ここ何年か和田山なんとか医師会から来てもらっている。
朝８時にどワーッと看護師さんとかレントゲン車などが
やってくるのでこちらとしてはいっぺんで済むので非常に楽だ。
しかし面倒なのが便を採取しなくてはならない事だ。
うかうかしているとつい忘れそうになる。
実際二人ほど忘れた奴がいたようだ。
むかし小学校の時に小さいビニール袋に便をつめて
持って行った記憶がある。しかしそれはたぶん寄生虫を
調べていたのではないだろうか。
今は大腸がんを調べるのだそうだ。たしか去年もやった。
まずトイレットペーパーを丸めて落としその上に標的が書いてある紙を広げる。
すかさず用をたす。
採取用のカプセルの蓋をひねり外し蓋に付いた棒で便をかき回し
またもとのカプセルに戻して完了だ。
蓋についた棒は化粧品のマスカラをイメージしたらよい。
この一連の動作を素早くしないと我が大便は水洗トイレに沈んでしまうのである。
我が家のトイレが水洗になったのはいつだったのだろうか。
記憶はあいまいだ。
小学校の頃は確かぽっとん便所だった。いわゆる垂直落下貯蔵型汲み取り方式
であった。もう４０年も前の話だ。
私が小学校のころ学校のトイレで大便をするのはこの上ない恥とされていた。
何故かと聞かれてもその明確な理由はわからない。
だがらできるだけ家に帰るまで我慢するのである。
家まで帰るのに約４０分。早い段階から便意を催していたらもう大変だ。
我慢の限界である。
なんとかこらえて便所にしゃがむ午後３時過ぎ。
苦しみから解放されふと下を見る。
汲み取り用の蓋の隙間から西日が差し込みクソタンクの表面が
黄金色にキラキラ輝いていたような記憶がある。
よく見ると便採取用のカプセルは２個あった。
そうだった。確か去年もうっかりしていたが二日に分けて採るのだった。
健康診断の当日の朝だったのでもうしかたがないのであった。
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