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「遠野物語におけるホウリョウ」八戸と遠野

2020年01月10日 | ART / CULTURE
八戸には法霊山龗神社(ほうりょうさんおがみ神社)という、耳馴れない名称の古社(三社大祭の三社の一つ)がありますが、八戸と関係の深い遠野にもホウリョウという地名が登場します。

同神社のHPによると「平安時代にはすでに存在していたことが記録上判明しておりますが、はっきりした創建は不明で、郷土史家や研究者の方々によって弥生期・飛鳥期など諸説ございます」とのこと。

この地域で平安時代よりも古い歴史があるとしたら、田村麻呂以前の古代蝦夷に繋がる聖地だったのかもしれません。
(なのに、道路を通すために神木を伐採してしまった)
http://www.ogami-jinja.jp/

以下、青空文庫よりダンノハナ・蓮台野の段の後半から抜粋
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● 山口のダンノハナ 館趾のつづき
  蓮台野はこれと山口の民居を隔てて相対す
 南の方 星谷 蝦夷屋敷 四角に凹みたる
  石器
● 石器は二ヶ所(山口)
1)蓮台野(星谷) 技巧いささかもなく 蝦夷銭とて土にて銭の形=渦紋などの模様
2)ホウリョウ 模様なども巧 埴輪も 石斧石刀の類 丸玉・管玉
● ホウリョウ権現は遠野をはじめ奥羽一円に祀らるる神なり。蛇の神なりという。名義を知らず。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001566/files/52504_49667.html
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石器の部分の描写をみると、ホウリョウの方は縄文から弥生時代、蓮台野(星谷)の方は古代蝦夷ではないかと思われます(…蝦夷屋敷、蝦夷銭という言葉が使われていることも参考にして)。現代の調査結果は調べていませんが。。

「ホウリョウ権現」については「遠野をはじめ奥羽一円に」とあるように、国替えで八戸から遠野に伝わったものではなさそうだが、八戸の法霊山龗神社にも権現様の歯打ちがあるので、同じルーツと考えて良いでしょう。

前記のように、蝦夷征討と仏教伝来よりも古い信仰につながっているものと思われます。

一方、「龗」という珍しい漢字は、万葉集で藤原夫人から天武天皇への返歌の中で使われています。
(元は万葉仮名ですからこの字ではありませんが)

「我が岡の龗(おかみ)に言ひて降らしめし雪の摧(くだ)けしそこに散りけむ」
 ※「龗」水の神。竜神。
https://sanukiya.exblog.jp/26826883/

遠野物語では、ホウリョウ権現は蛇の神と書かれていますが、蛇は水や龍と結びついているので、龗とホウリョウの意味も繋がってくるように思われます。

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