goo blog サービス終了のお知らせ 

言の葉ひらひら - Wordy Leaves Dancing

「はじめに言葉があった」
"In the beginning was the Word."

サラリーマン川柳に垣間見る現代日本社会と日本的愛の変化球

2011-03-01 | 教の葉
(またまた長ったらしい論文風のお題で、ごめんなさい。趣味です。)

さてさて皆さん、今年もサラリーマン川柳の締切りが近づいて参りましたよ!(第一生命の回し者ではありません。)私がミシガンに住んでいた頃は、お世話になっていた日本人家族がよくサラリーマン川柳をお食事会などで皆さんに紹介されていたので、ある程度は親しんでいたのですが、それから数年間ご無沙汰しておりました。で、ただいま日本語と日本文化をアメリカ育ちの日本人・日系人の子ども達に伝えるべく奮闘中ですので、「おお!そういえばサラリーマン川柳というものがあったなぁ!」と思い出したのであります。授業のネタに使おうと、早速リサーチ。さぁ、どれだけ浦島花子になっておりますことやら・・・

などと、思いつつこちらを見てみたのですが、インターネットのおかげか、あまり取り残され感はありませんでしたよ。(ホッ)で、ついつい一気に過去二十年分ほど読んじゃったのですが(ベスト10だけね)、過去二十年の日本社会を少~し垣間見た気持ちになりました。さて、サラリーマン川柳って、だいたい次の5つのパターンに分けられると思うんですが、

その1:残念な配偶者・家族に呆れる類い
その2:残念な会社の人間・システムに呆れる類い
その3:残念な政治・世相に呆れる類い
その4:残念な自分を自嘲する類い
その5:残念な体型を笑う類い

これらの思わず膝打つ「残念!」な本音をペーソスとユーモアで味付けて、五七五に仕立てたものを、「サラリーマン川柳」と呼べばよろしいでしょうか。しかし、どれを授業で使うか結構迷いましたね~。「それじゃあ、お父さん可哀想じゃない?」「それは奥さんにあんまりじゃありませんか!」「この国、ホントに大丈夫か?」と言いたくなってしまう句、絶対多数!これでは、日本を誇りに思ってもらうことなど出来ないわ!と先生は激しく(?)悩み、(サラリーマン川柳で日本を誇りに思うこと自体に無理があるとは思われますが、それは置いといて)お父さんもお母さんも子どもも日本も殆ど傷つかない「良い子のサラリーマン川柳」ってことで、下記の十句を選んでみました。

1.やせたのは 一緒に歩いた犬の方(→説明不要)
2.コスト下げ やる気も一緒に 下げられる(→説明必要)
3.まだ寝てる 帰ってみれば もう寝てる(→説明必要)
4.「前向きで」 駐車場にも 励まされ (→説明必要)
5.太るなら おいしいもので 太りたい(→説明不要)
6.カーナビを 使える頃には 道覚え(→説明必要)
7.入歯見て 目もはずしてと せがむ孫(→説明不要)
8.目で言うな 言いたいことは 口で言え(→説明不要)
9.うわさの木 根も葉もないのに 良く育つ(→説明必要)
10.まじっスカ スカがついてて ていねい語(→説明必要)

というわけで、ほとんど説明が必要だったのですが(笑)、それは想定内。でも、少しは日本語と現代日本社会の勉強にはなったかと。私的には最後の「まじっスカ スカがついてて ていねい語」がヒットでしたね。ていねい語の説明もできたし。はい、間違えても「~っスカ」がていねい語とは教えてませんから!これは、「~ですか」という正しいていねい語の若者ことば的変形型だ、と。「まじ」は知ってましたけどね。でも、知らなかった「~っスカ」を教えちゃったってことは、逆に教育的ではないような・・・まぁ、言葉はナマモノですから!(←苦しい時の言い逃れはいつもコレ!?)そう、「言葉は教科書にあるだけじゃねぇ!現場で変わってんだ!」ってやつですよ。(古いか)

それから放課後、選ばれなかった「良い子の、じゃないサラリーマン川柳」を見直していたら、ある言葉を思い出しました。「実は、女は好きな男に呆れたがっている。」(誰だったかな?多分、紫門ふみあたり)これは読んだ当時、結構目からウロコだったんですが、作者曰く「堂々と呆れることができるのは、事実をあからさまに言えない他人ではなく、愛情を受けている者の特権」ということなんですね。つまり、「呆れる」とは「愛の変化球」なんですと。わかります?「恋女房 いつか知らずに 肥え女房」なんて、自分の旦那に言われるなら笑えますが(旦那いないけどね)、よう知らん男に言われたら腹立ちますからね!でも、親しい仲にも礼儀あり。「『残念!』と 俺の給料 妻が斬り」なんか、腹立つでしょうね、妻なら余計に・・・言ったことないですけどね、妻じゃないから(笑)「赤い糸 やがて夫婦は コードレス」なんて上手いけど哀しすぎる(涙)。サラリーマン川柳さん、少しは結婚に夢見させてくださいね。・・・なんて無理、サラ川なんかじゃ、夢見れない。(と、なぜか突然に一句)

話がビミョーに外れていっておりますが、「残念!」と斬られてもOKなのは、愛あればこそ、そして関係あればこそ、なんじゃないでしょうか?他人や他国に同じこと言われたら、もうオシマイですから。「なんでアンタに言われなきゃいけないっつーの!」って怒っちゃいますから。身内だから言われても我慢できるし、受け止められるのではないかと。しかし、この類いの「愛の変化球」は非常に日本的だと思われます。日本人の間で、「うちの主人ったらね・・・」「本当にうちの子ったら・・・」で始まる呆れ話の多さといったら!しかし、これも愛だと思えば納得です。でも、アメリカ人は「サラリーマン川柳」なんか真にうけちゃって、楽しく読めないことでしょう。(こちらに長い私にも楽しく読めないとこありましたけど。)アメリカ人は身内や自分を堂々とけなしたり呆れたりしませんし、「愚妻ですが・・・」とか「たいしたもんじゃありませんが・・・」なんて前置きを使いません。褒めてナンボ、の世界ですもん。耳心地良い世界ではありますが、(なにか裏があるのでは?)と思ってしまうのは、日本人的サガなのかもしれません。逆に、たまにはスパーンと斬られるのもいいかな、なんて。(愛があればね。) 

ここでふと、リンクしました!最近、聖書のエゼキエル書を読んでいたら、イスラエル人の斬られっぷりが哀しくて、「神様、そこまで言うの?ヒドいわぁ!」って落ち込みモードだったんですけど(影響されすぎ)、これも愛あればこそ、関係あればこそなんだ!そうか!そうか!(一人で納得)「なんか、無理やりキリスト教的オチにしてないか?」って思われる方もいるかもしれませんが、今フト、そっちに繋がっちゃったので。とにかく、そんな風(↑)に思っちゃったかもしれないアナタの「愛の斬り」も、受けて立ちます!・・・お後がよろしいようで。

最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (エリカです)
2011-04-03 12:37:16
くりちゃん、一人で大うけに受けています。おもしろいですね。
返信する
Unknown (Kuriks)
2011-09-27 13:22:29
エリカさんには、判って頂けると思っていましたよ!この日本的愛の変化球と、アメリカ的愛の直球の違いをね。(笑)エリカさんは、超甘直球から絶妙変化球まで、はば広~く受け止めていますからっ。
返信する
Unknown (Kén )
2013-06-05 23:37:40
I enjoyed this :D
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。