関与していますが、しばしばこれらの微生物が病原体化することがあります。
 常在細菌と言われるものがそれです。

 自然免疫の最前線は自然免疫防御で、その効果のメカニズムは、直接病原体と戦ったり、病原体と接触することによりすぐに作用するもので、同じ病原体やそれと違った病原体が次にやってきても、その対応は変わりません。
多くの病原体は組織内に入り込むと食細胞(マクロファージなど)によって認識され、食べられて殺されます。
 病原体を体の組織が認識し、それに反応すると組織傷害が生じて炎症反応を起こします。
このメカニズムは、しばしば感染を成立するのを阻止しています。これが自然免疫のアウトラインです。以下その内容を話します。

自然免疫防御の二つの免疫系
自然免疫系―多くの感染症は自然免疫系によって充分対処されます。免疫記憶はできません。
適応免疫系―自然免疫系が対処できない場合に発動し、持続的な免疫記憶を確立します。
自然および適応免疫系はともにきわめて有効な生体防御システムを構築しているので、潜在的に病原性のある微生物に囲まれて生活しているのに、病気にかかることが比較的まれなのです。多くの感染症は自然免疫系によって十分対処されるため病気を引き起こすまでにはいたらないのですが、自然免疫で対処できない場合は、適応免疫系が発動して抑え込み、持続的な免疫記憶を確立します。
免疫の働きは、
第一相―自然免疫―自然生体防御
第二相―自然(免疫)惹起応答(ここで自然免疫系の第二段階が動き出します)
第三相―適応免疫応答(適応免疫系が動き出します)
感染防御の進化したものであると同時に、同一病原体の再感染に対してより強力な防御をします。だけど、始まるまでに4~7日かかります。

第一段階―新しく作られたリンパ球(ナイーブリンパ球)が対応します。

第二段階―選択されたリンパ球が増殖し、能力を持ったリンパ球(エフェクター細胞)へと進化(分化)します。比較的短時間で起こり、特定の病原体(ウイルスや細菌)に対処できる遺伝子断片の適切な結合が起こり、それ(特定の病原体に対処できる能力)を持つ細胞を急速に増殖させて対応します。
これを一次応答と言い、
1)感染病原体を排除します。その時に、対処するためにその能力を持ったT細胞を作り出す期間が潜伏期間です。そしてそれが病原体と戦います。症状は、戦いが始まると、その表現としていろいろな症状がでるのです。それで発病(発症)します。熱や発疹、咳などがそれです。つまり、症状は人間の身体の、病原体などに対する防御反応です。
戦いに勝つと病気は回復に向かいます。体に発疹のできる病気は、できる発疹が、体の中での抗原(病原体)と抗体(身体が作り出す対抗物質)の反応の表現と言われています。ですから、発疹が出終わると、病気は快方に向かいます。発疹ができたら、抗体が産生されていることを示しているのです。麻疹、風疹、突発性発疹、水痘、帯状疱疹、伝染性紅斑(リンゴ病)、手足口病などの発疹がそれです。
2)再感染の際に速やかにそして特定の病原体に反応できる記憶細胞を、産生します。ここで、免疫学的な記憶ができます。

第三段階―記憶細胞が担う段階です。記憶細胞に記憶されたものが働きます。
特定の病原体に特異的な働きを持つT細胞(リンパ球の一種)が、その病原体に反応して(記憶から)増幅され、速やかに増殖し、有効な二次応答(ここで病原体と戦いが始まります)が数日でなされます。この時間が、潜伏期間で、まだ症状は出ません。しかし、記憶があると短時間で対処できます。無症状で対処が済む場合もあれば、軽く出て終わる場合もあります。
親から子へと遺伝する遺伝子断片の小さな集合から、特定の遺伝子断片が任意に選択されて、それが組み合わされて、特定の病原体に対する抗体が組み立てられます。さらに抗体を作る細胞(成熟活性型B細胞)における体細胞の高頻度に起きる突然変異によって多様性はさらに広がります。抗体レパートリーの大部分は、親から子へ遺伝します。
この抗体産生の能力は、利根川進医師(ノーベル賞受賞者)により、約1億種類の抗体を作る力を持っていることが証明されました。
自然免疫の話
第一段階  生体防御
 人間の身体の外界と接触する場所には、多くの微生物が棲んでいます。生まれたばかりの赤ちゃんは、血液中に母親からもらった抗体を持っていますが、無菌状態です。所が、48時間以内に、いろいろな所に微生物が棲みついていきます。無菌状態だと危険だからです。
大抵は、生まれる時に通過する産道か、その出口か、その後の人との接触で感染します。
 人と外界との接触する場所は、皮膚、いろいろな場所の粘膜です。目、耳、鼻から咽頭、喉頭、下気道(気管支、肺)、口から消化管(食道、胃、小腸、大腸、直腸そして肛門)、尿道口、性器(陰茎、膣)などです。
 大腸菌は、出生直後の新生児の大腸にはいませんが、48時間以内にはいつの間にか住み着いています。(つまり、どんなに清潔にしていても、大腸菌は入ってしまうのです。)
 普通、家族はすべて同じ菌などの微生物を共有しています。性交渉により、夫婦は同じ微生物を共有するようになり、それが子どもたちに伝達されます。ただし、高齢化すると、住みつく微生物も変化していきます。
 以下、別稿の「生体防御」をご覧ください。

第二段階 狭義の自然免疫(応答)
まず、生体防御の段階を経て、自然免疫の働きが続きます。体内に入っても、自然免疫の働きで、粘膜の段階で侵入を阻止されると、血液中の抗体はできません。細胞免疫だけができます。(これがポリオ生ワクチンの効果です。また、ツベルクリン反応は、結核菌に対する細胞免疫を見ています。)しかし、ここを突破されて、初めて血液中の免疫の仕組みが始動するのです。これが俗に自然免疫の仕組みと言われる所です。

免疫系は、すべてリンパ系組織が担っています。
自然免疫系の第一線で働くのは、白血球の一種のマクロファージ(単核球)と好中球です。
しかし、一部の病原体は自然免疫により認識されません。それが体内の常在細菌です。ただし、常在する場所以外に入ると、病原体として認識されてしまいます。
自然免疫系は、適応免疫応答の開始とその後の方向性を示します。免疫系の細胞は、骨髄で生まれ成熟し、骨髄外へ出て、血液およびリンパ系を循環しています。
体外から侵入した微生物は、まず自然免疫応答を起こす細胞、すなわちマクロファージ(単核球)と好中球に出会います。
マクロファージとマスト細胞が、人の生体防御の最前線で働き、炎症反応を起こします。マクロファージは細菌を食べてしまい(食作用)、信号(サイトカインとケモカイン)を出して他の食細胞、好中球(白血球の一種で多数派)を動員します。これらは、病原体の侵入した場所に炎症を起こします。マクロファージの出した信号は、そのレセプター(受容体=信号を受信する感覚器官)を有する体中の細胞に影響を与えますし、もう一つは白血球の中の好中球や単球を血中から侵入した場所へ移動させます。またその信号により、補体(免疫活動を補佐する物質)が活性化し、病原微生物の表面について、マクロファージ(食細胞)が認識できるようにします。それで食作用が発揮されます。
サイトカインという白血球(マクロファージとマスト細胞)が出す信号が炎症反応を起こします。この信号(サイトカイン)により白血球が動員され、感染した場所へ集まり、侵入した微生物を食べてしまい、破壊します。白血球の動員後、単球が動員されてさらにマクロファージに進化し、増えて行きます。臨床的には、この時、血液中の白血球数、特に好中球が増加します。

感染後期には、リンパ球が関係します。
リンパ球にはBリンパ球(B細胞―骨髄で成熟)とTリンパ球(T細胞―胸腺で成熟)の2種類あります。
 Bリンパ球は形質細胞に進化し、抗体を分泌する働きを持ちます。(抗体産生細胞)
 Tリンパ球は、2種類あり、細胞傷害性T細胞と、B細胞やマクロファージなどの別の細胞を活性化するT細胞があります。
T細胞の中に、NK(Natural Killerナチュラルキラー、すなわち自然の殺人者)細胞があり、NK細胞は、大型リンパ球で、血液中を循環し、抗原レセプター(抗原すなわち病原微生物を認識する感覚器官)をもたず、腫瘍細胞やウイルス感染細胞などの異常細胞を認識し、殺傷できます。これが、放射線や発がん物質や自然に起きる突然変異で生じる異常細胞を殺傷して回っています。

病原体はいろいろな場所から体内に侵入し、感染症を引き起こしますが、最終的にはリンパ球が抹消リンパ組織(リンパ節、脾臓、粘膜リンパ組織)で抗原(病原体)に出会い、反応を起こします。
リンパ球は、血液→抹消組織→リンパ管→抹消リンパ組織→リンパ管→心臓と循環し、パトロールを続けており、抗原(病原体)も感染巣からリンパ組織に運ばれ、まずマクロファージや樹状細胞(最前線で働く白血球)に捕らえられ、リンパ球に引き渡されます。
 その仕組みは、抹消の組織(皮膚や粘膜など)で感染が起きるとマクロファージや樹状細胞などが、抗原(病原体)を細胞内に取り込み、リンパ管を通って、所属リンパ節へ運ばれます。そこで抗原はT細胞に引き渡され、T細胞はその病原体に対処すると共に、その情報をB細胞に流して、B細胞を活性化します。

炎症反応は、微生物とそれを食べた細胞をもったリンパ液をリンパ組織へ流入させ、リンパ球を活性化します。細菌を食べたマクロファージは、T細胞を活性化し、樹状細胞はT細胞に抗原(病原体)を認識させ、適応免疫応答を起こします。


補体系と自然免疫(略)
 補体系は、免疫細胞の働きを補佐しますが、ここでは省略します。
自然免疫系のレセプター(受容体=病原体などの異物を感知する働きを持つ感覚器官)
病原体の表面に対する特異性(ある病原体のみを感知する働き)を持ったレセプター(感知する働きを持つ感覚器官)は、同じ構造モチーフ(似たタイプの構造)をもったパターン(病原体の表面にある特徴)を認識します。
マクロファージなどの食細胞上のレセプターは、信号を出して病原体の存在を知らせます。
自然免疫は病原体を認識し、それに対応し戦うために、多彩なレセプターを使用しています。それらが協調して食細胞の病原体を食べる働き(食作用)を促進しています。膿(うみ)は、マクロファージや白血球などの食細胞が病原体特に細菌を食べて死んだものです。

感染に対する誘導型自然免疫
 自然免疫は、各種のエフェクター機構(免疫の働きを活性化する仕組み)を誘導することによって感染を排除します。もしそれがうまくいかなくても、病原体が適応免疫によって認識されるまでの間、持ちこたえる役割を果たしています。これらのエフェクター機構は、生殖細胞のレベルですでにコード(しるしをつけられた)されたレセプターシステムによってすべて制御されており、これは非感染の自己(感染していない自分自身)と感染された非自己(感染された自分自身でないもの、つまり外来のもの)の違いを区別しています。食細胞による自己と病原体の区別は、ケモカイン(炎症性)やサイトカインの産生をコントロールし、それらが協調的に作用し、さらに食細胞、特に好中球を感染部位に集めます。(それらの細胞が病原体を認識する)
 組織食細胞によって産生されたサイトカインは、発熱、レクチン(病原体と結合できるマンノース結合型)やCRPを含む急性期蛋白、抗原提示細胞(適応免疫応答を誘導する)を動員します。
 ウイルス病原体は、それらによって認識され、インターフェロン(ウイルスの増殖を阻害し、NK細胞を活性化する)の産生を誘導し、その結果、感染と非感染細胞を区別しています。
 この結果、検査所見では、まず白血球が増加し、次いでCRPが上がり、最後に血沈が上がります。白血球では、好中球の増加は細菌性の感染を疑います。ウイルスの感染では、白血球数の増加は少なく、好中球よりリンパ球が対応します。

 (ゲノム上にすでにコードされたレセプターを介しての病原体認識に基づくエフェクター機構の誘導は、明らかに生体に危険を伴う。局所に分泌されると有益であるが、体全体に産生されると危険な状態を引き起こす。)
 自然免疫系は、主に感染巣の成立を阻止する防御システムと見られます。しかし、それがうまくいかなかった場合に、適応免疫系を用意しています。
 ここまでで侵入した病原体を撃退しても、B細胞による抗体は産生されません。
             以上「免疫生物学」より要約、および私の追加、改変あり。
ここまでは、自然界に住んでいる人間の、外界への自然の対応で、前に差し上げた「生体防御」の続編です。自然免疫で、ここまでで処理されれば、発病しないし、また抗体もできません。普通の人は、こうして日常の生活を送っています。
 よく「免疫を強くする」などと言いますが、私の病原環境論または適応説では、免疫は、先天性免疫不全症でない限り、誰でも持っているもので強化することなどはできないし、必要もありません。必要なことは、免疫を低下させないことです。
 免疫を低下させる原因は環境に適応できない時に起きるという考え方です。
前に「人はなぜ病気になるか」という私論で、書きましたことの裏付けです。
 この後が、感染症にかかったり、予防接種(ワクチン)による獲得免疫で、正確には「適応免疫」と言います。これも、やさしく解説することが難しく、書き上げた時に差し上げます。
 昔、琉球大学医学部の健康長寿者の検診で、沖縄県の隅々を離島も含めてまわって、検診をしたのです。その時に、ある離島で、百歳過ぎの高齢の女性が、「私はお医者さんを見たのは初めてだ」と言った人がいたそうです。つまり、医者にかからなければ治らない病気にかかったことが無かったのです。もっとも、沖縄には昔は医者が少なく、そのためそれを補うために、戦後「医介補」という医療に携わることが認められた人たちがいました。多くは軍隊での衛生兵あがりの人たちでした。占領下で米軍は、それを認めざるを得なかったのです。日本に復帰後、一応医師会に入っていたようです。今は、もう皆亡くなっているのではないでしょうか。
 また奄美大島のユタの調査が波平恵美子氏らによって調査されています。ユタがシャーマン(呪術師)であるかどうかは議論があるようですが、その仕事の一つに病気治療にあたっていたようです。医療だけでなく、占い、建築儀礼、家祓い(やばらい)などのお祓い、死者の口寄せ(死者の言葉を伝える)など一般のシャーマンと同じような仕事をしていたようです。最近は、形式的なかたちになっているというような話を聞いています。
 病気は、そういうもので、私の知人の医師は、「患者さんは保険証を持って、安心を買いに来る」と言っていました。だから私は「安心を売る商売」だと思っています。
ただ、ヒポクラテスのいうように、「癒せよ、せめて傷つけるな」と、副作用のある薬やワクチンを使いたくありません。せめて、メリットとデメリットを比べてどちらが高いかで選択していきたいと考えています。

        文責  黒部信一
 
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生体防御の仕組み(いわゆる免疫の第一段階)

2016-04-03 10:38:49 | 免疫の仕組み
             生体防御の話
 広い意味での免疫の仕組みの最前線の体の働きを生体防御という。
 人間の体は、外界と常にいろいろな面で接しています。その体の最前線が、皮膚、粘膜で、体内の入り口となる、口、鼻、眼、耳、肛門、尿道口、膣があります。そして、体内を通過する食物の通り道である口、のど、食道、胃、小腸、大腸、直腸と、空気を吸い、酸素を取り込む鼻、のど、気管、気管支、肺があります。これらは、すべて外界と接触しています。
 これらには、すべて防御機構が働いていて、無数の生命体が共存共棲し、外界からの多くの有害な微生物の侵入者を排除してくれます。
1. 皮膚は薄いのですが真皮と表皮があり、皮膚の表層部は絶えず新陳代謝され、一番表面の細胞が角化し、垢(アカ)となって脱落して行きます。この角質層は20ミクロン(100分の2ミリ)程の厚さであるが、細菌は直径1ミクロン程度だし、ウイルスは0.1ミクロン程度なので簡単に侵入できないし、外来の微生物や病原体はアカと共に脱落していく。また一方、強力な微生物が侵入しようとしても、成熟した人の皮膚には、1平方cmの面積の中に10万前後の微生物が住んでいて、外来の病原体を排除してくれます。
2. 空気は普通、鼻と口から入ります。鼻、口の中、のどなどの粘膜にも細菌をはじめ多くの微生物が住んでいて(常在細菌叢)外来の微生物と闘って排除してくれます。特に鼻の働きは優れていて、三層の粘膜のひだがあり、吸い込まれた空気は、鼻の中で乱反射し、そこで粘膜に外来の微生物や異物を吸着し、温度と湿度を付与し、気管へ送るのです。
口で呼吸しても、のどの粘膜で防御しますが、鼻を通した方がより防御の働きが大きいのです。それで温帯に住む人の鼻は低く、熱帯や寒帯に住む人の鼻は中の容積を大きくするため、高いのです。
 ここを無事通過しても、気管や気管支の表面の粘膜上皮細胞にとらえられ、この細胞の繊(せん)毛によって外へ運び出され、痰となって吐き出されたり、飲み込まれたりします。そこを通過できても、肺胞の粘膜は酸素と炭酸ガスを交換する場で、血液と空気が接触し、血液中の免疫細胞が肺胞の表面で病原体や異物を食べてしまいます。これらを突破した病原体が繁殖し病気を起すのです。
3.口の中にも常在する細菌やカビ、ウイルスたちがいます。約1mLの唾(だ)液にも約1千万個の細菌が住み(年齢、虫歯の数、歯の衛生状態により変動)、歯垢(しこう)の30%は細菌です。虫歯を作るミュータンス菌もいます。口の中の粘膜は、食事や口や歯を動かす時に歯や食べ物によって傷つけられますが、傷口で白血球が闘い、防御し、傷も修復して治ります。粘膜の小さな傷は、出血してもすぐ止まります。それだけ粘膜の回復が早いのです。口内炎ができるのは、その働きが低下している時です。だ液は、口の中をきれいにしてくれます。だ液は沢山出た方がよいのです。だ液には消化作用もありますが、大量の高濃度の糖分を取ると、虫歯になりやすいのです。コーラ、炭酸飲料、スポーツドリンクが、虫歯になりやすいのは高濃度の糖分を含むからでしょう。でも子どもに糖分(グルコース)は脳の代謝に必要ですから、食事の時にまとめて糖分の多い食べ物わ食べさせて、食後にお茶を飲ませ(できれば歯磨きをする)、後はだ液の働きに任せます。
4.眼の中にも、細菌やウイルスたちが住んでいます。目をこすり過ぎると結膜炎を起すのは、目の中の細菌が混乱して起すのです。涙は、目の中の乾燥をふせぐだけではなく、細菌やカビやウイルスが住んでいて、外来の細菌やウイルスなどの病原微生物を排除してくれているのです。涙は寝ている時は、出なくなるので、起きた時の少量の目やには、涙が乾燥してできたものなので、心配ありませんが、大量に出るのは結膜炎のことが多いです。
5.耳の中にも細菌たちが住んでいて、外来の細菌などの微生物を排除してくれますし、耳の中の粘膜は、鼓膜の中央からできて、耳の中を移動して外耳道の粘膜となり耳の出口で、垢(あか)となって排泄されます。耳あかも一部は細菌です。耳の粘膜の移動と、顎(あご)を動かすと、外耳道(耳の通り道)も上下に動き、協調して耳あかを外へ出してくれますから、耳あかの掃除はしなくても、自然に出てきますから、しなくてよいのです。耳あかがつまるのは外耳の病気です。人と同じ耳の構造をもつ猿たちは耳掃除をしません。
 耳あかには、乾燥したものと湿ったものがありますが、遺伝によります。
6.尿道にも、皮膚と粘膜の防御システムがあり、普通は細菌が入って来ても、尿によって排出され、微生物の定着や繁殖を阻止し、膀胱へたどり着くのを阻止しています。でも、その働きが低下した時に(免疫が低下した時、つまりストレスなどで起きる)、特に乳幼児と女性に膀胱炎が起きます。女性は尿道の長さが短い事と、出口周辺が便に汚染されやすいことが、なりやすい条件を作っています。しかし、免疫の働きが低下しなければ、なることはありませんし、誰でもなる訳ではなく、70歳までにおよそ20%の女性がなると言われています。なりやすいタイプの人が、免疫が低下した時に(ストレスなどで)なるのです。
 子どもは、特に尿道も短く、防御の働きも出来上がっていないし、おむつをしていると特に、男女共に膀胱炎は多いのですが、子どもと高齢者は症状を訴えません。そこで、無症候性細菌尿と言います。おむつをしている子の15%位いると言います。
 男の子は、包皮という皮膚の皮をかぶり、亀頭(ペニスの先端)が外に出ていないのでおしっこをすると、おしっこは膀胱の出口で止めるので、そこから先の尿道の中には残っていますから、それが包皮の下にたまったり、ちょろちょろ外へ出てしまいます。包皮の下にたまり、そこに住む細菌によって亀頭包皮炎を起し、うみがたまっておちんちんの先が赤くはれて来ます。尿道口が出るくらいに包皮がむけていれば、ならないのですが、むけていない場合には、お風呂に入った時に少しずつむくことと、自分でできる5~6歳になったら、おしっこをする時に、包皮をむいて尿道口を出して排尿させ、終わったら尿道に残っている尿を、おちんちんを振っておしっこを振り切ることを教えます。
7.肛門も、内側は直腸で腸内細菌たちがいて、防御してくれます。出血も粘膜ですから少量のものは、口の中と同じように、すぐ止まります。
8.膣の中は、口の中と同じように、常に粘液が出ていて、常在細菌や微生物もいて、外来の微生物を排除してくれますが、その仕組みが出来上がっていない子どもでは、しばしば膣炎やその周辺の粘膜や(膣前庭炎)皮膚の炎症を起こします。下着が汚れたり、排尿時に痛がったり、かゆがったりします。
9.胃は1日2~3Lの胃液を出し、胃液は強酸性(空腹時のph1~3から、食事後の5~6と変動)ですから、それを突破して生き延びられるのは僅かで、大部分の微生物は胃酸で死んでしまい、通過できません。かぜのウイルスも、インフルエンザウイルスも5歳以下の子どもでは通過できますから下痢をしますが、8歳以上では下痢をしません。通過できるのは、胃腸専門の腸管ウイルスです。ピロリ菌は胃内の常在菌ではないかとも言われています。それがストレスなどで人の抵抗力が落ちた時に、悪い働きをするのではないかとの考えもあります。胃潰瘍や胃がんがピロリ菌だけのせいで、なるとは思われません。ピロリ菌がいても、胃潰瘍が起きていない人もいますから。
10.胃を通過しても、小腸上部では強いアルカリ性の消化液があり、防御しています。しかも腸内には、多くの細菌が住み着いており、外来の細菌などの微生物を排除しようとします。小腸上部には、少なくとも腸内容1g当り1万以下ですが、小腸下部では10万から1千万、回腸下部でも1千万になります。
11.大腸では腸内容1g 当り数千億(3千億から5千億)、その種類は100種類以上という。これらが、大腸内の細菌や微生物の繁殖を排除してくれています。
 出生直後の赤ちゃんの大腸には、菌はいないが、すべての赤ちゃんは48時間以内に、人の常在菌である大腸菌が住み着きます。大腸菌は人にとって大切な菌です。しかし、時々病原性大腸菌も、腸内での自然の遺伝子組み換えと言われていますが、存在し、体調の悪い時に発病します。
便の3分の1は、細菌で、大部分は嫌気性菌なので、外へ出て酸素にさらされると死んでしまいます。
12.これらの常在微生物、つまり人の体に常在し、人と共存、共棲している常在細菌や、ウイルス、かびなどの微生物は、年齢によっても変化するし、家族ごとによっても変化します。普通、同じ家族は、同じ菌をもっています。人は成長し、結婚すると相手と常在細菌が混合して変化し、平衡状態になり、落ち着きます。そして子どもたちは親と同じになります。複数のセックスパートナーを持っていると、また変化します。しかし、同じ家族でも、年をとり高齢になるとまた変化していきます。
13.最近話題になってきた、インフルエンザb型桿菌(ヒブ)、肺炎球菌も、溶連菌も常在菌の一種ですから、それに対応してワクチンを接種することに疑問があります。抵抗力が落ちた時に悪さをするので、健康に生活している人には、病気を起こしません。
14.インフルエンザウイルスや胃腸炎を起こすノロウイルスは、常在菌ではありませんが、自己保存のため、自己規制ウイルスと言われていて、ある程度繁殖すると繁殖を止めてしまいますから、かかった人を死なせず、それで次から次へと感染して、繁栄するので流行するのです。そして毎年少しずつ変化して、人の抗体をかわしていくのです。
15.帯状疱疹も水痘ヘルペスウイルスが、水痘に感染後住み着いて起こす病気ですし、口唇や外陰部のヘルペスも同じです。
16.子宮頚がんを起こすパピローマウイルスは、いぼを起こすウイルスの仲間で、接触(性行為)によって感染し、しばらく常在します。自然治癒率の高いウイルスですので、ワクチンをしても、意味が無い事もあるし、ワクチンを接種しても子宮頚がんを発病することが少なくなく、子宮頚がん検診を欠かせないのです。
                         文責 黒部信一
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