言の葉ひらひら - Wordy Leaves Dancing

「はじめに言葉があった」
"In the beginning was the Word."

受け継がれた空洞

2006-02-20 | 詩の葉
今日、はちことぼぼるの日記の「人のかたちをした空洞」を読んでいて、9年程前に書いた詩を思い出しました。(うーん、今読むと詩っていうよりも、果てしなく独り言に近いものがあるけど・・・)やはり、この2つの空洞は、遠い昔から現在に至るまで人間の心の中に受け継がれてきたものなのでしょうか。


受け継がれた空洞 I

人はどうして一人では 
淋しいようにできているのでしょうか
神様を独り占めにし、
何一つ欠けた物の無かったはずの
エデンの園で
何故 アダムは淋しく感じたのでしょうか
何かが どうしても欠けている、と
そう彼が感じた心の空洞が
私達の中にも 
受け継がれている気がします


受け継がれた空洞 II                         

人には どんなに大勢の人間といても
どんなに愛する人といても
ふと、 どこかで寂しさを 感じる事があります
魂は内なる神との交わりを求めて
一人さまようのです
愛する女性を失うことにより、
胸の内のあの場所が
再び空になる事を恐れたアダムは
代わりにもっと大きな空洞を 
心に生じさせてしまいました
また顔と顔を合わせ
神と共に交わりたい、という願いが
私達の心を天へと向かわせるため、
神を切に求める
言い様の無い彼の心の空洞が
私達の中にも 
受け継がれている気がします


数学者でありクリスチャンだったパスカルは、2つの空洞についてこう述べています。
「精神は自然に信じ、意志は自然に愛する。したがって、
両者とも真の対象がなければ、誤った対象に執着せざるをえない。」(パンセ81)

それから有名なクリスチャン作家の三浦綾子さんはこんな歌を詠んでおられます。
「夫といて なおも淋しきこの夕べ 聖句幾つか胸に浮かび来」
彼女自身はその歌をこう解説しています。
「その寂しさとは、言ってみれば宗教的な魂の飢えといおうか、人間本来の孤独といおうか、・・・これは人と人との間における問題ではなく、創造主なる神と、人間との間からくる淋しさといえるかも知れない。 そして、この淋しさを知ることが、人間には重要なのだと思う。」これは神のかたちの空洞ですね。

また、武者小路実篤は著書の「人生論・愛について」の「小さい寂しさ」という短い珠玉の章でこう語っています。
「何かに飢えている。それもごく静かに淡い。何かを求めている、その求めているものは自分にもわからない。・・・しかしこの寂しさは人を真面目にする。しんみりさせる。正直に何かを求めさせる。謙遜にしてくれる。だから僕はそう言う寂しさを、清いものとして愛するのである。馬鹿にしたくないと思っている。清い憧れである。」寂しさを見つめて愛しむことを学びたいものです。

ちょうど今週末、クリスチャンの友人と「人はどんな時に神を求めるのか」ということを語り合っていました。彼女は「何か悩みがあるとか、自分の中に何か欠けているものを感じて、神を求めるようになるのではないか。」と言い、私は「でも、問題や足りないものがなくても、神を求めるべき。」と言ってから愕然としました。そういう自分も、「困った時の神頼み」的信仰生活ばかり送ってきたから。それじゃあんまり自分勝手な気もするけど、だからといって渇いている時に神を求めることを躊躇する必要は何もないですよね。いや、渇いている時こそ神様を求めることを主は望まれている。エデンの園から天国への帰路の途中にいる私達にはきっと、2つの空洞も神と人とのつながりの有難さをより深く知るための恵みなんですね。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (めぐんちゃん)
2006-02-21 02:34:27
お、リンクしてくれたんだ。ありがとう!私も早く部ログロールできるように頑張るよ・・・。
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勝手にリンクしちゃって (kuriks)
2006-02-21 02:38:42
ごめん!でも、書いているうちに、Meglogに書いてあったこと思い出して、「(内容が)リンクしてるじゃん!」てなったからさ。ありがとう!
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「人のかたちをした空洞」について (大沢俊成)
2006-03-16 09:45:25
「人のかたちをした空洞」は、パスカルのパンセの何節にあるのでしょうか?教えてください。
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神のかたちをした空洞 (kuriks)
2006-03-30 10:30:39
「人のかたちをした空洞」という言葉はパンセにありませんでしたが、「神のかたちをした空洞」ならありました。



"There is a God-shaped vacuum in the heart of every man which cannot be satisfied by any created thing but only by God, the Creator, made known through Jesus Christ." (4, p. 8)

http://www.asa3.org/ASA/PSCF/1964/JASA12-64Neidhardt.html



「人間の心の中には神以外には満たすことのできない空洞がある。」http://shinrinomachi.at.infoseek.co.jp/message29.html
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