ありがとう。

笑い話になることを心の片隅で信じていましたが
そうそう簡単に奇跡は起こるはずもなく
朝起きると、わんこは息をしていませんでした。

昨日は冷たい雨。
それまでは力弱くでもキャンキャンと吠えていたのですが、
昨日は午前中に一度吠えたきり。
ずっと寝ていました。
寝ているといっても、酸素吸入を始めてからは瞳は閉じることが無く
ずっと開いたまま。
どこか遠くを見ているような、そんな角度に首を伸ばして
静かに小さく呼吸していました。
午前0時前に掛けている布団をめくると
シーツの上には大量の粗相をしていました。
それまでは、ほんの少しシーツが濡れていても吠え立てていたわんこなのに
もう、意識も薄らいでいたのでしょう。
もしかしたら。

そうして、今朝。
小さく静かな呼吸が止んでいました。
昨日と同じ姿勢。
瞳も開いたまま。
また大量に粗相していたので、ゆっくり丁寧に綺麗にしてあげました。
まだ体は暖かかった。

獣医さんからあらかじめ、亡くなったら連れてきてくださいと言われていたので
午前中、病院へ連れていきました。
綺麗にしてもらい、ずっと開いていた瞳も閉じていただきました。
「立派な老衰です。100点満点の大往生。よく頑張りました」
と言っていただきました。
認知症になってから、オロオロする私をいつも励まして下さった先生。
わんこを支えて下さっただけではなく、
介護する私のこともいつも気遣ってもらいました。
ありがとうございました。

いろいろなことを感じ、思いました。
特に酸素吸入を始めた、この一週間。
生きること、亡くなること、支えること。
実はこの一週間、何度か呼吸が止まったことがありました。
あ～亡くなったんだ、と思わず体をさすりながら「くんちゃん・・」と声をかけたら
ふぅぅぅぅ～、と息を吹き返すのです。
あぁやっぱり、また笑い話になるんだな、と思ったり。
でも、確実に次の扉は近づいていて・・・
やれることをやってあげられたのかな。
もっと優しくできたかもしれない。
でも、できない時もあったよね。
ごめんね。

子犬のあなたは、本当に可愛かった。
美人で有名なわんこだったよね。
大人しくて、みんなに可愛がってもらえたね。
幸せだったかな。
そうだったらいいな。
私はとっても幸せだったよ。
家族みんながそう思ってるよ。
明日はお嫁に行ったお姉ちゃんも帰ってくるから
みんなでくんちゃんの旅立ちを見送るね。
仲良しだったわんこもたくさん待っていてくれるから、
きっと寂しくないはず。
今までありがとう。
うちに来てくれて、本当にありがとう。