1.放射線の危険とは何か
(1)低線量の放射線被曝の影響はー放射線の危険性ー
2)被ばくした人の子孫への影響ー遺伝的影響
私は、今まで広島長崎で被ばくした友人とつきあってきましたし、被ばく二世たちとも小児科医としてつきあって来ました。もちろん直接被曝した人は、当然あり得ることですが、被ばく二世でも発がん率が普通の人より高いのです。そしてそれは、私が関わっている チェルノブイリ子ども基金の中でも、やはり同じでした。詳細は、今発売中の女性セブン5月26日号に子ども基金の設立者広河隆一さんが書いています。また「暴走する原発」小学館5月22日発売、にも載るはずです。子ども基金は、当時被ばくした子どもの支援をしていました。しかし、今その子どもたちは大人になり、子どもを産むようになりました。そしたら、その子どもたちから、病気が出ているのです。もちろん、低汚染度や中汚染度の地域に子どもたちが住んでいます。その影響もありますが、汚染されていない土地に移住した人の子どもたちからも病気が出ています。写真になるのは、がん(特に甲状腺がん)や白血病ですが、それ以外の異常が見られ、近年私たちが支援している病院の医師たちから、以前より骨の異常が増えていると言われています。前にも言いましたが、19歳以下の人たちと妊娠する可能性のある女性は、少しでも放射能汚染されている所から逃げ出しましょう。
遺伝子の突然変異で、微量でも蓄積されて、確率的に出るのは、体細胞と同じ。普通でも、生殖細胞1個に起きる塩基の置換(複製の際の間違いなどによる)は600万か所にのぼり、子孫に伝えられる。だから生殖細胞における3か所くらいの間違いは、自然の間違いの中に埋もれてしまう。ヒトの卵母細胞は出生時200万個、次第に減少し、45歳で3万4千個で、思春期以後、毎月成熟して卵子となり排卵する。精子は1回の射精で5億個あり、そのり半数は欠陥を持つが、生存競争と共に、何らかの監視機構が働いて、欠陥の無い1個の精子が受精する。普通は正常の精子が受精するが、欠陥のある精子が受精すると流死産することが多い。卵子にも監視機構が働いている。そして間違って生まれても、新生児期、乳児期に死亡する。監視機構はまだ判っていないが、その存在が推定され、その働きがうまくいかないのは環境因子によると考えられる。
遺伝子は環境条件に左右される。ある種の環境でなら、ある形で発言する。遺伝子は、特定性(発達や環境にさゆうされない)と可塑性(環境の変化に適応する能力)を持つ。遺伝子と環境は相互に影響し合う。つづく