ハワードという男性が、父親の事件の再捜査を依頼してきた。彼は母親に「父親は酒乱で、家族を捨てたのだ」と聞かされてきたのに、本当は殺害されていたという事実を知り、自殺未遂を図ったのだった。
リリーはハワードの意志を受けて調べ始めるが、50年前のことなので、当時の関係者は亡くなったりしていた。ハワードの父エリオットは車に「次はお前だ」と落書きされ、その傍で撲殺されていたのだった。彼は黒人差別に反対して公民権運動に参加していたので、その関係者が犯人かと見られたが、ハワードには兄のディーンによるとエリオットは共産主義者だったのだという。
エリオットは赤狩りのせいで職を失い、様々なことで追い詰められ、エリオットが信念を守ろうとするほどに家族もどん底に追いやられていった。母ケイはそんなつらい暮らしを忘れさせたくて、ハワードに嘘をついたのだった。
ケイは、当時エリオットが家族を苦しませてまで守りたかったリストの中に、エリオットの恋人ではないかと思っていたレイナがいたことを忘れられずにいた・・・・
リリーの妹のクリスティーナが突然フィラデルフィアに戻ってきた。リリーはなぜか冷たく突き放し、「面倒は見ない」と家にも入れようとしない。
そんなクリスティーナにスコッティが興味を示すが、クリスティーナの何も変わっていない様子をリリーは苦々しく思い、スコッティに「近づかない方がいい」と忠告する・・・
---------------------------------------------------------------
ハリウッドが赤狩りを描く時にはどうしても恨み骨髄になりがち。委員会に目をつけられた主人公を権力と闘うヒーローにしてみたり、権力者側を憎々しげな悪役にしてみたり。
しかし今回は、結局は恋愛絵巻のもつれが犯罪の動機だったし、共産主義でヒロイズムに燃える活動家が実は口先だけの卑怯者だったり。民衆はメディアに扇動されてか、ローゼンバーグの処刑に快哉を叫んでいたり・・・それを「当時は嫌われてたから」の一言であっさり片付けてしまう。
変に思想的な義憤をストーリーに持ち込んだりせず、「憎むべきは殺人」という視点が揺らがないから、このチームはいい。公民権運動の話が出てきても、ジェフリーズがアツくなったりしないし。
なんだかんだいって、一番殺人に至る衝動は時代性関係なく「愛憎のもつれ」なんだよなーというオチが毎回納得できる感じだ。
ハーランドは共産主義の活動のために公民権運動を利用していて、しかもなんだかんだとアジることはするけれど、いざ行動にうつすとなると「そんなの意味ないよ」と口先ばかり。
エリオットとディーンがリブルにいびられていても、見て見ぬふりをしていた卑怯者だった。
それに対してエリオットが「本物」だとレイナが言うのは、皮膚感覚で「おかしい」と思って素直に行動に移すあたりだろうか。自分の名誉とかそんなのは関係なく、数時間しか一緒にいなかった生徒のために「おかしい」と口に出す心の美しさのようなところがエリオットにはあった。いい人だなと思った。
しかし、ディーンにとっては父の信念がどれほど自分の人生を狂わせたか。恋人は逃げ、野球もイーグルスカウトも、自分のすべてが父の共産主義のせいで失われていくのだから、恨まずにはいられなかっただろう。
それがレッドパージの権力側の狙いで、家族や友人たちに追い詰めさせるのが手だったわけだ。どうせならハーランドのほうを追い詰めればよかったのに。
エリオットがリストのメンツを告発すれば、レイナは捕まって強制送還。告発しなかったらエリオットはレイナにとって英雄になってしまう。ハーランドにとってはどっちも耐えられないことだったわけだ。
それでも今回、ハーランドにとって「殺すほどのことか?」っていう追い詰め度合いが足りなかった感じに見えたのは、この時代性を肌で感じて理解できてないせい、なのかな。
エリオットが告発しても地獄、しなくても地獄の狭間で揺れるのはわかるが、ハーランドとエリオットとレイナの三角関係がそれほど煮詰まって見えなかった感じで。気がついたら憑き物落としタイムに突入していたからなぁ。
あと30分くらい足して、映画版でじっくり描いて欲しかったような、そんな話だった感じだ。
さて、やっとクリスティーナ登場。いきなりスコッティがナンパしてるし。
9年前の「水に流せないこと」とは、一体何があったんだろうか。「バイクの彼」がらみ?
リリーがただ冷たいだけじゃなくて、表情で本当は心配していたり、憎みきれない気持ちで苦しんでいるのが感じられた。お姉ちゃんはつらいね。
【 ト リ ビ ア 】
★ 非米活動委員会
第二次大戦後の米ソ冷戦がもたらした共産主義への恐怖心から、ジョゼフ・マッカーシー上院議員の提唱により、1940年代後半から国内の共産主義者を抑圧・排除する活動を行ったものが「非米活動委員会」。ジェフリーズの台詞に出てきていたもので、エリオットに出されていた召喚状はその委員会に呼ばれたということ。それらの共産主義抑圧の動きをマッカーシー上院議員の名前から「マッカーシイズム」と呼び、「赤狩り」「レッドパージ」が公然と行われた暗黒時代とされている。
特にハリウッドには激しい「レッド・パージ」の嵐が吹き荒れた。アクターズ・スタジオ創設者で「エデンの東」の監督エリア・カザンは元共産党員だったために嫌疑がかけられ、彼は委員会で「リスト」を告発して自らの疑いを晴らした。そのために仲間を売ったという汚名を着ることになり、後にアカデミー名誉賞を授賞した時にブーイングを浴びることになる。リストを告発しても地獄、黙っていても地獄という時代だったのだ。
この時代を題材にした映画はロバート・デニーロ主演の「真実の瞬間」。非米活動委員会に喚問され「リスト」を白状するように請われるが、拒否したためにハリウッドでの活動ができなくなるというもの。

最近ではジョージ・クルーニー監督作品で、54年の放送界における赤狩りを描いた「グッドナイト&グッドラック」がある。
★ ローゼンバーグ夫妻の処刑
ユダヤ系アメリカ人のローゼンバーグ夫妻は、原爆製造の知識をソ連に渡したというスパイ容疑をかけられ、無罪を主張したものの、妻のエセルの弟グリーングラスの自白(2001年になって偽証を告白している)を元に有罪とされ1953年6月19日(エリオット殺害と同じ日)に処刑された。
マッカーシーの失脚に伴いレッドパージへの反省と糾弾から、長く夫妻の冤罪が叫ばれていた。しかしその後1995年に疑惑の出所だったベノナ作戦文書が機密解除されたため、夫妻は本当にスパイであったことが判明している。
★ American Bandstand
冒頭、黒人少年転校生のロバートの父親がバンドマンだとわかると、生徒たちが目の色を変えて、少女が「アメリカン・バンドスタンドに出てる?」と聞く。
「アメリカン・バンドスタンド」は、1952~1989年まで続いた伝説の音楽番組。フィラデルフィアでDJをしていたディック・クラークが長くホストをしていたが、53年はまだ彼の時代ではない。

【 脇俳優チェック 】
◆リリーの妹クリスティーナ .... Nicki Aycox
「CSI:2」10話「いとしきエリー 我が娘 」で、ブラス警部の離婚した妻についていって疎遠になった娘エリー役を演じていたのが彼女。
「アリーmyラブ3」3話「心が風邪をひいたら」では、ロマン小説の影響で恋に恋してしまった同級生の男子カービー・ギャリンにいきなりキスされたので、カービーを停学に追い込んでしまった女子高生キンバリー役で登場していた。キンバリーは学校の人気者だったので、サエない男子にキスされたらコケンにかかわるので大騒ぎしたのだった。
アリーと同時期の撮影の「プロビデンス」では、第1シーズン11話~17話にリリー・ギャラガー役で出演している。リリーは親を亡くし里親からも追い出された、身寄りのない不幸な高校生だったためにシドニー(「CSI:NY」のステラの Melina Kanakaredes)が引き取るが、事故によって命を落としてしまう。
「エド~人生のスプリット」第3~4シーズンではステラ役、「LAX」の第1シーズン10~12話にはクリスティン役など、テレビドラマで「ちょっとすねた女の子」で印象的なゲスト出演が多い。
◆共産主義活動家ハーランド・シーリー .... Orson Bean
「アリーmyラブ3」12話「面影のダンス」で、リンの親友で老人ホームで暮らすマーティ役を演じていた。彼はドラゴンやモンスターが実在するという話しをホーム仲間にして好かれていたが、あまりにリアルに話すのでみんながそれを信じてしまい、ホームを追い出されようとしていた。リンはそれに対抗して訴訟を起こす。
結局敗訴してしまいリンは彼と同居しようとするが・・・。
「ドクタークイン 大西部の女医物語」では雑貨屋の主人ローレン・ブレイ役でレギュラー出演。第1シーズン2話「家族のきずな」で、シリーズ始まって早々に妻モードを失ってしまう。
映画では「サッカー・ドッグ ヨーロッパ選手権」で市長役。「マルコヴィッチの穴」では主人公クレイグの勤めるレスター社社長のドクターレスター役。
50年代からテレビや映画、舞台で幅広く活躍してきたベテラン俳優。「The Tonight Show」には200回以上ゲスト出演し、クイズ番組「To Tell the Truth」では7年間パネラーをつとめるなど、マルチタレントぶりを発揮している。
書籍も↓この「25 Ways to Cook a Mouse for the Gourmet Cat」をはじめ3冊出版するなど多才だ。しかし「グルメ猫がネズミを料理する25の方法」って・・・どういう本だろう。お料理本ではないだろうけど。

◆黒人活動家コープリーの娘クレア .... Patricia Forte
会合でクッキーを配っていた少女の成長版。リリーたちにエリオットの記憶を語った女性。
「CSI:マイアミ」第1シーズン12話「目覚めた男」で、ドイツ人観光客が襲われた強盗殺害事件の容疑者として挙がったマルコム少年の祖母役で登場していた。マルコムとブライアンの兄弟を祖母が育てていたが、生活苦から兄弟は悪に手を染めてしまう。
◆エリオットの妻ケイ現在版 .... Ellen Geer
「CSI:2」20話「猫屋敷の老婆」で、タイトルどおりの「猫屋敷」状態で孤独に暮らしていた80歳の老婆ルース・エリオット役で登場。猫を家族のように愛していたために一匹として手放せず、譲って欲しいといわれて断ったために殺されてしまった。
他に「コッチおじさん」「おかしな二人2」など。
彼女の父Will Geerは「ダラスの熱い日」「刑事コロンボ/溶ける糸」(被害者の心臓外科医ハイデマン役)など多数の出演作のあるベテラン俳優。彼は50年代にマッカーシーイズムの流れで共産主義者の疑いをかけられるが、非米活動委員会での証言を拒否したために、当時ハリウッドでの活動の道が絶たれるという悲哀を味わっている。その間Ellenの母の女優Herta Ware(「コクーン」「2010」など)が生活を支えたという、今回のエピソードを実体験しているのだった。
◆共産主義活動家レイナ53年版 .... Iva Hasperger
「CSI:3」11話「殺しのレシピ」でベッドの上で手首を切って亡くなっていたリンダ・デーモン役。自殺が疑われたが、彼女は精神疾患で感情の起伏が激しく、服用すべき薬を飲まずに暴れて同じアパートに住む人たちに危害を与え、疎んじられていた。同棲中の恋人に疑いがかかるが、犯人は意外な人物だった・・・。
◆エリオットの次男ハワード現在版 .... Randy Oglesby
「スタートレック エンタープライズ」ではデグラ役。
「ボストン・パブリック」の第1シーズン12~13話では、ミルトンと交際している生徒リサの父グリアー役で登場している。このエピは「ザ・プラクティス」とのクロスオーバーエピなのだが、「ザ・プラクティス」にはこのエピの前後に医師役、判事役と別々の顔で登場している。
◆嫌がらせ警官ウェイド・リブル .... Bob Papenbrook
声優としての活動が多く、ゲームやジャパニメーションの吹き替え作品がとても多い。
ゲーム「バイオハザード アウトブレイク2」のデヴィッド・キング役や、アメリカ版「真・三国無双」シリーズの張飛の声、「戦国無双」シリーズでは石川五右衛門の声、「パワーレンジャー」シリーズのデビオット役、アニメ「十二国記」では塙王の声などを担当している。
ところが「真・三国無双4」のアメリカ版を最後に、今年5月に亡くなられたらしい。享年51歳。
◆殺された元教師エリオット・ガーベイ .... Josh Randall
元事務官エドワード・マティス
「ジョーイ」6話「ジョーイの皿はデカい!?」で、ジョーイの姉ジーナがジョーイに隠れて付き合ってた恋人ロジャー役。ジョーイがジーナのベッドを借りて寝ていたら間違って寝込みを襲われてしまった。
「エド ~人生のスプリット」では主人公エドの親友マイク・バートン役でレギュラー。
「LOST2」7話にネイサン役、「コールドケース2」8話に登場予定。
◆ハーランド・シーリー53年版 .... Johnny Sneed
「CSI:NY」第1シーズン3話「アメリカン・ドリーマーズ」で、観光バスに乗せられていた骸骨のニュースによって、両親が遺体は息子ではないかと名乗り出た失踪者アーロン役。少年センターのボランティアとして身を隠していたが、捜査によって発見されてしまう。
「堕ちた弁護士 -ニック・フォーリン」で、ニックが憎からず思うルルの夫で医者のブライアン・オルソン役。
「フレンズ 9」19話「シュガー・ハイ・ジャーニー」では、モニカのレストランの客で料理には満足したものの、外で歌っているフィービーの歌がうるさいとクレームをつける役。
「CSI:5」20話に登場予定。
◆エリオットの学校の校長 .... David Grant Wright
オフィシャルサイトあり。「FBI~失踪者を追え」第1シーズン13話「親の執念」で、チェット・コリンズの元妻でアジア系のヘレンが再婚を考えている彼氏アレックス・サンボーン役で登場していた。
むかしTBSとBS-iで放送していたSilk Stalkings(邦題「絹の疑惑~シルク・ストーキング 」)にレギュラーゲストとして出演。でも、日本未放送分の第6~7シーズンらしい。
「ザ・ホワイトハウス6」にNASAの長官、「グレイズ・アナトミー2」18話にも登場予定。
リリーはハワードの意志を受けて調べ始めるが、50年前のことなので、当時の関係者は亡くなったりしていた。ハワードの父エリオットは車に「次はお前だ」と落書きされ、その傍で撲殺されていたのだった。彼は黒人差別に反対して公民権運動に参加していたので、その関係者が犯人かと見られたが、ハワードには兄のディーンによるとエリオットは共産主義者だったのだという。
エリオットは赤狩りのせいで職を失い、様々なことで追い詰められ、エリオットが信念を守ろうとするほどに家族もどん底に追いやられていった。母ケイはそんなつらい暮らしを忘れさせたくて、ハワードに嘘をついたのだった。
ケイは、当時エリオットが家族を苦しませてまで守りたかったリストの中に、エリオットの恋人ではないかと思っていたレイナがいたことを忘れられずにいた・・・・
リリーの妹のクリスティーナが突然フィラデルフィアに戻ってきた。リリーはなぜか冷たく突き放し、「面倒は見ない」と家にも入れようとしない。
そんなクリスティーナにスコッティが興味を示すが、クリスティーナの何も変わっていない様子をリリーは苦々しく思い、スコッティに「近づかない方がいい」と忠告する・・・
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ハリウッドが赤狩りを描く時にはどうしても恨み骨髄になりがち。委員会に目をつけられた主人公を権力と闘うヒーローにしてみたり、権力者側を憎々しげな悪役にしてみたり。
しかし今回は、結局は恋愛絵巻のもつれが犯罪の動機だったし、共産主義でヒロイズムに燃える活動家が実は口先だけの卑怯者だったり。民衆はメディアに扇動されてか、ローゼンバーグの処刑に快哉を叫んでいたり・・・それを「当時は嫌われてたから」の一言であっさり片付けてしまう。
変に思想的な義憤をストーリーに持ち込んだりせず、「憎むべきは殺人」という視点が揺らがないから、このチームはいい。公民権運動の話が出てきても、ジェフリーズがアツくなったりしないし。
なんだかんだいって、一番殺人に至る衝動は時代性関係なく「愛憎のもつれ」なんだよなーというオチが毎回納得できる感じだ。
ハーランドは共産主義の活動のために公民権運動を利用していて、しかもなんだかんだとアジることはするけれど、いざ行動にうつすとなると「そんなの意味ないよ」と口先ばかり。
エリオットとディーンがリブルにいびられていても、見て見ぬふりをしていた卑怯者だった。
それに対してエリオットが「本物」だとレイナが言うのは、皮膚感覚で「おかしい」と思って素直に行動に移すあたりだろうか。自分の名誉とかそんなのは関係なく、数時間しか一緒にいなかった生徒のために「おかしい」と口に出す心の美しさのようなところがエリオットにはあった。いい人だなと思った。
しかし、ディーンにとっては父の信念がどれほど自分の人生を狂わせたか。恋人は逃げ、野球もイーグルスカウトも、自分のすべてが父の共産主義のせいで失われていくのだから、恨まずにはいられなかっただろう。
それがレッドパージの権力側の狙いで、家族や友人たちに追い詰めさせるのが手だったわけだ。どうせならハーランドのほうを追い詰めればよかったのに。
エリオットがリストのメンツを告発すれば、レイナは捕まって強制送還。告発しなかったらエリオットはレイナにとって英雄になってしまう。ハーランドにとってはどっちも耐えられないことだったわけだ。
それでも今回、ハーランドにとって「殺すほどのことか?」っていう追い詰め度合いが足りなかった感じに見えたのは、この時代性を肌で感じて理解できてないせい、なのかな。
エリオットが告発しても地獄、しなくても地獄の狭間で揺れるのはわかるが、ハーランドとエリオットとレイナの三角関係がそれほど煮詰まって見えなかった感じで。気がついたら憑き物落としタイムに突入していたからなぁ。
あと30分くらい足して、映画版でじっくり描いて欲しかったような、そんな話だった感じだ。
さて、やっとクリスティーナ登場。いきなりスコッティがナンパしてるし。
9年前の「水に流せないこと」とは、一体何があったんだろうか。「バイクの彼」がらみ?
リリーがただ冷たいだけじゃなくて、表情で本当は心配していたり、憎みきれない気持ちで苦しんでいるのが感じられた。お姉ちゃんはつらいね。
【 ト リ ビ ア 】
★ 非米活動委員会
第二次大戦後の米ソ冷戦がもたらした共産主義への恐怖心から、ジョゼフ・マッカーシー上院議員の提唱により、1940年代後半から国内の共産主義者を抑圧・排除する活動を行ったものが「非米活動委員会」。ジェフリーズの台詞に出てきていたもので、エリオットに出されていた召喚状はその委員会に呼ばれたということ。それらの共産主義抑圧の動きをマッカーシー上院議員の名前から「マッカーシイズム」と呼び、「赤狩り」「レッドパージ」が公然と行われた暗黒時代とされている。
特にハリウッドには激しい「レッド・パージ」の嵐が吹き荒れた。アクターズ・スタジオ創設者で「エデンの東」の監督エリア・カザンは元共産党員だったために嫌疑がかけられ、彼は委員会で「リスト」を告発して自らの疑いを晴らした。そのために仲間を売ったという汚名を着ることになり、後にアカデミー名誉賞を授賞した時にブーイングを浴びることになる。リストを告発しても地獄、黙っていても地獄という時代だったのだ。
この時代を題材にした映画はロバート・デニーロ主演の「真実の瞬間」。非米活動委員会に喚問され「リスト」を白状するように請われるが、拒否したためにハリウッドでの活動ができなくなるというもの。

最近ではジョージ・クルーニー監督作品で、54年の放送界における赤狩りを描いた「グッドナイト&グッドラック」がある。
★ ローゼンバーグ夫妻の処刑
ユダヤ系アメリカ人のローゼンバーグ夫妻は、原爆製造の知識をソ連に渡したというスパイ容疑をかけられ、無罪を主張したものの、妻のエセルの弟グリーングラスの自白(2001年になって偽証を告白している)を元に有罪とされ1953年6月19日(エリオット殺害と同じ日)に処刑された。
マッカーシーの失脚に伴いレッドパージへの反省と糾弾から、長く夫妻の冤罪が叫ばれていた。しかしその後1995年に疑惑の出所だったベノナ作戦文書が機密解除されたため、夫妻は本当にスパイであったことが判明している。
★ American Bandstand
冒頭、黒人少年転校生のロバートの父親がバンドマンだとわかると、生徒たちが目の色を変えて、少女が「アメリカン・バンドスタンドに出てる?」と聞く。
「アメリカン・バンドスタンド」は、1952~1989年まで続いた伝説の音楽番組。フィラデルフィアでDJをしていたディック・クラークが長くホストをしていたが、53年はまだ彼の時代ではない。

【 脇俳優チェック 】
◆リリーの妹クリスティーナ .... Nicki Aycox
「CSI:2」10話「いとしきエリー 我が娘 」で、ブラス警部の離婚した妻についていって疎遠になった娘エリー役を演じていたのが彼女。
「アリーmyラブ3」3話「心が風邪をひいたら」では、ロマン小説の影響で恋に恋してしまった同級生の男子カービー・ギャリンにいきなりキスされたので、カービーを停学に追い込んでしまった女子高生キンバリー役で登場していた。キンバリーは学校の人気者だったので、サエない男子にキスされたらコケンにかかわるので大騒ぎしたのだった。
アリーと同時期の撮影の「プロビデンス」では、第1シーズン11話~17話にリリー・ギャラガー役で出演している。リリーは親を亡くし里親からも追い出された、身寄りのない不幸な高校生だったためにシドニー(「CSI:NY」のステラの Melina Kanakaredes)が引き取るが、事故によって命を落としてしまう。
「エド~人生のスプリット」第3~4シーズンではステラ役、「LAX」の第1シーズン10~12話にはクリスティン役など、テレビドラマで「ちょっとすねた女の子」で印象的なゲスト出演が多い。
◆共産主義活動家ハーランド・シーリー .... Orson Bean
「アリーmyラブ3」12話「面影のダンス」で、リンの親友で老人ホームで暮らすマーティ役を演じていた。彼はドラゴンやモンスターが実在するという話しをホーム仲間にして好かれていたが、あまりにリアルに話すのでみんながそれを信じてしまい、ホームを追い出されようとしていた。リンはそれに対抗して訴訟を起こす。
結局敗訴してしまいリンは彼と同居しようとするが・・・。
「ドクタークイン 大西部の女医物語」では雑貨屋の主人ローレン・ブレイ役でレギュラー出演。第1シーズン2話「家族のきずな」で、シリーズ始まって早々に妻モードを失ってしまう。
映画では「サッカー・ドッグ ヨーロッパ選手権」で市長役。「マルコヴィッチの穴」では主人公クレイグの勤めるレスター社社長のドクターレスター役。
50年代からテレビや映画、舞台で幅広く活躍してきたベテラン俳優。「The Tonight Show」には200回以上ゲスト出演し、クイズ番組「To Tell the Truth」では7年間パネラーをつとめるなど、マルチタレントぶりを発揮している。
書籍も↓この「25 Ways to Cook a Mouse for the Gourmet Cat」をはじめ3冊出版するなど多才だ。しかし「グルメ猫がネズミを料理する25の方法」って・・・どういう本だろう。お料理本ではないだろうけど。

◆黒人活動家コープリーの娘クレア .... Patricia Forte
会合でクッキーを配っていた少女の成長版。リリーたちにエリオットの記憶を語った女性。
「CSI:マイアミ」第1シーズン12話「目覚めた男」で、ドイツ人観光客が襲われた強盗殺害事件の容疑者として挙がったマルコム少年の祖母役で登場していた。マルコムとブライアンの兄弟を祖母が育てていたが、生活苦から兄弟は悪に手を染めてしまう。
◆エリオットの妻ケイ現在版 .... Ellen Geer
「CSI:2」20話「猫屋敷の老婆」で、タイトルどおりの「猫屋敷」状態で孤独に暮らしていた80歳の老婆ルース・エリオット役で登場。猫を家族のように愛していたために一匹として手放せず、譲って欲しいといわれて断ったために殺されてしまった。
他に「コッチおじさん」「おかしな二人2」など。
彼女の父Will Geerは「ダラスの熱い日」「刑事コロンボ/溶ける糸」(被害者の心臓外科医ハイデマン役)など多数の出演作のあるベテラン俳優。彼は50年代にマッカーシーイズムの流れで共産主義者の疑いをかけられるが、非米活動委員会での証言を拒否したために、当時ハリウッドでの活動の道が絶たれるという悲哀を味わっている。その間Ellenの母の女優Herta Ware(「コクーン」「2010」など)が生活を支えたという、今回のエピソードを実体験しているのだった。
◆共産主義活動家レイナ53年版 .... Iva Hasperger
「CSI:3」11話「殺しのレシピ」でベッドの上で手首を切って亡くなっていたリンダ・デーモン役。自殺が疑われたが、彼女は精神疾患で感情の起伏が激しく、服用すべき薬を飲まずに暴れて同じアパートに住む人たちに危害を与え、疎んじられていた。同棲中の恋人に疑いがかかるが、犯人は意外な人物だった・・・。
◆エリオットの次男ハワード現在版 .... Randy Oglesby
「スタートレック エンタープライズ」ではデグラ役。
「ボストン・パブリック」の第1シーズン12~13話では、ミルトンと交際している生徒リサの父グリアー役で登場している。このエピは「ザ・プラクティス」とのクロスオーバーエピなのだが、「ザ・プラクティス」にはこのエピの前後に医師役、判事役と別々の顔で登場している。
◆嫌がらせ警官ウェイド・リブル .... Bob Papenbrook
声優としての活動が多く、ゲームやジャパニメーションの吹き替え作品がとても多い。
ゲーム「バイオハザード アウトブレイク2」のデヴィッド・キング役や、アメリカ版「真・三国無双」シリーズの張飛の声、「戦国無双」シリーズでは石川五右衛門の声、「パワーレンジャー」シリーズのデビオット役、アニメ「十二国記」では塙王の声などを担当している。
ところが「真・三国無双4」のアメリカ版を最後に、今年5月に亡くなられたらしい。享年51歳。
◆殺された元教師エリオット・ガーベイ .... Josh Randall
元事務官エドワード・マティス
「ジョーイ」6話「ジョーイの皿はデカい!?」で、ジョーイの姉ジーナがジョーイに隠れて付き合ってた恋人ロジャー役。ジョーイがジーナのベッドを借りて寝ていたら間違って寝込みを襲われてしまった。
「エド ~人生のスプリット」では主人公エドの親友マイク・バートン役でレギュラー。
「LOST2」7話にネイサン役、「コールドケース2」8話に登場予定。
◆ハーランド・シーリー53年版 .... Johnny Sneed
「CSI:NY」第1シーズン3話「アメリカン・ドリーマーズ」で、観光バスに乗せられていた骸骨のニュースによって、両親が遺体は息子ではないかと名乗り出た失踪者アーロン役。少年センターのボランティアとして身を隠していたが、捜査によって発見されてしまう。
「堕ちた弁護士 -ニック・フォーリン」で、ニックが憎からず思うルルの夫で医者のブライアン・オルソン役。
「フレンズ 9」19話「シュガー・ハイ・ジャーニー」では、モニカのレストランの客で料理には満足したものの、外で歌っているフィービーの歌がうるさいとクレームをつける役。
「CSI:5」20話に登場予定。
◆エリオットの学校の校長 .... David Grant Wright
オフィシャルサイトあり。「FBI~失踪者を追え」第1シーズン13話「親の執念」で、チェット・コリンズの元妻でアジア系のヘレンが再婚を考えている彼氏アレックス・サンボーン役で登場していた。
むかしTBSとBS-iで放送していたSilk Stalkings(邦題「絹の疑惑~シルク・ストーキング 」)にレギュラーゲストとして出演。でも、日本未放送分の第6~7シーズンらしい。
「ザ・ホワイトハウス6」にNASAの長官、「グレイズ・アナトミー2」18話にも登場予定。
リンともダンス友達!(アリー)
でも、今回は悪い人だった…!
お元気で何よりです。
リリーの妹(アリーの時はもっと可愛かったような…)に早速アピールするスコ坊…なんか…たがが外れてますね?奴は。
時代性じゃ無く、殺人はなんだかんだで愛憎のもつれ…かぁ、ですねえ…。
この方、何がすごいって・・・リアルタイムでレッドパージの時代に俳優やってたっていう、そういうお年ですからね。元気ですよねぇ。
クリスティーナ、アリーのときはいかにもアメリカンハイスクールな美少女だったですね。
どんどんヨゴレていってる気がします。
スコッティは、なんつーか・・・そういうヨゴレなタイプに弱いのでしょう。リリーみたいな漂白してノリがかかってるみたいなのには萌えないのかも。
>9年前の「水に流せないこと」
わたしもこれ、疑問だったのですが、どうやら婚約者を妹に盗られてしまったらしいです。
来月のWOWOW番組表の、今までCSIチームのクローズアップがされてたところが今回リリーでした。
これも今後、内容が出てくるんですかね。
まだあらすじ紹介のところでも出てきてない話なのにあれはないよなぁと思いました。
でもそういう話だったら「水に流して」とか「別れ話がこじれて」とか言って甘えてこられても、そりゃー無理ですよね。これからどういう風に展開するのか楽しみですね。
噂をする感覚で思わず書いちゃいました。
悪気ではないので許してください。
しかし今週はあのハンター男のせいでリリーが揺れてましたね。
どんなに怒ってても、やっぱり殺されてはほしくないですもんね。
普段ネタバレをさけて、ドラマのあらすじのところは読まないようにして、WOWOW冊子のイラストつきコラムのところは見るようにしてたんですけど、いきなりやられました(^_^;)
ほんとびっくりつーか・・・ねぇ。
読んでが~ん!状態でした。失礼しました。
わたしもあのコラムはいつも楽しみにしていたので、
「そうだったのか!」と驚きました。
ああ、でも許していただきほっとしました。
あのコーナー、イラストいいですよね。
CSIの主任のイラスト、待ち受けにしてみましたが、家族に「結構怖い」と不評だった・・・(-_-;)
今月のリリーのはいいですよね。
もっと思い切り図案化した二頭身キャラみたいなイラストにしてくれたらいいのに、と思うんですけど、それは本国の権利持ってるとこからOK出ないとかだったりするかな(^_^;)
二頭身CSIとか、二頭身コールドケースとか、かわいくていいと思うんですけどねー。
そういうイラストのTシャツとか出たら買うと思うんですが・・・
なんだろう、とてもかわいらしいです。ちなみにうちの母も好きで、
母娘、主任の魅力は世代を超えてということで。
>図案化した二頭身キャラ
かわいいかも! そんなTシャツならぜひほしいです。
出たら、主任とロビンス先生のを買っちゃうと思います。
いいですねー。
いいでしょう?二頭身CSI。
キャラが全部二頭身で並んでるようなTシャツとか、
キャラ別のとか、出して欲しいですよね!
コンプリートしますよ!(・・・でもないか、要らないキャラとかあるかも(爆))
主任とグレッグだけのTシャツで、ひとこと説教の台詞とか入ってるのとか・・・あぁ、夢が広がる。
ホレイショの名台詞入りTシャツとか(^_^;)
あれ、ここはCCのエントリでした。
ジェフリーズのダンシングキングなTシャツでもいいっすね!