伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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センゲの学習する組織

2007-10-08 23:20:28 | 行政経営
前回のブログで、
「学習する組織」について触れたところ、
コメント頂きました。ありがとうございます。

この言葉は、
MIT(マサチューセッツ工科大学)の
ピーター・M・センゲ教授の著書にあります。

そう言えば、
アクションラーニングのとなりの部屋では、
MITの説明会が開かれていました。
これも何かの縁かも。

センゲ教授は、次のように
システム思考を説明しています。

何か問題があるときは、「出来事」よりも、
潜在する「構造」を見つけることが解決の出発点。

問題を一場面としてではなく、
プロセスとして捉えることが大切。

対処療法は、一時的には問題が改善するが、
本質的な原因は、なんら解決されないため、
後に、もっと悪くなった状況が出現する。

システム思考において重要なのは、
レバレッジの原則。
つまり、構造のどこに働きかけ、どこを変えれば、
決定的かつ持続的な改善へとつながるかを把握すること。

効果が現れるのに時間はかかるが、
的を射た行動こそ最良の結果を生む。
ただ問題なのは、
変化を生む効果的な作用点は、
ほとんどのメンバーには、
きわめて見えにくい点である。

教授はこのシステムを、
ループと矢印により「システム図」として表現します。

基本形は、
成長(変化)を引き起こす「拡大循環」を左側に、
ある目標に向けて変化を止めようとする「平行循環」を右側に、
平行循環を引き起こす
隠されたターゲット(目標)を右上に置きます。

以上が、
センゲ教授のシステム論のおおざっぱな説明です。

私は修士論文で、
このシステム図を使って問題の構造分析をしましたので、
2点ほどご紹介します。

1 「なぜ公務員の意識改革は進まないのか」

国も地方も、改革、改革と大騒ぎしながら
10年以上経過しています。
お役所が変化できない原因は、
もしかすると、行政文化の中にシステムとして、
変化を拒もうとする力が働いているからではないか
と考えました。

行政の組織文化が変わらない問題を、
システムとして捉えた場合、
変えようとする動きは、左側の拡大循環に相当します。
そして、
それを押しとどめようとする力は、
右側の平行循環です。

なぜ組織のタテマエの目標である改革を
とめようとする力が働くのか。
それも有効に。
それは組織を動かせるポジションにいる人物が、
「行政改革」という組織のタテマエとは異なる、
別のホンネのターゲットを持っているからではないか、
と考えました。

そこで作成したのがこの図です。


2 「若手職員の育成が不十分」

行政組織が将来へもっとも大きな禍根を残しているのは、
「全体的に若い人を育てるという認識がとても欠けている」
ことではないでしょうか。

新規採用抑制のため、
近年若い職員は驚くほど少なく、
多くの雑用が集中します。

先輩や上司も人員削減のあおりで、
だれも後輩の面倒を見る余裕がありません。
今の自治体における30歳代の職員は、
このような育てられ方を10年間もされているのです。

彼らが組織の中核となっていったとき、
どのような状況が訪れるでしょうか。

「人材マネジメントは単に人事の問題ではなく、
経営における重要な課題である」
と高橋俊介(2003)は繰り返し指摘しています。

ピーター・M・センゲ(2003)のシステムで示すならば、
下記の参考図のような構造が考えられます。



現在組織が、若い職員の育成にあまり手をかけていないことは、
「人手不足」や「忙しい」などの理由で、
当然のものとして正当化されたり、あるいは無視されています。

人材育成問題は、
今喫緊の課題ではないかもしれません。
しかし、先送りを続けるほど、
将来より深刻な状態で結果が姿を現してくるでしょう。

*システム図が小さくてすみません。
 下記の私の論文を参照していただくと、
 大きな図で確認できます。

<参考文献>
「最強組織の法則」ピーター・センゲ(徳間書店)
「学習する組織『5つの能力』」ピーター・センゲ(日本経済新聞社)
「キャリア論」高橋俊介(東洋経済新報社)
公務員意識改革のブレイクスルー」多田稔

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